※秘密は一昨日の日記にあります

0:00-6:00 12部屋掃除
今日はHさんとOくんとの勤務。I氏が休みでフロントは代行M氏だった。婆さんもトドもいないスタメンの三人勤務は久しぶりだったので、すっかり気が抜けた。リーダーのHさんに、婆さんが昨日で最後だった事や、トドの様子を伝えた。

Hさん「一昨日、婆さんが手帳を持ってたから見せて貰ったら、私が注意した事や仕事の流れを細かい字でビッチリ書いてたのよ。本当に仕事熱心な婆さんで、フロントK子に騙されていたのがよくわかったわ。辛く当たったりして婆さんに申し訳ないと思ったから、風呂専属じゃなくて普通の4人勤務に戻したのよ」

みかやん「危うくフロントK子に騙されるところでした」

話の途中で掃除へ向かう事になった。誰かが風呂掃除をしていて残りの二人が掃除をしながら話をすると、後で同じ話を風呂掃除だった人に話さなければならない。面倒なので婆さんやトドの話は3人揃った時にする事にした。幸い今日は火曜でリネン折りがあるので、その時まで話はおあづけになった。

早くリネン折りをしながら婆さんやトドの話をしたいので、三人とも無言で急いで掃除をしていた。何部屋目かで部屋へ入るとドアを開けた所に、メモ用紙が落ちていた。見ると「お掃除の方へ ゴミ箱にコンドームを捨てました。コンドームは彼の肛門に挿入したの物なので、袋を開けずにそのまま捨てて下さい シーツも汚れています すみません」と書いてあった。私はそのメモ用紙を持ったまま固まってしまった。

Oくんがテーブルの上に開かれたままのらくがき帳があるのを見つけた。恐らくそのカップルの女性が書いたと思われるメッセージをOくんに読んで貰った。

Oくん「”私の彼はお尻好き。それも私のじゃなくて自分のが。最初は菊リップを求められていて、愛する彼の為に応じていたけど・・”」

Hさん「ちょっと待って!菊リップって何?」

Oくん「お尻の穴にチューしたり舐めたりする事ですよ」
Hさん「あはは!なるほどね。さ、さ、続き読んで」

Oくん「”今日は指を入れて!と言われて、さすがに抵抗があったので指にコンドームをはめました。怖いので少しずつ指を入れるとその度に身悶える彼。やがて人差し指が根元まで入ると、彼が今まで聞いた事もないようなあえぎ声を漏らしました。そしてオチンチンがいきなり直立したので、怖くなって指を抜こうとしたら、俺はそこが一番感じるんだ。指を抜かないで指を動かして!と言われました”」

Hさん「えーっ!そんな事したの?嘘みたい!続きは?」

Oくん「”泣きたい気持ちを抑えて指を動かすと、彼は何て言ってるのかわからない事を叫びながら、あっという間に発射してしまいました。正直に言うととても怖かったです。21年、生きてきた中でナンバー1の恐怖体験でした。男の人はみんなこういう事を求めるのでしょうか?彼が特別なんでしょうか?”」

Hさん「特別なんじゃない?それとも今、そーゆーの流行ってるの?」
Oくん「流行ってるとは思いませんけど」
Hさん「けどって何?Oくんもそーゆーの求めるの?」

Oくん「いえいえ。そーゆー人もいるかも?って事っすよ。てか、なんで俺に朗読させるんすか!」

Hさん「今の若い人達って発展的ねぇ。私達の年代には想像もつかないわ」
みかやん「あっ、言われたとおりシーツに白子が付いてます」
Oくん「なんで俺が朗読。しかも二人とも俺の質問に答えてないし。。。」

脱力しながらも一通り掃除を終え、作業室でリネン折りを始めた。ようやく3人で話が出来ると思ったらフロントM氏が手伝ってくれて、ずっと4人だったので肝心な話が出来なかった。朝4時にリネン折りを終えて控え室へ戻ると、そこにもM氏が来ていっこうに話ができない。仕方なくOくんと私で寝たフリ攻撃をした。Hさんも眠たいフリをしてM氏を追い払おうとしていたようだったが、3人とも本格的に眠ってしまった。

朝5時50分に電話が鳴ってM氏に「もう締めていいよ」と言われるまで爆睡していた。三人とも油断して薄着のまま寝たので、起きたとたんに強烈な悪寒に見舞われた。結局、婆さんやトドの話ができないまま、あたふたと帰りの支度に追われた。
※秘密は昨日の日記にあります

朝5時、Oくんからメールがきた。
「今日、トドは来たよ。でも婆さんとまあまあ仲いいから、噂ほど雰囲気は暗くないよ。トド、意外と元気に見えるわ。婆さんがいるからかな?今夜は、みかやんが婆さんを指導するって、I氏がみんなに説明してたよ。頑張ってね!責任者!」
一気に目が覚めた。今夜は先輩達が二人とも休みなのに、トド日だ。婆さんもいる。

夕方、Oくんから電話がきた。昨日は婆さんの風呂専属をやめて、4人勤務のローテーションをしたそうだ。4人勤務なんか半年ぶりで、すっかり忘れてしまった。しかしトドの前で私が4人勤務を忘れておどおどしている姿は見せられない。今夜はOくんと綿密な打ち合わせや、4人勤務のおさらいをしてから出勤する事にした。

0:00-9:00. 12部屋掃除
今日はOくんとトドと婆さんとの勤務。Oくんと打ち合わせどおり最初は、Oくんが洗面、私が部屋、トドが部屋の補助、婆さんが風呂の勤務になった。こうするとOくんは嫌いなトドとすれ違いの勤務だし、私は自分の仕事の後に婆さんの仕事を見てあげられるし、私とOくんはいつも近くにいる事になる。Oくんと二人で知恵を絞った最高のローテーションだ。

一段落着いた時に私とOくんがフロントに呼ばれた。
I氏「どうですか?婆さんは」

みかやん「私はいい婆さんだと思うんですよ。フロントK子が言う程、悪い人じゃないと思うんです。孫のような私にも”はい、わかりました”って言うし、仕事も一生懸命であのおトシなのに覚えも早くて凄い婆さんですよ」

Oくん「俺もそう思います。いぢわる婆さんだと思ってたのに、あんなに一所懸命で明るい婆さんで、調子狂っちゃいましたよ。トドよりよっぽどいいです。俺もいい婆さんだと思います」

I氏「フロントK子に婆さんの働きぶりを聞かれたので”見ていて気持ちいい程一生懸命ですよ”と答えたら、K子が”D班の人達はいい人過ぎて手ぬるい。それじゃ婆さんが辞めないじゃない”って事になって、婆さんはトラブルの多いA班と、強者どもの多いB班へ行って貰う事になったんです。今夜は婆さんのD班での最後の勤務となってしまいました。本人は知らないので黙っていて下さいね」

A班は4時間、B班は4〜5時間の勤務だ。AやB班の勤務時間が短いのは、私達D班やC班と違う「本送」と言う仕事があって激務だからだ。フロントK子は、頭のいい人や仕事が出来る人が嫌いな奴だ。自分より経験も長くて仕事が出来る婆さんが気に入らなくて、私達に婆さんのガゼネタを吹き込んでいたのだろう。いくら達者な婆さんでも、毎日AB班での9時間もの本送は大変だろう。婆さんが気の毒になった。

婆さんに「みかやんさん、風呂掃除が終わりましたので見て下さい」と言われて風呂場へ行くと、婆さんが滝のような汗をかいて私を待っていた。風呂掃除は完璧に出来ていた。最後の日くらいは婆さんに優しい言葉をかけてあげようと思った。

みかやん「完璧ですよ。短期間でよくこんなに出来るようになりましたね。凄い汗ですよ。I氏に言って休憩させて貰いますので、汗を拭いてゆっくり休んで下さいね」

婆さん「皆さんの仕事が早いので足を引っ張らないように必死でした。D班の人達は”仕事が速くて完璧。職人のような人達”と言う噂だったので、1度でいいから一緒に働かせて欲しいと思って希望して来ました。それも今日で終わり。短い間でしたが、D班で働けて光栄でした」

婆さんは自分がA班B班へ行く事を知っていた。婆さんはホテルKかホテルQのA班と言われていたのに、希望してホテルQの深夜のD班に来たそうだ。その事をこっそりとOくんに伝えながら、しんみりとしてしまった。控え室では婆さんを中心にOくんと三人で話をして盛り上がった。トドは蚊帳の外だ。婆さんは長年この世界にいるだけあって、経験豊富で聞いていて勉強になる話が多い。ずっと一緒に働いていたかった。

婆さんにしんみりするような事を言われても、つぶつぶに毛玉の着いたジャージ姿だし、顔がどうみても吉本興業のお笑い系で脱力するのが現実だが、婆さんにはどこへ行っても頑張って欲しいものだ。フロントk子の陰謀なんかには絶対に負けないで欲しい。Oくんと二人で陰ながら婆さんにエールを送る事にした。今日はすっかりトドの存在がかすんでしまった。

頑張れ!婆さん!
※秘密、追加しました。でもまだ続くんです。
※秘密、更に追加しました。でもまだ続くんです。
※秘密一周しました。こんなに貯めるな>自分。
もう少しで憧れの”秘密即レス”が出来そうです。

今日は久しぶりに昼も夜も仕事が休みで完全オフだった。昨日もさんざん寝ていたのに、寝ても寝ても眠い。春だからなのか???北海道の春はまだまだ先だろう。「昼ご飯できたよ」と夫に起こされ、「晩ご飯できたよ」と夫に起こされた。毎度の事だが全く面目ないっ。

今夜、ホテルQではHさんとOくんとトドと婆さんの勤務だ。
Oくんはトドと3ヶ月半ぶりの対面だが、トドは出勤するのか?
ホテルPで一緒だったトドと婆さんは仲良しなんだろうか?
トドは婆さんという仲間を得て息を吹き返すのだろうか?
昨日のHさんNさんと、トド&婆さんの勤務はどうだったろう?

いろんな事を考えて、また眠くなった(爆)。
奇跡的に6時で仕事が終わったので猛ダッシュで帰宅した。午前10時にM市から遠路はるばるM美ちゃんが、赤黒の試合を見る為に我が家に来るからだ。仕事が9時で終わったら不眠不休のまま観戦となる所だったが、なんとか小一時間眠る事が出来る。で、爆睡した。

待ちに待った赤黒の開幕戦だと言うのに、何の支度もしていなかった。M美ちゃんを待たせて、チケットホルダーを探したり、身支度を整えたりしてから、近所の洋食屋さんでオムライスを食べて、いざ札幌ドームへ!

札幌ドームで友人Gくんに会った。

Gくん「Mくんが女の子と一緒だったよ。”友達”って言ってたけど、どんな友達なんだか。。。」

みかやん「あぁ。そりゃセフレでしょう!Mくんだもの」

Gくん「信じらんない!みかやんの口からそんな言葉が出るなんて!前は俺らがちょっとエロい話をしただけで”はしたないっ!”って言って怒ってたのに」

みかやん「ごめーん。職業柄、その手の話に麻痺してきたっつーの?あははは」

そうだった。。。ラブホで働く前は自他共に認める純情可憐な主婦だったんだ(可憐と言うのはウソ)。慣れとは恐ろしいものだ。気を取り直してM美ちゃんと赤黒の試合を観戦した。

赤黒が負けてドヨドヨの気分にも関わらず、開幕は目出度いので残念会を開いた。BDくん、T氏、M美ちゃんと新札幌の白木屋へ行ったが、どうにもテンションが上がらなかった。M美ちゃんもせっかくM市から観戦に来たのに、負け試合を見て帰る事になって気の毒だった。

M美ちゃんがM市へ帰るのと入れ替わりに夫が宴会に登場した。今日は仕事でTV観戦組だった夫が、妙にハイテンションだった。急に酔いが回って眠たくなって爆睡してしまった。

2次会は大谷地のカラオケボックスだったが、酒も飲まず、歌も歌わず爆睡してしまった。そういや1時間しか寝てないし、赤黒が負けてテンション下がりまくりだったし、そんな時に飲酒ときたら眠たくなる環境が三拍子揃って、当然のように爆睡してしまった。

BDくん、T氏、夫。。。寝てばかりでゴメンナサイ。
次会は赤黒に勝って貰って祝勝会をしましょう!

※秘密は明日
※大変ご無沙汰しております。皆様への秘密は次の休みの時に。

※ご挨拶が遅れておりました。ひでさん、如月 蘭さん、つきみさん、ユキイチゴさん、らべーじゃさん、ゆいさん、シェルティさん、Ysmanさん、女王ユウキさん、ぜんこさん、F-Lanceさん、清狼さん、未完成人さん、お気に入り登録ありがとうございます。只今、満員御礼状態ですのでこちらからのお気に入り登録は、も少しお待ち下さい。皆様の日記は毎日チェックさせて頂いております。

0:00-6:00 14部屋掃除
今日はHさんとNさんとの勤務。改装工事中のホテルPの深夜勤務の人が新人研修に来る事になった。この道数十年の70才近い婆さんだ。HさんやNさんより年上なので二人とも緊張していたし、私も「最初が肝心だからナメられないように」と言われていた。

婆さんはジャージにエプロンで、首に手ぬぐいを巻きパンチパーマだった。小柄でヨボヨボの婆さんを想像していたのに、背が高く体格も良いしトド顔で恐い。Hさんが教育係になりベッドメイクを仕込んだ。ホテルPではろくにベッドメイクをしていなかったのと、高齢の為一度に沢山の事を覚えられないとの事で、本人の希望もあり暫くは風呂係専門になった。風呂係を一手に引き受けてくれるなんて願ってもない事だ。意外といい婆さんかも?

「最初が肝心」という事なので、控え室でも無言でリネンを折ったり、掃除をしたりして忙しいフリをした。Nさんはニコチン切れで、私は空腹で倒れそうだったが休憩はしなかった。ずっと風呂係でそろそろ弱ってもいいハズの婆さんが、やたらと元気だ。なんて達者な婆さんなんだ。伊達にこの道数十年ではない。

女三人勤務の時は何故か生理のお客さんが多いが、今日は女4人だ。いつにも増して生理の”日の丸部屋”が多く、部屋数を重ねる毎に血の量も増し、朝になって入った最後の部屋はまさに血の惨劇状態だった。枕カバー、布団カバー、ベッドカバー、バスタオル、バスローブが全て血まみれで、シーツを広げると特大の日本国旗になるような血のシミが付いていた。過去最高の血の量だ。尋常ではない。

Nさん「なんぼなんでもコレだらしどいわ。目眩する」
Hさん「今頃、貧血になってるんじゃないかしら」
Nさん「生理と言うより下血や流産かなんかでないの?」
Hさん「まさか!殺傷事件とか殺人未遂?」

Nさん「いんやまさが。そえば前にトドが”若い頃、シッコみたいに生理の血がジャージャー出て止まらなかった事があった”って言ってだべさ。それでないべが?」
Hさん「で、原因は何だったの?何の病気?」
Nさん「忘れだ。トドの話なんか覚えでないわ」

私は話を聞きながら血まみれのリネン類をビニール袋へ入れる作業をしていた。バスローブをたたもうとしたら、何かがバスローブの中からゴロンと床に落ちた。

Hさん「うわぁ!何それ?おむつ?」
みかやん「多い人用のショーツ型ナプキンです」
Nさん「へえぇ。今、すったら物あるの?どれっ」

HさんもNさんもショーツ型ナプキンに興味津々だった。そこへ婆さんが風呂掃除を終えて出てきた。
婆さん「あぁ。パンツ型のナプキン?」
Hさん「・・そ、そうよ」
婆さん「最近たまに見かけるよね?」
Nさん「・・ん、んだね」

婆さんが帰ってからNさんがボヤいた。
Nさん「なんで婆さんがあのナプキンの事知ってるのさ。とっくにアガって生理なんか関係ないべさね」
Hさん「なかなか侮れないし抜け目のない婆さんよね。噂以上に手強いわ」
Nさん「今日なんか休憩もしてないし、わち疲れたわ。婆さん1人の為にゆるぐない思いした」

Hさん「でもね。改装オープン迄の短い期間で、婆さんにココと同じレベルの仕事が出来るように仕込まなきゃなんないの。お喋りな婆さんのペースに呑まれて仲良しこよししてたら、仕事も教えにくくなるし婆さんも仕事を覚えないでしょ。婆さんがホテルPに戻って”ホテルQで研修してたのに。ホテルQのメイクも大した事ないな”と言われたらイヤでしょ。だから最初が肝心なの。私達が毅然とした態度でいると、婆さんもお喋りし過ぎたり、一番年上だからって好き勝手な事できないでしょ。あの婆さんにココでのさばられても困るから、Nさんもみかやんもしっかりね」

Nさん&みかやん「は〜い」

12部屋もの風呂掃除をしてピンピンしている達者な婆さんだ。既に弱音を吐いている私達の方が先に参ってしまいそうだ。

朝4時半に目覚めた。携帯を見ると爆睡中にOくんからのメールが届いていた。

23:47「やだよぅ。トド日だぁ〜。もうすぐホテル着くよ。帰りたい(T-T)」
1:18「トド休んだ。今日、二人しかいない(T-T)」
4:33「今12部屋目。あと5部屋も出てる。死ぬ・・。二人勤務の量じゃない。リネンもあるしNさんはフロントM氏に”9時まで居ていーの?”って聞いてるし。殺される(T-T)」

-慌てて返信した。
4:40「なんで二人?電話くれたら出勤したのに」

-朝7時過ぎにOくんから電話がきた。
Oくん「もう泣きそうだったよ。むしろ泣いた」
みかやん「やんや。ゆるぐながったべさ〜?」
Oくん「んだよっ!な〜まらゆるぐながった」

いかんいかん。2日間函館弁を浴びせられていたのと、私もOくんも函館出身という事で油断して訛ってしまった。しかしDoで聞かれたらDoで答える、Doesで聞かれたらDoesで答えるのが基本であるのと同じように、函館弁で聞かれたら函館弁で答えるとは、Oくんも基本に忠実な男だ。そんな事はどーでもいいとして、二人勤務をさせられるとは酷い話だ。

火曜日に届いたリネン類が山積みだったが昨日は手を付けられず、今夜もリネン類がてんこ盛りになっているらしい。Nさんも「あでにならないんだらトドなんかもう要らね」と激怒していたそうだ。二人勤務だと交互に風呂係が当たりそれだけで疲れるのに、朝6時迄二人で17部屋掃除は、さぞかし疲れただろう。Nさん、Oくん、本当にご愁傷様でした。

0:00-9:00. 10部屋掃除
今日はHさんとOくんとの勤務。昨日の二人勤務の事は激怒したNさんがHさんへ連絡をして、私はOくんから聞いて知っていたので、話が早かった。

Hさん「M氏もM氏よね!トドが休むとわかった時点で、私かみかやんに連絡をくれれば二人勤務になんかならなかったのに!M氏もトドとグルなのかしら?」
Oくん「トドは俺を避けてるんでしょうか?俺まだトドに会ってません」
みかやん「殴られるとか蹴りを入れられると思ったんじゃないの?」

と話しているとモニターからお客さんが帰った音が聞こえた。モニターを見ると滞在時間は22分だった。部屋の補充品の有無を確認する為にHさんがフロントへ電話をすると、お客さんは「携帯に連絡が入って急用なので帰ります。タクシーを呼んでください」と言っていたそうだ。

みかやん「22分って事はお風呂もベッドもラッキーですよねぇ?」
Hさん「22分じゃ何もできないわよね」
Oくん「ですよねぇ!やった!俺、風呂係だった」

201号室へ入ると確かにお風呂もサウナもラッキーだった。しかしベッドは乱れていた。ゴミをまとめていた私はベッドの横のゴミ箱を覗いて驚いた。なんとそこには白子入りのスキンが捨てられたいた。

みかやん「ちょっとお!やってるじゃないの?」
Oくん「えっ?何がすか?」
みかやん「これっこれっ!このスキン!」
Oくん「あぁ。セックスですか〜」
みかやん「・・・・・・」
Hさん「Oくんったら。その手の言葉は露骨に言わないで」

Oくん「それはそうと洗面セットを全部持ち帰られました」
Hさん「こっちも砂糖、ミルク、コーヒー、お茶、何も無いわ」
みかやん「トイレのナプキンやナプキン入れの籠もありません」
一同「!!」

Hさん「こんなサウナ付きの高額な部屋に来て22分で帰る事になったなら、お金もったいないわよね。備品を全部持ち帰りたくなった気持ちも、わからないでもないわね」

Oくん「男の方も1度やっちゃったから、いいや!と思って帰ったんすかね」

Hさん「帰る事になってから慌ててやったのか、部屋へ来るなりやったらたまたま帰る事になったのか?」

みかやん「なんたって22分ですからねぇ。備品をかき集めるにも時間かかりますよ」

Oくん「じゃあ15分位で1ラウンド終了かぁ。速攻っすね」

Hさん「部屋へ入ったとたんに急用が入って、男の方はとりあえずやっちゃって、女の方はやったあと大急ぎで備品をかき集めたってパターンかしら」

Oくん「ほんっとに、お金もったいないっすね」

201号室はホテルQの中でも一番部屋が広く、サウナ付きで、貝殻と真珠をイメージした可愛いお風呂で、なんたって一番高額な部屋なのに、たった22分で帰る事になるとは全く気の毒なお客さんだ。

ラブホテルへ入ったら携帯の電源を切りましょう。


朝、起きてからも先輩達の訛りっぷりが炸裂した。

「まづりさいぎものかうな!ってじぇんこもだせだのにかめかってるやづよ」
(お祭りへ生き物を買うな!とお金を持たせたのに亀を買ってる奴らだよ)

「わらすどもだらかめのたっぱかっぱがえすもんだがらおれさやぎはいった」
(子供達は亀の入れ物をひっくり返すものだから俺に叱られたんだ)

「んでよ〜。おれがかめばめんどみでる。わらすどもさはめられだで」
(それで俺が亀の面倒を見てるんだ。子供達にハメられたよ)

冷蔵庫にあった物でブランチを作った。残り物ばかりで恐縮だがメインディッシュはカニだ!

旦那さん「わいっ。朝からカニだで」(うわ〜。朝からカニだぞ〜)

奥さん「こどもだぢいだらゆるぐながったわ」(子供達がいたら大変だったわ)

旦那さん「んだ〜。とりあいしてすぐねぐなるで」(そうだね。取り合いしてすぐ無くなるよね)

いつも思い出す事がある。私が某デパートの道産品売場にいた頃、雪まつりなどで外国人のお客さんが多い時は、英検2級というだけで私が外国人の接客をさせられた。いつも売場の人達に「みかちゃん、接客代わって」と言われていた。その日も売場のおぢさんに「みかちゃん。何を言ってるかさっぱりわからないんだ。接客代わってよ」と言われて、「また外人さんかい?フランス人やイタリア人だったらどーするんだい?」と思いながら接客を代わると、お客さんは青森の人だった。

青森の人「わさつづみせでけ。なもわがねすけ」
(私にチーズを見せてください。何もわからないので)
みかやん「チーズですね。どうぞこちらでございます」

売場のおぢさん「みかちゃんなら絶対、言葉通じると思ったよ!」
みかやん「函館弁と東北弁を一緒にしないで下さい!」
売場のおぢさん「でも通じてた。さすがだよ」
みかやん「・・・・・・・」

函館弁と東北弁はよく似ているらしいが、さすがに私にも東北弁はかなり難しい。しかし先輩達もよく東北の人と間違えられるのも事実だ。いずれにしても函館弁や東北弁を理解できるとなると、私もちょっとしたバイリンガルだ。

楽しい時間はアッという間に過ぎて、先輩達は函館へ帰っていった。どうにも疲れて晩ご飯を作れずに夫と近所の蕎麦屋さんへ蕎麦を食べに行って、帰宅後に爆睡した。

今夜はNさんとOくんとトドとの勤務だ。どうなった事だろう?と思いながらも睡魔には勝てなかった。
どうにも疲れる!眠い!と思っていたら、トドのせいで9日も連続で働いてしまった。どうりで疲れているハズだ。今日こそはゆっくり休もう!と思っていたのに、函館から夫の先輩夫婦が泊まりに来る事になったので、客用の布団を出したり大掃除をする事になって、先輩夫婦が我が家に到着した時には疲れきっていた。

先輩夫婦は私達が函館に住んでいてまだ夫が彼氏だった頃に大変お世話になった人達だ。いつも夕食に招待されて焼肉やしゃぶしゃぶをご馳走になった。大勢でご飯を食べるのが大好きなご夫婦だったので、夕食時には常に数人の若者が集まっていた。

毎年我が家に子供3人を連れて総勢5名で泊まりに来る先輩夫婦だったが、今回は夫婦二人だった。函館時代の先輩と言っても先輩達は函館近郊の七飯町出身なので、恐ろしく訛っている。ホテルQのNさん以上だ。懐かしい言葉のオンパレードに大笑いした。

我が家の近くにオープンした月の虎で焼肉を食べた。先輩夫婦の旦那さんの方は、恐ろしく訛っている上に声が大きい。旦那さんが話し始めると隣近所の席の人の注目を集めてしまう。

「うぢのおどごわらずどもだら、まんずほんづけねぐてわやだ」
(うちの男の子達は、本当に言うことをきかなくて酷いよ)

「まんずごんぼほってどもなねぇ。きもやげる」
(本当に聞きわけがなくてどうにもならない。むかつく)

「なんがいるどぎだげおれさべんふって、つらつけねって」
(何か欲しい時だけ俺の機嫌をとって、ずるいんだ)

「だれさにだんだが、なまつけねくておがらせんのもゆるぐね」
(誰に似たのか、なまずるくて育てるのも大変だよ)

今日は会えなかったが、先輩の子供達の話を聞けて良かった。

訛りっぷりは先輩の奥さんも負けてはいない。奥さんがトイレへ行った隙に焼肉代の会計を済ませようとしたら、奥さんが先に会計を済ませていてくれた。

奥さん「みがちゃん。じぇんこはうぢでもづからね」
(みかちゃん。焼肉代はうちで払うからね)

みかやん「お客様にご馳走になるわけにはいきません」

奥さん「いづもとめでもらってる〜。こったらべっこうぢではらう」
(いつも泊めて貰ってるもの。この位ならうちで払うわよ)

みかやん「すいません。ご馳走様です」
奥さん「なんもさ〜」(ぜんぜんよ)

帰宅後にTVを見ながら奥さんが居間で居眠りをしていた。

「そったらどごでながまってねでそっちでねまれや」
(そんな所で横になってないでそっちで寝なさい)

奥さんが眠たいようなので一同、就寝する事にした。
0:00-9:00 9部屋掃除
今日はHさんとOくんとの勤務。HさんとOくんに一通り昨日のトドの様子を伝えて、Oくんのトド日に向けてアドバイスをした。私は昨日のトド日ですっかり疲れていて、Oくんは札幌にオープンした大丸見物で疲れていて、元気なのはHさんだけだった。

掃除を終えて控え室へ戻り午前3時のおやつの後、爆睡してしまった。Hさんに「行くよ〜!」と起こされて、ふと見るとOくんも爆睡していた。寝覚めが悪くて眠い目を擦りながら部屋へ行って、ドアを開けたとたん目が覚めた。臭い。あまりにも臭う。納豆が腐った?ような臭いで鼻呼吸が無理な状態になった。

Hさん「ちょっとコレ、足の臭いだわ」
Oくん「腐った靴でも履いてるんじゃないすか?」
みかやん「目にしみますよ〜」

部屋の入口に長時間、靴が置いてあったので靴と足の臭いが充満していた。階段を上がっても臭うし、部屋に入っても足の臭いでいっぱいだった。俄然忙しくなった。部屋の窓とドアを全開にして、雑巾に除菌消臭スプレーを付けて階段や床を拭き、更に固く絞った雑巾で絨毯を拭き、部屋には消臭スプレーをかけまくり、絨毯には除菌消臭スプレーをかけまくって、ようやく掃除を終えた。

Oくん「よくもまあ、こんな足の臭い男とHできますね。車で来たなら車の中でもかなり臭ってたハズですよね」

Hさん「女だってブーツを履きっぱなしだとかなり臭いらしいわよ。意外と女の方かもね」

Oくん「いくら好きな女でも、どんなにヤリたくて来たとしても、この足の臭いじゃ逃げ出したくなりますよ。男だとしても女だとしても勇気ある行動っすよ」

みかやん「脇が臭いのはワキガと言いますけど、こーゆーのは何て言うんでしょ。この臭いは病的ですよね」

Hさん「女のアソコが臭いのは”スソワキガ”とか言うけど、コレに名前を付けるとしたら”アシガ”かしら?」

Oくん「あはは!”アシガ”っていいネーミングっすね。明日、Nさんに”昨日はアシガの客が来て酷い目に遭いました”と言いますよ」

アシガの客の後始末ですっかり疲れて、控え室へ戻るとまた爆睡してしまった。最近は月曜の朝でもゆっくりして行くお客さんが多いので、なかなか朝6時では帰れなくなってしまった。今日も朝5時半に9時迄勤務が決定したので、まったりと爆睡していた。途中、HさんとI氏の話し声が聞こえたが内容はわからなかった。

朝9時にホテルQを出てOくんと歩いた。

Oくん「俺さ、寝入りばなにHさんとI氏の話を聞いたんだけどさ、I氏が”お願いですから私とNさんをくっつけようとするのはやめて下さい”って言ってたんだ」

みかやん「そんなぁ?なんで?なんで?」

Oくん「Hさんが”イヤよイヤよも好きのうちでしょ”と言ったらI氏は”本当にイヤなんです”と言ったんだよ!俺もびっくりして目が覚めたけど、寝たふりして聞いてたんだ」

みかやん「そおなんだぁ。ガッカリだけど仕方ないよね」

Oくん「Hさんもガッカリしてたよ。”職場結婚の人の結婚式に出るのは初めてだから楽しみにしてたのに”って。そしたらI氏は”その手の話は本当にもう勘弁して下さい”って言ってたのさ」

みかやん「ふーん。お似合いだと思ってたんだけどなぁ」

Oくん「恋に破れてもNさんの機嫌が悪くならなきゃいいんだけど。大人の恋って難しいね」

Oくんと別れて1人で地下鉄に乗った。今までのNさんの楽しそうな顔や嬉しそうな顔、I氏とひやかされてはしゃぐ様子が目に浮かんできて、ちょっぴり胸が痛んだ。

0:00-9:00 8部屋掃除 
今日はNさんとトドとの勤務。3月3日の3ヶ月ぶりのトドとの対面以来2回目のトド日だ。前回のHさんとトドとのバトルは壮絶な物だったので、今回はしっかりと心の準備をしてから出勤した。

一番最初の部屋を掃除する時は、1番古いの先輩が洗面の籠、2番目の先輩がリネン類の大きな籠を持ち、後輩が風呂掃除バッグとクイックルワイパーや粘着ローラーを持つ事になっている。年功順だと今日は私が風呂セットを持つ係だが、トド自ら風呂セットを持って私達を待っていた。以前なら「私がやります!」とトドから掃除セットを奪っていた私だが、今日はNさんに止められていたので無言で掃除へ向かった。

最初の部屋の風呂は壁も天井も水滴だらけで、かなり手強そうだった。Nさんと私が各自の仕事を終えてもトドは、パンパン!とタオルで壁を叩いて水滴を取っていた。
Nさん「行ぐべし!帰るよ」
みかやん「えっ?トドを置いて帰るんですか?」
Nさん「いがべさっ!行ぐよ!」
という事で二人で先に控え室へ戻った。

私達が控え室でコーヒーを飲んでいるとトドが作業室の掃除を始めた。
Nさん「みかやんなんか”1人で働き過ぎ!モニターに映ってるからって自分だげ点数稼ぎするな”って1時間もトドに説教されたんだがら”私が指示するまで動ぐな”って言ってやんなさいや」
みかやん「いや、そんな。言えないですよ」
Nさん「そんな事言ってだらトドの奴、前みだいに戻るよ」
みかやん「でも〜〜〜」

5部屋目と6部屋目の掃除で、お客さんのお土産(忘れ物とも言う)のお菓子を手に入れた。いつもなら控え室で三人で分けるところだが、Nさんは自分と私だけにお菓子を分けてトドには分けなかった。Nさんは「いづまだ部屋が空ぐがわがらないからサッサと食べなさい」と言うが、3人いる部屋で2人だけで分けたお菓子は食べられなかった。

今日はトドがいるのに運悪く暇だった。お陰で控え室にいる時間が長いが、Nさんと私だけが話しをしていてトドは押し黙ったままだ。私達の会話がとぎれると控え室が静まりかえる。トドとの休憩に飽きたNさんは寝たフリをしていて、トドは起きていた。私も起きているとトドに話しかけられそうなのでフロントへ逃げた。

みかやん「もう5時なのに4部屋しか空いてません。あと2部屋空くと6時で帰れるんですが、5時半とか5時45分にモーニングコールをセットしてるお客さんっていないんですか?」
I氏「残念ながらいらっしゃいません」
みかやん「Nさんと”トドと三人で朝9時迄なら辛いよね。なんとか6時で帰れないだろうかねぇ”と言ってたんですが、無理っぽいですね」
I氏「恐らく無理でしょう。ご愁傷様です」
みかやん「えーーーん」
I氏「先は長いので一服してって下さい」

そんなわけで控え室の重苦しい空気に耐えられずフロントでI氏と話をした。I氏はフロントK子さんから聞いた最新の決定事項を教えてくれた。

3月15日から我がD班に新人が入る!と言うので驚いたら、新人と言うのはホテルPの婆さんの事だった。連れ合いの爺さんは朝のA班にフロントの新人として入るそうだ。大きな声では言えないが、爺さんがフロントのパソコン操作や部屋のハギに慣れず、婆さんもベッドメイクや階段の上り下りの大変さに身体が着いていかずで、夫婦揃って辞めてくれたら会社としては御の字だそうだ。辞めさせるつもりでホテルQに送り込むなんて会社も会社だが、今時のホテルに70才近い老人達は着いて来れないだろうと思う。

朝9時になってトドが先に帰った。ドッと疲れが出た。

0:00-9:00 15部屋掃除

今日はHさんとNさんとの勤務。土曜の夜なので出勤時には既に満室だった。午前1時に出勤して来たI氏はなんとなく不機嫌だったが、そんな事はお構いなしに、お楽しみの”女三人エロビ鑑賞会”を心待ちにしていた。

1部屋目へ行って申し合わせたように速やかに掃除をした。ベッドのシーツの血にも、ソファーの上の白子にも負けず黙々と掃除をして、女三人がモニターの前に集合した。早速モニターのチャンネルをエロビデオに切り替えると画面に札幌の景色が映し出された。「おおっ!札幌じゃないの!」と一同釘付けになった。

エロビデオはカメラマンが札幌でナンパした素人の女の子の放尿シーンを撮り集めていた物だった。カメラマンは下着を履いたままの放尿シーンがお気に入りのようで、カメラを持って恥ずかしがる女の子を説得しては放尿シーンを撮っていた。1人目の女の子は札幌の郊外の山間部で野ション。2人目3人目はホテルのトイレ。4人目の女の子はカメラマンも特に好みの女の子だったのか、最初から息が荒かった。

4人目の女の子はなかなかトイレを催さず、ジレたカメラマンは興奮しまくりだった。カメラマンの「絞り出して!」と言う声に女の子が振り絞ると、ジワジワと下着が濡れてきた。カメラマンの荒い息づかいと共に下着のドアップが映し出され、カメラマンの興奮が絶頂を迎えようとする所で部屋の電話がなったので、慌ててチャンネルを民放に切り替えた。

Hさん「は、はい〜?」

I氏「待合室でお客さんが待ってます。早く出て下さい」

Hさん「今、終わった所です」

三人ですまして控え室へ戻ったが、エロビ鑑賞会をしていたのはI氏にはバレバレだろう。

Nさん「いいどごろだったのに〜。あの男どうなったべが?」

Hさん「うーん。やっちゃったんじゃない?」

Nさん「I氏ゴキゲンナナメだよね」

Hさん「またフロントK子に何か言われたんじゃないの」

次々とお客さんが帰ったので掃除に追われた。部屋へ向かう途中の待合室を覗くと2組のお客さんが待っていた。顔の部分は衝立があるので見えないが、胸から下の辺りはよく見える。ワケアリカップルだと衝立で顔を隠しているが、若いカップル等は衝立を外して通路を走る私達を観察したりしている。

今日のカップルは2組とも衝立で顔を隠していたが、時折聞こえる声と服装や靴でお客さんが若いという事がわかった。

待合室の手前側のカップルは、手を繋いでソファーに座って話をしながら待っているようだったが、奥の方のカップルは衝立の陰で盛り上がっていた。ソファーに座って上半身をねじって向かい合い、男性の手は女性の胸へ、女性の手は男性の下半身へのびているようだった。

Nさん「わがい(若い)と待ちきれないんだべねぇ」

Hさん「待合室で終わっちゃったらどうするのかしら?」

待合室のカップル2組分の掃除が終わったので次の部屋の掃除の後、懲りずにエロビデオを見た。今度のはドラマ仕立てで、両親が連れ子と共に再婚した設定になっていて、連れ子同士が。。。という所でまた部屋の電話が鳴った。

Nさん「はいはい」

I氏「あのですねぇ。。。」

Nさん「わがりました。今出ます」

急いで部屋を出るとまた待合室でお客さんが待っていた。土曜の夜は忙しいのでエロビ鑑賞会には向かない。そんなわけで今日のエロビ鑑賞会は不発に終わった。I氏もゴキゲンナナメのままで、いつもは私達が控え室へ戻るとコーヒーを飲みに来るのに、今日は一度も顔を見せなかった。
朝になって友人Yくんからメールがきた。

Y君「二枚目半奮闘記。二枚目半奮闘記2日目。”Missing?”-出会いがもって早ければと- その時、彼女は俯いて涙で濡れた目に指をあてこう呟いた。”もっと早くあなたと出逢いたかったな”。。。とりあえず秘密を更新しようかとおもいますが。。。ご挨拶が遅れましたが、みかやん。さん、お気に入り登録ありがとうございます。ご希望であれば、後ほどPCの方に長編ドキュメンタリーとしてお送りしますが、情景をありのままに活字で再現するとなれば、今暫くお時間がかかる上、殆ど官能小説的な作風となってしまいます。」
知りたい!聞きたい!何があったんだ!だが帰宅後に爆睡した。

夕方、Hさんから電話がきて今夜9時半にNさん宅に集合する事になった。I氏から召集がかかったという事だ。多分トドの話だろう。気が重かった。

Nさん宅へはHさんNさんOくんI氏が全員集合した。3月5日の朝、私達が帰った後にトドがホテルQへ来てフロントKさんと話し合ったとI氏が教えてくれた。フロントKさんは自分を無視して、トドがホテルRのフロントJ氏に泣きついたのが気に入らず、トドに対してはかなりおかんむりだったらしい。

フロントKさんはトドに「あんたがD班でどんなに辛かろうと絶対に辞めさせない。他のどのホテルにも行かせない」と、ヒステリックに叫んだそうだ。

0:00-6:00. 18部屋掃除

今日はHさんとOくんとの勤務。トドの話を聞いて三人ともドヨドヨの気分だったが、金曜の夜なので掃除に追われ落ち込んでいる暇は無かった。ホテルPの改装が3月17日からに決定したので、3月後半から完全にトドがホテルQへ戻って来ると言う最悪の事態が決定した。

そもそもホテルPを買収したものの、蓋を開けてみれば旧式の元祖モーテル(死語?)だった。今時、会計が手集金でモニターやパソコンのシステムも無く、客室に販売機類も無く、深夜から朝は細々と老夫婦がたった二人でフロント&客室係をしていたそうだ。

爺さんがフロントとして手集金と金庫管理や車番号管理をして、婆さんがお客さんからの注文の飲み物やスナック菓子等を客室へ届けていたそうだ。しかも深夜〜朝は爺さん婆さんの二人しかいないので、ベッドメイクはいっさいしていなかったそうだ。おまけに深夜〜朝以外のベッドメイクや掃除の仕方もかなり杜撰だったらしい。とんでもないラブホテルだ。

そこでホテルQでのベッドメイクや掃除の仕方を教えるべくトドが派遣されたのだったが、トドはホテルPの人達にも3日で総スカンをくらってしまった。

ホテルPの改装後はフロントに最新システムが導入される予定なので、爺さんフロントには無理だろうし、改装オープン後の繁忙期に深夜〜朝もベッドメイクをする事になったので、これも婆さんベッドメイクにはキツイだろう。

ホテルQの社長はホテルPを買収した時点で、爺さん婆さんをクビにする事を考えていたが、心優しい常務はそれが出来なかった。会社は爺さん婆さんとトドと、やっかいな三人を抱えてしまったという事だ。

70才近い爺さん婆さんと、嫌われ者のトドは今後どうなってしまうのだろう。
-出勤前に友人Y君からメールがきた。

Y君「やっぱりオイラは三枚目なんでしょうか?精神は肉体に宿るー。今物凄く心地よいです。もう射精3回分の清々しさ。ホント今日の俺はカッコイイ!デモある意味悲しいデスが。。。申し訳ございませんが、とりあえず秘密デス」

みか「なんだそりゃ!Y君は黙ってりゃかなり二枚目だと思うよ。にしても射精3回分とわハシタナイ!何さ何なのさ?でも30才過ぎて3回やれたら立派じゃないの???」

Y君「とてもメールにはできません。長すぎて。時間ある時、電話下さい。今、M君には話しました。こんなハシタナイ事、彼にしか話せません。あ、あとみかやん夫妻くらいにしか」

-すぐに親友M君へメールした。

みか「ったく。Y君の”射精3回分の清々しさ”って何なの?ハシタナイM君にしかまだ話してないんだってさ」

M君「今、Y君から電話きて、いろいろ聞かされたよ。こんな事話せるのM君しかいないって。みかやんと旦那さんには今度話すって言ってたよ」

-気になって仕事にならないと思ったら再度メールがきた。

Y君「Diary♪二枚目半奮闘記 Y君@よく”黙ってりゃ二枚目”だとか”見かけ倒し”とか”詐欺”とか言われます。知ってて欲しい”他称はしたな男”のピュアな裏側」

みか「あはは!パクリや!で、いったい何があったのさ〜。もう!」
-全く。気になって仕事にならない。

0:00-9:00. 14部屋掃除

今日はHさんとOくんとの勤務。I氏が休みで代行のフロントM氏が来ていたので、その後トドがどうなったか情報が入らなかった。このまま長期休暇を取るのか、退職するのか、系列店へ異動になるのか、トドの事もY君の事も気になって落ち着かない一日だった。

今日は掛け布団とベッドパットを新品と交換する作業があった。ベッドパットと言っても、ちょっとしたマットレスくらいの厚さがあってダブルベッド用なので、かなり大きくて重い。掛け布団は羽毛布団なので軽いがかさばる。他の班が交換を済ませてくれていたので残りは4部屋分だったが、控え室から近い部屋でなければ持ち運ぶだけでも大変な作業だ。

早速部屋が空いた。211号室だった。一番奥の部屋の1つ手前だ。遠いじゃないか!元々Hさんはスーパーの買い物カゴのような洗面&トイレセット、私は脱衣籠に交換用リネン類が入った物、Oくんはスポーツバッグにお風呂掃除セットが入った物と絨毯用のコロコロと床用のクイックルワイパーを持たなければならない。

その他に今日はベッドパットと掛け布団がある。三人で手分けして掃除道具を持ったがすぐに両手が塞がった。

仕方なくHさんが先頭になって両手に洗面&トイレの買い物カゴとコロコロ&クイックルワイパーを持ち、その後をOくんが両手にリネンが入った脱衣籠と風呂掃除セットが入ったスポーツバッグを持ち、最後に私が掛け布団を持った。ベッドパットは三つ折りにしてOくんと私の頭の上に乗せ、私が空いた右手で頭の上のベッドパットを支えた。絶対に他人に見られたくない姿だった。

211号室までは遠い。途中に客用の入口がある。大荷物を持った三人はノロノロとしか歩けない。こんな姿で客と遭遇するのは勘弁して欲しい。「どうか今だけはお客さんが入って来ませんように。。。」と祈るような気持ちで客用玄関を通り過ぎようとした。すると客用玄関の脇のフロントからM氏が飛び出して来た。

M氏「あーはっはっはっ!ひいぃ〜。あははははー」

Oくん「笑わせないで下さいよ。重たいんですから」

M氏「二回に分けて運べばいいでしょう!そんな頭に乗せて運んでる班なんか無かったよ。あはははは」

Hさん「あっ!それもそうだったわね」

M氏「ふとモニターを見たらさぁ、アンタ達がとんでもない姿で歩いてきたから、もうおかしくて。。。あっはっは。”それもそうだわ”って、2回に分ける事は考えなかったのかい?あはははは」

Hさん「・・・・・」

大ウケで大爆笑のM氏だった。

Oくん「なんか俺ら、めっちゃマヌケじゃないすかね?」

みかやん「ダメ!重たいんだから笑わせないで」

Hさん「もうダメ!ぶあはははははー」

Oくん「ベッドパット落としそうですよ〜」

Hさん「なんだかんだ1度で運ばなくても良かったのよね」

一同「あはははは」

今日の教訓。横着はしない事。

控え室から211号室までのマヌケな珍道中だった。
出勤前にHさんから電話がきた。

Hさん「今日、会社から連絡、来た?」

みかやん「いいえ。来ないですよ」

Hさん「えっ?じゃあトドは普通に出勤するの?」

みかやん「いえいえ。昨日のうちにトドが家庭の事情で休むので代行してくれと言われてました」

Hさん「私が出勤しても良かったのにぃ。大丈夫?」

みかやん「先月は忌引きで迷惑をかけたので今月は頑張りますよ」

Hさん「あらそーお?じゃあ申し訳ないけどお願いね」

0:00-6:00 8部屋掃除

今日はNさんとOくんとの勤務。んなわけでトドの代行で休み返上だ。トドめ!と渋々出勤したら、Nさんが珍しく「みかやん、ごぐろーさん。今日は頑張るべし」と声をかけてくれた。

いつもは午前1時迄の勤務のC班が午前0時で帰り暇モードだった。早速午前0時から控え室で休憩をした。まったりモードの中、モニターからお客さんが帰る音が聞こえてきたので掃除へ向かった。

私がベッドの布団を剥がしていると、ゴミをまとめる係のNさんが何やらブツブツ言っていた。

Nさん「こったら物、このまま捨てでいいんだべが?割ったらどーなるんだべが?やんや何やってるんだが、この客。。。」

Nさんの手元を見ると、パンパンに膨らませたスキンがあった。スキンの中には少量の水分が。。。

みかやん「げっ!白子入りじゃないですか!」

Nさん「んだのさ。よぐこったら物さ口つけて膨らませるってさ。ゴミかさばるべさね。だげど割ったら中の白子が飛び散るんでないの?どーなんだべが?」

みかやん「さぁ?膨らませた事も割った事もありません」

Nさん「あだりまえだべさ。わちだって無いよ。前は空のスキンば膨らませでだ客がいだけど、割ろうとしても割れないのさ。ゆるぐながったよ」

みかやん「面倒なのでそのまま捨てましょう」

Nさん「んだね」

掃除を終えて部屋から回収して来たゴミを控え室のゴミ袋へ入れた。ゴミがいっぱいだったので新しいゴミ袋へ入れ替えようとして、ふと気が付いた。札幌市もゴミ分別が始まりS区もゴミは半透明ゴミ袋に入れて捨てる事になっているが、ホテルQでは瓶缶類と燃えるゴミに分別はしているものの、ゴミ袋は昔ながらの黒のゴミ袋だ。

みかやん「ここは透明じゃなくて黒のゴミ袋でもいいんですか?」

Nさん「こごはねぇ。こーゆー所専門のゴミ回収業者が来るんだよ。民家ば回ってるような回収車はこごさ来ないんだわ。だがら黒でもいいの」

Oくん「それもそおっすね!使用済みスキンやら血の付いたナプキンがそのまま捨ててありますからね。半透明のゴミ袋だったら丸見えでグロいっすよね」

Nさん「んだよ。下手したらローターやらバイブも捨ててあるからね。なんぼこごがスクールゾーンでなくても、丸出しだら見苦しいべさ」

みかやん「なるほど」

Nさん「前も言ったがも知れないけど、家のゴミ袋が無いからってこごのゴミ袋持って帰っても黒だがら使えないからね。Oくんも家に無いからってこごのスキン持って帰ったらダメだよ。会社の物なんだがら」

Oくん「持って帰ったりしませんよ。泥棒じゃないすか」

Nさん「いざ!って時に無いば困るんでないのぉ?」

Oくん「いや実は持ち帰りました。いざ!という時の為に」

Nさん「泥棒だべさ」

Oくん「す、すいません」

Nさんの誘導尋問にまんまと引っ掛かるOくんだった。会社の物を持ち帰ってはイケマセン。
0:00-9:00. 13部屋掃除

今日はNさんとOくんとの勤務。明日はNさんとOくんとトドとの勤務なので「明日もトドは来るんだろうかねぇ。”今日はNさんとOくんに謝りたくて来ました”とか言うんだべが?」と話をしながらフロントへ出勤のタイムカードを押しに行った。

フロントT氏「みかやんにお願いがあります。Sさんから連絡がきて”家庭の事情で明日は休みます”と言うので、明日、申し訳ありませんがSさんの代わりに出勤して欲しいんです」

と言われたので明日は終日オフだったのに急遽出勤する事になった。

Nさん「トドもう辞めるつもりなんだべさ。ねぇ」

Oくん「もう来れないんじゃないすか?シフトどうしましょう?」

みかやん「あたしなんか今度いつ休めるかわかんないよ。えーん」

Nさん「もうトドの事は忘れるべし!思い出すと気分悪いよ」

みかやん「いやっでも、私の休みは???」

Nさん「いつかは休めるべさっ。ははは」

トドの事は忘れて三人で楽しく仕事をする事にした。部屋へ掃除に行こうとするとお客さんが出て来たので、とっさにフロントへ逃げ込んだ。I氏の代行のフロントM氏が壁に何かを貼っていたので見ると、二人分の免許証と車検証の超拡大コビーだった。

M氏「こっちの男性は金も持たないでラブホへ来て、今自宅にお金を取りに行った人。こっちの女は悲惨だよ。出会い系サイトで知り合ったばかりの男とココへ来て、男が”車に財布を忘れたから取りに行って来る”って部屋を出たら、それっきり男が戻って来なかったんだってさ」

M氏「でもこの女もしたたかだよ。”鍵がかかっていて部屋から出られないので開けて下さい”ってフロントへ電話してきたから”精算すると鍵は開きますよ”と言ったら、最初は”男が残るから男が帰る時に精算する”とツラっと言うんだ。T氏からの引き継ぎでそこの部屋の男は先に帰ったって知ってるから”じゃあ男性に電話を代わって下さい”と言ったらようやく”実はかくかくしかじかで男に逃げられたけど自分もお金を持ってない”と言うのさ。危うくこの女にも踏み倒される所だったよ」

Nさん「この男はマヌケそうだし、こっちの女はこづるい顔してるもね。たまたま二人とも昭和40年生まれなんだね。結構なトシなんだがらしっかりしなさい!って言いたいねぇ」

Oくん「こんな所で、顔も住所も名前も生年月日も全部、晒されているとは思ってないんでしょうね」

Nさん「んだよ。恥ずかしいべさ。Oくんも、こーゆー所さ行ぐ時は金持ってるか確認してから行かないば、えらい恥かぐんだよ」

M氏「この人達がお金を払いに来たらフロントの中へ入れるから、その時に目の前で壁からこのコピーをはずして本人へ渡すつもりだよ」

Nさん「んだよね。そのぐらいしながったら何回もやられだらこっちも手間だがらね」

Oくん「しかし、いい晒し者っすよね。このホテルに知り合いが働いてたりしたら、ほんっとに恥ずかしいっすよね」

すっかりフロントに長居をしてしまったので急いで掃除へ向かった。鍵を解除してドアを開けた私は「うわっ」と言って、のけぞった。それに続いてNさんも「わいっ」Oくんも「おわわぁ」と、のけぞった。ドアを開けたとたんいきなり酷い臭いがした。

見ると玄関の床が水浸しになっていた。悪臭の元はその水らしい。チャレンジャーOくんが恐る恐る臭いを嗅いだ。

Oくん「おええっ。犬か猫?とにかく動物のシッコですよ〜」

Nさん「みかやん、ボロ布とゴミ袋。Oくん、臭い消し」

Oくんは控え室へ消臭剤を取りに行ったし、Nさんはボロ布とゴミ袋を持った私を遠巻きに見ているので、泣く泣く手にゴミ袋をはめてシッコを拭き取って、そのままゴミ袋を裏返してボロ布を処分した。

Nさん「トドって、シッコとかウン○の始末は得意だったよね」

みかやん「いつも率先してシッコやウン○を始末してましたね」

Oくん「じゃあ今後はみかやんがやるって事で」

Nさん「んだね。シモの始末はみかやんって事でいいね」

みかやん「全然良くないです!なんで私なんですか?なんで?なんで?」

と言ったら、部屋の有線から「なんでだろう」の曲が聞こえてきて、NさんもOくんも曲に合わせて「なんでだろ〜」と歌いながら私をおいて部屋の階段を上がって行ってしまった。憎めない人達だ。
昼に話をしたのにHさんの怒りは収まらず夕方、家に来た。更に色々な話をして帰ったのに、夜に再度電話が来て11時半にホテルQの近くで待ち合わせをして、一緒に出勤する事になった。

HさんにI氏から電話がきて、トドが今朝の件をホテルRのフロントJ氏に密告して、J氏から常務、常務からフロントKさん、KさんからI氏へ連絡がきて大変な事になっていたと知らされ、I氏とNさんとHさんとでずっと連絡を取り合っていたそうだ。

0:00-6:00 7部屋掃除

今日はHさんとトドとの勤務。3ヶ月ぶりのトドとの対面だった。C班が控え室にいたのでリネン室で待機をしていたらトドが話し始めた。

トド「今日はみかやんに謝りたくて来ました。左利きの事とか、覚えてないしそーゆーつもりで言ったんじゃないと思うんです。でもすいませんでした」

Hさん「”覚えてない”って?みんなも聞いてるのよ。あんな酷い事を言ってみかやんを傷つけたのに覚えてないのは、みかやんの事を犬や猫ぐらいにしか思ってなかったんでしょ?アンタは後輩達を人間扱いしてなかったわ。いつも言いたい放題だったからアンタは忘れても言われた方は忘れないのよ!それに”でもすいません”って何?自分に非は無いから謝りたくないって言うのが見え見えでしょう!それで謝りに来たと言うの?」

トド「みかやんさん。申し訳ありませんでした」

ここで部屋が空いたので掃除へ向かった。トドは借りてきたトドのように大人しくなった。「みかやんさん、スリッパをこちらへ放って貰っていいですか?」「みかやんさん、すみませんが先にこちらをお願いします」と言うので気持ち悪いし仕事がやりにくかった。

Hさん「普段からあーしていれば良かったのよ。みんな同僚なのよ。先輩だからって何も偉くないの。ただ後輩が知らない事も長く働いている分、知ってる場合があるから、わからない事は教えてあげればいいだけの話なのに、長く働いている方が偉いと勘違いして、後輩を人間扱いしないなんて最低よ」

みかやん「なんか怖いですよ〜。調子狂っちゃいます」

Hさん「もう萎縮する事はないの。ただトドの前で失敗しないようにね」

みかやん「はい。既に変な汗かいてますけど頑張ります」

今日は受難のトドだった。ベッドを剥がすと血まみれだったり、ソファーの上の白子を拭こうとして躓いて手に白子が付いたり、シッコまみれのトイレ掃除に当たったり、床にこぼれていたローションを踏んで転んだりしていた。いつもなら誰かが助ける所だが、今日は誰も助けなかった。どうにも心苦しく気の重い一日だった。

I氏がフロントKさんに「常務から電話を貰っても私は何も知らなくて恥をかかされた!今夜、個人面談をやっておきなさい」と叱られたそうで、トド、Hさん、私の順でI氏との個人面談が始まった。

トドとI氏の面談は2時間にも及んだ。トドは「みんなにイヤな思いをさせたのでもうD班では働けないがメイクの仕事は辞めたくない」と言っていたそうだ。トドが帰った後、Hさんが語り始めた。

Hさん「トドの事では一番酷い目に遭ったのに、またイヤな思いをさせてごめんなさいね。こんな事になる前に、私が逐一トドに注意をしてたら良かったんだけど、私もトドが恐くて言えなかったりしたから、大事になってしまって申し訳ないと思っているわ。私が後輩達を守れなかったのが今になって悔しくて、情けなくて、ついトドに対して感情的になってしまったの。私もトドの事を言えない状態になっていたでしょ。聞き苦しい話ばかりしてごめんなさいね」

みかやん「謝らないでくださいよ〜。私やOくんの事を庇い続けてくれたじゃないですか。Hさんみたいな先輩がいてくれたから、トドの攻撃にも挫けずにいられたんですよ」

Hさん「そう言って貰えると嬉しいわ。これからは和やかに穏やかに仕事をしましょうね。でもお互い言いたい事が言い合える仲間になりましょう。トドみたいに誰も何も言えなくて嫌われて孤立していくのは、見ていても辛いわ」

みかやん「私なんかは至らない点が多々ありますから、ご面倒でしょうけど根気強く指導して下さいね」

Hさん「至らない点が多いのはOくんの方よ。Oくんとは長期戦になりそうだわ。あはは」

I氏「Oくんは今も笑える失敗が多いですからねぇ。手強いですよ。ははは」

一同「あはははは」

こんな所で話題にのぼって笑われていたとはOくんは知る由もないだろう。
0:00-9:00. 6部屋掃除

今日はHさんとNさんとの勤務。昨日からトドがホテルQへ復帰した。今月いっぱいはホテルPとホテルQを行ったり来たりするらしいが、先月までの週1勤務よりは確実にトドのホテルQ勤務が増える。

今迄は私やOくんとトドを会わせられない!と、HさんとNさんがトドとの勤務をしていてくれたが、トドの勤務が増えるとなるとシフトの都合上、HさんとNさんだけにトドを任せられず、私やOくんもトドと遭遇する事になる。

昨日はHさんNさんとトドとの勤務だったが、相変わらず仕事以外の話はせず殆ど無言でいたそうだ。明日はHさんと私とトドの勤務だ。HさんとNさんが心配して”トドとの過ごし方”をアドバイスしてくれた。

Hさん「みかやん、大丈夫だと信じてるけど明日はトドにケチをつけられないように、仕事はしっかりね!」

みかやん「はいっ!心して仕事しますよ」

Nさん「”久しぶり”だどが言って近づいてきても、毅然とした態度でいるんだよ。なめられるがらね」

みかやん「はいっ!油断しないように気を付けますね」

Nさん「仕事で失敗したりしたらトドの思うつぼだがらね」

みかやん「はい。でもなんだか緊張してきました」

暇だったのをいいことに今日はトド対策の話で終始した。朝9時になってフロントへ退勤のタイムカードを押しに行った。Hさんが「I氏と明日のトドの件で打ち合わせがある」と言うので先にホテルQを出た。Nさんと別れて1人で歩いていると、殺気を感じたのでふと振り返るとトドカーらしき車がホテルQ方面へ行くのが見えた。イヤな予感がした。

昼過ぎにHさんから電話がきた。私のイヤな予感は的中した。HさんがフロントでI氏を待っていると、トドが乱入してきたそうだ。

トド「あかんなぁ。今週のシフト見るの忘れとったわぁ」

Hさん「。。。。。。。」

トド「ああっ!明日はみかやんと勤務や!久しぶりやなぁ」
(ここでHさんがキレたらしい)

Hさん「今迄みかやんやOくんに会わなくて変だと思わなかったの?」

トド「なんとなく変や思うたから聞こうと思ってました」

Hさん「アンタなんかにうちの可愛い後輩達を会わせられるわけないでしょう!Oくんにはどうでもいい事まで言って怒鳴り散らして、みかやんには”1人で働き過ぎる”って1時間も説教して、アンタおまけにみかやんに”左利き直せ”って言ったんでしょう?何の権限があってそんな事、言うの?アンタ何様?人として言ってはならない事を言って、みかやんを傷つけたのよ!Oくんだって毎日毎日ヒステリックに怒鳴られ続けて滅入ってたわよ!随分くだらない事で怒鳴ってたようだけどOくんはアンタの息子じゃないのよ!」

トド「えらいすいませんでした」

Hさん「それに何?後輩に”そんな事したらHさんに怒鳴られる”とか”しばかれる”と言って指導してたって言うでしょう。私、今迄あなたやNさんを一度でも怒鳴ったり叩いたりした事あった?」

トド「ありませんでした。そーゆーつもりやなかったんですが」

Hさん「じゃあどーゆーつもりなの?後輩が先輩を気遣って仕事してくれたら嬉しく思って褒めてあげるのが先輩でしょ?それを”モニターに映ってるからって1人だけ点数稼ぎするな”だなんて、アンタ歪んでるわよ。それにみかやんが左利きだってアンタに言われるまで気が付かなかったわよ。何の遜色もなく仕事が出来るのに何で”左利き直せ”だなんて言うのよ。それだったらアンタも大阪弁直したら?」

トド「申し訳ありませんでした」

Hさん「若いOくんには”クソババア!”と怒鳴られて殴られても当然な状態だったわよ。みかやんもOくんも反発しないでいたのは、アンタなんかでも”先輩”だと思ってたからなのよ。それを逆手に取って言いたい放題で。。。後輩だって人間だし傷つくのよ」

トド「。。。。。」

・・・・・という事だったそうだ。温厚なHさんがここまで言うとは思わなかった。トドに会うのが怖い。
昼の会社のおぢさんKとおばさんNが人事異動となったので、送別会があった。所属の10名でいつものススキノの店へ行った。司会のおぢさんTが挨拶を始めた。

おぢさんT「3月5日付けでおぢさんKが○○売場へ、おばさんNが○○課へ人事異動となり、3月31日付けでみかやんが定年退職となりますので、送別会を行います」

みかやん「えっ?私も送られる側に入ってるんですか?ありがとうございます。こんな事をしてみんなで私を泣かせようとするなんて。。。で、なんですか定年退職って?”契約満了”と言って下さいよ!」

例え”ついで”であってもパートの私も送られる側に入れて貰えるとは有り難い事だ。俄然、タダ酒タダ食いに力が入った。毛がに、焼きたらばがに、うに、きんき鍋、生かき、と日本酒&ビールを堪能した。

おぢさんK、おばさんNに続いて私も挨拶をする事になった。

みかやん「こんなトシでも最年少だったので、皆様には蝶よ花よと可愛がって頂き感謝しています。上司にも先輩にも同僚にも恵まれ、無事に3月31日で定年退職を迎えられる事になりました」

外野「契約満了じゃなくてやっぱり定年だったのかー」

みかやん「お世話になった皆様に何のご恩返しもできないまま。。。うっ」

外野「どうした?泣いてるのか?しっかりー!」

みかやん「すみません。飲み過ぎて、ヒッ、しゃっくりが出ます。ヒッ」

外野「ぶあはははははー」

おぢさんおばさん達に大爆笑されて挨拶にならなかった。最後の挨拶だったのに(哀)。

2次会はおぢさん達と出かけてもしょーもないので、細々ともう1人のパートさんとビジューカフェというお洒落なカフェへ行った。古い木の床やテーブル、床から階段を降りて半地下にある客席、薄暗い照明の中、キャロル・キングの曲が流れていて、初めて連れて行って貰った店だが一度で気に入ってしまった。とんでもなく美味しいケーキセットをいただきながら延々2時間半、語り合った。

どさくさに紛れてタダ酒タダ食いができて、記念品まで頂いて、激美味でお洒落なカフェへ連れて行って貰えて、いい一日だった。

暫しの間、今日からトドがホテルQへ復帰する事を忘れていられた。
0:00-9:00 21部屋掃除

今日はNさんとOくんとの勤務。午前1時に出勤したI氏がすぐに私達の控え室へやってきた。

I氏「みかやん、222号室へ行って貰えませんか?お客さんが”できれば女性従業員にカラオケの使い方を教えて欲しい”と言うのでお願いしたいんですが」

みかやん「えーっ!部屋へ入るんですか?若いお客さんなら私、テレちゃいますよ〜」

I氏「大丈夫ですよ。年配のお客さんですから」

みかやん「じゃあ心細いのでOくんを連れて行ってもいいですか?」

I氏「はいはい。どうぞ二人で行ってください」

Oくんと222号室へ向かった。部屋の入口でブザーを鳴らしてドアを開け階段の下から「失礼いたしま〜す」と叫んだ。階段の上から男性の声で「どうぞ〜。お願いしま〜す〜」と言われて階段を上がった。部屋には60才代の男性と50代半ばの女性がいた。

男性客「いやぁすまんねぇ。初めてなもんだから。はははっ」

カラオケの使い方を一通り説明して帰ろうと思ったら男性客にとめられた。

男性客「試しに”加門亮のしゃれた恋”を歌いたいからセットしてくれ。加門亮、知ってるかい?」

みかやん「いいえ存じません。勉強不足でした」

男性客「いい歌を歌うんだよ加門亮は。じゃあ聴いていきなさい」

曲のイントロが聞こえてくると男性客はさっそうとマイクを持ち、歌い始めた。途中「曲の音量を上げてくれ」「マイクの音量も上げてくれ」と大騒ぎだった。曲が終わり仕方なく私とOくんは拍手をした。それで気を良くしたのか男性客が女性客に「チップを渡してくれ」と言い出した。

みかやん「頂くわけにはいきません。困ります」

男性客「いやいいんだ。仕事中に呼びつけたんだから」

みかやん「いいえ。これも仕事ですから」

男性客「こっちはこのぐらいのレベルの客なんだから受け取りなさい」

みかやん「ではありがたく頂戴致します」

男性客「二人でジュースでも飲みなさい」

みかやん「はい。ありがとうございます。では失礼致します。どうぞごゆっくり」

部屋を出てドアを閉めたらドッと疲れが出た。

Oくん「俺、あーゆーおやぢ超苦手だよ。みかやんは凄いや。笑顔で受け答えして完璧だったよ」

みかやん「元デパガだからね。私だってあんなおやぢは苦手だよ」

Oくん「自慢げに”俺らはこの位のハイレベルな客だ”みたいな事言ってチップは千円じゃん」

みかやん「あの位の事でお金を貰ったんだよ。有り難く500円ずつ分けようよ」

Oくん「I氏とNさんには内緒にしよう。変にお堅いところがあるから」

控え室へ戻ってまったり休もうと思ったら、申し合わせたように3部屋同時に空いたので掃除へ向かう事になった。それからというもの掃除に追われ、午前1時半から5時半まで控え室には戻れなかった。

後かたづけをして朝の6時にようやく控え室の椅子に腰をおろした。さすがに月末の金曜日は忙しい。一休みしたのも束の間、6時半に1部屋空いたので掃除へ向かうとそこは222号室だった。

Oくん「ああっ。あのカラオケおやぢの部屋だよ。げ〜」

みかやん「年寄りは朝早いからねぇ」

Oくん「うわー!あのトシでスキン2個とも使ってるよ!」

みかやん「だってその為にココへ来たわけでしょ」

Oくん「あのおやぢがあの女の人と。。。想像すると倒れそうだよ」

みかやん「お客さんと会って話したりすると想像しちゃってダメだね」

Oくん「会わなきゃ良かったよ。あまりにもグロい」

その後、急に口数が少なくなるOくんだった。

帰り道でOくんに分け前の500円を渡すと「やった!今日の朝飯はコンビニ弁当を食える」「ハンバーグ弁当にしようかな?とんかつ弁当がいいかな?」「ああっ。それとも晩飯を買おうかな?」「いやいや。遅刻しそうな時のタクシー代にとっておこうかな?」「なんだかんだ言ったけど、いいおやぢだよね」と態度がコロッと変わった。現金な奴だ。やれやれ。
0:00-9:00. 13部屋掃除

今日はHさんとOくんとの勤務。昨日はOくんが倒れた為にリネン類のたたみ作業が大幅に遅れた。私達がリネンたたみに追われている間、I氏が空き部屋のハギをして回ってくれていた。

I氏「今日も日の丸部屋ばかりです。愛国心で胸がいっぱいになりますよ」

Hさん「毎日毎日、生理のお客さんばかりでイヤになるわねぇ」

I氏「そんなに生理の時がいいんですかねぇ。不思議です」

Hさん「生理がいいのか中出しがいいのかよくわからないわね」

Hさん「Oくんは生理の時にやった事ある?」

Oくん「は?はああああぁ?何ですか?いきなり」

Hさん「若い人はどうなのか?と思ってね」

Oくん「いやあの。その。あ、ありますよ」

Hさん「イヤじゃないの?キモイとか思わないの?」

Oくん「べっ、別にあんまり気にならないです」

Hさん「女の子の方はイヤがらないの?」

Oくん「あの。あんまり気にしない人ですから」

Hさん「ふーーーーん」

5部屋連続掃除をして一段落着いたので、最後の部屋で何となく三人でエロビデオを見た。AV男優がひたすら、くんに(いや〜ん)をしている所だった。

Hさん「男って大変よねぇ。こんな事までしなきゃなんないなんて」

Oくん「。。。。。。」

Hさん「男のアレと違って女のアレは汚いでしょ」

Oくん「べ、別に俺は女の人のを汚いとは思いませんよ」

Hさん「男のは乾いてるけど女のは湿ってたり臭ったりしない?」

Oくん「いっ、いや。あまり気になりませんよ」

Hさん「ふーーーーん」

控え室へ戻って一休みすると、Hさんがフロントへ行ったのでOくんと二人になった。

Oくん「みかやん、た、助けて!Hさん、今日なんか変だよ」

みかやん「”恥ずかしくてOくんとはエロ話出来ない”と言ってたのにね」

Oくん「HさんまでI氏のエロさに感化されちゃったのかなぁ」

みかやん「かもねぇ。あの人達の大人のエロ話は凄いからねぇ」

Oくん「Hさんの質問ぜめで俺、変な汗かいて疲れたよ〜」

部屋が空いたのでHさんと合流して掃除へ向かった。部屋のドアを開けると何か臭っていた。部屋に入ると大宴会の後だった。ビールの空き缶数缶、珍味の食べ残し数種、カップ蕎麦の食べ残し2個、その他塩辛や冷や奴、枝豆、焼き鳥の食べ残しがあった。

洗面&トイレ係がゴミをまとめるのでOくんは大変そうだった。Oくんは私とベッドを組み終えてトイレ掃除へ向かった。(ここからちょっと汚い話)

Oくん「うあああぁ。ひでえ。ひでえや」

Hさん「あはははは」

という二人の声が聞こえてきた。

Hさん「便器一面にゲロがかかってたのよ。うぷぷっ」

みかやん「あらら。Oくん、受難ですね」

Hさん「あんなに食べてゲロ吐いて帰っただけなら、何の為にココへ来たのかわかんないわね」

みかやん「いえいえ。スキンは2個とも使ってましたよ」

Hさん「あらっ!やってたの!ゲロ吐いてまで、やって帰らなくたっていいじゃないのよねぇ。ゲロ吐いてまでやるって何なのよ」

Oくん「そんなにゲロゲロ言わないで下さいよ。床にもこぼれてて泣きました」

Hさん「まぁでも、やった後にゲロしたのかも知れないわよね。激しく動いてお腹の中でミックスされたかもね。ははは。だとしたら男のゲロね。ふふっ」

Oくん「生々し過ぎますよ。もう勘弁して下さい」

控え室へ戻る途中、Oくんと内緒話。

Oくん「Hさんて、あんなにエロい人だと思わなかったよ」

みかやん「そーお?女同士の時はいつもあんな感じだよ」

Oくん「怖い怖い。大人の女の人って怖いよ」

Oくんの中でHさんのイメージがガラガラと音をたてて崩れていったらしい。凹むOくんだった。

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