ラブホ344日目:検査薬
11:30-18:00 クイックメイク20部屋

今日は、Cさん(60代前半・元看護師)とSさん(10代後半・初バイト)、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と私の勤務。

うちのチーム60の方々は揃って老眼で、中でもCさんの老眼はかなり酷いレベルであるようだ。その次がEさんなのだろう。

Eさんは、床についていた茶色いシミを見て「10円玉が落ちてるのかと思って、拾おうとしたら違ったのよ」と悔しがっていた。私はトイレに隠れて笑っていてハッとした。

そういえば、私と同い年のTさん(同い年・ホテルC出身)も、目がかなりヤバいようで、時々ケータイを遠ざけて見たりしている。私達も老眼予備軍だ。笑い事じゃないのかも(暗)。

次の次の部屋で、Eさんが客用冷蔵庫にタッパの忘れ物が有るのを発見した。タッパの蓋を開けて「うわっ!腐ってる!ええ?カビ生えてる!お、おええぇっ!」と言いながら、Eさんが私の元へ走って来た。

「そんな…何日も冷蔵庫に放置されたりしないんですから、腐ったりカビが生えたりはしないんじゃないんですか?」と言いながらタッパを覗いたら、生のホッキ貝とレタスにバジルか青じそが入ったドレッシングをかけたサラダだった。

彼氏か不倫相手の男性の為に一生懸命に作ったサラダを一目見て「腐ってる」とか「カビが生えてる」とか、挙げ句に「おええぇっ!」と言われたんじゃ、忘れて帰ったお客さんも浮かばれない。Eさんにも老眼鏡が必要かも。

やれやれとトイレ掃除を始めたら、汚物入れの中に妊娠検査薬の外箱と内袋と本体一式が入っていた。

逸る気持ちを抑えて、汚物入れに掛かっているゴミ袋ごと外して、ゴミ袋の外側から検査結果を覗いて見たら、見事に「+」のマークになっていた。

みかやん「Eさん!Eさん!ご懐妊ですよ!」

Eさん「ええ?何それ?」

みかやん「妊娠検査薬なんですよ。”+”のマークが出てるんで、出来ちゃってるみたいですよ」

Eさん「えーー?何?そんなのだけで妊娠したって分かるの?どれ?」

Eさんは、おもむろにゴミ袋の中へ手を入れて、妊娠検査薬を取り出そうとしたので「うわっ!それ、オシッコかかってますから」と慌てて止めた。

Eさん「へえぇ。こんなのにオシッコかけただけで、すぐ分かるんだ。噂には聞いてたけど初めて見たわ。お客さん、どう思ったんだろ?望んでたなら嬉しくて記念に持って帰るんじゃないの?」

みかやん「や…でも、オシッコかかってますからね」

Eさん「おめでとう!ありがとう♪と思う人も居れば、そうじゃない人も居るからねぇ」

みかやん「あ!慌てたか、気まずくなったかで、タッパ忘れて帰ったんでしょうか?」

Eさん「喜んだにしろ、後悔したにしろ、タッパどころの騒ぎじゃなくなったんだろうね。まぁ私はもう生理も無いから妊娠なんか関係ないからいいけど…」

みかやん「私も生理なんか早くあがっちゃえばいいのに!と思いますよ。ただ痛くて苦しくてうっとおしいだけじゃないですか。もうウンザリです」

Eさん「そーゆー人に限って、あと20年は続くんだよ」

みかやん「イヤーーっ!勘弁して下さい!」

そう言った後、Eさんは暫く遠い目をして無言になっていた。どうやら、何か昔のことを思い出したらしいので、そっとしておいた。

Eさんは彫りの深い美しいお顔立ちで若々しく、とても60過ぎには見えない。若い頃は、その美貌ゆえにいろいろと有ったんだろうなぁ…と、ついつい想像してしまう。

そして二人とも無言になっていた。

たまには仕事に没頭しないとね。
11:30-18:00 本メイク4+クイックメイク13部屋

今日は、Cさん(60代前半・元看護師)とTさん(同い年・ホテルC出身)、愚鈍さん改めUさん(30代後半・悪霊憑き)と#さん(60代前半・元美容師)と私の三人勤務。

昼休み、何気に「家の近所にヨガ教室を発見したので、歯医者通いが終わったら習いに行きたいかも」と言ったら、Cさんや皆に「行きなさい!行きなさい!」と物凄く熱心に勧められた。

Cさん「したって、みかやんだらわちら年寄りより身体がかたいんだもの。ヨガでも習った方がいいわ」

みかやん「X君ほどじゃないけどね。X君なんか床に落ちてる物を足で蹴り上げて拾ったり、足の指でつまんだりして拾ってるからね。あそこまでのお爺ちゃんではないけど…」

Cさん「ほれ、前屈してみなさい」

恥ずかしながら前屈をしたら、#さんが「ええ?それしか身体が曲がらないの?」と驚いて私の足を触り、私の足の冷たさに更に驚かれてしまった。

#さんは半ば呆れつつ「血行も悪いんだわ」と言いながら、バッグの中からオイルを取り出し、私の足のオイルマッサージをしてくれた。聞けば、#さんたら足揉みの資格も持っているそうじゃないか。

フロントH君(カイロプラクティック専門学校中退)亡き後、全身のコリや鈍い痛みをどうしようか?と思っていたら、私の前に救世主が現れた。私の周りにはいつも、カイロ系や針あんま系や揉みの専門の人が居てくれるので助かる。

Cさんが執拗に私にヨガ通いを勧めるので、何かと思ったら「ヨガのポーズ習ってきたら、ココでわち達に教えて」だってさ。なるほどね。

休憩明けは足がポカポカして気持ち良いのなんの!

「#さん、ありがとう!この部屋って床暖だっけ?と思うぐらい足が暖かいよ!」と感動を伝えたのに、「それが普通の人の状態だから。みかやんはしょうが湯とか紅茶にしょうがを入れて飲んだ方がいいよ」と、ぶっきらぼうに言われた。#さんは照れ屋さんらしい。

愚鈍さん改めUさんともポツリポツリとだけど和やかに話をした。他人の仕事ぶりに期待しないことにしたら腹も立たなくなった(毒)。ともあれ、愚鈍さん改めUさんに、私を先輩として立てようという姿勢が見られるのは嬉しいことだ。お互い成長したかも。

夕方、トイレ掃除をしようとしたら、便座がグルリと一周、油にまみれて虹色に光っていた。湯上がりにオイルを塗った尻で座ったのか、がまの油のように尻から油が出る人なのかは知らないけど、汚いし油臭い。

部屋へ住居用洗剤を取りに行ったら、#さんが怯えながら「ええ?トイレに洗剤?…ウン○?血?ゲ□?ゲーリー?オシッコ?」と尋ねてきた。

みかやん「それが…尻油なのか油尻なのか知らないけど油まみれでさ、廃油みたいな匂いがするんだよね」

#さん「アブラジリ…はーはーはー(再び中村玉緒の笑い)!みかやんて、いつも明るくみんなを盛り立てようとしてるよね。女ばかりだと陰湿になるから、みかやんみたいな人が居ないとダメなんだわ。それと、みかやんと私は男気性なところが似てるかもね」

みかやん「いや…そんな…何?ええ?(しどろもどろ)」

ええ?珍しく褒められちった?つーか、油尻に必要以上にウケられたことが予想外で驚いた。年配の人って何気ない一言に大ウケしたりするから驚くよね。

男気性って、それは男勝りとか姉御肌とか…もしかしてオヤジってことすか?確かにオヤジ化してるとは思うけど。

じゃ頑張ってこれからも明るく盛り立てていきますか!
11:30-17:30 本メイク5部屋+クイックメイク13部屋

今日は、Tさん(同い年・ホテルC出身)と愚鈍さん改めUさん(30代後半・悪霊憑き)、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と#さん(60代前半・元美容師)と私の三人勤務。

三人勤務の時は、風呂係のみと、部屋&玄関係と、洗面&トイレ係のローテーションになるが、私は何年この仕事をしていても洗面&トイレ係が苦手だ。それもこれも、ラブホQグループでは洗面&トイレ係にクッソうるさかったからだと思う。

何にしろココと比べたらアホほど細かいことにうるさくて、それはもう病的に神経質で「客がそんな所までチェックすんのかよ!」と毒づきたくなるぐらいだった。

嗚呼それなのに、何故か今、私はラブホQバージョンで洗面&トイレ係をしているので、他の人より4行程も5行程も多くなって時間がかかったりする。ラブホQで厳しく躾けられ過ぎたせいか、ラブホQでイケナイとされていたことはココでも出来ないし、細かいことが気になって仕方ない。

最近、ココのカップ&ソーサーがガラス製の物に替わった。ラブホQでは、水垢が付着し易い、指紋が残り易い、時間内に磨き上げにくいという理由で、ガラス製の食器を部屋で洗ったりはしなかった。

その都度、ガラス製の食器を裏へ下げて漂白し、熱いお湯で洗ってある程度水が切れたらサラシで力を込めてピカピカに磨き上げ、粗熱が取れてから指紋がつかないように慎重にビニール袋(ココではドライヤーヘッドを収納している袋)を被せて収納し、少しでも傷が付いたら交換するという徹底ぶりだった。

それで、ラブホQのワイングラスやビアグラスはいつもピッカピカだったけど、当時の私は「ふっ、こんなの所詮自己満足じゃん!客はたまたま新しくて綺麗なグラスに当たった…ぐらいにしか思わないのよ。つーか気づかないから」みたいに思ってた。

ところが私ったら、ココのカップ&ソーサーに早くも付着した水垢やら曇りやら細かな傷が気になって仕方なくなった。自分で洗ったガラス食器や歯磨きカップの受け皿やらをガン見チェックしてる。自分で自分が姑みたいでイヤだわ。

それと、ラブホQでは雑巾がけやクイックルワイパーがけにもうるさく、某同期のように適当に左右に拭いたりしたら「め○ら拭き禁止!それじゃゴミが行ったり来たりするだけ、一定方向に拭きなさい」と厳しく叱られた。

ガムテでの毛拾いにもうるさく、某先輩のように見もしないでベタベタと床をガムテで叩いたりしようものなら「めく○打ち禁止!毛は目で見て確認してから取らないとただうるさいだけ!きっちり拭き掃除が出来てたら、そんなに毛も落ちてないはず!」と怒鳴られたものだ。

あとトイレ掃除なんかも「便器のような細かいものを大きなダスターで拭くから無理が有る!トイレは小さなダスターで細かい所も丁寧に拭け!」とも言われていたし、ラブQではいちいち綿棒に消毒液をつけてウォッシュレットのノズルまで拭いていた。

当たり前っちゃあ当たり前のことだけど、我が班の面々はそれが出来ていない。ゴミを集めながら一定方向に雑巾がけをしたり、ピンポイントで毛を拾ったりするのは辞めたDさんと私ぐらいなもので、他の人たちは適当にめ○ら拭き&めく○打ちをしているが、私にはその適当が出来ない。

課程が違っても結果が同じならいいじゃんとも思う。それこそ単に私の自己満足だからいいんだけど・・・。

それでいて、仕事の早さだけを自慢にして汗ひとつかいてない後輩にはカチンときたりするのよね。だから、他人の仕事ぶりを干渉しない、他人の仕事ぶりに期待しない、と決めたんだけど…。

ラブホQ時代、唯一の社員・フロントK子に「アンタは他の人より50円も時給が高いんだから”早く出来た、どうだ!”じゃなくて、他人の上を行くベッドメイクをしなさい。他人の手本となる仕事ぶりを見せなさい」と、よく言われていたのを思い出す。

・・・で、何が言いたいんだか分からなくなってきた。

ま、価値観の問題であってどうしようもないことだし、損な性分かも知れないけど自分で納得出来てりゃそれでいいのよね。こんなことで悩んでただなんて、私ったら小さいヮ…みたいに、勝手に悩んで勝手に解決した。
今日は左側の犬歯が差し歯になった。歯医者通いの記録を残していて、差し歯1本約6000円と分かったので、銀行で6000円をおろして歯医者へ向かった。

バイト掛け持ち中にすっかり歯を悪くしたと思われる。休憩時間にご飯を食べてすぐ爆睡したり、帰宅してジャージに着替えたら睡魔に勝てなくなり、3時間ほどの仮眠の後に顔を洗ったり歯を磨いたり…それが災いしたのだろう。

歯医者通いはまだまだ続きそうだ。

今日は、差し歯1本で5830円。前回までと合わせて46320円也。
11:30-18:00 クイックメイク20部屋

今日はSさん(10代後半・初バイト)と愚鈍さん改めUさん(30代後半・悪霊憑き)、Cさん(60代前半・元看護師)と私の勤務。

出動して1部屋目から垢と汚れでドロドロの風呂に当たって閉口してしまった。汚れてドロドロの風呂にお目に掛かるのも日常茶飯事だが、それでも見る度に呆れ、軽くムカついてしまう。

日本人てお風呂好きじゃなかったのかい?どんな人も子供の頃に「湯船に入る前に身体を洗いましょうね」と親に教わるんじゃないのかい?全くもう!

どーゆーわけか身体の汚い人に限って、バブルバス入浴剤を入れて、ジェットバスのスイッチを入れて、泡風呂を楽しんでらっしゃるのよね。それで浴槽のお湯を抜いたら、垢と汚れを含んだ汚い泡が見事に浴槽に残っちゃうのよ。

乾いてしまったら汚れを落とすの大変なんだから。

はあぁ。ホント信じらんない。ようやく風呂掃除を終えて、トイレ掃除をしようとしたら、今度は便器にウン○が飛び散りまくりでグッタリした。何人もで部屋を利用したなら犯人の特定は難しいかも知れないけど、大抵は2人で利用するんだからバレバレじゃん!

万が一、私が便器をウン○まみれにしてしまったとしても、とてもそのままにしてトイレを出られない。そんなモノを相方に見られでもしたら死にたくなる。

まぁ、風呂を垢と汚れまみれにして、トイレをウン○まみれにして平気な輩は羞恥心など持ち合わせてはいないのだろうね。日本人てもっと奥ゆかしい民族じゃなかったのかい?

縄張り意識が強いのかどうか知りませんけど、あなたのテリトリーだと私達にアピールして頂かなくて結構ですよ。犬や猫じゃないんですから、この手のマーキングはご遠慮願いたいものですヮ。

それとも、訪問販売会社の人が住人の情報を残したり、窃盗団が下調べの情報を残したりするってタイプのマーキングですか?こんな形でうちのラブホの情報を流すなんて!・・・そんなワケない。情報流出しないし。

ラブホQじゃ「掃除の行き届いてないホテルは客に汚される」と言って、それはもうクッソ徹底的なベッドメイクをしていたけど、それでも汚される時は思いっきり汚されてたからね。

そんなくだらないことを考えていて無言だった。CさんはCさんで一昨日の私のように物思いに耽っている様子で無言だった。

Cさんは部屋を出ようとしていたが、Cさんが拭いたはずの洗面所の鏡が汚れていたので「ちょいとCさん!鏡汚れてるから拭いて出た方がいいよ」と呼び止めた。聞こえてないんだか聞いちゃいないんだか、Cさんは私の制止を無視して部屋を出て行った。

「ちょ、ちょっとぉ!鏡!汚いよ!」と叫んでもCさんが戻る様子がないので、仕方なく私が鏡を拭いて部屋を出たら、Cさんは既に一人でエレベーターホールに到着していた。

次にCさんが部屋係になった時も、我先に部屋を出ようとしていたが、キャビネットのガラス扉が指紋で汚れていたので呼び止めたにも関わらず、Cさんはまた一人で勝手に部屋を出て行った。私が指紋を拭き取って部屋を出た時には、Cさんは廊下の端まで歩いていた。

酷い!一度ならず二度も私をおいてけぼりにするなんて!しかも、2回ともあたしゃ、Cさんの尻ぬぐいをしてるというのに!ココのベッドメイクマニュアルにも「相方を置いて先に部屋を出るな」と書いてあるじゃん!

もーっ!老眼鏡かけっぱにするなり、補聴器するなりしてよね!

帰りに階下で合流したSさんに思わずぼやいた。

みかやん「Sちゃん、聞いて!私、今日、二回もCさんにおいてかれたの!」

Sさん「ええー?そうだったんですか?それキツい」

みかやん「でしょう!おいてけぼりだよ。酷いよね」

Cさん「わちなんか、なんもおいてったりしないべさ」

みかやん「いんにゃ、2回もおいてかれたもん!」

Cさん「わちなんかおいてかないよ。わちはただ…自分の世界に入ってただけ…」

Sさん&みかやん「そんなぁ!」

「自分の世界に入ってただけ…」って、ちょっと。絶句している私達を尻目にCさんは力なく「じゃお先」と言って先に帰ってしまった。

何があったんだか知らないけど、今日のCさんは様子が変だった。60年以上も生きていれば、たまにはこんな日も有るのか?
11:30-18:30 クイックメイク19部屋+ベッドのみ1+待合室掃除+リネン折り
       
今日はEさん(60代前半・高見沢俊彦似)と愚鈍さん改めUさん(30代後半・悪霊憑き)、Tさん(同い年・ホテルC出身)とZさん(20代後半・ZARD似)が早番、Sさん(10代後半・初バイト)と私が遅番の勤務。

××5号室からのスタートだったので、業務用エレベーターに乗り×階のボタンを押して、Sさんと雑談していた。ドアが開いたので降りると、エレベーターホールでフロントX君がエレベーター待ちをしていた。

先々週の土日に欠勤し、先週の土日は休みだったので、土日のみの勤務のX君に会うのが物凄く久しぶりに思えた。

××5号室の前でSさんが「え?何で?ドア開かない!」と叫ぶので、私もドアを開けようとしたが、やはりドアには鍵がかかっているようで開かない。

みかやん「???うわーっ!ここ××5号室じゃなくて○○5号室だよ!降りる階を間違ったよ!」

Sさん「えーっ!どーしよーっ!うち、思いっきりドアをガチャガチャやっちゃった!」

慌ててエレベーターホールへ逃げて、モニターを確認すると○○5号室は、しっかりと”入室中”になっていた。Sさんはノイローゼのように「どうしよう。うち、ドアをガチャガチャやっちゃって…怒られる。お客さんから苦情きたらどうしよう」と呟いていた。

みかやん「大丈夫だよ。お客さんは、それどころじゃないさ。きっともう夢中になってて聞こえてないって」

Sさん「・・・・・」

みかやん「あ、ごめん」

Sさんにちょっとでもエロい話をしたら、露骨にイヤな顔をされたり、押し黙られてしまうことが有る。この程度のことでドン引きされてもねぇ。とてもラブホ勤めの人とは思えない。

ん?ふと見たらエレベーターが遙か下の作業室の階で止まっている。ってことは、さっきX君は下へ降りようとして▽のボタンを押さずに間違って△ボタンを押したから無駄にエレベーターが止まって、私達が降りてしまったってこと?

X君め!って、私達がお喋りに夢中で確認もせずにエレベーターを降りたのが悪いのよね。

昼休みの前に駐車場からの玄関と待合室の掃除をすることになった。掃除中にもお客さんが続々と入ってきて、その度に逃げ隠れする為になかなか捗らない。そうこうしているうちに満室になったようで、お客さんが待合室の半個室に入ってしまった。

Sさんと私も待合室の半個室に隠れたまま出られなくなってしまったのに、更にもう1組のカップルが半個室に入った。

半個室の横にある電話が鳴ったが、フロントからお客様にかかってきた電話なのか、私達にかかってきた電話なのか分からず、ツラッと「お疲れ様です♪B班のみかやんです」と電話に出たら、お客様達も「ええ?この人達、どこに居たの?近くで私達を見てたの?」と思われるかも知れない。

いつ出られるんだろう?半個室は4列ぐらい並んでるけど、私達の列にもお客さんが来たら半個室でドアが無いんだもん、私達丸見えじゃん!パッと見ビアン客みたいじゃん!と困っていたら、フロント二宮和也似君が私達を迎えに来て下さった。

は、恥ずかしい。二宮和也似君はモニターで私達を見ていて呆れていたに違いない。そして「何て世話の焼ける馬鹿どもなんだ」と思いながらも迎えに来て下さったに違いない。全く面目ない。

恥ずかしい失敗の連続に、私達は凹んでしまった。さすがに私もエロい冗談などかませなかった。

これ以上、失態を演じるわけにはいかないので、気を引き締めて仕事をして、ようやく最後の1部屋にこぎ着けた。残された時間は10分程度だが頑張るしかない。

ベッドを組んでいたら、向かい側でSさんが「うわっ!何?ギャーッ!」と叫ぶのでSさんの側へ行って見てみると、分厚いマットレスを覆ったシーツにベッタリと血がついていて、床の絨毯にも大きな血のシミが広がっていた。

急いでる時に限って、こんなアクシデントに見舞われる。無言のまま大慌てで換えのシーツを取りに走り、その間Sさんは床の血のシミを擦り取り、協力して組みかけのベッドを剥がし、何事も無かったかのようにベッドを組み終えた。

8分ほどでこの部屋を出て、もう一踏ん張り!と、隣の部屋のベッドだけを組んで終了した。辱めを受けた分、休憩明けからは頑張ったつもりだが、帰る頃には若いSさんもバテていた。
ラブホ349日目:デリ名刺
11:00-18:00 クイックメイク17部屋+リネン折り

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とTさん(同い年・ホテルC出身)、Cさん(60代前半・元看護師)とZさん(20代後半・ZARD似)が遅番、#さん(60代前半・元美容師)と私が早番の勤務。各隊にチーム60が1人ずつという振り分けになった。

今日は出動直後から物凄くバタバタした。

フロントに指定された露天風呂付きの部屋のベッドメイクに入ったら、フロントから電話がきて「お客様がどうしても露天付きの部屋へ入りたいということで待ってますから」と急ぐように言われて、大急ぎでベッドメイクをすることになった。

露天風呂付きの部屋は優先的にベッドメイクをしなければならないので、違う階の露天風呂付きの部屋にベッドメイクに入ったら、そこにもフロントから電話がきて「お客様がその部屋を指定でお待ちですから」と言われて、また大慌てだ。

#さん「ごめんねぇ。さっきも殆ど全部みかやんにやって貰っちゃって…。私も頑張るけど…」

みかやん「いやいや気にしないで。私、ダイエット中だから人の倍、働かないと」

だってさ、この仕事を4年も5年もやってる私と昨日今日の人が同じに出来るんなら、私ら中堅やベテラン勢の立つ瀬が無いもんね…って部屋の中を走り回ってたら何かを踏んづけて滑ったけど、取り敢えず拾ってポケットに入れといた。

その後も毛だらけの部屋や血だらけの部屋に当たって、大忙しだった。

昼休み明けからようやく#さんとも少し落ち着いて話が出来るようになった。#さんの話によれば、私が休みだった2月22日はチーム60が揃っていて、朝からCさんが若き日の男性遍歴や二度に渡る結婚生活について熱く語っていたそうだ。

チーム60のようなお年寄り連中は朝が早くて、就業時間の1時間以上も前から出勤している。何をするわけでもなく単に雑談をしているわけだが、私には真似出来ない。私ならもっと自分だけの時間を有効に使いたい…と思うのは若い証拠だろうか?

#さん「Cさんたら”わち、男なんかもう要らない!飽きた!”とは言ってたけど、その後なんだかとっても寂しそうだったの」

みかやん「”自分の世界”ってそのことかい?かくかくしかじかでその翌日は散々私を置き去りにしといて”自分の世界に入ってた”だからね」

#さん「あはは!自分の世界って一番いいね!私も今度何か有ったら”ごめん。今、自分の世界に入ってた”って言おう」

みかやん「in my worldだからね。私も返す言葉に詰まったよ。つーか、若い頃はそれなりにモテて、結婚も二回したけど、今は一人ってことが急に寂しくなって強がり言ったみたいな感じなのかい?」

#さん「そうだと思うよ。”最初の男はああで、二人目の男はこうで”ってワイワイ語った後、シュンとしてたからね」

Eさんは母屋にお兄さん一家が住んでいる所の離れに住んでいて、#さんはもうすぐ長男一家と同居する。Cさんだけ札幌に一人だ。旦那が居たら…とか、家族が居たら…と思うのかなぁ?

#さんの長男一家との同居が決まって、#さんも嬉しさを隠せずにそのことばかりを話していたので、それがCさんにはキツかったのかなぁ?と思ってしまう(侘)。

チーム60は60代のシングル女が三人だけど、まさに三者三様だ。こうなると女の幸せって何だろうと考えてしまう。うちも子供が居ないし、私も将来はCさんのように…いや、子供が居たってうちの母親も函館で独居老人してるし…。

イカン!考えると暗くなる!

そう言えば!と、さっきポケットにしまったモノを出してみたら、デリヘル嬢の名刺だった。

名刺の裏側を見たら(画像参照)「今日は○○(店名)をご利用ありがとございました。楽しんでいただけましたか?Hぃなコト、楽しいコト大〜好き!な××(源氏名)なので、また二人でいっぱいいろんなコトして遊びましょ。TEL待ってます」と書いてあった。

なるほど。こんなメッセージを書いて固定客を増やそうと努力してるのね!手書きだと文字や文面に個性が出るし・・・と深い感銘を受けた後、でもこの名刺自体を忘れて帰られちゃ何にもならないのよね(哀)と他人事ながら虚しくなった。

何となく、うら寂しいような気持ちになる一日だった。Cさん、こないだは”老眼鏡かけっぱにしろ!”とか”補聴器しろ!”とか思っちゃってゴメンね。
我が家は恐ろしいことに今時ISDNなので、おいそれとYOUTUBEの動画を楽しむことなど出来ず(泣)たかだか1分30秒のケロロ軍曹のオープニング曲を読み込むのに7〜8分もかかるわけで、YOUTUBEなんか嫌いよ!と思いつつ暇な時にダウンロードしてる。

暇な時にしかやらないけど、なかなかどうして長い戦いになる。例えば、YOUTUBEで”Keroro Gunso OP (5th generation) You-You-You”を検索し、Macで保存&再生しようとすると・・・。

1 You You You(1分28秒)の読み込みに約9分

2 読み込み終了後、動画を再生させながら
 Safariメニュー>ウィンドウ>構成ファイル一覧で
 ttp://ash-v144.ash.youtube.com/get_video?video_id=9gS-DovfjGU
 (3,6MB)の部分をoptionキーを押しながらダブルクリック

3 ダウンロード開始〜終了まで12〜13分待つ

4 ダウンロードされた”get_video”ファイルを”you3.flv”などに変更
 拡張子は必ず.flvだそうだよ

5 iSquint http://www.isquint.org
 に、保存先を選択し”you3.flv”をドラッグ

6 ”you3,flv”が”you3,mp4”に変換される

後は、iTunesに追加したり、iPodへ送ったり、そのままPCに保存してQuickTime Playerで見たり。

なんだけど・・・。

こんな手間暇かけるより、プロバイダが代わろうとメアドが変わろうと、せっかくボロいながらも光対応マンションなんだから、とっとと光にしなさい!って感じよね。
11:30-17:00 クイックメイク12部屋

今日は、Sさん(10代後半・初バイト)と愚鈍さん改めUさん(30代後半・悪霊憑き)、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と私とフロント特掃氏(50代後半・調理師)の勤務。

出勤途中、うちのラブホの前で白髪の爺さんがゴミ拾いをしているのを目撃した。

ご近所さんとはいえ、うちのラブホの前のゴミまで拾ってくれるなんて、感心な爺さんだわ!と「おはようございます♪」と頭を下げてよく見たら、うちのフロント陣と全く同じカーゴパンツをはいているではないの!

ええ?見たことも聞いたこともないけど新しいフロントの人なの?私は昨日休みだったから知らないだけで、昨日入った新人フロントさんなのかも知れない。

出勤すると休憩室に支配人様がさっきの爺さんを伴って現れて「今日から入った特掃さんです。Eさんとみかやんで14時までベッドメイクを教えて下さい」とのことだった。

特掃さんというのは、ホントはどんな字なのか知らないけど、私達は勝手に”特殊な掃除をするから特掃さん”だと思っている。

冬に玄関前の除雪をしたり、檜風呂のぬめりを取ったり、岩風呂の水垢を取ったり、窓の外側を拭いたりと、私達ベッドメイク係やフロント補助係が普段しないようなことをしているらしい。それでも一応、ベッドメイクやセット(ハガシ)は習うようだ。

だけど、辞めたM氏のように掃除機の使い方も分からないのにプライドだけ高くて頑固で偏屈な爺さんだったり、辞めたV君のように「僕、食器なんか洗ったこと有りません」では辛いものがある。

Eさんも私も、爺さん=辞めたM氏=手強い!という勝手な先入観を抱いてしまって、どうにも憂鬱だった。

ところが特掃氏はおトシの割に物覚えは良く几帳面で、ベッドなんかは最初から物凄く綺麗に組むことができたし、何でも「私がやります」「私が持ちます」と意欲的で、辞めたM氏とは大違いで実にベッドメイク係向きだった。

試しに「特掃氏は家で茶碗なんか洗ったりしますか?」と聞いたら「はい、わたくし調理人の端くれなので台所周りの掃除には自信があります」という返事で頼もしいではないか。

うっかり者の私は思わず「爺さん!」と呼びそうになるので、念のためにおトシを聞いたら、50代後半とのことで驚いた。絶対にCさんより年上だと思ってたのに、CさんよりもEさんよりも年下だった。どーりで物覚えも良いハズよね。

Eさんと私で交互にベッドメイクを教えて、昼休みを迎えた。

昼休み明けはEさんと私と二人だけのベッドメイクに戻り、特掃氏の居ない所で好き勝手なことを言っていた。

Eさん「特掃氏って独身だろうか?や、きっと独身だよね」

みかやん「はい。うちのCさんとどうでしょう?お似合いじゃないですかね?二人とも小柄で…」

Eさん「私もそう思ってたの!トシの順からいってCさんから片付いて貰わないと私、お嫁に行けないもん(笑)」

みかやん「ですよね(笑)まずはCさんですよね。Cさんの方が5〜6歳年上ですけど丁度良いですよね」

Eさん「ねーっ!特掃氏は良い人だけど私の好みじゃないからCさんに譲るわ」

みかやん「Cさんにも、もう一花咲かせて貰わないと…ですよねぇ」

Eさん&みかやん「ねーーーっ!」

特掃氏とCさんをくっつけよう大作戦で大いに盛り上がった。Cさんが密かに恋していた他班のフロント男性(50代前半)が知らぬ間に辞めていたので、丁度良かったかも知れない。

やはりCさんにはもう一花咲かせて貰わなければ!
11:30-18:00 本メイク2+クイック16+ベッドのみ2

今日は、Sさん(10代後半・初バイト)とTさん(同い年・ホテルC出身)、愚鈍さん改めUさん(30代後半・悪霊憑き)と私の勤務。

今日は何だか盗難(と言ってしまっていいのか?)の目立つ日だった。

部屋に入ったら、忽然とプラスチックのティッシュケースが無かったり、洗面所のゴミ箱が無かったり、愚鈍さん改めUさんが部屋係になった時は電気ポットが無くなっていて、二人して唖然とした。

お客さん達だって、みんな大人なハズなんだから、アメニティーとは違うってことぐらい分かるよね?つーか、こんな所の備品を持ち帰って気持ち悪くないんだろうか?私なら不気味な気がしてイヤだ。

ティッシュケースだって、ゴミ箱だって、ポットだって、私が日々丹念に磨いてるんだから、私の怨念が籠もっているのよ。持って帰った人は、夜中にうなされたり、金縛りに遭ったりするハズだわ。フフフ。

ラブホQでは、電子レンジをお持ち帰りになろうとされたお客様がお縄になった、なんてこともありましたヮ。入退室の様子はモニターに映ってるし、車のナンバーは控えているし、悪いことは出来ないようになってるんですけどね。困ったもんです。

というわけで今日はあまり客層が宜しくない(おっと失言)。

昼休み、客室の風呂に設置していたローションマットが休憩室に導入されていた。

みかやん「わ〜い!良かった!今度Cさん(60代前半・元看護師)が背中や腰を揉んでくれるって言ってたから、このマットの上で揉んでもらおっと♪」

フロント可愛い人「なんだったら、ココにはローションも有るし…」

みかやん「え?」

自分がCさんにローションを用いたエロ系マッサージをされる絵が脳裏に浮かんで、思わず飲んでいたコーヒーを吹き出し…いや、吐き出しそうになった(苦笑)。「なんだったら…」って、フロント可愛い人ったら何てことを(笑)。

休憩前からイヤな予感はしていたものの、休憩明けに私は妖しい風呂に当たった。

浴槽の内側にトマトジュースを薄めたような液体がぶちまけられていた。トマトジュースのようなザラザラな質感が実に生々しかった。幸い、妙な匂いもしなかったので「これはゲーリーじゃない!ゲ□でもない!」と自分に言い聞かせつつも、少し離れてシャワーをかけた。

今日の相方が愚鈍さん改めUさんじゃなかったら「ちょっと!コレ何だろ?」と大騒ぎしていたと思うけど、愚鈍さん改めUさんを相手には何となく騒げなかった。

シャワーでトマトジュースのようなモノをしっかりと流してから、風呂洗いを始めて、何とか風呂掃除を終えた。その間、やはり怖くて鼻呼吸は出来なかった。少し安心してトイレ掃除を始めようと便器の蓋を開けたら・・・。

ついさっき風呂で見たばかりの、トマトジュースのようなモノが便器にも思いっきりぶちまけられていた。

ってことは、コレってやっぱりゲーリーかゲ□なの?そ、そんなぁ(泣)!

こんなおぞましい思いを一人で抱えきれなくなって、愚鈍さん改めUさんに「今ね、かくかくしかじかで、絶対ゲーリーやゲ□じゃないって言い聞かせて風呂掃除を終えたら、トイレにも同じモノが(涙)」と訴えた。

愚鈍さん改めUさんも心配してくれて「風呂からもトイレからも変な匂いはしなかったよね」と慰めてくれたが、結局は何か分からないものの限りなくゲーリーやゲ□である可能性が高くて凹んだ。

そこへフロントから電話がきて、急遽本メイクをすることになり、愚鈍さん改めUさんと協力して本メイク道具を用意した。

私達って意外と美しくないかい?や…気持ちが。

お互いずっと忌避してきて、こんなふうに協力しあえる日がくるなんて思わなかった。最近は意識して些細なことにも愚鈍さん改めUさんに「ありがとう」と言うようにしていたけど、今回は妙に照れくさい。

それでも素直に「ありがとう」と言わねばね。てなわけで、ちゃんと「ありがとう」と言って帰りましたとさ。

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