0:00-6:00 15部屋掃除 
今日はOくんとの勤務。出勤時には満室でC班が2組とも掃除で出払っていた。私達もすぐに掃除に入り、C班の1組が午前1時まで残り、更にC班のK氏が午前3時まで残ってくれた。お客さんの出入りが止まらず、休みなく掃除を続けた。

11部屋掃除してK氏が帰ってからようやく落ち着き、控え室で休憩した。チャレンジャーOくんは、金曜だと言うのにカップ麺を買っていた。暇な日ならともかく、満室の時は部屋が空いたらすぐに出動しないと、待合室に居るお客さんを必要以上に待たせる事になるというのに、不謹慎な奴だ。

ところが、Oくんがカップ麺にお湯を注いで食べ終わっても、おまけに食後の一服をしても部屋は空かなかった。悪運の強い奴だと呆れていると部屋が空いた。

いつもの場所でスタンバイしていると、「ガチャガチャ」とドアを開ける物凄い音と共に、先に女性が飛び出てきて、追いかけるように男性が出てきた。

男性「T美!ごめん。悪かった」

女性「アンタの”ごめん”は聞き飽きたよ!毎度毎度、私を何だと思ってるの?」

男性「今日は本当にゴメン」

女性「昔から同じ!アンタは子供の頃から少しも成長しないで、私に頼りっぱなし。いい加減にしてよ」

男性「こんな静かな所で大きな声で言う事じゃないだろう」

女性「アンタがそうゆう男だから仕方ないでしょ!最低!アンタみたいな男と産まれた時から一緒なんて、そんな腐れ縁は今日で断ち切ってやる」

男性「T美、落ち着けよ。本当に悪かった。こんな所でそこまで言わなくても」

女性「フンッ!1人で帰るから着いて来ないでね」

女性は物凄い勢いで玄関から出て行った。男性はまたも慌てて女性を追いかけた。玄関の戸が閉まる音が聞こえて、身じろぎもせず隠れていた私達の緊張が解けた。

みかやん「何の騒ぎだろ。話の内容だと幼馴染みみたいだね」

Oくん「そうらしいけど、”こんな所”って言ったよ。失敬な!」

通路を歩いてフロントの前を通りかかるとFちゃんが出てきた。

Fちゃん「凄いケンマクだったなぁ。聞こえてたべ?」
みかやん「うん。話は見事に筒抜けさ」

Fちゃん「男から電話きて”金が2千円足りないが何とかならないか?”って言うんだ。そう言われても何ともならんべ。そしたら電話の向こうで女が”また私の財布を当てにしたの!冗談じゃない!何、考えてるのさ”って、ギャーギャーわめいたんだ」

Oくん「金の話か。金の切れ目が縁の切れ目と言うし、金が絡むと人が変わったりするらしいからね」

Fちゃん「男は俺に何かを訴えてたけど、女が”煙草代やジュース代くらいは目をつぶってきたけど、ホテル代まで当てにするってどうゆう事さ。昔からそう。私はアンタを遊ばせる為に働いてるんじゃないよ。彼氏でもないのに何て事すんのさ”って怒鳴ってて、男の声が聞こえなかったさ」

部屋へ入ると、ベッドの枕元にらくがき帳が開いたままあった。

「H明23才 T美23才 幼馴染み
 H明とは同じ病院でほぼ同じ時間に生まれて
 23年間隣の家に住んでる
 小学校も中学校も高校も一緒
 星座も血液型も誕生日も一緒
 子供の頃から仲良かったけど
 ずっとお互い別に彼氏・彼女がいた
 2人ともフリーなのは今が初めてかな
 誰と付き合ってもH明が気になって
 いろんな男と付き合ったけど私にはH明が1番
 だらしないトコも情けないトコもみんな好き
 H明とラブホなんて夢みたい
 今夜はいっぱい逝かせてね はぁと」

と書かれていたが、ノートの一番下には
「最低男!腐れ縁ならもう要らない」と書き殴ってあった。

Oくん「2千円で、あんなに怒んなくてもいいんじゃない?」

みかやん「付き合いが長い分、積もり積もったものがあるんだろうさ。幼馴染みでずっと仲良しで、気になる存在だったんだからさ。凄く嬉しくて期待してたのに裏切られた気分なんじゃない?今日だけは、だらしない所や情けない所は見たくなかったんだと思うよ」

Oくん「へええ。みかやんにも女心がわかるんだ」
みかやん「失敬な」

Fちゃん「あいつら、また来るぞ。腐れ縁てのはそう簡単に切れるもんじゃない。だから腐れ縁って言うんだ」

Oくん「どんな理由だろうと、あんなヒステリー女、俺はイヤだ」

Fちゃん「青いな。男と女はそんな簡単なモンじゃない。だから男と女は面白いんだぞ」

Oくん「ふーん」

納得がいかない様子のOくんだった。まだまだ青い証拠かな?


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