21:46-7:08 A番 

今日はB君がB番で、MさんがC番だった。B君に「おはようございます!」と声を掛けると、B君も「あっ、おはようございます」と返事。しかもB君が微笑んでいたように見えた。当たり前の事なのに、これが物凄く嬉しくて俄然張り切って仕事をする単純な私だった。

有線でかかっていた「青いベンチ」を心の中で口ずさみながら、ゴキゲンで牛乳の品出しをしていた。牛乳は棚の一番下の段でかなり奥行きがある。屈んで脇の下の筋がつるほど手を伸ばしてようやく届くぐらいの奥行きだ。

今日も「くえ〜。苦し〜」と思いながら屈んで手を伸ばしていると、背後にムアッとした感じと黒い陰が私にのし掛かってきた。屈んでいる私に覆い被さるようにして、牛乳の棚の上にある商品を取ろうとしている者がいると気が付いた。しかも最初に感じた「ムアッ」とした気配は、忘れもしないラブホ時代によく嗅いだオヤジ臭だった。

ぐえぇ〜。オヤジだよ。普通は屈んでる私の上からじゃなくて横から商品を取るんじゃないの?オヤジ様、勘弁してよ。動けないじゃない。こんな無神経な事をするからセクハラって言われるんだよ・・・ほんの一瞬の間に様々な気配を感じ取り、様々な事が頭をよぎった。

下で屈んだまま固まっている私に、上から「あ、すみません」という声が聞こえた。それは若い男性の声だった。「いえ。こちらこそすみません」と立ち上がって恐る恐る振り返ると、20代半ばの可愛らしい顔立ちの男性だった。

男性「すいません。カツゲンしか目に入ってなくて」

みかやん「いえ、私の方こそ気付かずに失礼しました(てか、あなた。その若さでオヤジ臭とは・・・)」

男性「ふと見たら下に人がいて驚きました」

みかやん「すみません(あたしゃあなたのオヤジ臭に驚くやら嘆くやら)」

男性「じゃ、コレ買って帰ります(ニッコリ)」

みかやん「ありがとうございます(そんな可愛らしい笑顔とオヤジ臭を振りまかれても・・・嘘でしょう?あなたの可愛い笑顔とは裏腹に、あなたの匂いはオヤジそのものよ。なんて事!)」

なんと嘆かわしい事だろう。笑顔の愛くるしい童顔の青年が、オヤジ臭ムンムンで歩いてるなんて。脱力しながらレジへ向かう彼の後ろ姿を見送った。

朝方になってから、事務所のPCの前でMさんに発注リストの出し方を習っていた。そこへB君がレジから走ってきた。

B君「誰かワークスケジュールの用紙を知らない?」

みかやん「あっ!私がファイルの一番上に乗せ・・・」

Mさん「もうB君、行っちゃいましたよ」

私の話もろくに聞かず、B君が事務所を出て行ってしまったので、Mさんも苦笑していた。

Mさん「大丈夫。B君てあーゆー人だから気にしないで下さい。気にしたらキリがないですよ」

みかやん「はぁ。そうなんですか」

そこへB君が舞い戻ってきた。

B君「それ終わったら、誰か俺をトイレに連れてって」

Mさん「えっ?連れて行くんですか?」

B君「いや、トイレに行かせて。限界だから。あははは!」

Mさん「あはは!どうぞ行って下さい。私達もう戻りますから」

私も同席している所で、B君があんなふうに冗談を言ってるのを聞いたのは久しぶりだ。何となく函館のデパガ時代の上司を思いだした。最初は口が悪くてぶっきらぼうで何を考えてるのか分からない、とんでもない上司だと思っていたが、後になって本当は熱血漢で誰より部下思いなのにシャイな為に凄く損な人だと分かった。B君もその上司と同じタイプかも知れないと思った。

函館時代のその上司に一番反発したのも私だったが、一番最初に親しくなったのも私だった。その上司が私に最高の評価”S”をつけ続けてくれたから、同期の中でも一番給料が高かったし、私が札幌で正社員で働けるようになったのも評価Sが効いたのだった。

その上司には「この馬鹿者!」「お前って奴は!」「何をやってるんだ!」と、散々に罵倒されていたが、若かった私は「うるさい!」「アンタこそ!」と反撃しつつ何とかくらいついていた。当時はその上司に本気でムカついていたが、今となってはいい思い出だ。

その上司は働かない係長が多かった中、ヒラ社員のように身を粉にして働いていたし、よく気が付いて懸命にフォローしてくれていたし、その辺の係長とは比較にならないぐらい頭の良い人でもあった。B君とよく似ている。無性にB君とも仲良くやっていけそうな気がしてきた。

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