いつもの7-11からOくんとホテルQへ向かって歩いた。遠くに”空室”と言う文字が光っていて安心していたら、1台の車がホテルQの駐車場へ入っていくのが見えた。そのとたん表示が”満室”に変わって驚いた。

みかやん「えっ?今日は何曜日?明日は何の日?」
Oくん「今日は水曜日で明日も平日だよ。何かの間違いさ」

0:00-6:00 11部屋掃除
今日はOくんとの2人勤務。出勤してすぐにモニターを確認したが、満室で間違いがなかった。早速、部屋が空いたので掃除に向かい、C班の遅番と午前1時まで休みなく掃除した。午前1時にC班が帰り、Oくんと2人しかいないのに、ほぼ同時に4部屋が空いた。金曜や土曜の夜のようだった。

みかやん「ちょっと何これ?明日は本当に平日なの?」
Oくん「平日だよ。俺、こんな水曜日は初めてだよ」

待合室でお客さんが待っていたので、大急ぎで掃除をした。4部屋目の掃除へ行く途中、待合室のお客さんが見えた。見えたと言うより、待合室のお客さんが「ワシを見てくれ!」と言わんばかりに身を乗り出していた。見たところかなりのご高齢の男性だった。見事な白髪で、口元の上下に深い縦皺があり口が巾着のようになっていて、背中が少し曲がった感じだ。正真正銘のヨボヨボのお爺ちゃんだった。

Oくん「いかにも”ワシは現役じゃ”みたいにしてたけど、あんなお爺ちゃんがこんな所に来て大丈夫なのかい?腹上死なんかされたらヤバイよ。シャレにならないって」

みかやん「今日はいったい何なの?水曜日に待合室にお客さんがいるのなんか見た事ないよ。何を勘違いしたのか、あんなお爺ちゃんまで迷い出てきて困ったもんだよ」

Oくん「想像するとかなりキモイよ。あんなトシになったら自宅でひっそりとやって欲しいね」

みかやん「婆さんには内緒なんじゃないの?それにしても今、午前3時だよ。普通の爺さんなら爆睡してる時間でしょうに」

Oくん「逆に今、起きたんじゃない?爺さんの朝1早朝Hだなんてイヤだねえ。勘弁して欲しいよ」

大急ぎで掃除をして通路のカーテンの陰から、爺さんと連れの女性が部屋へ入るのを覗き見した。連れの女性は50代後半くらいで、黒髪(恐らく白髪染めの黒を使用)で、ごく一般的なおばさんパーマだが、どことなく上品な感じだった。爺さんもよく見るとインテリ風なのが意外だった。

午前5時半になり、今日最後の部屋が空いた。モニターを見ると218号室で、爺さん達が入った部屋だった。恐る恐る部屋へ入るとベッドとテーブル以外は綺麗なものだった。ベッドは多少乱れていて、テーブルの上にらくがき帳があった。見たくはないが怖い物見たさで見てしまった。

”平成15年 5月14日 水曜日
 今日は私の○○回の誕生日を先生がお祝いしてくれました
 遅くまでワインとディナーを楽しんでから此処へ来ました
 先生は、それはそれはお元気で、、、、
 お元気でお元気で、、、最高の贈り物でした”

Oくんは「はいはい。お元気で何より。お達者で〜。はあぁ。見なきゃ良かったよ。さ、掃除しよっと」と言って風呂へ行った。私は脱力しながら、らくがき帳を片付けてからトイレへ向かい、便器の蓋を開けて更に脱力した。

みかやん「うああああ。何て事を」
Oくん「何?ウン○でも残ってた?」
みかやん「スキンがプカプカ浮いてるの」
Oくん「爺さん、ほんっと勘弁して。笑えない」

Oくんが手にビニール袋をはめてスキンを拾ってくれた。

Oくん「ところで”先生”って、あの爺さん偉い爺さんなのかな?」

みかやん「うーん。医者と婦長とか園長先生と保母さんかなぁ。妙に達筆だし平成何年と書くところが、申し送り表や学級日誌みたいじゃない?」

Oくん「なるほどね。引退した町医者って感じだね。俺もあのトシまで現役か?と考えたら、あの爺さんをある意味、尊敬するね」

その後、帰る時間までOくんは「いくつになっても男と女だね〜」「生涯現役か〜」「老いらくの恋ねぇ〜」「息子以上に頑張るお爺ちゃんてのも、なんだかなぁ〜」「”お元気”ねえ」「ふうぅ」「はあぁ」と、ため息混じりで、1人ブツブツと呟いていた。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索