ラブホ205日目：照れ

11：30-18：00　クイックメイク26部屋（重複）

今日は、Eさん（50代後半・高見沢俊彦似）とCさん（60代前半・元看護師）、Sさん（10代後半・初バイト）と私の勤務。

水道関係設備点検の為、当初は「お湯が出ないので水を使って作業して下さい」という指示だったが、すぐに「水も使わずに出来るだけベッドメイクして下さい」という指示に変わった。

そうは言われても、水を使えなければ食器は洗えないし、風呂も洗えない。出来る限りの事はしたけど、どうにも変だ。こんなのベッドメイクじゃない！という感じ。おまけに不完全なベッドメイクをした売り部屋にならない部屋が増えて、私達は違和感と焦燥感と危機感でいっぱいだった。

みかやん「5日はCさんと私が休みで、Eさんと愚鈍さんが出番だから、Eさんが私と話した事を愚鈍さんに報告するんじゃない？ってみんなで予想したけど、やっぱりそうなった？」

Sさん「それがEさんが休んじゃって…風邪だと思う」

みかやん「えーっ！休んだんだ。だって3日の日は、そこの公園でEさんがずっと同じような話をしながら私に絡んでたけど、私だって正直に話さない人に話す事もないし、堂々巡りの状態だったもんね。それで風邪ひいたかな？」

Sさん「うわ！思い出しちゃった！Eさん怖い！つーか、Eさんが休んで三人勤務になって、うちは三人は久々だったから、もうホントに疲れた」

みかやん「じゃ、Eさんから愚鈍さんへの報告会は昨日の帰りにでも行われたんだろうね」

「”みかやんが怒って帰っただなんて一言も聞いてない”って言ったから口裏合わせて」と打ち合わせしたんだろうさ。見え見えというか丸見えだ。

かつて、嘘までついて他人を悪く言って陥れようとしたAさんとBさんは、結局はココに居られなくなって辞めてった。AさんもBさんも愚鈍さん並みの仕事の遅さだった。

AさんもBさんも、仕事が早くて優秀な人を妬んだり、みんなに可愛がられたり好かれている人を妬いたり、気の毒なほど嫉妬に囚われていた。って事は、私は愚鈍さんに嫉妬されるほど、仕事ぶりが優秀で人気者だって事すか？照れるわーん！だ（怒）。

けど、仕事で愚鈍さんに負ける人はココに居ないし、愚鈍さんのあの仕事ぶりで新人という立場も省みず陰で散々に先輩達を貶める発言を繰り返していたら、誰も愚鈍さんの言い分を信じないし、騒ぐほどに周りの人間は愚鈍さんから離れて行くと思う。

なんて事を考えながら、使用済みのダスターをエレベーターホールへ置きに行く途中、突然目の前にお客様が現れたので慌てて隠れようとしたら、お客様に「すみません！」と呼び止められた。もはや逃げも隠れも出来ない。

お客様は「下で901号室を選んで来たのに、901号室のドアが開かなくて部屋へ入れない」とおっしゃるので、フロントへ確認すると「901号室は随分前から入室中なので801号室へ行って頂きたい」との事だ。

その事を説明する間、男性のお客様は真っ直ぐに私の目を見て話を聞いているし、女性のお客様は物凄くニコニコしてらっしゃるし、あまりにも堂々とされていて、何だか私が恥ずかしいような照れ臭いような気持ちになって恐縮した。

ま、後ろめたい事もなく普通の恋人同士であれば、恥ずかしがる事も無いんでしょうけど、私はめっちゃ照れた。

ようやく使用済みダスターを置いて部屋へ戻ったら、Sさんに「三人とも物凄くニコニコしてたから、てっきりみかやんのお友達カップルなんだと思ってた」と言われて萎えた。

みかやん「いやまさかっ！友達だったらあたしゃ逃げるよ。Sちゃんだったら、どうする？”あら久しぶり”とか声かける？」

Sさん「無理！うちも逃げる！こんな所で”こんな格好”してるのに、友達に見られるの絶対イヤ！」

こんな格好？それもそうだ。さっきの私は、裸足にゴムスリッパ、ズボンを膝までまくって膝あてして、胸にはガムテープだらけのエプロンに、首にタオル巻いてフル装備だもの。

うわ〜、さっきの女性は私の勇姿が可笑しくて微笑んでいたのかも？それはそれでまた照れる。ホテルQ時代に、爺さん＆婆さん客に「仲居さん！」と呼び止められた時の照れ具合を思い出すわ。

ま、いいんですけど。

夕方ようやく水道が復旧したので、午前中にやり残した風呂＆洗面係をして回り、帰る頃に普通にベッドメイク出来るようになったのが、何と言うかもう無上の喜びだった。