0:00-9:00 14部屋掃除
今日はOくんとの2人勤務。フロントへ出勤の打刻に行くと、フロントSさんがいつになく神妙な顔。Tさんが正式にホテルPへ異動する事が決定し、移動日は明日だと聞かされた。元々Tさんは、ホテルPの朝番希望で面接を受けて合格した人なので仕方ないとしても、Tさんに代わる人員の補充予定は無いそうだ。フロントを出るとOくんがブチ切れた。

Oくん「ホテルPがリニュアルオープンしてから確かにココは暇になったけど、三人体制なんて無理だよ!平日が2人で金曜土曜が三人なら、俺ら今後は金曜土曜に用事があっても休めないって事だし、平日だって2人じゃキツイ日が多いよ。リネン折りだってあるんだから」

みかやん「全くそのとおりだよ。何としても三人じゃ無理って事をアピールして行かないとね。破綻するのが目に見えてるもん。Tさんとは金曜に会ったきり会えないままお別れってのも酷い話だよね」

Oくん「でも異動するのがトドじゃなくてTさんで良かったよ。Tさんみたいな我が儘な人と三人じゃ絶対やってけなかったって」

みかやん「あら?そーお?まっ、いざ!と言う時トドは頼もしいからね」

Oくん「そうだよ。こないだ介抱したゲロの客だってトドだったから良かったけど、あれがTさんだったらぎゃーぎゃー騒いでわめいて大変だったろうさ」

みかやん「まあ確かに」

日曜は特に暇な時が多いので、最近は2人勤務になっていた。ところが今日は日曜のわりに忙しかった。Oくんがご機嫌ナナメのまま、無言で掃除を続けてすっかり気疲れした。控え室へ戻ると腐れFが来た。

腐れF「223号室の客から電話きてよ〜。精算機が使えないって言うんだ。使い方わかるか?」

Oくん「知らないよ。ここで金、払った事ないし。取り敢えず行ってくれば?」

腐れF「そうだな。精算機は壊れてはいないはずなんだ」

223号室は控え室から一番近い部屋だ。通路へ行ってみると、部屋のドアが開いていたので中の話し声が筒抜けだった。

男性客の声「取り敢えず、お前がその現金を持ってけよ!早く行け!」

女性客の声「だから、そのお金持って帰れ!って言ってるでしょ!」

男性客の声「そんなのそっちの都合で俺には関係ないだろ!」

女性客の声「お金を払わないって言ってるんじゃないんだから!」

腐れFがお客さんに怒鳴られているようだった。かなりマズイ。大もめだ。

Oくん「どうせまた、俺らに言うように、あの横柄な態度で高飛車な言い方をしたから、客も頭にきたんだろうさ」

みかやん「でもどうする?ヤバイよ。”申し訳ありません!”って割って入った方がいいのかな?」

Oくん「俺らにゃ関係ないよ。フロントと客の問題なんだから。ほっとけばいいさ。」

更に腐れFの「どうも申し訳有りませんでした。失礼します」という声が聞こえてきたので、慌てて控え室へ戻った。さも何事もなかったかのように腐れFが来た。

腐れF「客の奴、精算機に札を何枚もいっぺんに入れようとするから、精算できなかったんだ。普通は1枚1枚入れるってわかるだろう。これだから田舎モンは困るな。行ってみたらやっぱり精算機は壊れてないし、単なる言いがかりだったぞ」

みかやん「そーゆー腹の内が客に伝わるから、客に叱られるんじゃないの?」

腐れF「いやいや、客なんか全然怒ってなかったぞ」

と言って腐れFはフロントへ戻って行った。大嘘つきめ!思いっきり怒鳴られてたじゃないか。

Oくん「経費削減で人減らしするなら、俺等ベッドメイクじゃなくて、あの男から削って欲しいよ。あのオヤジ、ホント使えない。フロント業務は俺らで手分けしてやった方がよっぽどいいよ。何で俺らベッドメイクから人を減らされなきゃなんないんだよ!」

Oくん「腐れFが居たホテルKは三人体制だったかも知れないけど、部屋数がココの半分の所と一緒にされても困るんだよ!冗談じゃない!どうせあのオヤジが”ホテルKも三人だからココも大丈夫”とか言ったんだろうさ」

明日、三人体制になる事をトドにも伝えなければならない。Oくんはブチ切れたまま口数少なく帰って行った。TさんはTさんで「ホテルPへ異動になんかなったら辞めた方がマシ」と、最近言っていたばかりだった。どうなるんだろう?先が思いやられる。
0:00-9:00 17部屋掃除
今日はOくんとトドとの勤務。出勤の打刻をしにフロントへ行くと、フロントSさんが休みでダサ坊がいた。

ダサ坊「TさんがホテルPへ行くらしいよ」
みかやん「それは完全移籍って意味?」
ダサ坊「うん。ホテルPの人になるみたい」
Oくん「Tさんの代わりの補強はあるの?」
ダサ坊「うーん。まだ何とも・・・」

ダサ坊の様子を見て、我がD班が完全に三人体制になるのだろうと悟った。しかし三人でどうしろと言うのか?あまりの事に怒りをとおり越して、やりきれない気持ちになった。

213号室で、私は洗面&トイレ係、Oくんは部屋係、トドは風呂係だった。突然トドが「みかやんっ!」と叫んだので風呂の方へ走った。トドは半泣きの顔で「この部屋、オバケ出るんか?」と涙声で叫んだ。トドのただならない様子に超の付く怖がりな私は「いやーっ!」と部屋へ逃げ出した。

トド「壁を拭いとったら後で”カタ”て音がして、振り返ったんや。ほならな。椅子が裏返ってんねん!あ、ありえんやろ。ウチ涙、出てきたわ〜」

掃除中わざわざ椅子を裏返したりしないし、平らな所で台形の椅子が裏返る事はないし、風呂で椅子が転がったらもっと大きな音がするはずだ。ふと見るとOくんが鳥肌を立てていた。

みかやん「だ、大丈夫!オープン当時から働いてたHさんが”ココでは何も起きてない”って言うんだもの。さ、次の部屋へ行くよ!あたし次は部屋係だから、控え室へ戻ったついでにシッコしてから行くね」

Oくん「えー?誰も居ない控え室で1人でシッコ出来る?」
みかやん「子供じゃないんだから」

控え室へ戻って、さてトイレ!と思ったが急に怖くなったので、新しいリネン籠を持って部屋へ走った。Oくんとトドが居る部屋へ入ってやれやれと思うと、いきなりドアが開いて腐れFが入って来たので一同飛び上がって驚いた。腐れFはコンビニボックスで売れたバイブの補充を持って来ていた。

トド「何すんねんな!お盆も近いんやし驚かさんといて!」
腐れF「???」

ようやく控え室へ戻って休憩したが、三人とも殆ど無言だった。部屋が空いたので、いつもの覗き場所でスタンバイするも、なかなかお客さんが部屋から出て来なかった。待つこと8分。部屋から出て来たのは20代女性と、酔った50代男性だった。来る時は酔っていても、帰る時まで酔ってゴキゲンな人は珍しい。

部屋へ入ると不思議なゴミが散乱していた。新聞紙やティッシュを固く小さく丸めた物や、新聞紙を折り畳んで円柱状に丸めた物や、様々な形状の紙のゴミを拾い集めながら部屋の奥へ進んだ。同じようなゴミがベッドの枕元にも散乱していたので、それも拾い集めようやくベッドの布団を剥がし始めた。

布団を剥がしたとたん、シーツの上にとんでもない物があるのを見て思わず「うわあ!」と叫んだので、Oくんとトドが集まってきた。シーツの上に転がっていたのは、直径8cm長さ25cm位の大きさで、スキンにギリギリいっぱい紙類を詰め込んだ物だった。

トド「あはは!お手製や!せこい事せんでもバイブ買ったらええやん」

Oくん「酔ってたしトシだし自分のモノは役に立たなかったんじゃないの」

みかやん「にしてもコレ大き過ぎない?これじゃありがた迷惑だよ」

トド「大きければ大きい程ええ言う人もおんねん。よくもまあこんな詰め込んだわな」

Oくん「さっきのゴミみたいのが一杯詰まってるんでしょ。こんな物を作るのに試行錯誤すんなよ!って感じ。同じ男として、あのオッサンが哀れに思えてきた」

トド「若いオネエチャン連れて来たんやし、サービスせなならん!思たんちゃう?確かに痛々しいような努力やな」

Oくん「あのオッサン、酔ってなかったらこんな巨根なのかな?」
みかやん「まさか!」
トド「ま、3割4割増しってとこやない?てゆうか願望やないの?」
Oくん「だよね。あのオッサンが巨根の持ち主とは思えないもん」

トド「ホンマようこんなモン作ったわな。控え室に飾っておこか?」
Oくん「あはは!床の間に日本刀を飾るみたいにかい?いいねえ!」
みかやん「いやだ。午前3時のおやつが美味しくなくなりそう」

トドとOくんが本当に控え室へ持ち帰りそうだったので、慌ててゴミ袋に捨てた。捨ててから「写真撮っときゃ良かった!」と思った(爆)が、遅かりし。ラブホに来る時は呑み過ぎてはいけません。

※朝、Oくんから電話がきた。
午前3時半頃、腐れFに言われてホテルPへ手伝いに行ったそうだ。ベッドを組むのも備品を並べるのも、勝手が違って面倒臭いのでずっと風呂係をしたそうだ。ホテルQに残ったトドとTさんは午前6時で帰ったのに、Oくんは午前7時半まで働かされて、ヨレヨレになっていた。

0:00-8:00 15部屋掃除
今日はOくんとTさんとの勤務。さすがに金曜の夜は忙しい。待合室ではお客さんが待っているし、掃除をしても掃除をしても満室になる。ようやく落ち着いた午前3時過ぎに控え室へ戻り、休んでいると腐れFが来た。

腐れF「みかやん、悪いけどホテルPの手伝いに行ってくれ」
みかやん「まさか。金曜の夜はこっちだって忙しいよ」

腐れF「家庭の事情で1人辞めて、昨日急に休んだ奴はむちうちだそうだ。暫く出勤は無理で今、ホテルPは2人で掃除してるそうなんだ。頼む、行ってやってくれ」

仕方なく荷物をまとめ、雨の中、ホテルPへ向かった。I氏が出迎えてくれた。

I氏「すみません。腐れFには”そちらも忙しいでしょうから今日は結構です”と断ったのに、”もう行かせたから”って言われたんですよ」

みかやん「やっぱり?おかしいと思ったよ。あの狸オヤジめ!」

ホテルPでも休憩しているところだったので合流した。今夜は、Hさんに怪我を負わせた犯人の50代女性と、100kg近い体重の20代の女の子が出勤していた。

1部屋目で私は部屋係になり、犯人にベッドの組み方や掃除の仕方を教わった。噂以上にベッドを組むのが面倒だった。ホテルQでは最後にベッドカバーを掛けるだけなのに、ホテルPはベッドカバーと布団の包布が合体した物を使っていて、重いベッドマットを持ち上げて挟んだり何かと重労働だ。ホテルPでは1部屋の掃除に30分かかると聞いてはいたが、慣れない私が居たので36分かかった。

2部屋目も私は部屋係になり、犯人とベッドを組んだ後、1人で部屋係を任されたが25分で終了し、3部屋目ではまた部屋係だったが、今度はおデブちゃんと組んだ。おデブちゃんに「申し訳ないんですけど、そちら側へ行って貰えませんか?」と言われ、ベッドの逆側へ異動すると、ベッドと壁の間が異常に狭かった。私が入っても壁にお尻を擦るくらいの狭さだった。

おデブちゃん「すみません。私、そちら側に入れなくて。ははは」
みかやん「こりゃ狭すぎだよ。私もお腹引っ込めないと入れないよ」

おデブちゃん「ホテルQの人が来たら確かめたい事があったんですけど」
みかやん「何?」

おデブちゃん「他の班にホテルQで研修した人がいて、ホテルQではゲロやウン○の汚物に遭うって噂なんですけど、本当なんですか?」

みかやん「そんなしょっちゅうじゃないけど、こないだもウン○で酷い目に遭ったばかりだよ」

おデブちゃん「ええーっ!本当だったんですか?」

犯人「私なんかホテルKに7年居たけど、部屋でウン○は1度もなかったよ。トイレにウン○が飛び散ってただけで具合悪くなるのに、リネンに付いてたりしたら?と思っただけで倒れそう」

みかやん「うそー?7年居て1度もウン○が無かったの?」
犯人「無かったよ。トイレで見るくらい」
おデブちゃん「ホテルQって、そういう所なんですか?」
みかやん「いや〜ね〜。そういう所ってどんな所さ?」

おデブちゃん「そういう極端にマニアックな人が集まる店なのか?と思って」

みかやん「滅相もない!集まらない集まらない!そんな店ならとっくに辞めてるよ」

犯人「ココはリニュアルオープンしたばかりだから、お客さんも気を遣うんじゃない?ココだって、少し古くなったらお客さんも油断して。。。」

おデブちゃん「イヤー!。その先は言わないで下さい!縁起でもない。そんな事、想像したくないです」

みかやん「あたしなんかもう何度も実際に目にしてるんだけど」
おデブちゃん「そうでした。すみません」

みかやん「いや、別にいいよ。そのうちウン○にもお目に掛かるかもね。ははは」

おデブちゃん「イヤー!その時は、電話するのですぐ来て下さいね」
みかやん「考えておくね。ふふふ」

話をしながらも私は部屋係の仕事を終え、おデブちゃんの風呂掃除や犯人の洗面&トイレ掃除を手伝って17分で掃除を終えた。犯人とおデブちゃんは「17分だよ。快挙!しかも新記録!」と驚いていた。17分なんて朝飯前さ。ホテルQのベッドメイク係をなめちゃいけないね(笑)。

※マユさん、もげさん、ペコさん、しをんさん、チョコミルクさん、さちさん、うららさん、hedgehogさん、ポジティブ君さん、さおりんさん、熱紗!さん(!)、有馬一郎さん、ももやんさん、のあさん、仁一さん、ご挨拶が遅れておりましたが、お気に入り登録ありがとうございます。お気に入り登録の制限があって、こちらからは登録できませんが、ご意見ご希望など掲示板に書き込みして頂けると幸いです。いつも汚い話で恐縮ですが、今後も宜しくお願いします。

※ひそかに(?)書いてなかった日記を更新しました。
7月15日(火)今日は休み・工場でマジギレ
7月16日(水)ラブホ奮戦記233日目:美人局
7月18日(金)ラブホ奮戦記235日目:Tさんとゲロ
7月20日(日)ラブホ奮戦記237日目:K子から電話
7月21日(月)今日は休み・鬼女の犠牲者
7月22日(火)ラブホ奮戦記238日目:腐れF変身
7月23日(水)ラブホ奮戦記239日目:おパンツ
7月25日(金)ラブホ奮戦記241日目:同時攻撃
7月26日(土)今日は休み・その後の工場
7月27日(日)ラブホ奮戦記242日目:久々ゲッツ!
7月28日(月)ラブホ奮戦記243日目:美形男の正体
8月1日(金)ラブホ奮戦記246日目:似顔絵
8月2日(土)ラブホ奮戦記247日目:大小の惨劇


※夜中にOくんからメールがきた。

O君「ゲロの子のその後・・・9時半頃起きてタクシーで帰ったぞ(腐れF・談)」

みか「あれ?そうなの?トドは車で送らなかったの?」

するとOくんから電話がきた。

Oくん「9時頃、洗濯物が乾いたからトドが届けに行って声を掛けたけど、全然起きなかったんだって。腐れFが”9時だし帰っていいぞ”と言ったから帰ったんだとさ。フロントH君が出勤してたから、腐れFが例の子の事を申し送りしてたら電話がきて”タクシー呼んでください”って言われたんだって」

みかやん「ふーん。じゃ、回復したんだ」

Oくん「あの子、腐れFに”服が湿っぽいんですけど、どうしたんでしょ?”と聞いたから、腐れFが”かくかくしかじかで、ベッドメイク係の女性が2人で洗濯をしたんですよ”って答えたら、ぽかーんとしてるんだって」

みかやん「なんだ。覚えてないのかい?」

Oくん「そうらしいよ。”3000円しか持ってないから自宅へはタクシーで帰れないけど、M地区にある父親の親戚の家までなら3000円で足りるかな?”と自分の事しか考えてなかったらしくて、さすがに腐れFも”そりゃ違うだろ”と思ったから前日のみかやんとトドの必死の介抱の事を言ったんだってさ」

みかやん「あーあー。思い出したくないかもしれないのに」

Oくん「てか、全然覚えてなかったらしいよ。”酔って吐いたようで部屋が汚れてます。すみません”って言って帰ったんだって。ラブホのフロントとのやりとりも慣れてる感じだってさ」

みかやん「あんな事は覚えてない方がいいんだよ。逆に安心した。元気に帰ったなら、それでいいさ」

Oくん「トドも全く同じように言ってたよ。あの子、みかやんとトドの事を何故か、みゆきさんとかすみさんって言ってたんでしょ?俺は”みゆきさんとかすみさんに宜しくお伝え下さい”ぐらい言って帰ったと思ったよ。なんか脱力〜」

みかやん「別にいいよ。相手は泥酔状態だったもの」
Oくん「そーお?じゃ、そーゆーことで」
みかやん「はい。どーも」

彼女が何も覚えてなかったと聞いて、脱力するどころか妙に安心した。17〜18才のあの少女に幸多かれと祈るような気持ちでいっぱいになった。
午前8時に退勤の打刻をしてから忙しくなった。トドが洗濯をしてOくんが濯いだ女性の服を私が乾燥機に入れ、女性をどうするか皆で話し合ったりして、ホテルQを出たのは8時45分だった。いつもなら退勤の打刻をした後、遅くても10分以内にホテルQを出ていた。Oくんに「いい加減帰ろうよ」と何度も催促されたが、そうゆうワケにもいかず、Oくんは完全にグレてしまった。

途中までOくんと一緒に帰った。

Oくん「打刻した後だから残業代も付かないのに、こんなに残業しちゃったよ。みかやんもトドも全然戻って来ないし、次の部屋へ掃除に行った方がいいのか、待ってた方がいいのか、誰からも指示がなかったし。結局、俺が1人メイクして、山ほどあったリネンの返品もして、後片付けも締めもして、疲れたよ」

みかやん「ごめんごめん。でもさすがOちゃんだよ!お疲れ様!あたしだったらきっと、部屋にも入らず、返品も後片付けも締めもまだだったよ。やっぱり男の人がいると頼もしいねえ!Oちゃんじゃなくて、あたしやTさんだったら、まだまだ帰れなかったよ。残ったのがOちゃんで助かったよ〜」

グレた時のOくん対策は心得ている。Oくんはたちまちゴキゲンになった。

Oくん「あっそーお?褒められちゃった。えへへ。ところでその女の人って何歳くらいだったの?」

みかやん「本人は25才だと言い張るんだけど、どう見ても17才か18才なんだ。さっき、洗濯した服を見たら、白のTシャツに白のミニギャザースカートに白の靴下でしょ。部屋の入口にはナイキのスニーカーがあったんだ。絶対、25才のピンサロ嬢の服装じゃないよ」

みかやん「ずっとイジメに遭ってて、親友が17才の時に自殺したと言って泣くの。親友が亡くなってからそんなに経ってないと思うんだ。親友が亡くなってから高校を辞めてピンサロ嬢になったか、もしかしたら今も高校生かも知れないよ」

Oくん「なんか、その子、怖くない?」

みかやん「実際会ったらもっと怖いよ。顔は涙とゲロでドロドロで、首や身体がアザだらけで、手首に自殺未遂の傷だよ。継母に虐待されてるんだって。彼氏の借金返済の為にピンサロで働いてるから、無駄な出費ができなくて継母と妹と暮らしてるって言うんだ。25才だったら妹を連れてとっくに家を出てるでしょ。やっぱり未成年なんだよ。多分、ピンサロ嬢も始めたばかりだと思う」

Oくん「なんか全部が作り話っぽくない?怪しいよ」

みかやん「ずっと一緒に居たからわかるけど、トシ以外の話は本当だと思うよ。人の愛情に飢えてる感じなんだ。あたしに”何でもいいから松浦の曲を歌って”と言うから、ズパッと!のポーズを決めながら歌ったら大笑いされたよ。”松浦の曲”と言うあたりが、お子ちゃまでしょ?」

みかやん「で、あたしとトドの手を握りながら”お姉さん達と一緒に暮らしたい!料理も掃除も何でもしますから、一緒に暮らして下さい”って言うんだ。切羽詰まってる感じなの。普通、初対面の他人に言わないし、現実的に無理でしょ。本当に逃げ出したいような状況下にいると思うんだ」

Oくん「ヤケになって大酒飲んで男に弄ばれて、シッコたれてゲロ吐いて。。。最悪じゃん!」

みかやん「本人が子供だから仕方ないんだよ。周りにもちゃんとした大人が居ないし。さすがにトドもあたしも”ほっとけない”と思ったけど、どうする事もできなくて。ただ話を聞いてたんだ」

Oくん「女同士だと情にほだされちゃうんだよね。何で2人とも戻って来ないんだろう?と思ってたよ。所詮、客とラブホ従業員なんだから、もっと事務的に接すれば良かったんだよ」

みかやん「そうは言っても、現場で本人を目の前にしたら事務的に出来なかったって。トドの娘さんは18才でしょ?トドなんか母親のように接してたよ。凄く頼もしくて優しかったよ。見直したもん」

Oくん「でも俺等の仕事はあくまでもベッドメイクなんだから、部屋が空いたら戻ってくれなきゃ!結局、どうする事もできないわけでしょ。それなら中途半端な同情はしない方がいいよ」

みかやん「まあ確かにね。ごめんなさい」

Oくん「その人、今迄は他人に話せないでいたんだろうさ。ゲロや胸の内を吐き出してスッキリしたんじゃない」

みかやん「だといいけど。ほんじゃ、あたし今夜休みだから、トドにその子がどうなったか聞いといてね」

Oくん「はいよ。ほんじゃお疲れした〜」

帰宅後、爆睡した。

0:00-8:00. 11部屋掃除
今日はOくんとトドとの勤務。C班の人達がかなりの量のリネンを折ってくれていたので、朝方までウダウダとリネンを折ったり部屋の掃除をしていた。222号室が空いたので出動の準備をすると腐れFが走ってきた。


腐れF「みかやんとトドで222号室へ行ってくれ。59分で男だけが帰った。酔った女を抱き抱えて来たから多分、女は酔って寝てると思うんだ。様子見てきてくれ」

トドと2人で222号室へ入ると床が水浸しだった。臭いを嗅ぐとシッコだったので、ボロタオルで拭きながらベッドへ近づくと、若い女性が全裸でベッドの上に倒れていた。部屋へ入ったとたんにゲロ臭かったので用心していたが、やはりベッド周りがゲロだらけになっていた。トドがひそひそと「シッコはたれるはゲロは吐かれるわ。こんなんやったら男も先に逃げるわな」と話しかけてきた。

女性がうめき声を上げたので「お客様!大丈夫ですか?」と声をかけると、ささやくような声で「具合悪い。寒い」と答えたので、トドが女性にバスローブを着せようと抱きかかえた。トドが「私の腕を拭いて」と言うので見てみると、思いっきりトドの腕にゲロを吐かれていた。それでもトドは怯まず、物凄い力で女性を引き上げバスローブを着せて、ベッドに寝かしつけた。

女性が吐く度にトドがタオルで口元を拭い、冷たいタオルで顔を拭いていた。”母は強し”だと思った。私にはとても真似できない。ベッドの足元の方に女性の服が脱ぎ捨てられていたが、ドロか何かで汚れているようだった。広げて見ると白いスカートに大量のドロが付いていて、白いTシャツにはゲロが付いていた。「この人。もしかして無理矢理連れ込まれたの?」と怖くなった。

ドロとゲロの服では帰れないだろうと、トドが洗濯をしに行った。女性が譫言のように何かをささやき、手は宙を彷徨うので私の手を差し出すと、私の手を凄い力で握って離さなかった。

女性「あらし〜(あたし)。友達が死んだのに、どうする事も出来なかったの」
女性「あらし〜。イジメに遭ってたけど、その友達と助け合ってたの。なのに」

喋ると咽せてゲロを吐く。トドが居ないので私がゲロを拭いていると、首がアザだらけになっていた。”もしや男に首を絞められたの?”と想像して怖かったが、思わず聞いた。

みかやん「首、どうしたの?男の人に何かされたの?」
女性「これは継母。あらしを虐待するの〜。あらし死にたいの〜」

少しずつ正気に戻り、身の上話を始めた。女性は25才、中学校高校とイジメに遭い、イジメられながらも助け合っていた友達が17才の時に自殺した。25才になる今も自殺した友人の事が頭を離れず、自殺未遂をしたが死にきれずに現在に至る。手首の何本かの傷が痛々しい。

女性の実の母親は行方不明。実の父親は再婚後、亡くなってしまったので、今は女性と血の繋がりのない継母と暮らしているが、日々虐待を受けているそうだ。全身アザだらけだった。継母に虐待を受けながらも家を出ないのは、働かない彼氏の3千万円ほどの借金を女性がピンサロで働いて返済しているので、自活する余裕が無いそうだ。涙ながらゲロながらに語ってくれた。

悪酔いしてヘロヘロの時も回復してからも、話が一貫しているので作り話ではなさそうだ。女性に手を握られたままだったので、手が痺れてきたところにトドが戻ってきた。ずっとトイレに行きたかったのでトドと交代しようとするが、女性が私の手を離してくれない。

やっとの思いで控え室へ戻ると、Oくんが1人でグレていた。

Oくん「戻って来ないから俺1人で掃除してたよ。帰る支度もしたし。はぁ〜疲れた」

みかやん「こっちも大変だったよ。目の前でゲロ吐きまくられるし、手を握って離してくれないんだよ」

トドと腐れFが戻って来て、4人で女性をどうするか相談した。洗濯をした女性の服が乾くまで時間がかかる。女性の家はホテルQから遠い。女性が何時に目を覚ますかわからない。色々考え合わせて、取り敢えずトドと腐れFが午前9時まで残る事にして、午前9時以降はフロントK子に任せる事にした。しかしフロントK子が休みで、午前9時からはフロントH君(23才・普段はベッドメイク係)が来る。

結局、遅くても正午前には女性を起こして、トドが車で女性宅へ送り届ける事になった。私とOくんがホテルQを出たのは午前8時45分だった。やれやれだ。

0:00-9:00. 15部屋掃除 
今日はOくんとTさんとの勤務。今日もC班の遅番の人達が午前1時まで残ってくれたので助かった。バタバタと10部屋の掃除をして、午前三時のおやつを頂いた。

まったりと休んだ後、部屋が空いたので出動したが、私が持って歩いていたクイックルワイパーの頭の部分がボトッと落ちたので、不吉な予感がした。

風呂係だった私は、まっすぐ風呂の様子を見に行った。幸い、浴槽のお湯は抜かれ、風呂のドアが開いていて、換気扇も回っていた。。。ここまでは優秀なお客様のようだった。ところが、浴室の床を見ると、直径1cmくらいの茶色い固体のような液体のような物が落ちていた。

みかやん「ちょっと!Oちゃん!いや、O先生!怪しい物があるので鑑定して下さい」

Oくん「ん?どれどれ?臭いを嗅いでみよう。。。あっはっは!あっはっはっはっは!コレ、ウン○だよーーーーっ!ウン○の臭いしたーーーっ!おえええっ」

みかやん「えーっ!流して!お願い!シャワーで流してーーー」

Oくん「また俺かい?何で風呂にウン○なんだよ。ケツの穴が緩んでるよ」

モンクを言いながらもOくんは軽く風呂掃除をしてから、本来の洗面係に戻った。私も腹をくくって風呂掃除をしようとすると、突然Tさんの「きゃーーーー!」と叫ぶ声と、Oくんの「うわーーっ」と言う声が聞こえて、思わず風呂を飛び出た。

部屋へ行くと、裾にウン○が付いたバスローブとバスタオルを持ったOくんとTさんが呆然と立っていた。

みかやん「げええっ。そっちもウン○?」
Oくん「うん。う、動けないっ」

Tさん「どうしよう!ウン○が付いてるなんて思わなかったから、触っちゃった〜。と、ところで、アレは何でしょう?」

Tさんが指差す方を見ると、床の上にベッドカバーで”何か”をまとめて包んだ物があった。三人で恐る恐るベッドカバーを開くと、中にはウン○付きのシーツや枕カバーやバスタオルが入っていて、ベッドカバーにもベッタリとウン○が付いていて、お客さんが持参したバイブが転がり出てきた。

三人「ぎゃーーーーっ!」

そこへ急にドアが開いて、腐れFが入って来た。

三人「ぎゃーーーーっ!」

腐れF「そんなに驚く事ないべ?次の部屋へハギに入ったら、客がシッコたれてて大変な事になってたから、手伝って欲しくて呼びに来たんだ。で、何だ?どうした?」

みかやん「こっ、コレ、みんなウン○付いてるの」

腐れFが次の部屋で使おうとしていたゴミ袋の中に、ウン○付きのリネン類をまとめて投げ入れた。ベッドカバーだけは、予備の枚数が少ないので自分達で洗濯をしなければならない。しかし、一番色濃くベッタリとウン○が付いていたのもベッドカバーだった。腐れFに汚物を控え室へ運んでもらって、私達は先に腐れFが手伝って欲しいと言う、次の部屋の様子を見に行った。

シーツに大量のシッコが付いていて、下のおねしょマットやベッドパットにもシッコが貫通していた。ベッドパットは厚さ7〜8cm程でWベッド用なのでとても大きくて重い。Oくんと腐れFが控え室へベッドパットを運び、私とTさんはシッコで濡れたおねしょマットやシーツを運んだ。

泣く泣くウン○の部屋とシッコの部屋を掃除して控え室へ戻り、ウン○が付いたベッドカバーと、シッコが付いたおねしょマットの洗濯をする事になった。じゃんけんで負けたOくんが泣きながらゴム手袋をして、ウン○部分に漂白剤をかけて洗濯をした。

Oくんの洗濯を待って三人でシッコが付いたベッドパットのシミ取りをした。シミの面積が広くて時間がかかりそうだった。その間にも2部屋空いたが腐れFが「部屋は入らなくていいから、汚物を頼む」と言うので、朝まで汚物処理を続けた。

Oくん「大便やら小便やらはホントに勘弁して欲しいよ」

Tさん「さっきのアレ、アナル用のバイブだよね?わけわかんなくなって漏らしたんじゃない?」

みかやん「あれほどウン○だらけにして”アナル用のバイブを忘れました”って取りには来れないだろうね」

ゴミ袋に「8/2 バスローブ2 大タオル2 子タオル2 シーツ1 ホーフ1 ピロ2 汚れ・大便」と書いた紙を貼り、ビニール袋に「シーツ1  汚れ・尿」と書いて汚れ物用のリネン袋に詰めた。こんな物が届いたらリネン屋さんも大変だろう。

帰る頃には三人ともヨレヨレだった。
0:00-6:00 14部屋掃除 
今日はTさんとトドとの勤務。最後の花火大会のせいか、お客さんの出入りが物凄かった。掃除をしても掃除をしても、掃除待ちの部屋が増えて、待合室ではお客さんが待っていて、追い立てられた。どうにも喉が渇いて汗だくだと思っていたら、12部屋も連続の掃除をしていた。

トド「なんかウチ、吐きそうや。マラソン大会の後みたいな感じやねん」

みかやん「ごめんごめん。必死で気が付かなかったけど12部屋連続だもんね。ここが終わったら休もう」

Tさん「ああ良かった。もう限界でした」

大急ぎで洗面&トイレの掃除をして一番に仕事を終えたので、何気なくらくがき帳をパラパラとめくっていた。ふと見ると男2人の顔が描いてあったので、そこで手を止めた。

みかやん「ちょっと!また男同士のお客さんが来てたんだね」
と、トドへらくがき帳を見せた。そのらくがき帳はこれ↓
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Acropolis/6289/sabu.gif

トド「えっ、どれ?あっ!嘘?ホンマやの?あっはっはっは。ひゃーはっはっは。ひぃ〜ひぃ〜。ちょっと!大変や!Tさ〜ん!これ見てみぃ〜」

Tさん「えっ?何ですか?どれ?。。。きゃー!マジ?ぶあはははははっ。ひぃーっ。ひぃーっ。見た見た!この人達見た!」

みかやん「嘘ーっ!あたしは見てないよ〜。7月9日って、素っ裸の女が廊下に出て警察呼んだあの日でしょ?」

トド「掃除も終わったし、後は控え室で話そうや。ウチもうクタクタや。ホンマにしんどいわ」

思わずらくがき帳を破き取り、控え室へ戻って大急ぎで後片付けをして、椅子に座った。

トド「9日のあの事件の時はOくんがおってTさんは休みや。せやからコレは8日の夜中や。みかやんが籠を持って控え室へ戻った後、ウチとTさんとで部屋移ろう思たら玄関からこの2人が入って来たんや。えらいごっつい2人組やったで。海の男って感じやったわ」

Tさん「そうですそうです。濃い〜2人でした。真っ黒な顔に髭で、マッチョな2人で目立ってました。沖縄の人と言うかアイヌの人みたいな感じでしたよ。一度見たら忘れないようなタイプでした」

トド「フロントのパネルの前でウロウロしとったから、てっきり別々の部屋へ入ってデリヘルさん呼ぶと思たわ。まさかあの2人が同じ部屋に入るなんて、思ってもみんかったで。ビックリや」

Tさん「ホントですよ。2人とも男性ホルモンの塊みたいで、濃い〜フェロモン出しまくりだったのに。まさかあの2人が同じ部屋へ入るなんて。。。どっちが女役でも妙ですよ」

トド「確かウチら206の所で見とったんや。ほんで2人が201の方へ行ったから安心して213の方へ行ったんや。その後、もっとおもろいお客さんが来たから、あの2人の事、忘れてもうた言うかあんまり気にせんかったんや」

Tさん「8日って、どんなお客さんが来たんでしたっけ?覚えてないです」

みかやん「8日の夜中はチンピラくずれとヤンキー姉ちゃんが来たんだよ」

Tさん「ああ!そうそう!212号室の掃除に行って、出ようとしたらチンピラくずれが来たんですよ!もーほーの人達は212号室へ行く前に見たんですよ!みんなよく覚えてますね。私なんかいつ何が起こったかなんて全然覚えてないですよ。それにしても、この似顔絵あまりにもソックリですよ。あっはっは」

トド「どっちが描いたんかわからんけど、ホンマよう描けとるわ。はーっはっは。みかやんに見せてもろて一目であの2人や!てわかったわ。いかにもマグロ漁船に乗ってるような人やったなぁ。あはははは」

トド&Tさん「あーっはっはっは。ひーっひっひっひ。苦しいーっ」

Tさん「何度見ても笑えます。似顔絵大賞をあげたいですね」
トド「ウチ今度は笑って笑って吐きそうや」
みかやん「あたしだけ見てない。。。」

トド&Tさん「あーっはっはっは。ひーっひっひっひ。もう笑わせないで」

涙を流しながら大笑いするトドとTさんだった。私1人だけ蚊帳の外で何とも寂しかった。一目でいいから見たかった。また来てくれないだろうか。
※遅くなりました
掲示板の方へ、日光魚止屋さん、ちゃんちーさん、みずきさん、多希さんへのお返事をしときました。
全くもって遅くなってすみませんです(大汗)。

のちほど
4部屋同時攻撃の話
デリヘルを呼んだ変な男の話
酔っぱらいのお陰でゲッツ!の話
など更新する予定です
0:00-9:00. 10部屋掃除  
今日はOくんとの2人勤務。出勤予定だったTさんが風邪で休んだので、急遽2人勤務になってしまった。1部屋目の掃除途中に3部屋空いたので、4連続掃除が決定した。午前1時半頃、Oくんと次の部屋へ移動しようとすると、腐れFが走ってきた。

腐れF「なんだ?今日は2人なのか?今、モニターを見たら2人しかいないじゃないか。ごめんごめん。次の部屋からリネン籠を入れておくな。その籠は俺が下げるから真っ直ぐ次の部屋へ行っていいぞ。コレを置いたら新しいリネン籠を持って行く」

Oくん&みかやん「すみません。お願いします」

腐れFは、私が持っていた部屋から回収したリネンの籠を奪って控え室へ走って行った。次の部屋を掃除していると、腐れFが息を切らして走ってきて新しいリネン籠を置いて、回収したリネンを持って控え室へ戻っていった。

Oくん「なんか不気味だよね」
みかやん「調子狂うよ。変なの」

4部屋掃除したところでまた2部屋空いて6連続掃除をしようとすると、腐れFが来た。

腐れF「少し休んだ方がいいぞ。2人なのに今日は客が出て出てキリがない。このままだと脱水症状をおこすぞ。休め休め」

Oくん&みかやん「じゃ少し休みます」

控え室へ戻ると腐れFが来た。

腐れF「函館にいる俺の娘が職場で作ったお菓子だ。食べてくれ。俺はハギしてくる」

Oくん&みかやん「すみません。ご馳走になります。」

腐れFは2人分のお菓子を置いて行った。

Oくん「なんだい。おかしいよアイツ」
みかやん「かなり不気味。どうしたんだろね」
Oくん「表向きだけでも愛想良くしておかないとね」
みかやん「またフロントK子に電話で1時間も語られたらイヤだもん」
Oくん「そうそう」

腐れFから貰ったお菓子を頂きながら少し休憩した。そろそろ出動しようとすると腐れFが来た。

腐れF「もう行くのか。すまんな。今、218号室から電話きてよ〜。女が先に帰るって話でよ〜。”お連れの男性と電話を代わって下さい”って言ったら”ぐっすり眠って起きません”って言うんだ」

Oくん&みかやん「あらまっ」

腐れF「”女は精算しないで帰るが男が帰るとき精算してくれる”って話なんだ。マズイだろ。男が起きて”金、持ってない”と言われても困ると思ってよ。”男性と直接お話をしたい”と言ったら”じゃあ、男のイビキを聞かせる”って言って、なんだか”ガーガー”聞こえてたんだけど、それじゃ話にならんだろ」

Oくん&みかやん「で、どうなったんですか?」

腐れF「女と話をしてたら、いきなり男が電話に出て”うるさいぞ!何をモメてるんだ!”と怒鳴られたから、事情を説明したんだ。そしたらよ〜。案の定、男が”俺はそんなに金を持ってないぞ”と言い出して、今度は電話の向こうで男と女がモメだしたんだ」

Oくん&みかやん「へええ」

腐れF「”いずれにしても精算をしないとドアは開きません”と言ったら、男が女に”お前みたいなズルイ女は初めてだ”と言ったんだよ。女も負けずに”初めてって何よ。私の前にも女が居たの?アンタ結婚してから私で何人目?今まで何人の女と不倫してたの?みんなに、お前とは結婚できないけど、いずれはお前と一緒の墓に入りたいって言ってたんでしょ。私だってそんなにお金は持ってないよ。アンタなんかの為にお金使いたくないよ。なんで私が払わなきゃなんないのさっ”って痴話喧嘩が始まってよ〜。待ってたら男が”起こして貰って助かった。このズルイ女に逃げられるところだった”って言うんだ。結局、どっちが金を出したか知らんけど精算して帰ったぞ」

Oくん&みかやん「ふ、ふーん」

腐れF「50代の男女だぞ。金が無いなら不倫するなって。ホテル代を精算して帰って、あいつらの関係も清算したんだろうな。精算して清算だぞ。ははは」

Oくん&みかやん「はあ」

オヤジギャグなのか、名言を残したつもりなのか、腐れFは得意満面だったが、私達の感動が薄かったので腐れFは逃げるようにフロントへ戻った。どうしても腐れFとの会話は長く続かないし、控え室に来られるとそれだけで疲れるような気がする。これがI氏だったらもっと話が弾んだだろうに。どっと疲れた。

0:00-9:00. 12部屋掃除 
今日はOくんとトドとの勤務。毎週月曜日は腐れFが休みなのでフロントはダサ坊だ。最近は毎週月曜日が本当に待ち遠しい。私は先週の月曜日に休みだったので、凄く損をした気分だった。今日は三人とも喜び勇んで出勤してきた。各自、読みたい本や食べたいおやつを持ってきて大荷物だった。

散々まったりと休憩して、午前5時頃に部屋が空いたので出動した。通路へ出てすぐに、お客さんの姿が見えたので、空き部屋の前に隠れて様子を窺っていると、男性客とダサ坊の声が聞こえてきた。

男性はデリヘルさんを待っているが、なかなか来てくれないので、催促して貰えないか?と言うような事をダサ坊に頼んでいた。ダサ坊は「かしこまりました。こちらからも催促してみますが、申し訳ありませんが、お客様の方からも携帯でもう一度連絡を取って貰えませんか?」と言っていた。

ダサ坊が隠れている私達にGO!サインを出したので、男性客に会釈をして通り過ぎ、部屋へ入った。

みかやん「今の男の人、見た?デリヘルさんに頼らなくても、女に不自由しないようなカッコイイ人だったよね。あれ程の美形じゃ、来たデリヘルさんも喜ぶよね。ひゃははは」

トド「ホンマや。かなりの男前やった。今は30代後半やろけど、若い頃ならますますジャニーズ系やったやろな。あんな男前のお客さんばかりやったら、ウチがデリヘルさんになりたいくらいや。若かったらの話やけどな。あははは」

Oくん「ったく。ちょっといい男を見るとすぐ大はしゃぎするんだから。そんないい男がデリヘルさんを呼ぶなんて、ワケ有りに決まってるさ。きっと変態なんだよ」

みかやん「悔しいからって、なんて事を言うのさ」

トド「いや、Oくんの言うとおりかもわからんで。奥さんや彼女にはお願いできひんようなプレイをデリヘルさんに求めるんちゃうか?だとしたら、かなりの変態やで。人は見かけによらんからな」

みかやん「ああイヤだ。せっかく久々に目の保養になるような美形の男を見たのに、イメージ崩れるよ」

掃除を終えて控え室へ戻るとダサ坊が来た。

ダサ坊「さっきの男の人に言われて、デリヘルの事務所へ催促の電話したらさ”ココだけの話ですけど”って大変な事を聞いちゃったよ」

トド「やっぱ変態やったんか?」

ダサ坊「ええっ?凄い!見ただけで変態ってわかったの?」

みかやん「いい男だと褒め称えてたら、Oくんがひがんで変態だ!って言うんだもん」

ダサ坊「デリヘルの事務所の人とさ、電話で仲良くなってちょっとした知り合いみたいになってたんだけど、その人が”生理の子を頼む。血の量が多ければ多い程いい”って言われたって言うんだ。今時の若い子とかあの業界の子ってピル飲んでるでしょ。だからそんなに量の多い子を手配するのは難しいって話なんだ。それで時間かかってるらしいけど、あのお客さんいつもそうらしくて、その店では有名なんだって。結局、休んでる子が出てくる事になったから、もう少し時間かかるみたいなんだ」

Oくん「ほらやっぱり変態だよ」

みかやん「えええっ!じゃあ、その人達が出て来たら間違いなく、その部屋は血まみれって事なんだよね?」

ダサ坊「あっ、それなら大丈夫だよ。”11時に起こして”って言われてるから。A班が掃除する事になるんじゃないかな?それにしても居るんだね。血マニアって言うの?血フェチって言うの?俺には考えられないけどね。Oくんはどう?」

Oくん「俺だって考えられないっすよ。やっぱ俺が思ったとおり、所詮あの手のいい男がデリヘルさんを呼ぶなんてワケありってか、アブノーマルなんすよね」

ダサ坊「そうそう!その点、俺らはノーマルだからね。常識の範囲内なら嫁なり彼女なりと出来るんだろうからね。怖い怖い。怖いよね?」

みかやん「そうとも限らないよ。たまたま性格の不一致で奥さんや彼女と別れたばかりかもしれないし」

ダサ坊「それを言うなら、性の不一致かもね」
Oくん「見た目に騙されちゃダメだよね。男ってのは。。。」
ダサ坊「そうそう。男は顔じゃないよ。だって。。。」

またも妙に意気投合するOくんとダサ坊だった。超美形男の以外な正体を知ってしまい、私とトドは、それはそれはがっかりした。

0:00-9:00. 7部屋掃除
今日はOくんとの2人勤務。出勤してモニターを見ると、空き部屋の方が圧倒的に多く、暇な気配が漂っていた。当然のようにC班が全員12時上がりをしたので、すぐに2人きりになり、早速カップ麺をすすり腹ごしらえをした。日曜は2人勤務というのが定着してしまったが、日曜だって忙しい時はある。2人勤務の時は「忙しくなりませんように。どうか暇で平和な一日でありますように」と、祈るような気持ちだ。

部屋が空いたのでフロントへ、冷蔵庫やコンビニボックスの補充があるか無いか確認した。

腐れF「沢山あるぞ。カップ麺、コーヒー、ビールL2、ビールS1、ワイン、日本酒、ツードッグス、アクエリアスだ。男の方は最初から酔っぱらってフラフラだったのによ、それでも飲んでるんだ。女が先に清算して帰ってよ。残った男へ電話したら、酔っぱらってて話にならないんだ。”俺も帰る”って言うから”タクシーを呼びますか?”と聞いたら”要らない”って言うし」

みかやん「ふーん。近所の人で歩いて帰るつもりなんじゃないの?」

電話を切って、Oくんと手分けして掃除用具と冷蔵庫の補充品を持ち、部屋へ向かった。部屋のドアを開け、私が先に部屋へ入り、Oくんは階段の下でスリッパを直していた。するとOくんが「うわあ!ビックリした〜。す、すみません」と誰かに言っているのが聞こえた。驚いて階段の下を見ると、Oくんがドアの外の誰かと話をしていた。

Oくん「この部屋はこれから掃除をするんですが。。。」

男の声「ん〜?掃除?あれ〜?俺、どこから来たんだっけ?出口はどっち?」

Oくん「出口は中央の両側にあります。大丈夫ですか?」

男の声「ん〜?大丈夫かなぁ?タクシーで帰りたいんだけど。どーしよ?」

腐れF「お客様、タクシーをご用命ですか?只今手配致しますよ」

男の声「うん。じゃあ一緒に待ってくれる?」

腐れF「はい。どうぞフロントでお待ち下さい」

腐れFが男性を連れて行ったようで、Oくんが部屋へ入ってきた。

Oくん「いきなり男の人がドアを開けるんだもん。ビックリしたよ。そしたら酔っぱらいさ。部屋を出たら、出口がどっちかわかんなくなったらしいよ。腐れFがその酔っぱらいを追いかけてきて連れてった」

みかやん「へえぇ。あれっ?こんなに補充品を持って来たのにビールのLを2本しか飲んでないよ。他のは手つかずだわ」

Oくん「やった!じゃあ久々のゲッツ!だね。やったやった!」

大喜びでゲッツ!した補充品を腐れFに見つからないように控え室へ持ち帰るべく、風呂掃除道具が入ったバッグにゲッツ!した物を詰め込み、その上に掃除用のボロタオルを乗せた。やれやれと思ったところへ腐れFが部屋へ入って来たので、危うい所だった。

腐れF「さっきの男がこの部屋から出た男だったんだよ。一度は外へ出たのにまた戻って来たから追いかけたんだ。ようやくタクシーに乗って帰ったよ。最初から酔っぱらって来てるのに、ここでもあんなに飲むから更に酔っぱらってわけわかんなくなってるんだぞ。女には先に帰られるしな。困ったオヤジだよ」

Oくん「ふーん。なるほどねぇ」

腐れF「じゃあ俺、リネン籠を持って戻るからな」
みかやん「あ、お願いします」

最初はゲッツ!した物をリネン籠に入れて持ち帰ろうと思ったが、こんな事もあろうかと風呂バッグに入れて良かった。

Oくん「女の人も清算した時、異常に高いと思わなかったんだろうか?」

みかやん「男があんなんだったから、怒って先に帰ったんじゃないの?」

Oくん「そっか。あの男の人があんなに酔っぱらってくれたお陰で久々にこんなにゲッツ!できたんだから感謝しなきゃね」

重い風呂バッグをさり気なく控え室へ持ち帰り、ゲッツ!した物を取り出した。Oくんは、カップ麺、コーヒー、ビールS1、ワイン、日本酒、ツードッグス、アクエリアスを並べてゴキゲンだった。

Oくん「あんなに酔ってたんだもん。戻って来たり”飲んでない”とか言って来ないよね!俺、お酒以外の物を貰ってもいい?」

みかやん「いいよいいよ!じゃあたしは残りのお酒類を全部頂くね」

泥酔客のお陰で、ビールS1、ワイン、日本酒、ツードッグスをゲッツ!できた。多少、後ろめたい気もするがありがたく頂いて帰る事にした。

「こんな日は2人勤務で良かったと思うよね。三人だったら分け前が減ったもん」と、ご満悦のOくんだった。

若くて美しくて大人しいGさんが、鬼女にいびられ続け「退職した」と聞いていたが、Gさんは昼間の時間帯に移って元気に仕事をしているそうだ。良かった。

社員の男の人(一番若手で下っ端)が私が1人でいる時に、こっそり近づいてきた。

社員「Gさんから聞いたんですけど、レーンの人に問題があるような話じゃないですか。みかやんが体調を悪くしたのも、その人のせいじゃないんですか?やっぱりレーンの人に問題があるんですよね?」

みかやん「私の場合はただ単に膀胱炎で辛かったんですよ。同じレーンには確かに問題がある人はいますけどね。今まで何度も社員の人に問題のある人の事を言ったけど、社員の人は相手にしてくれなかったって話なんで、みんな諦めてるみたいですよ。だからGさんみたいに泣き寝入りして、自分から辞めようと思う人が後を絶たないんじゃないですか?Gさんで三人目だそうですよ」

社員「そ、そうなんですか?いったい社員の誰に言ったんでしょう?じゃあ他の社員も問題がある人が誰か、わかってるって事ですよね」

みかやん「さあ?誰に言ったのかまでは聞いてませんし、他の社員の人も薄々気が付いてはいるんじゃないですか?私なんかは入ったばかりでまだわけわかんないですけどね」

社員「あのおとなしいGさんが涙ながらに”この仕事は続けたいし本当は辞めたくないけど、あのレーンでは無理なんです”と訴え出てきたんですよ。それで驚いて早急にGさんが他の時間帯へ移れるよう手配したんです」

みかやん「じゃ、あなたがGさんを他の時間帯で働けるように手配してくれたんですか」

社員「いえいえ。僕だけの力ではどうにもなんないので、それとなく他の社員に話して協力をお願いしたんですよ」

みかやん「へええ。凄いじゃないですか。Gさんやうちのレーンの人達に成り代わってお礼を言いたいです」

社員「と、とんでもない。この話は内密にして欲しいんですよ。それで今後も協力をお願いしたくて」

みかやん「何でそんな大事な話を私にするんですか?入ったばかりでぺーぺーの私に、どんな協力ができるんですか?」

社員「僕もぺーぺーですから。他の人はみんな、どこかで鬼女と繋がってるんじゃないか?と思うと、迂闊に声をかけられないんですよ。前にI氏が、”何か困った事があったら、みかやんに言うときっと力になってくれるよ”と言ってたんですよ。それで」

みかやん「I氏ったら。。。ん?なんだ、鬼女が犯人だってわかってたんですね」

社員「はい。ですからくれぐれもご内密に」

そこで鬼女に見つかってしまった。社員と新人の私が個人的に長々と話しをするなんて異例の事だ。

鬼女「アンタ、こんな所に居たの?何やってるの?レーン動かすよ!早く持ち場に着いて!」

みかやん「はい。今、行きます。すみません」

一応、自分に非がある事は素直に謝る。持ち場に着くと鬼女が私に探りを入れてきた。

鬼女「あの社員の人と元々の知り合いとか?アンタが入って来た時、社員がみんなアンタに挨拶に来たけど、アンタ、ここの社員と何か繋がりがあるの?ここで働く以上、社員と繋がりがあっても何も関係ないんだよ。勘違いしないでね」

みかやん「繋がりなんか無いですよ。みんな初対面の方々ばかりです」

そこへたまたまI氏が荷物を取りに来て私に気が付き、手を振ってきた。ヤバイ!と思ったが私も手を振り返すと、鬼女は怪訝な顔をして持ち場へ戻った。「ヤバイ!」と思ったのは鬼女の方かも知れない。ちょっとシメシメと思った。
0:00-9:00. 16部屋掃除
今日はOくんとTさんとの勤務。先週の金曜日に続いて2回目の花火大会だったのと、給料日が重なったせいかホテルQは久々の大盛況で、私達が出勤した頃にはC班の人達が疲れのピークを迎えていた。それでも午前1時までにC班の遅番が4部屋掃除してくれたので大助かりだった。出勤時から8部屋連続の掃除をしたところで、腐れFが「少し休んでいいぞ」と声をかけてきたので、少し休憩した。

Oくん「それにしても今夜は生理のお客さんばかりだよね」

みかやん「前々から2回目の花火大会は一緒に行こうね!なんて約束してて、生理だけど取り敢えず花火大会は行くんじゃないの?」

Tさん「今夜は生理の人、大過ぎっすよ。何枚シーツを返品袋に入れたかわかんないです」

Oくん「別に”生理キャンペーン”って、期間中に生理のお客様がシーツに血を付けてくれたら、なんと宿泊代が半額!とか、やってるわけじゃないのにね」

みかやん「そんなキャンペーンはイヤだねえ。まっ、有り得ない話だからいいけど」

再び出動すると、さっきまでは掃除をしても掃除をしても満室になったのに、客足が止まったのか空き部屋が増えてきた。朝方までかかって8部屋連続掃除をしたら、6部屋の空き部屋が出来たので、ゆっくり休憩する事にした。

Oくん「本当に今日は生理地獄だよね。でも、このままお客さんの出入りがなかったら6時で帰れそうだよね」

Tさん「私とみかやんが揃うと生理に見舞われる事が多いらしいっすからね。すみません。でもほんと、団体客でも来ない限り6時帰りで大丈夫っすね。こんな朝方に団体が来るとも思えないし」

みかやん「そうそう。街のラブホと違って、こんな所にお客さんが何組も一緒に来る事なんか滅多にないからね。花火大会の夜なんか、街のラブホでベッドメイクしてる人達は大変だろうね」

Oくん「街のラブホで働いてる人は、今日なんか間違っても普通に帰れないだろうね。でも俺達は帰れそう。たまに土曜の朝に6時に帰れると本当に気分いいよね」

と話していると、モニターから「春が来た春が来た♪」の、お客さんがフロントで部屋を選んだ曲が聞こえてきて、一同ギョッとした。驚く私達に追い打ちをかけるように「春が来た春が来た♪」が計4回聞こえた。さすがに「春が来た」の4輪唱に驚いて「酔った1組のカップルが悪戯したに違いない!」と、通路のカーテンの所へ走り、様子を窺った。

当然1組の男女が居るのだろうと思ったら、複数の人影。20代半ばの4人の男性が、それぞれが選んだ部屋へ向かうところだった。私達の期待は大きく裏切られた。

Oくん「げっ!何だよ。デリヘルさん呼ぶのかよ。何でこんな時間に来るんだよ〜。しかも4人って何事さ」

Tさん「何も4人でつるんで来なくたっていいのに。見たところいかにもモテなさそうな4人だもの。花火大会の夜に今までナンパしてたけど、女をひっかけられなかったんじゃないすか?せっかく6時で帰れると思ったのに、何て事するんだろ。あーヤダヤダ。モテない男って」

Oくん「そこまで言わなくても。。。でもこの後に及んで4人同時攻撃はさすがに辛いね。30分くらいで帰ってくれれば、なんとか6時で帰れるけど。。。」

みかやん「これからデリヘルさん呼ぶんだろうから、30分じゃ無理でしょう。デリヘル初体験で、みんなで来たんじゃないの?ったくなんてこった」

Tさん「きっとそうですよ!ナンパがダメで、デリヘルさんも、みんなで呼べば怖くない!ってみんなで来たんですよ。連れションじゃないんだから!いい大人が何やってんだか!」

Tさんは仕事の掛け持ちを始めたばかりで、人一倍早く帰りたい人だ。この手の話になると、俄然口が悪くなる。

6部屋あった空き部屋が2部屋になったので、午前6時には帰れなくなってしまった。一同ガッカリ。しかしその後は、お客さんの出入りが全くなく、控え室でまったりと休憩できた。来週の金曜日は今年最後の札幌での花火大会だ。先が思いやられる。

0:00-9:00. 11部屋掃除
今日はOくんとTさんとの勤務。午前1時まではフロントSさんが居るので、完璧なハギのお陰で掃除はラクだし、Sさんが居ると楽しい。我々は皆、Sさんのモノマネが出来る。両手首を羽ばたくようにバタバタさせて、甲高い声で「ど〜しよ〜!」と叫ぶとSさんだ。

0:50頃に208号室が空いたので、冷蔵庫やコンビニボックスの補充を確認する為、フロントへ電話をした。

Sさん「あのね。男だけが部屋を出たの。車に乗って帰ったのも男1人なの。すぐ部屋へ電話したんだけど、女が出ないの。どーしよー。ちょっと折り返し電話するね」

Sさんからの電話を待ちながら作業室でリネンを折っていると、腐れFが出勤してきた。暫くして作業室の電話が鳴ったので、Sさんからだ!と思って出ると、腐れFだった。

腐れF「Sさんと一緒に208へ入ってやってくれ。女が1人でいるから俺は入れない」

控え室から通路へ出ると、Sさんがフロントの前で私を待っていた。私が走り出すとSさんは両手首をバタバタさせて「どーしよー」のポーズをしていた。

みかやん「あはは。こんな時に笑わせないで〜」
Sさん「だって死んでたりしたらどうすんのさ〜」
みかやん「Sさんが第一発見者だよ〜」
Sさん「元ナースだけどさ、病死は見だけど変死は見だこどないもの」
(Sさん、動揺のあまり函館弁)

部屋のドアを開けると真っ暗だったので、ドアを開け放ち階段の灯りを頼りに2人でベッドへ歩いた。Sさんが「お客様!」と声をかけるも返事は無し。薄明かりの中、Sさんが両手首をバタバタさせて「どーしよー」のポーズをしているのが見えた。こんな時にこの人ったら面白すぎる!と笑いを噛みしめながら「取り敢えず電気点けてみたら?」と言った。

電気を点けると半裸の女性(推定40代半ば)がベッドに横たわっていて、胸の谷間が見えていた。Sさんが女性客の身体を揺すってみても返事は無し。Sさんは意を決したように深呼吸をしてから、おもむろに女性の手首を握った。何をしているかと思えば脈を確かめていた。さすが元ナース!とも思ったが、笑いがこみ上げて仕方なかった。

女性が目を覚ましてくれたので、男性が精算を済ませて先に帰った事を伝え、タクシーの予約時間等を尋ねてから部屋を出た。Sさんの「どもども!ありがとね!」と言う声を背中で聞いて、控え室へ走った。

Oくん「どうだった?生きてた?」

みかやん「生きてたよ!Sさんったら、あんな緊迫した場面でも両手をパタパタさせて”どーしよー”ってやってるし、いきなり女の人の腕を掴んで何をするか?と思ったら脈をとってるんだよ」

Tさん「あはは!Sさんらしい。脈をとるなんてさすが元看護婦さんですよね」

みかやん「笑っちゃいけないと思うと余計おかしくて苦しかった〜」

また部屋が空いたのでフロントへ電話をしようとすると腐れFから電話がきた。

腐れF「また男だけ先に帰った。さっきみたいに部屋へ入ってくれ」

今度は私が1人で部屋へ入る事になった。部屋のドアを開けると電気が点いていたのでホッとしたが、ベッドを見て飛び上がりそうになった。

全裸の女性がベッドの足側に横にうつ伏せになっていて、片手はダラリと床に落ち、もう片方の手は首を押さえていた。顔の方を覗き込むと口が大きく開いていた。死体のように見えて怖かったが、恐る恐る女性の肩を叩き「お客様!」と声をかけると、死体のような女性が起き上がった。

女性客「ん?ああ。9時半に起こして」
みかやん「はい。かしこまりました」

女性が寝入ったので静かに布団を掛けて部屋を出た。部屋の入口にいた腐れFに「9時半に起こして」と伝えて控え室へ戻った。

Oくん「生きてた?脈はとったの?」

みかやん「生きてたよ。あたしが死体に出くわせばいいと思ってない?脈はとれないから普通に声かけたよ」

Oくん「なんだ。今度こそ第一発見者かと思ったのに」

みかやん「フンだ。それはそうと女の人は真っ裸だったよ」

Oくん「ええっ!行きたかったよ。若かった?」

みかやん「50代で飲み屋のママさんみたいな人。なかなかの巨乳だったよ」

Oくん「く〜。やっぱ俺が行きたかった」

同じ日に二度も生存確認に行くとは思わなかった。今日のように1人が先に帰る場合、部屋に残る人に電話で確認する事になっているが、電話に出なかった場合は直接部屋へ様子を見に行く事になる。お願いだから電話に出てくれ。

0:00-6:00 9部屋掃除
今日はOくんとトドとの勤務。4部屋掃除して控え室へ戻ると、丁度腐れFが出勤してきた。

腐れF「おはよーございますー」
みかやん&トド「おはようございまーす」
Oくん「おはっ。。」

腐れFの妙な髪型にOくんはたじろいでいた。4部屋掃除して戻ったので、取り敢えず少し休憩しようとすると、タイミング悪く部屋が空いた。

Oくん「今、座ろうと思ったのにぃ。煙草半分だけ吸っていい?」

みかやん「ダメダメ!すぐ行くよ!また腐れFが”D班はすぐに部屋に入りたがらない”とか言うんだから」

Oくん「それもそうだね。腐れFが1人居るだけで本当に面倒くせーや。I氏の時はこんな事なかったのに」

トド「ホンマやわ。腐れFになってからホンマ仕事がきつくなったで」

三人でぷりぷり怒りながら部屋へ向かった。Oくんが部屋の鍵を開け、ドアを押さえていてくれたので、私が先に玄関へ入ろうとした時、Oくんの手が滑ってドアが閉まった。ドアの下が私の足の指をかすめ激痛が走った。見ると足の指から流血していた。

みかやん「痛いよ〜。足の指、何本かもげたかと思った」
Oくん「ご、ごめんなさい。どうしよう。凄い血」
トド「腐れFが来てからツイてない事ばかりやで。疫病神や」

更にぷりぷりしながら部屋へ入った。Oくんは洗面&トイレ係、トドは部屋係、私は風呂係だった。

Oくん「その足じゃ無理だよ。俺が風呂を代わるよ」
みかやん「いいよいいよ。そんな重症じゃないから」
トド「うわっ!腐ってる!うわわ〜〜。何やの?」

トドが叫ぶので部屋の方へ行くと、トドが床を指差して固まっていた。床には女性用のパンティーが落ちていた。丁度、股の部分が剥き出しになっているようだった。

みかやん「あら?パンツ?ノーパンで帰ったのかねぇ?」
トド「なんか臭う思たらそれ、おパンツやねん」
Oくん「おパンツ?」
トド「腐ってんねん」
みかやん「パンツって腐るの?」

Oくん「・・・ああっ。おパンツって、お上品なパンツとかゴージャスなパンツじゃなくて、汚パンツって事ね。汚れって書いて」

トド「それやそれや!だから汚パンツ言うてんねん!ごっつー汚れとってな。何日物か何週間物かも知れん」

みかやん「ええっ?熟成されてるの?キモイよ〜。じゃあ忘れ物じゃなくて捨てて帰ったんだね」

Oくんと私の視力は2.0だ。抜群の視力で、臭いが鼻に届かない程度の位置から問題の汚パンツを見てみた。おりものの成れの果てなのか、便なのか、血なのか、茶色い糊を何層も塗ったようになっていて、層と層の間の所々に陰毛が挟まっていた。パンツのミイラというような感じで、見るからに臭いそうだ。

Oくん「おええ。吐きそうだよ。女の人のパンツってこんなふうになるの?」

トド「1日や2日履いたくらいで、こんなんならんで。汚ギャルや汚ギャル!」

みかやん「てか、普通は1日以上同じパンツを履かないでしょ。何日履いたのかな?」

Oくん「風呂上がりにこんなパンツ履けなくない?」
トド「こーゆー女は風呂にも入らへんのや」
Oくん「うわっ。臭そー。臭ってヤレないんじゃないの?」

みかやん「で、コレどうする?捨てていいよね?取りに来ないよね?」

トド「いや。腐れFに”忘れ物や”言うて届けて来るで。丁度、問題の部分を見えるようにビニール袋に入れてやな、ビニールの口を閉じないで持って行く方がええんちゃう?」

Oくん「おっ、それいいね!腐れFなら持って帰るかも?」

みかやん「でー?誰が丁度、問題の部分を見えるようにビニール袋に入れるのかな?あたしはイヤだよ」

トド「ほなウチとOくんとで袋に入れて、ウチが腐れFの所へ届けるわ」

Oくん「えっ?俺?何でー?」

2人でギャーギャー言いながら汚パンツをビニール袋に詰めて、トドがフロントへ「忘れ物です」と届けて逃げ帰ってきた。そんなに意地悪しなくてもいいんじゃないのかなぁ。腐れFの事は適当にあしらって欲しいのになぁ。
0:00-6:00 13部屋掃除
今日はTさんとトドとの勤務。出勤の打刻をしにフロントへ行くとI氏が来ていた。

みかやん「I氏〜。聞いて下さいよ〜。あたしらがちょっと腐れFに辛く当たったら、あのオヤジすぐにフロントK子へ泣きついたらしくて、家にK子から電話がきたんですよ〜。最悪です。K子が腐れFが庇い続ける限りあたしらは浮かばれないっすよ」

I氏「先にK子の方から釘を刺してきたってワケですね。想像以上に酷い展開ですね。単なる世間話みたいにして常務に話しておいた方がいいのかなぁ。でも私が常務に話した事でますますあなた達が辛い目に遭っても困りますからね。ここは慎重に」

トド「ウチらもK子に悪う思われたら損なんで、腐れFの事は適当にあしらう事にしましたわ。また、みかやん所に電話行っても困るしなぁ」

I氏「今、下手な手に出ると危険ですから、暫く我慢していてくださいね」

I氏の出勤時間になり、I氏はホテルPへ行ってしまった。腐れFが出勤してくる時間だ。わざとらしく作業室でリネンを折りながら、腐れFが来るのを待ち受けた。

腐れF「おはよーーー」
一同「おはようございまーす!」

と言って固まってしまった。腐れFは白髪混じりのオールバックだったのに、前髪を下ろして茶髪になっていた。全然、似合ってない。腐れFがフロントへ入って行くのを見届けた。

みかやん「見た?あの髪!なんで茶髪さ?K子は”腐れFが変わればD班も変わる”と腐れFに言うって話だったけど、見た目が変わっただけかい?なんだそりゃ」

トド「よう見とったなぁ。ウチなんかあんなオヤジの事、最初から眼中に無い言うの?前はどんな髪型だったか覚えてへんし、今もどんなんやったか見もしなかったがな」

Tさん「私も目を合わせた事ないし、今も目を反らして挨拶したもん」

みかやん「えええっ?見なかったの?前髪おろして茶髪なんだよ。似合わないったらありゃしない。おええ」

トド「あんなもん。外見変わったから言うて中身まで変わるわけないやろな。ふざけた話や」

あまりの事にOくんへ電話した。

みかやん「ちょっとぉ!腐れFの奴、前髪おろして茶髪になってたんだよ!」

Oくん「いくつだっけ?56才?茶髪ってトシじゃないだろう。ましてオヤジだし」

みかやん「でしょ!キモイったらないのさ。笑えないって」

Oくん「見た目に期待なんかしてないから、中身を変えてくれって。俺、さかつくやって起きてるから、また何かあったら電話ちょーだい」

みかやん「うん。ほんじゃね!さかつくも程々にね」

すっかり脱力してヨロヨロと掃除へ向かった。1部屋目の掃除が終わろうとした時2部屋目が空き、腐れFがハギに入った。ハギが終わったのを見計らって部屋へ行って驚いた。

トド「これ、誰のハギやの?」
みかやん「腐れFしかいないでしょ」

トド「スリッパも揃えてあったし、洗い物も洗面所に下げてあるで。おかしいやろ」

みかやん「K子に”腐れFのハギがお粗末過ぎる”って言ったからかな?」

Tさん「よくぞ言ってくれました。素晴らしいっ」

みかやん「だって、あたし達だけがK子に悪く思われてるのってシャクに障るでしょ?だから洗いざらい言ってやったんだ。”かくかくしかじかで、年長者として尊敬されないのも無理はないです”ってさ」

トド「急にこんなんなるなんて、凄い連携やで。やっぱあの2人はできてんねん!」

Tさん「でもどうせ腐れFの事だから、三日坊主じゃないすかね」
みかやん「まっ。三日くらいは様子を見てやろうか?」
トド「そやな」

あの腐れFをここまで変えるとは、恐るべしフロントK子の威力だ。お陰で調子が狂いっぱなしで変に疲れた。

※工場では鬼女の件で、ホテルでは腐れFの件で、どこへ行ってもムカつく事が多くて、さすがの私も萎える。萎え萎え。。。と思っていたら、とんでもない事になった。

工場のレーンに立つ人は殆どがパートで、各レーンに2人ずつくらい準社員がいる。ウチのレーンではリーダーと、Gさんという20代の若くて美しくておとなしい女の子が準社員だ。ところが、鬼女の攻撃の一番のターゲットが、そのGさんだった。

鬼女は古株でも単なる主婦パートなので、準社員であるGさんの方が格上だ。鬼女より後から入ってきた人が格上で、若くて綺麗となると、あの歪みきった鬼女なら妬まずにはいられないだろう。鬼女はリーダーの次に古いので、自分ではトップ下いやナンバー2と思っているが、リーダーの休みの日は、社員の男の人達がGさんと打ち合わせをするのが気に入らないらしい。

私が入ってからも日に日に鬼女のGさんへの攻撃が酷くなっていった。Gさんを見た最後の日、出勤早々鬼女がGさんに「そんな事じゃ困るわ!ちょっと聞いてるの?返事は?それ以上早く手を動かせない?」と怒鳴っていた。今思えばアレはGさんの最後の抵抗だったのだろう。Gさんは少しふてくされた様子で、多分わざとのろのろと行動をした。

鬼女は恐ろしい早さでリーダーの元へ走り「Gさん何なの?今日は具合悪いの?注意してもダラダラダラダラやってるんだよね!あんなんじゃ明日の朝になるのに」とボヤいていた。私は後ろで聞いていて”出勤早々あんなに怒鳴られちゃヤル気も失せるだろうが”と思っていた。その日を最後にGさんは「体調不良」という事で出勤して来なくなってしまい、その後「退職した」と社員に聞かされた。

遂に鬼女の三人目の犠牲者が出た。何でみんな泣き寝入りするんだろう。それじゃ何も変わらないのに。自分から辞めてしまったら、絶対に損じゃないか?と悶々と悩んだ。

Gさんが辞めて人手不足の為、私が煮物にニンジンを乗せてセロファンもかける事になった。鬼女が一番嫌いで苦手な作業だと言っていた事を、私がやる事になったので嫌がらせなのだろう。

レーンを流れてくる煮物に左手でニンジンを乗せ、右手でセロファンをかける。ニンジンは2枚以上乗せると決まっているが、干せないよう煮汁に漬けてあるのでツルツル滑るし、セロファンは1枚1枚めくりにくい。なのにレーンは止まってくれない。想像以上に面倒な作業だった。初めてなので、どうしても作業が遅れがちになり、私の後ろで蓋を閉める係の人がやむを得ずレーンを止めた。

鬼女「何やってるの!レーン止めないで!動かしなさいよ!ああ、やっぱりニンジンの所で遅れるんだ。アンタねぇ。いちいちレーンを止められちゃ仕事になんないんだわ!それともアンタが明日の朝までやるの?残ってくれるの?ねえ?アンタ、次の仕事があるのに朝まで残れるの?」

この一言が言いたくてわざと私に無理な作業をさせたのだろう。またもブチ切れた。

みかやん「止めたくて止めてるわけないでしょ!私がわざとレーンを止めて何になるの?初めてなのに難しい仕事を押しつけられて、就労時間を無視して1人で朝まで残るなんて、いったいどんな職場?本当にそんな事が罷り通るのか、社員の人に聞いていーい?」

今度、そこへ割って入ったのはリーダーと親しいDさんだった。

Dさん「最初から早くなんか出来るわけないでしょ!新人が居るんだからこっちが合わせて面倒見てあげるのが筋じゃないの?Aさん(鬼女)にだって新人の頃はあったでしょ?リーダー!もう少しレーンを遅くしてもいいでしょ?」

リーダー「あらまっ。こんなスピードだったの?ちょっと席を離れた間に。。。ごめんなさいねぇ。Aさん(鬼女)!新人相手にこんなトップスピードは無理ってわからないかしら?どうしたの?」

普段はおとなしいDさんが私の為に立ち上がり、リーダーに窘められ、鬼女はひとまず退散した。しかし、リーダーとDさんは何故か一緒に休みになってる事が多い。リーダーとDさんが休みの日に鬼女に仕返しされそうだ。全く油断ならない職場だ。
午前9時にホテルQを出て、午前10時には帰宅して布団に入っていた。ウトウトしていると、遠くで電話が鳴っているような気がしたが、そのまま入眠体勢に入った。すると夫に「ホテルQから電話だよ」と声をかけられ飛び起きた。電話に出るとフロント長兼店長のフロントK子からだった。

K子「ごめんね。家にまで電話して。凄く言いにくい話なの。腐れFが”D班は部屋に入りたがらない。俺が言わないと部屋へ入らない”とか”言う事をきかない”とか”何もしない”と言うの。片方の意見だけじゃなくて、両方の意見を聞こうと思ってリーダーのみかやんに話を聞きたいの」

腐れFが昨日の私達の態度を見てフロントK子に泣きついたのだろう。すぐに反論した。

K子「やっぱりこういう場合は両方の意見を聞かないとダメね。腐れFがおかしな指示を出したら”フロントK子に確認とってからします”と言って断って構わないよ。腐れFが見下すような物の言い方をしたら、腐れFは上司じゃないんだし、腐れFに雇われてるわけでもなくて単なる同僚なんだから、こっちも同じような物の言い方をしてやって構わないんだよ」

みかやん「じゃ、そうさせて貰います」

K子「でもね。もう少しだけでいいから仲良くしてあげて。お互い気分良く仕事をしたいでしょ?腐れFも根っから悪い奴じゃないの。ああいう口のきき方しか出来ないから嫌われるの。邪険にしないで逆にこっちが腐れFを利用してこき使ってやる!と思った方が利口よ。トド問題が起こった時はトドが退職しない限りどうにもならないと思ったけど、今は上手くいってるでしょ」

みかやん「それはトドが別人のように変わってくれたからですよ。私なんかがリーダーをやっていられるのも、トドという頼もしい先輩が居てくれるからだと思ってます」

K子「腐れFには”アンタが変わればD班も変わる。アンタさえ変わればD班は受け入れ態勢が整ってる”と言っておくね。D班みたいにチームワークの良い班なんか他にないもんね。リーダーがみかやんになってから、もめ事一つないし、相変わらず仕事は完璧だし、だからD班の人は誰もホテルPへ異動させなかったの。ホテルPのナイトが人員不足だって?そんなのヨソのホテルから回しなさい!って感じさ。ははは」

フロントK子はその後小一時間、延々と私を煽てながら遠回しに「腐れFと仲良くしてあげて」と言っていた。

0:00-9:00. 7部屋掃除
今日はOくんトドとの勤務。早速、今朝のフロントK子との電話のやりとりを2人に伝えた。

Oくん「結局さ。K子は腐れFがどこのホテルでも嫌われてたらい回しになってるのを常務が知ってしまったから、最後の砦のウチで問題を起こしたら腐れFの行く所がなくなって、クビになるのを心配してるだけでしょ?」

トド「K子にしたら、可愛い可愛い腐れFやからな。やっぱあの2人は肉体関係があるんや。なんぼ煽てられても、その手には乗らんで〜。そんな事で家にまで電話してくるなんておかしいやろ」

みかやん「腐れFなんかあれで56年も生きてるんだもの変わらないよ。こんなにまでして腐れFを庇うなんておかしいと思ってさ、いろいろ考えてたらムカついてきて眠れなくなってさ。寝ないで工場へ行ったよ」

トド「そりゃあかんわ。日曜で暇やし寝とったらええんや。それにしてもムカつく話やな」

Oくん「K子が腐れFを庇えば庇う程、反感を買うってわかんないのかね。ああくだらない」

みかやん「あたしなんか寝入りばなに電話きて一時間も語られて、本当に迷惑だったよ」

トド「なんぼウチらがお人好しでも、あんな輩とどないしたら仲良うできる言うねんな」

一同「はあああぁ。ムカつく〜」

あまりにもムカついて無言でいるうちに、もの悲しいようなやり切れない気持ちになった。傷心で部屋へ入ると、お客さんがメモに”近隣のホテルを廻りましたが、ここが一番落ち着きます。建物が少し古い分、しっかりと手入れされていて好感が持てます。お掃除熱心な係の皆さんのお陰でくつろげます。ありがとう”と書き残してくれていた。三人ともなんだかジーンとしてしまった。

取り敢えず、明日から腐れFとは普通に接する事にした。仕事の後にフロントK子から電話がきて、長々と語られてはたまらないからだ。

※かなり危険です

0:00-8:00 12部屋掃除
今日はOくんとTさんとの勤務。部屋が空いて「さて、仕方ないから腐れFへ電話をしよう」とすると、腐れFの方から電話が来て「部屋入れよ!」「部屋どうした?」と言われ、三人とも甚だムカついていた。私はまだ膀胱炎の薬を飲んでいるし、Oくんはお腹の急降下が多いし、Tさんは元々トイレが近い。一度出動すれば、何部屋連続の掃除になるかわからない。出動の前にトイレに行くのは当たり前の事だ。

あまりにも腐れFがしつこくて、Tさんは「1分や2分待ってよ!」、Oくんは「ハギが終わったらすぐ行くよ!」、私は「1人、トイレに入ってるんだよ!」と、腐れFの電話の度に怒鳴った。ムカついて仕事にならないくらいだった。三人とも”怒り”という負のエネルギーにまみれ、イライラしたり怒って部屋へ入ると、とんでもない目に遭うという事も忘れ怒りまくっていた。

その部屋は異常に蒸し暑かった。熱気と共にそこはかとなく異臭を感じたが、鼻づまりで鼻が利かず何も考えずにベッドの布団を剥がしていた。片方の枕カバーには大きな黄色いシミが広がり、もう片方の枕カバーには黄色いシミの手形が付いていた。ビールやコーヒーの空き缶が散乱していたので、飲みこぼしかも?と思いながら更に布団を剥がすと、シーツには擦れた黄色いシミとシッコか潮の大きなシミが広がっていた。

みかやん「いや〜ん。シッコたれたのか潮吹いたのか?わけわかんない黄色いシミもあるし、このシーツ、シミだらけだよ〜」

Tさん「バスタオルにもそれと同じような黄色いシミが付いてるんですよ。何でしょうね?」

Oくん「また俺が臭いを嗅ぐのかい?はいはい。こりゃコーヒーをこぼしたんじゃないの?」

みかやん「じゃO先生。鑑定をお願いします」

Oくん「どれどれ。。。うわっ!いい仕事してますね〜!ってコレ、ウン○だよ!おええーっ」

みかやん「ひえーっ。マジっすか?」
Tさん「ぎゃーーーーーっ!」

Oくんが鑑定している間、Tさんはリネンセットを片付けていた。使用済みのリネンをまとめていると、バスローブの裾に飛び散った下痢のシミを見つけて、絶叫と共にバスローブを私の方へ投げた。

みかやん「うわーっ!そんなのこっちへ投げないでよー」
Tさん「いや、だって。うわっ。臭っ。おええ〜」

三人で用心しながら現場検証をした。シミは掛け布団カバーやシーツの横にも付いていて、リネン籠のバスローブの他、バスタオルにも付いていた。床には絞ったフェイスタオルが転がっていた。

Oくん「ああっ。浴槽の縁にフェイスタオルが掛かってたから絞ったんだよ。油断した。ウン○付いてたらどうしよう。思いっきり絞っちゃったよ〜」

幸いフェイスタオルに怪しいシミは付いていなかったが、ティッシュを1枚も使っていないので、下痢を漏らした後、風呂へ直行したのは間違いない。気の毒な風呂係はOくんだ。私は控え室へおねしょマットとゴミ袋を取りに行って、汚物を全てゴミ袋にまとめる事にした。Tさんはギャーギャー騒ぎながら遠巻きに私とOくんを見ているので、泣く泣く2人で作業した。私がしゃがんでゴミ袋を大きく開いて持った。

みかやん「ちょっと!そおっと入れてよ!バフッ!っと入れたら臭いが上がるし、あたしの手に下痢部分が付いたらイヤだからね」

Oくん「こんなの持ってゴミ袋に入れる方だってイヤだよ。手に付く危険は大きいし、臭いが上に上がるなら俺の鼻、直撃だよ」

ようやく作業を終え床に腰を下ろした。Oくんの推理によるとこんな感じだそうだ。

バスローブに着替えビールを飲み、つまみやアイスを食べて女はお腹をこわした。オナラが出そうになって彼の手前すかしっ屁をしたが、出たのはオナラではなく下利便だった。女は下痢を漏らしたとは気づかずベッドサイドに腰を下ろした時にシーツの横にウン○が付いた。そのままコトにもつれ込んで男が女の下半身をまさぐったその時、手に何かが付いて思わず枕カバーに手を拭ったので、枕にウン○の手形が付いた。

みかやん「じゃ、あのシッコか潮のシミはいつ付いたんだろ?」
Tさん「穴という穴が緩んでるんじゃないですかね?」
Oくん「じゃあ、ヤリ終わってから漏らしたのかな?」
一同「うーーーん」

ふとモニターを見ると掃除に40分もかかっていたので慌てて部屋を出た。控え室へ戻ってから朝まで、三人のテンションは著しく下がったままだった。

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