ラブホ奮戦記181日目:逃げる女追う男
2003年5月12日0:00-6:00 8部屋掃除
今日はOくんとの2人勤務。Yくんは今日も休み。フロントK子がYくん宅へ電話したところ、Yくんのお父さんが電話に出て、Yくん本人は病院で点滴中だそうだ。Yくんは建設会社への就職が決まり、ホテルQを辞める事にはなるが、体調が良い時に挨拶がてら最後に一日だけ出勤する事になったそうだ。Yくんが辞める事が正式に決まってOくんは寂しそうだった。
今夜は暇で1部屋掃除しては控え室で休憩の繰り返しだった。休憩時間の方が長く控え室ではOくんと2人きりなのに、Oくんがおとなしいので静まりかえっていた。そこへモニターから、お客さんが精算を開始した音が聞こえてきた。出動だ。ところがモニターを見ると、お客さんの滞在時間はたったの8分だった。
Oくん「最短記録だよ!8分だって。やってないよね」
みかやん「いくら何でも8分ならやってないよ」
Oくん「当然、お風呂ラッキーで、ベッドもラッキーかも」
みかやん「こんなお客さんばかりだとラクでいいねぇ」
いざ出動しようとすると、I氏がかつてない勢いで走ってきた。
I氏「すみません。すぐ外へ出て、一人歩きの女性がいないかどうか見て下さい!」
Oくん「えっ?何?逃げられたの?」
取る物も取り敢えずOくんと2人で従業員通用口から外へ飛び出し、2方向に分かれて辺りを見回したが、人1人歩いていなかった。夜中に半袖Tシャツ1枚で外へ出ていると寒いので、作業室へ戻る事にした。
I氏「フロントに居たらガタガタと凄い音がするので通路へ出てみると、お客さんがドアをこじ開けようとしていたんですよ。精算するかフロントで施錠操作をしないとドアが開かないのに、懸命にドアを開けようとしているお客さんが居たんです。どうせドアは開かないだろうと思っていたら、ドアを無理矢理開けて女性が泣きながら飛び出して来たんです。もうビックリしました」
Oくん「そんなに簡単にドアが開いたらヤバイんじゃないすか?」
I氏「男の力でも開かないですよ。それはもう死に物狂いで決死の逃走だったんじゃないですか?それか運が彼女の味方をしたか?ですよ。女性に逃げられた男性が、女性を追って宿泊代を払わないで帰ったら困るんで、フロントへ戻ってモニターを見たらすぐに男性が精算を始めたので助かりました。その後、男性は物凄い勢いで車で女性を追いかけたようですよ」
Oくん「で、どうして女性を捜したんですか?」
I氏「泣きながら外へ飛び出して車にはねられたりしても困るし、表通りまで出るのも大変だしタクシーもつかまらないだろうから、こちらで保護してタクシーを呼んであげようかと思ったんですよ」
みかやん「へえぇ。I氏ったらイイトコあるじゃないですか」
I氏「当たり前ですよ!泣いてる女性を見捨てられませんて」
取り敢えず問題の部屋の掃除に向かった。予想通りお風呂はラッキーで、ベッドも掛け布団がめくられていただけだった。一応ベッドを剥いで組み直してから部屋の点検をした。Oくんが床に十字架のペンダントヘッドが落ちているのを見つけ、私はその脇に引きちぎられたネックレスを発見した。I氏がドアの鍵が壊れていないか点検に来た。
Oくん「ネックレスが引きちぎられてるんすよ。無理矢理連れ込んだんすかね。怖い怖い」
I氏「恋人同士の喧嘩かも知れません。でもこのネックレスを見ると悲惨ですね」
みかやん「追いすがってネックレスを引っ張ったんでしょかね。首が絞まるじゃないですか」
Oくん「ネックレスがこんなになるまで引っ張ったのに、冷静に精算して帰るなんて凄い男すね」
I氏「鍵に異常はありませんでした。十字架と言う事は、彼女はクリスチャンで神に祈ってドアを開けてたりして。ははは」
みかやん「今時、十字架だからってクリスチャンとは限りませんからね」
Oくん「結局、女の人は男性に捕まったのか?無事に逃げたのか?仲直りしてるといいけど」
部屋から出る時、鍵をかけて内側からドアが開くか試してみたが、三人ともドアは開けられなかった。
みかやん「これこそ火事場の馬鹿力っていう奴ですね」
I氏「いえ。やっぱり神に祈りが通じたんですよ」
Oくん「はいはい」
I氏は最後まで「信じる者は救われる」と呟いていた。I氏こそクリスチャンなのでは?
今日はOくんとの2人勤務。Yくんは今日も休み。フロントK子がYくん宅へ電話したところ、Yくんのお父さんが電話に出て、Yくん本人は病院で点滴中だそうだ。Yくんは建設会社への就職が決まり、ホテルQを辞める事にはなるが、体調が良い時に挨拶がてら最後に一日だけ出勤する事になったそうだ。Yくんが辞める事が正式に決まってOくんは寂しそうだった。
今夜は暇で1部屋掃除しては控え室で休憩の繰り返しだった。休憩時間の方が長く控え室ではOくんと2人きりなのに、Oくんがおとなしいので静まりかえっていた。そこへモニターから、お客さんが精算を開始した音が聞こえてきた。出動だ。ところがモニターを見ると、お客さんの滞在時間はたったの8分だった。
Oくん「最短記録だよ!8分だって。やってないよね」
みかやん「いくら何でも8分ならやってないよ」
Oくん「当然、お風呂ラッキーで、ベッドもラッキーかも」
みかやん「こんなお客さんばかりだとラクでいいねぇ」
いざ出動しようとすると、I氏がかつてない勢いで走ってきた。
I氏「すみません。すぐ外へ出て、一人歩きの女性がいないかどうか見て下さい!」
Oくん「えっ?何?逃げられたの?」
取る物も取り敢えずOくんと2人で従業員通用口から外へ飛び出し、2方向に分かれて辺りを見回したが、人1人歩いていなかった。夜中に半袖Tシャツ1枚で外へ出ていると寒いので、作業室へ戻る事にした。
I氏「フロントに居たらガタガタと凄い音がするので通路へ出てみると、お客さんがドアをこじ開けようとしていたんですよ。精算するかフロントで施錠操作をしないとドアが開かないのに、懸命にドアを開けようとしているお客さんが居たんです。どうせドアは開かないだろうと思っていたら、ドアを無理矢理開けて女性が泣きながら飛び出して来たんです。もうビックリしました」
Oくん「そんなに簡単にドアが開いたらヤバイんじゃないすか?」
I氏「男の力でも開かないですよ。それはもう死に物狂いで決死の逃走だったんじゃないですか?それか運が彼女の味方をしたか?ですよ。女性に逃げられた男性が、女性を追って宿泊代を払わないで帰ったら困るんで、フロントへ戻ってモニターを見たらすぐに男性が精算を始めたので助かりました。その後、男性は物凄い勢いで車で女性を追いかけたようですよ」
Oくん「で、どうして女性を捜したんですか?」
I氏「泣きながら外へ飛び出して車にはねられたりしても困るし、表通りまで出るのも大変だしタクシーもつかまらないだろうから、こちらで保護してタクシーを呼んであげようかと思ったんですよ」
みかやん「へえぇ。I氏ったらイイトコあるじゃないですか」
I氏「当たり前ですよ!泣いてる女性を見捨てられませんて」
取り敢えず問題の部屋の掃除に向かった。予想通りお風呂はラッキーで、ベッドも掛け布団がめくられていただけだった。一応ベッドを剥いで組み直してから部屋の点検をした。Oくんが床に十字架のペンダントヘッドが落ちているのを見つけ、私はその脇に引きちぎられたネックレスを発見した。I氏がドアの鍵が壊れていないか点検に来た。
Oくん「ネックレスが引きちぎられてるんすよ。無理矢理連れ込んだんすかね。怖い怖い」
I氏「恋人同士の喧嘩かも知れません。でもこのネックレスを見ると悲惨ですね」
みかやん「追いすがってネックレスを引っ張ったんでしょかね。首が絞まるじゃないですか」
Oくん「ネックレスがこんなになるまで引っ張ったのに、冷静に精算して帰るなんて凄い男すね」
I氏「鍵に異常はありませんでした。十字架と言う事は、彼女はクリスチャンで神に祈ってドアを開けてたりして。ははは」
みかやん「今時、十字架だからってクリスチャンとは限りませんからね」
Oくん「結局、女の人は男性に捕まったのか?無事に逃げたのか?仲直りしてるといいけど」
部屋から出る時、鍵をかけて内側からドアが開くか試してみたが、三人ともドアは開けられなかった。
みかやん「これこそ火事場の馬鹿力っていう奴ですね」
I氏「いえ。やっぱり神に祈りが通じたんですよ」
Oくん「はいはい」
I氏は最後まで「信じる者は救われる」と呟いていた。I氏こそクリスチャンなのでは?
コメント