一昨日は肉体的な疲れ、昨日は精神的な疲れとショックで倒れるように爆睡した。帰宅してすぐに爆睡したのに、起きたら22時半だった。あまりといえばあまりにも寝過ぎ。

昨日のEさんとの話。

Eさん「S君も辞めちゃうって話、聞いてました?」

みかやん「えっ?じゃあ富良野へ行っちゃうんですか?」

Eさん「えっ?富良野って?」

みかやん「えっ?(聞いてないの?)」

Eさん「S君、富良野へ行くんですか?」

みかやん「前にそんなような話を聞いたような気が・・・」

Eさん「そんな事を言ってたんですか。知りませんでした。S君ったらB君にも言わないで、いきなり事務の人に辞めるって言ったらしくて。それもなんだかなぁと思いますし、今、B君が辞めるっていう時に。なんて言うかもう。本当に辞めるのか、いつ辞めるのかも定かじゃなくて」

みかやん「私、明日、S君に直接聞いてみます(ここでウダウダ言っててもしゃーないし)」

Eさん「そうして貰えますか」

全くなんだかなぁな話だ。B君はあんなにS君を可愛がってたのに。私なんかめっちゃS君が羨ましかったのに。B君が辞めると決まった後で、自分も辞めるとは言いにくかったとしても、言わなきゃダメだよ、S君。まずはB君に言わなきゃ。それにしてもS君らしくないよ、どうしたんだろ?

ま、私もここでウダウダ思ってても仕方ないので、明日、S君に聞いてみよう。
あ22:18-8:35 B番

今日はB君がA番で、EさんがC番だった。出勤するとB君が走り寄ってきた。顔色もかなり良くなっていた。

B君「昨日はご迷惑をお掛けいたしまして、大変申し訳ございませんでした」

みかやん「いえそんな(ぶっちゃけ昨日は死にかけました)。もう大丈夫なんですか?」

B君「はい、お陰様で熱も下がりまして無事に復帰したという次第でございまして、昨日は本当に申し訳ございませんでした」

みかやん「いえいえ。病み上がりですし今日も無理しないで下さいね。どうかお大事に」

B君「ありがとうございます」

B君が品出しに戻ると、いつものオッサン(常連さんファイル・その14)が来た。

その14「なんだ。あの男と仲、悪いのか?」

みかやん「いいえ。そんな事、ないですよ」

その14「他人行儀だろ。”ございます”だの”ございました”ってよ」

みかやん「昨日、あの人が風邪で急に休んだのでそのお詫びだったんですよ(てか、他人ですし)」

その14「あいつが休んだのか?あっはっは!オニノカクランって奴だな」

みかやん「それは違いますよ。そんな・・・」

その14「ちょっといい男だけどよ、気取ってるっちゅうか愛想が無ぇっちゅうかなぁ」

みかやん「ポーカーフェイスなんですよ。感情が顔に出ないというか」

その14「なんだ。随分とカタを持つんだな。お前、あいつに惚れたのか?」

みかやん「そうではなくて、頭が良くて仕事が出来て尊敬できる先輩だと思ってるんです」

その14「だーめだ、ダメだ!あいつはやめとけ!あの男はダメだ」

オッサンは「やめとけ!」「ダメだ!」と繰り返し言いながら外へ出て行った。なんなんだ。この話も忘れかけた頃、またオッサンが来た。

その14「あいつ(B君)どうも客を選んでるフシがあってよ。見てると客によって態度が違うんだよな」

みかやん「そんな事、ないですよ。私が苦手なお客さんともにこやかに話してますし」

その14「苦手な客なんて居るのか、どら、どいつよ!」

みかやん「いえ、そうじゃなくて。あの」

その14「でもあいつはやめた方がいいぞ」

みかやん「やめるも何も、そーゆー事ではなくて・・・」

人間的に尊敬するというのと好いた惚れたというのはまた別の話だと力説しても、オッサンは納得がいかないようだった。こんな時に限ってお客さんも来ないのでオッサンから逃れられなかった。何故、力説してるのか自分でも分からなくなってきたし、さすがにオッサンがウザくなってきた。

夜もすっかり明けた頃、オッサンが三たび登場した。

その14「あの位のトシの頃はよぅ(B君の事)正社員でバリバリ稼いで、それがまた楽しい時期なのによ、こんな所にいるようじゃダメなんだ。ココだって時給なんぼのパートなんだべ。バイトよりはいいんだけどよ。あいつだってもう30近いんだべ」

みかやん「(始まった。稼ぎの話だよ。てか、まだ言ってんのかい。もう勘弁してよ〜)あの人、今月いっぱいでココ辞めるんですよね。就職するらしいですよ」

その14「なんだ。そうか。早く言えよ〜。あはははは!俺はまた、てっきりお前があの男に熱を上げたと思ってよ。俺も何を言ってたんだかなぁ。あはははは!いや、トシもお前の方があいつより、ずっと上だべ。俺は心配してなぁ」

みかやん「あの、ちょっとお待ち下さい。”ずっと”ってなんですか!ずっとって!」

オッサン「男と女の場合はよぅ、女より男が年上なのは当たり前みたいなもんだけどよ。女の方が年上ってのは、ちょっとでもずっとみたいに思うもんなのよ、女が男より年上ってのはな。気にすんなぁ。あははは!」

確かに年下好きだけど、オッサンは何をおっしゃるやら。

オッサンを見送って、あたしゃもう本当に疲れた。4度目は見たくないから、今日はもう来ないでくれ!と祈るような気持ちになった。オッサンも悪い人じゃないんだけど、今日は本当にウザいと思ったし、何を言いたいんだかよく分からなかった。

帰りがけにEさんから「S君も辞めるらしい」と聞いた時には、動悸息切れめまいがした。
22:48-9:04 C番  

出勤途中、スーパーを目指して歩いていると後から「おはようございます!」と声を掛けてきた人がいた。振り返るとS君で「すみません!遅刻です!」と言いながら凄い勢いで私を追い越して行ったが、S君はX番で23時半出勤のハズだった。

混乱しながら出勤すると、今日はEさんがA番で、B君がB番、S君がX番の4人勤務だったが、B君が病欠の為にS君がB番になったという事だった。

S君「B君から電話が来て、22時半出勤になったんですけど、二度寝しちゃいました」

みかやん「えっ?B君、どうしたんですか?」

S君「風邪で絶不調で休むって」

みかやん「えええええ〜〜っ!」

S君「俺も”えええええ〜〜っ!”となりましたよ。B君が休むなんて。やっぱ、辞める!と決まったら油断するんですかね。あわわ」

みかやん「責任感が強い人ほどドッと疲れが・・・あわわ」

S君「ですよねーっ!」

B番とC番はペアみたいなもので、近くにいるのでS君がなんだかんだと話しかけてきていた。他の人達は「みかやん、あのね」とか「みかやん」と名前を呼んでから近付いて来るが、S君の場合は無言でまるでお客さんのように近付いてくるので、反射的に「いらっしゃいませ」と言ってしまう。

もう何度、S君に「いらっしゃいませ」と言っただろう。その都度S君が大ウケしてくれるのが救いだ。

朝になり、トラック便が届き、パン業者も続々と納品に来た。明けて火曜、毎週恒例の火曜バーゲンなので届いたコンテナやパンの量がハンパじゃなかった。おまけに今回はパン祭りだったらしく、パン売場付近が全て納品されたパンのバットで埋まってしまった。

火曜バーゲンの為に今日は4人勤務の予定で、本来ならC番の私がパンの品出しをして、X番のS君が洋日配の品出しをするハズだったのに、B君欠勤の為に私が1人でパンと洋日配の品出しをする事になった(滝涙)。

パンの納品量が最も多いN社の業者さんが一番最後に到着した。

N社の人「うわっ!売場、パンだらけだからウチのパンはバックヤードに置いておくかい?」

みかやん「すみません。バックヤードから運ぶ時間が勿体ないので、無理くり売場へ置いて貰えますか?あっちの冷食の方にでも置いて貰えると助かるんですが」

N社の人「もしかして。あんた、このパン、全部1人で出すのかい?」

みかやん「はい」

N社の人「はあっ?何時までに?間に合うの?」

みかやん「パンを出した後、向こうのコンテナ5台分の乳製品の品のピッキングを8時半までにやんなきゃなんないんです」

N社の人「そんな無茶な!あんたの手は2本、足も2本しかないんだよ。無理だろ。酷い話だ!ウチの会社もまぁ人使いの荒い会社だと思ってたけど、ココよりはマシだな。手伝ってあげたいけどオジサンも無理だよ」

みかやん「いえいえ。死んだ気になってやりますから」

N社の人「こんな事してたら本当に命、落とすよ」

みかやん「この会社に骨を埋めるつもりはないので、死なない程度に頑張りますよ。既に虫の息ですけど」

N社の人「まぁ会社で死んだら労災やら香典やらでお宅の旦那は喜ぶかも知れないけど、本人は浮かばれないからなぁ」

みかやん「死にませんて!(笑)」

N社の人「申し訳ない。急いでるんだったよね。それじゃ頑張って!」

話をしながらも作業を続けていたので、話半分に聞いていたが、N社の人は面白いオジサンだった。N社のパンの納品量があまりにも多くて、いつもは無愛想なおじさんが1人で納品するのに、今日はその面白いオジサンと2人での納品だった。私の苦しみを少しでも分かってくれる人がいて、ちょっと嬉しかった。

決死の品出しをしたが到底間に合わず、8時からはA番なのに残っていたEさんと、レジのS君が何度もレジから出て手伝ってくれて、ようやく片付いた。ココの仕事は仕事量が多い上に孤独だが、初めて3人で同じ作業をして、いつもこんな風に仕事ができたらいいのにと思った。

Eさんはとんだ残業になり、S君はレジとコンテナの間を走りまくり、重い洋日配のピッキングで3人ともヘロヘロになった。お陰で8時半から9時までは能面のような顔で接客&レジ作業となった。
21:47-7:04 A番

今日はMさんがB番で、S君がC番だった。台車上や折りコンの品出しもPOP作りも無く、一瞬「ラッキー!」と思ったら、日配冷蔵庫に品出しする日配品がてんこ盛りになっていた。牛乳やら乳製品が30ケースほどと、豆腐や納豆も30ケースぐらい有って、めまいがした。納豆以外は重い物ばかりだ。

冷蔵庫でキャリーに乳製品を4段2列にして8ケース積み、売場へ運んで品出しをして・・を何回繰り返しただろう。乳製品の品出しだけで重くてヘロヘロで、、まだ豆腐や納豆が残っていたが、この時点で既に思考能力が失われてしまっていた。

何も考えずにキャリーの片側に豆腐を4ケース積み、もう片側に豆腐を4ケース積んで売場へ運び、納豆の品出しを始めた。納豆の品出しは順調に進み、キャリーの上には豆腐4ケースと納豆1ケースになった。やれやれと最後の納豆のケースをキャリーからおろしたとたん、キャリーが豆腐4ケースの重みで傾き「ガターン」という物凄い音と共にケースが倒れて、豆腐が売場に散乱した。

「みかやーんっ!」と叫んでMさんが走って来て、続いてS君が「大丈夫ですかーっ!」と叫びながら走ってきた。この2人は本当にいい人達だ。だが、豆腐のパックが破裂して水浸しになっているのと、ケースが倒れて豆腐が散乱している光景を見て、思わず3人で固まってしまった。

尚も固まっている私を後目に、Mさんはモップを持って走ってきて、S君がビニール袋を持って走って来たとろこで、ようやく私は我に返った。

みかやん「すみません!どうしましょう」

Mさん「前にも誰かが同じ事をしましたよ。気にしないで下さい」

S君「俺ですよ。俺、俺。俺の時はシラタキだったんで、もっと水浸しになったし、臭くて臭くて大変でした」

Mさん「そうだ!シラタキだ!シラタキなんて無臭だと思ってたのに、異様な匂いが店内に広がったんでしたね」

S君「はい。臭くて臭くてってか、Mさんはレジに戻って下さい。後は俺が」

みかやん「いえいえ。後は私が。どうもお騒がせしました」

Mさんからモップを奪い取りモップで床を拭いたが、豆腐の水は思ったよりヌルヌルしていて、拭いても拭いてもヌルヌルしていた。しかも豆腐臭い。その間、S君は豆腐のパックが破裂していないか1つ1つ確認しながらケースに入れてくれていた。結局、破損した豆腐は3丁だった。たった3丁でこのヌルヌルとこの匂いとは。

みかやん「S君、すみませんでした。豆腐もなかなか臭いもんなんですね」

S君「シラタキなんかこんなもんじゃなかったですよ。しかもあの時はシラタキの湖と化しましたから」

みかやん「あはは!湖ですか。いえいえ(笑い事じゃない)、破損した3丁はどうすればいいですか?」

S君「こっちは俺がやっときますから、仕事に戻って下さい」

みかやん「す、すみません!ありがとうございます!」

暫くは豆腐売場付近の床がヌルヌルしていたので、お客さんが滑って転んだりしたらどうしよう?と思ってヒヤヒヤしていたが、それもすぐに乾いて何事もなかったかのように油揚げの品出しをしていると、いつも深夜に来る親子(母と娘。2人とも水商売風)が来た。

娘「お母さん、何か、臭くない?」

母「そう言えば何か匂うわね」

娘「なんだろ?生臭〜い」

母「椎茸や切り干し大根の売場なんかも匂うでしょ。いろんな食品を扱ってるから、いろんな匂いがするものなのよ」

娘「そーお?それにしても匂うような気がするけど」

母「気のせいよ」

私の背中越しに2人が会話をしていた。この親子は母親が物凄く腰が低い人なのに、娘はとんでもなく横柄でともすれば喧嘩口調で何かを訴えてくるので要注意だ。この娘に、豆腐をひっくり返した現場を見られなくて済んで良かった。

もし見られていたら「ちょっとお!アンタ、何、やってんのよ!臭くて仕方ないわ!それに滑って転んだら、どうしてくれるのよ!早く片付けて!あーあー、信じられない!」ぐらいに言われたに決まってる。

その後、キャリーのバランスに気を付けながら決死の品出しをして、何とか7時に帰る事ができた。やれやれ。
性別   男   
推定年齢 60代?
特徴   小柄 浮浪者風 帽子 
来店頻度 毎日2〜3回
来店時間 神出鬼没  
お買上品 寿司、ワンカップ、団子  

メモ
ダントツで最もよく見かけるお客様。どこで情報を仕入れるのか、店や近所の事情に異常に詳しく噂好き。話しぶりと厚着の様子から、屋外で細々と働いてらっしゃると思われる。何故か私を気に入ったらしく「じゃあなぁ」「また来るからなぁ」と言ってゴキゲンで帰っていく。私以外の人には無愛想で、みんなに「みかやんファンのお客様」と、ひやかされる。

「ココに朝、よく来てた40代の女。顔を見れば分かると思うけど、パチンコにハマって借金こいて、パチンコ屋の便所で自殺したぞ。新聞には載んないけどな。その女、毎朝、裏のサラ金屋に並んでてよ。夜は毎日閉店までパチンコしてたんだ。顔を見ればって言ったけどよ、もう見れないよな。死んだんだから。あっはっは!」みたいな話をご丁寧に教えてくれる。

A番でレジから遠い所に居ると、かなり長話に付き合わされるが、話のテーマは専ら「金」と「稼ぎ」。
21:46-7:16 A番

今日はEさんがB番で、B君がC番だった。最後に出勤してきたB君が普通に「おはようございます」と言ってきたが、どうにもB君の顔色が気になった。

みかやん「最近、顔色が良くないと思ってましたが、今日は特に顔色が悪いように見えますけど、大丈夫ですか?」

B君「ええっ?そんなに顔色、悪い?」

みかやん「はい。もう最悪です」

B君「ええええ〜っ」

イケメンB君が今日はキョンシーかゾンビ、いずれにしても死人のように見えた。顔色、悪すぎだ。本当に大丈夫なんだろうか?相変わらずバリバリと働くB君を見て、ちょっと安心して私も品出しに精を出した。

しゃがんで昆布やひじきの品出しをしていると、背後から「あのぅ」という男性の声が聞こえたので、「はい。いらっしゃいませ」と言いつつ、元気良く立ち上がって思わず「あらら」とのけ反ってしまった。目の前に居たのは、今まで生きてきた中で実際に見た最高の美青年だった。

色白でキメの細かい綺麗な肌、赤い唇、スッとした高い鼻、きりりとした濃いめの眉、涼しげに澄んだ瞳、まるでタッキーだ。私はドラマ・マザー&ラヴァーで坂口憲二に胸がキュンとなる篠原涼子のように思わず「うっ!」と胸を押さえた。

美青年「すみません。商品名を忘れたんですけど、普通の豆腐みたいに水っぽくない豆腐で、乾いてるのに濡れたような名前で、カチッと四角いの。って。あの、分かりますか?」

みかやん「ええと(なぞなぞかい?)。しみ豆腐の事でしょうか?」

美青年「はいはいはいはい!ソレっ!それです!すみません」

みかやん「しみ豆腐でしたら、こちらです」

美青年「あっ!こんな目の前に!す、すみません!」

みかやん「いいえ〜。いえいえいえいえ。ぜーんぜんです。そんな何をおっしゃるやら。えへへへへ(接客も忘れ素の自分になって必要以上に照れている)」

このお客様には初めてお目にかかったが、こんなお客様なら毎日でも来て頂きたいし、ドライアイの私の目も癒されるだろう。うっとりしながら、しみ豆腐を手にしてレジへ向かう彼を目で追った。心の中で「明日も来てくれるかしら。うふ。。。えっ?・・・ええ〜っ!」となった。

蛍光灯に照らされた彼の髪の輝きは、明らかに人毛の輝きではなく、ナイロン光りしていて、天使の輪の途中から妖しい輝きを放っている。。。という事は部分ヅ○で、一昔前の物か粗悪品だ。いやしかし一昔前からとなると推定年齢25才の彼は幾つぐらいから逝っちゃってたんだろう?お父さんのおさがりだろうか?ドライアイだがカツ○KGBの私の目に狂いはないだろう。

今時は天下のハリウッド俳優だって逝っちゃってるし、日本の俳優だって包み隠さない人が増えた。特に驚く事でもないんだろうけど驚いた。私も髪は少ないし髪の毛は細いしコシもハリもツヤも無い。専属美容師君にも「髪の三重苦」と言われているし、そう遠くない将来にア○ランスイブのお世話になるだろう。言うなれば彼は先輩だ。

彼の為にも私の為にも、カツラKGBの私が見てもソレと分からないような精巧で格安のヅラ開発をして欲しいと切に願う私だった。もしくは植毛の一般化や日常化か。ネイルサロンや美容室へ行くような感覚で植毛に行ったり、帽子のような感覚でファッションに合わせて毎日ヅラを替えるとか。物凄い養毛剤もいいな。私が本当にヤバくなった頃には、そんな時代になってるといいなぁ・・・。

最近の植毛のCM、腕に植毛してグイグイ引っ張ってるやつ、アレはちょっと怖いよね。ヅラやら植毛やら増毛などの、そっち系のCMは随分と増えたけど、実際に「被ってるの」とか「植えたの」とか「乗せてるの」という人にはお目にかかった事がない。

まだまだ秘密裏に行われているようで、決してオープンではない。そういや、朝番の50代女性もかなりきちゃってるのよね。私も50代になる頃には・・・うーん。微妙・・・なんて事を考えていたら、帰る時間が迫っていた。

大慌てで全棚の商品の前出しをして、作業日報を書いて、バタバタと帰り支度をした。

私に様々な事を考えさせてくれた(勝手に考えただけだけど)タッキー風の彼だったが、その後二度と現れる事はなかった(12月31日現在)。残念!
22:19-8:36 B番

今日はEさんがA番で、MさんがC番、B君がX番の4人勤務だった。出勤してレジに居ると、B君に元気良く「おはようございます」と声を掛けられ、最初から絶好調だった。

絶好調と言うか浮かれぎみでレジ作業をしていると、さっき帰ったばかりのご婦人がレジへ戻ってきた。さっきはよく顔を見なかったが、改めて顔を見ると、いかにも”ザアマス”奥様風の方で、お団子ヘアに大きな眼鏡のまるで一昔前の塩沢トキを思わせる風貌だった。

ザアマス「ちょっと。あなた!このお豆腐をスキャンして頂けるかしら」

みかやん「はい。失礼致します。68円です」

ザアマス「おかしいわねぇ。レシートだと78円のお豆腐が2点になってますのよ」

みかやん「大変申し訳ございません。私のスキャンミスです。失礼致しました。10円返金致しますので、恐れ入りますが少々お待ちいただけますでしょうか?」

ザアマス「ええ。待ちますわよ」

あーあー。やってもうた。同じような大きさで同じようなパッケージの豆腐だったが、よく見ると同じ物ではなくて、1つは「絹とうふ」もう1つは「絹豆腐」だった。なんて紛らわしい!いやしかし、そんな事より返金処理をした場合は、お客様からレシートを頂いて”戻り伝票”に貼るか、”戻り伝票”にお客様の住所と名前を書いて頂かなければならない。

私のミスで、こんなザアマス奥様に「レシートをくれ」とか「住所と名前を書いてくれ」とはとても言えない。かと言って戻り伝票にレシートも署名もなければ、朝番の”レジの鬼”の方々に大目玉をくらう。正直言ってお客様より朝番の人達の方が怖い。困った。

みかやん「お客様、恐れ入りますが、レ、レ、レシ、レシ・・」

ザアマス「このレシートが必要なのかしら?」

みかやん「はいっ!お、恐れ入ります」

ザアマス「わたくし、家計簿をつけているので普段は必ずレシートを持ち帰るんですの。でも今日は宜しくてよ。これがなければあなたがお困りでしょうから。どうぞお使い下さいな」

みかやん「ありがとうございます。重ね重ね申し訳ございません」

ザアマス「ほら、レジにお客様だわ。わたくしはもう宜しくてよ」

みかやん「恐れ入ります。では失礼致します」

レジに来たのはペットボトル1本お買上のお客さんだったのですぐに済んで、続いて”戻り”作業と返金レシートを出した。ふと振り返るとザアマス奥様がまだサッカー台で袋詰めをしていたので、戻り伝票を持って走った。

みかやん「お客様、私のミスでご迷惑をおかけしましたのに、助けて頂いてありがとうございました。頂いたレシートをこのように処理させて頂きました。今後、このような事がないよう・・・」

ザアマス「あなた、一生懸命にお詫びをしてくださったから、わたくしもお役に立てて嬉しくてよ。これからも頑張って下さいね」

みかやん「はいっ!ありがとうございます!」

はあぁ。浮かれ過ぎた。

パッと見、とんでもないうるさ型のオバ様で、よく通る大きな声でワイワイと叱られるのかと思った。ヒトサマを見た目で判断してはイケナイ。いいお客様で良かった。私も「嬉しくてよ」な気分だった。

その後、B番だったのでいつもどり1時間の休憩を30分で切り上げて、酒の品出しをしようと売場へ出ると、Mさんがビールの品出しをしていてくれた。

みかやん「Mさん!いつもありがとうございます。あとは私がやりますから」

Mさん「そんな。ダメですよ〜。休憩がまだ30分も残ってるじゃないですか。私がやっておきますので、ゆっくり休んできてくださいよ」

みかやん「Mさんったら、そんな事を言って私を泣かせようとして〜」

Mさん「いえいえ。みんなに迷惑をかけないようにって、いつもB番の時に休憩を切り上げてるじゃないですか。B番は大変なんですから甘えて下さい。さ、早く休憩して下さいよ」

みかやん「そんなぁ・・・。じゃ、Mさんがそこまで言って下さるなら、お言葉に甘えて休憩してきます」

休憩室(ロッカーだけど)へ戻って、何だかジーンとしてしまった。必要に迫られてしてきた事だが、ちゃんとMさんが見ていてくれた。「頑張っていれば、見てる人は見てるから」とよく聞くけど、まさにそのとおりにMさんが見ていてくれた事が、無性に嬉しかった。

オバ様にもMさんにも助けられて、いい一日だった。気を引き締めて明日も頑張ろう。
22:47-9:20 C番

今日はMさんがA番で、S君がB番だった。今日もS君とサッカーの話しをした。

みかやん「S君て、ポジションは?」

S君「DFなんですよ」

みかやん「し、シブイですね(S君、身長165cm位の為、意外だった)。試合って手稲とかあっちの方でやってるんですよね」

S君「そうなんですよ。遠いんで応援も来ないです」

みかやん「今度、私、”GO!GO!S君!”とでも書いた横断幕を持って応援に行きますか?なんだったら元の会社で野球部のチアガールをしてた頃の衣装を実家から取り寄せますよ。今、着たらまさにコスプレですけど」

S君「あはははは!ひゃーっはっはっは!」

みかやん「やりませんよ。コスプレなんか」

S君「みかやんて俺の大好きなカズさんと同じ苗字で羨ましいですよ」

みかやん「S君だって名前はカズじゃないですか。それにしてもカズはS君の世代のカリスマですよね。やっぱキングカズなんですよね。私的にはキングオブトーキョーのアマラオさんでしたけど」

S君「カズさん最高じゃないですか。俺は海外なら某チームの○○が好きです」

みかやん「私はそのチームならカカが好きですよ」

S君「カカーもいいですよね。てか、みかやんも詳しいですね」

みかやん「いえいえ。たまたまです。トシのせいか、だんだん外国人の名前が覚えにくくなって、選手の名前と国とチームがバラバラになるんですよ。カタカナに弱くなったらボケの始まりとかいう話なんで、ちょっと怖いです」

S君「あはははは!ひゃーっはっはっは!」

みかやん「よほど好きなタイプだとか、インパクト大な選手しか覚えてられないんですよ。友達がカンナバーロ似なので、カンナバーロも覚えてられるんです。そんな感じです」

S君「あはは!お友達がカンナバーロ似って、その人、日本人なんですか?」

みかやん「はい。バリバリ日本人で栗沢町の山奥に住んでます」

S君「あはははは!ひゃーっはっはっは!(ツボにハマッたらしく、もう何を言っても可笑しいらしい)」

笑いながらS君が休憩に入ったので、私がレジに入る事になった。S君の休憩時間も終わり掛けた頃、前にもココで何度かお見かけした、蝶○正洋さんにソックリなお客様がレジに来た。金に糸目をつけない買い物の仕方で、本格的で高級なスパイス類や、みかんやバナナのような一般的な果物ではない高級なフルーツや、その他、高級食材を買い込み、こんなスーパーで1万円ほどのお買上になる。

「ごめんなさい。買い物を忘れたので売場へ戻っても宜しいですか?」「ありがとうございます」と、恐ろしく腰の低いお方だった。私の「お箸は?」「袋は?」という問いにも必ず「ありがとうございます」という言葉がまるで枕詞のように付いてくる。何だかすっかり恐縮してしまったほどだ。そこへS君が戻ってきた。

みかやん「S君!S君!今のお客様、知ってます?」

S君「いいえ。ただ随分と蝶○に似た人だなと思って見てました」

みかやん「あの方は、ススキノの格闘ダイニングバーの方で、本物のプロレスラーもよく来るお店なんですよ。それにあの方、深夜のススキノ情報番組にも出演されてるんです。ちょっとH系だったりしますけど」

S君「なるほど。蝶○を意識しないとあそこまでソックリにはならないですよね。で、格闘ダイニングバーって、どんなのですか?」

みかやん「行った事はないんですけど、お店が格闘技のリングをモチーフに作られていて、サンドバックやアームレスリングの台なんかも有るらしいですよ。鉄棒もあってけんすいを何回かするとビールプレゼントってのも有るらしいです。スタミナ料理が多いお店みたいですよ」

S君「面白そうですね!じゃあ、あの方、有名な方だったんですね」

みかやん「はい。”ありがとうございます””ごめんなさい””すみません”で、腰の低さに驚きました」

S君「それは意外ですね。見た目、思いっきり蝶○なのに」

みかやん「でも本物の蝶○さんも笑うと可愛かったり、お茶目な方だったりしますからね」

S君「TVに出てるような人がココへ来てくれてると思うと嬉しいですね」

みかやん「はい。意外とインターナショナルでメジャーなお客様の多い店だったりしますよね」

S君「それは言い過ぎじゃないですか。ふはははは!」

今日もS君と話し込んで仕事が疎かになるところだった。明日、B君をガッカリさせない為にも、黙々と仕事をした。
昨年は忙しさに負けて一枚も年賀状を出さなかった為、今年は早い時期から年賀状作成に取り組もうと、夫と○ッ○カメラへプリンターのインク等を買いに出かけた。

○ッ○カメラ方面にはヨ○バシカメラもあるが、我が家は○ッ○カメラ派だ。いそいそと、プリンターのインク4色と、マック用のCD−ROM付き年賀状の本と、ハガキを持ってレジへ向かった。

夫が何気にポイントカードの事を尋ねると、レジの若い女性が「レジの前に言って!もう遅いって!先に言ってくれないと困るわ!」とブチキレて大声で怒鳴ってきた。何故いきなり喧嘩口調なの?と私もそれはそれは驚いた。私も同様にレジに携わる者だが、これはプロとしてとってはならない行動だ。あまりのことに夫も私も絶句した。

ハッ!ヤバイ!夫もブチキレる。どうしよう(怖)と思った時に、夫が口を開いた。

夫「それは大変失礼致しました。ですがわたくし、そのようなつもりで申し上げたのではございませんので、どうかお許し下さい。申し訳ございませんでした」

レジの女「・・・・・・」

夫がこんなふうに馬鹿丁寧な敬語を使う時は、決まってかなりブチキレている時で、とても危険な状態だ。まさに一触即発の危険をはらんでいる。大変だ!と思った私は、大きくて重い夫を引っ張ってレジから遠い所へ移動した。

夫は誰に言うともなく「何よ!あのブス女!ふざけやがって!あんな馬鹿女をレジに置くな!」と叫んだ。案の定、夫はかなりの勢いでブチキレていた。近くの店員さんが夫の大声を聞いて、恐れおののいた顔をして近付いてきたが、今の状態の夫へ店側の人間の接触は、火に油を注ぐようなものだ。慌てて「大丈夫です」と小声で店員さんを制止した。

尚も夫「フン!ブス女め!顔が醜ければ心まで醜いのか!何だあの態度は!」「何で俺が怒鳴られなきゃならないんだ。こっちは客だぞ。客を怒鳴りつける店員なんて初めてだ!クソ女め!」「こんな店、二度と来るか!今度からはヨ○バシカメラだ!」「レシートを見てみろ!何て名前の馬鹿女だ!」と怒りまくりだ。

こんな時の夫に否定的な事を言ってはならない。「本物のブスだったよね」「客に怒鳴るなんて有り得ないよ。病気だね」「今度はヨ○バシだね」「レシートには○○橋って名前が書いてるよ」と「あんな女、黙っててもそのうちクビになるって。もうね、顔と性格の悪さが災いしてすぐ路頭に迷うよ。ほっとけばいいのさ」と言ってなだめた。

ひとしきり騒いで気が済んだのか夫は無言になった。本当は駅前へ行ったついでに、ウインドウショッピングや食事をして帰ろうと思っていたのに、即、帰宅する事になった。

やれやれ。しかし大事に至らず良かった。

それにしても189cm・90kg(あ、少し痩せたのよ。パッと見、全然分かんないけど)の夫を相手にあのケンマクとは、大した度胸の姉ちゃんだった。私もレジで「クソ女」とか「馬鹿女」と言われないよう、せいぜい気を付けよう。
性別   男   
推定年齢 30代半ば  
特徴   眼鏡を外すとイケメン  
来店頻度 週5〜6
来店時間 朝7時頃 夜11時頃 深夜3時頃  
お買上品 グレープフルーツ  

メモ
朝に夜に深夜に、とにかくよく見かけるお客様。朝と夜はスーツ姿。出勤の時、同じ地下鉄に乗り合わせた事があるので、新札幌方面でお勤めのようだ。普段は何も思わなかったが、一度眼鏡ナシでご来店された時「あらっ!この人って結構イケてたのね」とビックリ。

とても品の良いお顔立ちで、身のこなしがどこか日本舞踊風。なんとも雅な雰囲気を醸し出してらっしゃるが、見方によってはカマっぽいかも知れない。でも、ええとこのボンボンで、日本舞踊を習っていたのだろうと思った方がしっくりくる。お買上品の中に必ずグレープフルーツが有るのが印象的。
21:46-7:08 A番 

今日はB君がB番で、MさんがC番だった。B君に「おはようございます!」と声を掛けると、B君も「あっ、おはようございます」と返事。しかもB君が微笑んでいたように見えた。当たり前の事なのに、これが物凄く嬉しくて俄然張り切って仕事をする単純な私だった。

有線でかかっていた「青いベンチ」を心の中で口ずさみながら、ゴキゲンで牛乳の品出しをしていた。牛乳は棚の一番下の段でかなり奥行きがある。屈んで脇の下の筋がつるほど手を伸ばしてようやく届くぐらいの奥行きだ。

今日も「くえ〜。苦し〜」と思いながら屈んで手を伸ばしていると、背後にムアッとした感じと黒い陰が私にのし掛かってきた。屈んでいる私に覆い被さるようにして、牛乳の棚の上にある商品を取ろうとしている者がいると気が付いた。しかも最初に感じた「ムアッ」とした気配は、忘れもしないラブホ時代によく嗅いだオヤジ臭だった。

ぐえぇ〜。オヤジだよ。普通は屈んでる私の上からじゃなくて横から商品を取るんじゃないの?オヤジ様、勘弁してよ。動けないじゃない。こんな無神経な事をするからセクハラって言われるんだよ・・・ほんの一瞬の間に様々な気配を感じ取り、様々な事が頭をよぎった。

下で屈んだまま固まっている私に、上から「あ、すみません」という声が聞こえた。それは若い男性の声だった。「いえ。こちらこそすみません」と立ち上がって恐る恐る振り返ると、20代半ばの可愛らしい顔立ちの男性だった。

男性「すいません。カツゲンしか目に入ってなくて」

みかやん「いえ、私の方こそ気付かずに失礼しました(てか、あなた。その若さでオヤジ臭とは・・・)」

男性「ふと見たら下に人がいて驚きました」

みかやん「すみません(あたしゃあなたのオヤジ臭に驚くやら嘆くやら)」

男性「じゃ、コレ買って帰ります(ニッコリ)」

みかやん「ありがとうございます(そんな可愛らしい笑顔とオヤジ臭を振りまかれても・・・嘘でしょう?あなたの可愛い笑顔とは裏腹に、あなたの匂いはオヤジそのものよ。なんて事!)」

なんと嘆かわしい事だろう。笑顔の愛くるしい童顔の青年が、オヤジ臭ムンムンで歩いてるなんて。脱力しながらレジへ向かう彼の後ろ姿を見送った。

朝方になってから、事務所のPCの前でMさんに発注リストの出し方を習っていた。そこへB君がレジから走ってきた。

B君「誰かワークスケジュールの用紙を知らない?」

みかやん「あっ!私がファイルの一番上に乗せ・・・」

Mさん「もうB君、行っちゃいましたよ」

私の話もろくに聞かず、B君が事務所を出て行ってしまったので、Mさんも苦笑していた。

Mさん「大丈夫。B君てあーゆー人だから気にしないで下さい。気にしたらキリがないですよ」

みかやん「はぁ。そうなんですか」

そこへB君が舞い戻ってきた。

B君「それ終わったら、誰か俺をトイレに連れてって」

Mさん「えっ?連れて行くんですか?」

B君「いや、トイレに行かせて。限界だから。あははは!」

Mさん「あはは!どうぞ行って下さい。私達もう戻りますから」

私も同席している所で、B君があんなふうに冗談を言ってるのを聞いたのは久しぶりだ。何となく函館のデパガ時代の上司を思いだした。最初は口が悪くてぶっきらぼうで何を考えてるのか分からない、とんでもない上司だと思っていたが、後になって本当は熱血漢で誰より部下思いなのにシャイな為に凄く損な人だと分かった。B君もその上司と同じタイプかも知れないと思った。

函館時代のその上司に一番反発したのも私だったが、一番最初に親しくなったのも私だった。その上司が私に最高の評価”S”をつけ続けてくれたから、同期の中でも一番給料が高かったし、私が札幌で正社員で働けるようになったのも評価Sが効いたのだった。

その上司には「この馬鹿者!」「お前って奴は!」「何をやってるんだ!」と、散々に罵倒されていたが、若かった私は「うるさい!」「アンタこそ!」と反撃しつつ何とかくらいついていた。当時はその上司に本気でムカついていたが、今となってはいい思い出だ。

その上司は働かない係長が多かった中、ヒラ社員のように身を粉にして働いていたし、よく気が付いて懸命にフォローしてくれていたし、その辺の係長とは比較にならないぐらい頭の良い人でもあった。B君とよく似ている。無性にB君とも仲良くやっていけそうな気がしてきた。
22:18-8:33 B番

今日はMさんがA番で、S君がC番だった。土曜の夜なので店内には若者が多く、賑わっていた。レジに居ると、店の奥から奇声が聞こえてきたが「若者たちが、はしゃいでいるんだろう」ぐらいにしか思わなかった。ふと見ると警備さんの姿がなく、Mさんも見当たらなかったのが多少気になった程度だった。

少し経ってからレジに若い女性が来た。

若い女性「あのっ!誰かがお店の商品を勝手に食い散らかしたようですよ」

みかやん「ええっ?」

若い女性「あっちの奥(肉売場の方)に、食い散らかした残骸があって、汚いです」

みかやん「知らせて頂いてありがとうございます。すぐ確認します」

「すぐ確認します」と言ったものの、レジ付近にお客さんが多くてレジを離れるわけにはいかなかった。そこへMさんが通りかかったので呼び止めた。

みかやん「肉の方に誰かが食い散らかした残骸があるそうです」

Mさん「ええっ!今、とんでもない酔っぱらいが警備さんに取り押さえられて事務所に居るんですよ。で、通報しましたんで、もうすぐ警察の方が来ると思うんですが、きっとその酔っぱらいの仕業ですね。ちょっと見てきます!」

今度は事務所の方から奇声が聞こえてきて、見ると若い男が事務所から出ようとして警備さんに押さえられていた。何となく私は酔っぱらい=中年オヤジと思っていたが、その男は10代かハタチそこそこだった。暫くしてドヤドヤと警察の方々がお見えになった。やはり若い男は未成年だったので、一同、男の保護者が来るのを待った。

男を迎えに来たのは、お祖父さんだった。ご高齢なのにこんな夜中に警察に呼び出されて、何ともお気の毒だった。お祖父さんは申し訳なさそうに、男が無断飲食したギョーザとかんぴょう巻と唐揚げの代金と、男が万引きしていたツナ缶とマヨネーズの代金を支払った。

お祖父さんが支払いを済ませると、男が警察の方に連行されて事務所から出てきた。相変わらず奇声を発していて、警備さんに掴みかかろうとするのを警察の方々に取り押さえられていた。あまりの事に店内は騒然とし、お客さん達も固唾を呑んで男が連行されていくのを見守った。

Mさん「全くもう!A番なのに全然仕事になりませんでした。ナマのギョーザを食べてたんですよ。有り得ませんから!中の肉が生で赤いのに食べてたんですよ!最悪です」

S君「あはは!でも、ツナ缶とマヨネーズを万引きって、酔ってない人の犯行みたいですよね」

みかやん「あはは!確信犯でしょうか?愉快犯でしょうか?」

S君「あはは!でもシラフじゃ生のギョーザを食べれないですよね」

S君&みかやん「あはははは!」

Mさん「じゃ、私、戻ります!」

S君と私は相変わらず笑っていたが、警察を待ち保護者を待ち、残骸を片付け会計をした為に全く仕事にならなかったMさんは憮然として品出しへ戻って行った。

やれやれとレジに戻ると店内に居たお客さん達に「今の人、何?」「万引き?酔っぱらい?」「何かあったの?」と質問ぜめにあった。

私は一人一人に生ギョーザの事や万引きの事を話した。お客さんの話によると、その酔っぱらいは地下鉄の中でも大騒ぎしていて、かなり目立っていたそうだ。

ようやく警察や酔っぱらいを見たお客さん達が居なくなって暫し放心状態になっていると、目の前の壁にポスターが貼ってあった。「ナイト人員募集!」と書いてある。あまりの激務に遂に人員を増やしてくれるのだろうか?とS君に聞いてみた。

S君「えっ?誰からも何も聞いてないんですか?」

みかやん「はい。誰からも何も聞いてないですよ」

S君「B君が今月いっぱいで辞めるんです」

みかやん「ええ〜〜っ!あたしゃてっきり、あまりにも大変だからって人を増やしてくれるんだと思いました」

S君「だと良かったんですけどね。B君は前から就職決めて辞めたいとは言ってましたけど」

みかやん「いやS君じゃなくて良かったと言うか、あわわ」

S君「お陰で俺、辞められないですよ。あわわ」

S君&みかやん「あ、あは!あはははは(苦笑)」

生ギョーザを食った酔っぱらいにも驚いたが、B君が辞めるだなんて二度ビックリだ。B君が辞めてしまうだなんて、何と言ったらいいか。また暫く放心状態になった。
22:46-9:04 C番 

今日はEさんがA番でS君がB番だった。C番だったのでバックヤードから菓子を運んでいる途中、肉コーナーの前を通りかかると、何か色鮮やかな商品が目の隅に映った。地味な彩りの肉コーナーの中で、一際目立つこの派手な色合いの物は何だろう?と見ると、それが先日血眼になって探した(11月3日の日記)煮込みハンバーグソースだった。

「あぁこんな所に・・・なんてこった」と脱力してしまった。先日は焦って様々な所を探したが、肉のコーナーで挽き肉と一緒に売っているとは考えつかず、急に恥ずかしくなった。今度、ヤンパパさんに会ったら知らせなければ。恥の上塗りだが仕方がない。

異常にレジが忙しく、飲料の準備をしながらも何度もレジに入った。レジは忙しいというのに、昼番の人が飲料や米や酒の納品を放置して帰った為に、バックヤードが足の踏み場も無い状態になっていて、泣く泣くC番の私が片付けるハメになった。40袋もの米を片付け、数十ケースの酒や飲料を片付けながらも、レジの方をチラ見して、レジが混んできたらレジへ走りを繰り返してヘロヘロになった。

「昼間の人達はあたしを殺す気かい?もう走れないよ」と泣きそうになりながらレジへ走ると、レジに来たのはいつも来る吉沢悠君似の男の子の一派だった。吉沢悠君似の一派とは、いつも22時過ぎに仕事帰りに弁当を買いに来る3〜5名の若手社員のご一行様で、「この会社、絶対(社員を)顔で選んでる!」と思うほど、みんなイケメン君で、しかもみんなニコニコと愛想が良い。

どんなに忙しくても、吉沢悠君似の男の子の笑顔を見ながら一言二言会話をすると、かなり癒されたりする。しかも、この子達は律儀にニコニコと「ありがとうございます」と言って帰っていくので、どんな会社にお勤めで、どんな教育を受けたのか一度聞いてみたいものだ。

走って走って身体はオーバーヒート気味で、頭から湯気を出しながら「昼の奴らめ!バックヤードはキッチリ片付けて帰りやがれ!」と怒りだすところを、今日も吉沢悠似の一派に救われた。地下鉄の最終が最寄り駅を通り過ぎた頃に、ようやく少し暇になった。S君との会話で課長の話になった。

みかやん「思いがけない所で課長に会ってから、何かと話しかけられるし、私がA番の時は電話を切り替えてくれるので大助かりですよ」

S君「えっ?飲み屋とか?」

みかやん「いえ。厚別競技場です」

S君「もしかしてサッカーですか?」

みかやん「はいっ!」

S君「俺がココの面接を受けた時、面接担当が課長だったんですよ。俺はサッカーの事を語ったのに、課長は俺には何も言いませんでしたよ」

みかやん「課長は学生時代に15年ぐらいサッカーをしていたそうですよ。来年は一緒に赤黒の試合を観戦する事になりました」

S君「ええっ!めっちゃ仲良しじゃないですか。実は俺、社会人サッカーをやってるんですよ。その事を課長に話したのに」

みかやん「S君ていい人だと思ってたらやっぱりサッカー好きだったんですか。私の友達も社会人サッカーをやってて、1人は室蘭大谷卒の人が居るチームでMFをしてて、もう1人はまだ大学生なんだけどNTT系のチームのキーパーをしてて、もう1人は監督がフランス人のチームでFWやってるんですよ」

S君「俺は、○部チームのFC○○○○ってところにいるんです」

みかやん「ああっ!友達の対戦表で見た事があります!インパクトが有るチーム名なので覚えてますよ。みんな元ヤンなのか、みんなゾク上がりのチームなのか?と思いました」

S君「あはは!うちは元ヤンチームでもゾク上がりのチームでもないですけど、監督がフランス人のチームって凄いですね」

みかやん「もっと凄いチームは韓国あたりへ遠征してるそうですよね」

S君「ええっ?札幌の社会人チームで?海外遠征ですか?知らなかったです」

みかやん「私も聞いた時は驚きました」

仕事も忘れすっかりS君と話し込んでしまったが、お互い忙しい身の上だった。お陰で朝になっても、お互いの持ち場がメチャメチャだった。たまにはこんな日があってもいいだろうさ・・いや良くない。S君と顔を見合わせて苦笑した。
一昨日は発注の時間が無くて帰りに大急ぎで発注をして、昨日はB君の事でモヤモヤしながら仕事をしていて8時過ぎまで帰れなかった。疲れてはいたが気分転換に夫と札幌駅方面へ出かけた。

いつも行くお店にたまたま有ったジーンズに一目惚れしてしまった。「ほ、欲すぃっ」と思い、その場を離れられない私に夫が「履くだけ履いてみたらどうだ」と言ってくれた。履いてみる時に恐る恐る値段を見てみると”11550円”。例によって私の所持金は2千円弱だったので、買えるワケはないが履くだけ履いてみた。

ずっと自分にストレート系のジーンズは似合わないと思っていたが、そうでもなかった。フィッティングから出た私を見て、夫も驚いた。夫的には「高価だし、ストレート系だし、履いて似合わなくて諦めるだろう」と思ったらしい。

夫「仕方ない!買ってやる!」

みかやん「ええーっ!本当?わーい!」

夫「その代わり、結婚記念日は何も無いぞ」

みかやん「は〜い♪」

履いてみてあまりにもラクチンだったので、履いて帰る事にした。

夫「今までストレートって全然似合わなかったけど、それだけは似合うな。やっぱりジーンズでも高いジーンズは違うな」

みかやん「こんな高価な物をありがとう。やっぱり足が長いから似合うのかな?」

夫「それは違う!(即答)」

夫に買って貰ったジーンズの中で一番高価なのは3万いくらの物だ。貧乏性なのでさすがにソレはおいそれとは履けず、天気やその日の運勢を見て履いたりしている。

その後、今日の外出のメインであるコムサストアへ行った。夫の同僚6人の誕生日プレゼントを買う為だ。それほど大所帯の職場ではないのに、11月に誕生日の人が6人も居るのは異常だ。コムサストアのメンズコーナーで物色していると、何か分からないが違和感が有った。

私が1人でレディースの方へ行くと「いらっしゃいませ」「よろしければご試着・・・」と、しきりに店員さんに声を掛けられるが、夫とメンズの売場にいると店員さんが誰1人声を掛けてこないし、近付いても来ない。非常にあづまし〜い状態だった。

みかやん「あはは!口が裂けても”試着”だなんて言えないから、店員さんが寄って来ないよ」

夫「俺が着たらセミの幼虫みたいに背中バリッと裂けるからな。あはは!」

普段5LもしくはXXLサイズの服を着ている夫には、コムサイズムのLサイズなど着れるワケがない。逆に夫が「コレ、着てみてもいいですか?」などと言おうものなら、店員さんもさぞ狼狽えるだろう。商品の破損を防ぐ為にも夫には近付かないのが懸命だ。。。と思っていた。

店員さん「いらっしゃいませ〜。よろしければご試着も出来ますよ〜」

夫「着れないっしょ!」

みかやん「あーっはっはっは!ひゃーっはっはっは!無理!」

店員さん「お客様、笑いすぎですよ」

みかやん「だって、あまりにもチャレンジャーなんだもの。あはははは!」

夫「本当に着ていいの?」

みかやん「きゃーはっはっはっは!」

店員さん「お客様、もう笑いすぎですってば」

夫と2人で死ぬほど笑った。笑って笑ってお腹が空いたので、カラオケランチ2時間1人600円の店へ行って思いっきり歌った。

いい気分転換になった。明日からまた頑張ろう!
21:46-8:16 A番

今日はB君がC番でMさんがB番だった。A番の時は全然お客さんと縁が無くてちょっと寂しかったりするか、ボケ爺さんやボケ婆さんにワケの分からない事を尋ねられて困惑するかどっちかだが、今日は常連さんファイル・その7のヤンパパさんに話しかけられた。

ヤンパパ「煮込みハンバーグのソースって有りますか?」

みかやん「はい。有りますよ。こちらです♪」

相手はイケメン君だ。いそいそと、しかもにこやかに焼肉のタレやしゃぶしゃぶのタレの売場へご案内した。

みかやん「はい。こちらに・・・あれっ?」

自信満々でご案内してきたのに、タレの売場には煮込みハンバーグソースは無かった。気を取り直して裏側のパスタやパスタソースの売場へご案内した。

みかやん「失礼しました。こちらで・・・ええっ?」

そこに有ったのは煮込みハンバーグソースではなくて、単なるデミグラスソースだった。内心はかなり焦っていたが、冷静なフリをして「すみません。探してきますので少々お待ち下さい」と言って、今度は1人でソース類の売場へ走った。

「そうだそうだ。煮込みハンバーグのソースなんだもの。最初からソースの売場へ来れば良かったのよ。やーねー私ったら。。。あっれーー?無い!」もう背中にタップリとイヤな汗をかいた。それにしてもおかしい。確かに煮込みハンバーグソースが売っているのを見て「今度、買ってみよう」と思っていた。あれは夢だったのだろうか?いや、いくらなんでもまだそこまではボケてないハズだ。

試しに缶詰やピン詰めの売場も見たが、やはり煮込みハンバーグソースは無いし、海苔やかんぴょうに紛れてるとも思えないし、ましてラーメンのコーナーに有るとも思えない。完全にパニくった。イケメンのヤンパパさんには何と答えて良いか分からない。

みかやん「お客様、申し訳ありません!煮込みハンバーグソースは確かに取り扱っておりましたが・・・それが・・・何と申しますか・・・」

ヤンパパ「いえいえ。いいですよ。いいですよ」

みかやん「大変申し訳ありません!」

ヤンパパ「いいですいいです。大丈夫です」

ヤンパパさんは物凄い笑顔を見せてくれたが、笑顔の口元を見ると前歯4本が全部見事なみそっ歯だった。思わずハッ!と息を呑みつつ深々と頭を下げた。そう言えばヤンパパさんはトビのズボンをはいて来た時があった。トビって事は「シンナーですか?」と聞きたいが聞けるワケもなく、「ヤンパパさん、そりゃないよ〜。イケメンなのに勿体ないよ〜」と思いながら、ヤンパパさんを見送った。

それにしてもヤンパパさんは毎日ご来店される。もしかしたら上のマンションに住んでいるのかも知れない。前までは「でも奥さん野○ですから!残念!」と思っていたが、「でも前歯が全部みそっ歯ですから!残念!イケメンヤンパパ斬り!」みたいな感じだ。あーあー。

ヤンパパさんは私の慌てぶりを見て可笑しかったようだ。前にB君にも「パニくってるのが一目見て分かる。実に分かり易い!あはは!」と笑われた事があった。もういいだけ大人なんだから、いざという時も冷静沈着で居たいものだ。

今日はB君と全然、縁がなかった。遠くでB君と警備さんが談笑しているのが見えたり、遠くでB君がMさんと話をしていて大声で笑っているのが見えたり聞こえたり。最近、少しだけB君との距離が縮まったかな?と思っていたのに、また遠くへ離れてしまったような気がした。

普通にB君に挨拶したら、久しぶりに丸無視された。私の事は無視しておいて、Mさんや警備さんにはB君から積極的に話しかけて大声で笑っている・・・という姿を私に見せつけたいみたいだ。何度も言うが、その手の心理のメカニズムを私はどう解釈して良いか分からないし、そんな遠回しなひねくれたようなやり方を理解したいとも思わない。

B君の事を理解したいと思ったし、何度も思い直してB君を悪く思わないようにしていたのに、手に負えない。それとも私の被害妄想で、私の方がひねくれてるんだろうか?

はあぁ。面倒臭い男。
22:18-8:48 B番 

今日はEさんがC番でS君がA番だった。出勤してまもなく、見慣れない警備員さんが現れた。若くて凛々しいお顔建ちだ。その警備さんに「はじめまして。○○と申します。今後は度々こちらでの勤務となりますので、宜しくお願い致します」とキビッと言われて、ちょっとたじたじしてしまった。

随分前に同級生の結婚式に出席した時、結婚式のしおりに同級生(新婦)が新郎の第一印象について「牛若丸みたいと思った」と書いてあったが、「アンタ、牛若丸に会った事あるのかい?牛若丸ってどんな顔さ?源の誰だっけ?義経?」と思った。その時はそう思ったが、この新しい警備さんは、まさに牛若丸みたいな感じだった。

だって京の五条の橋の上に居そうな顔・・・いや、それは弁慶だった。その後、歌の中で弁慶と牛若丸がどうなったか分からない。その歌を唄うと何故か「京の五条の橋の上〜 大の男の弁慶は〜 助けた亀に連れられて〜竜宮城へ〜」となってしまう。

話が逸れた。

レジに50代の男性が来て、レジ作業をしているとふいに話しかけられた。

男性客「前にレシピ集みたいのがが置いてあったんだけど、もう無いのかい?」

みかやん「えっ?レシピ集ですか?(嘘?そんなの有ったっけ?どこに?)」

困惑しているとレジに次のお客さんが来て更に困った。すると牛若丸が走って来た。

牛若丸「失礼致します。お話の途中でしたが、それはどういったレシピで、どの辺にあった物でしょうか?私が探してみます」

男性客「あぁ助かるよ。漬け物のレシピ集だったんだけど、凄く分かり易くていいレシピだったんだ。その時に頂いて帰れば良かったんだけど、つい忘れてしまって」

牛若丸「はい。それでは探して参ります」

するとS君が、そのレシピ集をどこからか大量に持って来た。男性客は「あぁコレコレ。ありがとう!」と大喜びで帰っていった。それにしても牛若丸もS君も地獄耳なのか?牛若丸のファインプレーに助けられた。今までの警備員さんとは、ちょっと違う。「おぬし、なかなかの使い手」とでも言いたいところだったが「ありがとうございます」と、お礼を言った。

無駄に喋って役に立たないウザ爺とは大違いだ。牛若丸こそ私が求めていた警備さんだ。かなり感動した。

一方、今日のS君はチョロチョロと私の所に来ては何かと話しかけてきて「キャッキャッ」と笑って、大はしゃぎだった。暫くして蛍光灯の交換をしていたS君が、蛍光灯を落として木っ端微塵になった。その時も牛若丸が「怪我は有りませんか?」と走って行った。牛若丸は素晴らしい。S君、はしゃぎすぎ(笑)。

朝になり、普通にレジをしていた。

みかやん「869円頂戴します」

男性客「じゃ、千円からお願いします」

みかやん「はい。千円お預かりしま・・・えっ?」

私は見た事がない千円札を手にしたまま固まってしまった。「何コレ?千円って書いてるけど千円なの?ん?て事は千円だよ。いいんだ。千ウォンでも千バーツでもなく千円って書いてるんだから」と、とっさに頭の中がごちゃごちゃになった。

男性客「それ、新しい千円札なんですよ。5千円札も一万円札も、もう新札ですよ」

みかやん「そうだったんですか。すみません。世間の事にはとんと疎くて、お恥ずかしい限りです」

男性客「もしかしてニセ札と思いました?」

みかやん「はい!」

男性客「ニセ札を作るなら、こんなアリアリと”違う!”と分かるものを作ったりしませんよ」

みかやん「あっ!それもそうですね」

男性客&みかやん「あはははは!」

男性客「前から言おうと思ってましたけど、あなた面白い人ですよね」

みかやん「ええっ?」

男性客「覚えてないかな?前に一緒に物を探してくれて”なさげですね”って言ったら”なさげと言うかズバリ無いですね”と答えてましたよ。それにレジ袋の事を”袋的な物”とも言いました。シャレてますよね」

みかやん「すみません!思った事が勝手に口を突いて出てしまう事が多いんです。悪気はないのですが失礼な返答をしてすみません」

男性客「いえいえ。正直な証拠ですよ。これからも明るく頑張って下さい」

みかやん「はい。ありがとうございます」

ふと見ると、牛若丸も微笑んでいた。頼もしい警備員さんが来てくれて本当に良かった。
Oくんから電話がきて「他店を偵察に行きたいので着いてきて欲しい」との事。パチンコ店で働き始めたOくんが、自宅近くのパチンコ店は偵察済みなので、私の家の近所にあるパチンコ店を攻めたいと言う。単に寝ていただけだったし、我が家は近所にある2つのパチンコ店の丁度真ん中ぐらいの所にあるので付き合う事にした。

まず近所のパチンコD店。

みかやん「あらまっ。前に来た時は端っこのシマ1つぐらいしかスロットがなかったのに、今はこんなにスロットのシマが増えたんだぁ」

Oくん「今はスロットの店があるぐらいだからね。若い奴なんか殆どスロットだよ」

みかやん「あたしゃスロットって1回ぐらいしかやった事ないけど、あんな爺さん婆さんがスロットやってるよ。目押しできるんだろうか?」

Oくん「大当たりした時に店員を呼べば、チャッチャッチャッって目押ししてくれるんだよ。あの爺さん婆さんだって意外とスロットの出始めの頃からやっててプロ級かも知れないし」

みかやん「ええっ?目押しできるの?」

Oくん「俺はまだ出来ないよ。だからスロットのシマは担当してない。友達がスロットの台の会社にいるから今度、貰う事になってるんだ。それで練習する予定だよ」

みかやん「スロットって1回で懲りたんだよ。メダル3枚入れてバー押して3回ボタン押してさ、両手使って大忙しで、せわいしない印象しか残らなかったよ。いろんな音が鳴っても何が起こってるんだかよく分からなかったし。あたしゃやっぱりパチンコ派だね。ラクだし分かり易いし。古い人間だよ」

Oくん「パチンコの方が運試し的な要素が強いんだよ。スロットの方は設定があって設定が読めれば確実に大勝ち出来るからね。その分、ギャンブル性が強くて素人がボロ負けしたり大勝ちしたりするんだ」

みかやん「達人クラス以外の素人はやらない方がいいんでしょ」

Oくん「そうだね。達人になりたきゃ自分に投資しろって感じかな。達人になる為の投資と思えばいいんだよ」

続いてパチンコK店へ。この店はD店より新しくて雰囲気がとても明るくてお洒落。

みかやん「ここの店員さん、お辞儀の仕方が変だよ。デパート仕込みのお辞儀の仕方を教えてあげたいね」

Oくん「俺んとこもあんな感じかな?後礼って言って”いらっしゃいませ”って言ってから頭を下げるんだよ」

みかやん「アトレイ?変なの。お辞儀は腰から倒すんだよ。背中だけ丸めて変なお辞儀」

Oくん「あれでも毎日練習してるんだろうさ。そういやお互い、ラブホの時は他店見学ってしなかったよね。トドだけか」

みかやん「でもOちゃんはホテルQにホテルSにホテルRにホテルKに新ホテルQで5件見学したようなもんだよ。あたしはホテルRやホテルKでは仕事した事ないもん」

Oくん「仕事じゃなくてさぁ、やっぱ客として見学したかったよ。んでトドみたいに”あの店はこうやった””あのラブホはああやったで”って言ってみたかったよ」

みかやん「行ってみりゃ良かったでしょ。男友達と。あはは!」

Oくん「有り得ないから!」

みかやん「あははは!」

Oくん「俺ん家に男友達が3人泊まった時、1人は俺と同じ布団だったんだよ。背中向けて寝たハズなのに朝方になったら、俺のケツに固いモノが当たっててさ、ソレが何か分かったとたん、ざわわわわ〜って鳥肌が立って一瞬にして目覚めたよ。友達に罪はないんだけどさ」

みかやん「あはは!お互いサマなんじゃないの?」

Oくん「ま、ラブホ時代に”他店見学”って聞いた時はワクワクしたけど、パチンコ屋の他店見学って全然俺の心をくすぐらないんだよね」

みかやん「やっぱり我々にとって今の職場は健全過ぎるんだよ」

Oくん「マジそんな気がしてきた」

結局、パチンコもスロットもやらずに、パチンコ店の中でコーヒーを飲んで一服して新聞を読んで帰ってきた。かなり変な客だったと思う。
22:48-9:12 C番

今日はS君がA番で、MさんがB番だった。先日、B君に「Mさんが発注する持ち場が多すぎるので協力して」と言われ、Mさんに申し出てみた。

みかやん「自信があるワケじゃないんですが、B君にも言われましたので、Mさんの発注箇所を私に分けて頂きたいんです」

Mさん「ええっ!本当ですか?有り難いです〜。でも大丈夫ですか?大変になりますよ」

みかやん「何とかやってみます」

で、今日からカレーや調味料の棚の発注をする事になった。Mさんが棚5本分の発注なのに対して、私は棚数なら2本半だが、ぶっちゃけ、カレーや調味料の棚は一番細かいし地味に売れるし面倒臭い。日曜なので菓子の品出しも無い事だし、とっとと発注を済ませた。

Mさん「えっ?もう発注、終わったんですか?やっぱりデパートやコンビニで働いた経験がある人の強みですね。流石です」

みかやん「全然、流石なんかじゃないですよ。適当で。。。あわわ」

Mさん「あはは!私も全然適当ですよ。私なんか適当を通り越していい加減ですから」

Mさん&みかやん「あははは!」

Mさん「モンクが有るなら今までどおり昼の人がやれ!って感じですよ。全部うちらに仕事をふってくるくせに、モンクばっかりでムカつきますよね。うちらにこれ以上、どうしろって言うんでしょう。夜は客数が少ない分、うちらの人数も少ないんだから大変なのに。昼の人みたいにレジだけとか品出しだけっていうんじゃないし。モンク言ってくるじたい、暇って証拠ですよ」

Mさん「本当に”モンクがあるならお前らでやれ!”って言ってやりたいですよ。ナイトから昼に移った人もいるっていうのに、なんでこんなに次々と仕事を回されるのか理解に苦しみます。昼に行ったらラクでやめられないんでしょうね。それで一度ラクしたらもっとラクしたいんじゃないですか(この話になるとMさんは止まらなくなる)」

みかやん「全くですよ。私なんかもういっぱいいっぱいです」

菓子の品出しが無い分、Mさんの飲料の品出しを手伝った。するとS君がフラフラと近付いてきた。

みかやん「S君!S君!いつも来る、ホームレスっぽい爺さんを知ってます?ホームレス独特の赤黒い顔の」

S君「あぁ。はい。あのショボいスーツの?」

みかやん「はい。あの爺さんったら、こないだ(10月28日の日記)かくかくしかじかだったんですよ〜」

S君「あーっはっはっは!あはははは!ははははは(笑いが止まらない)」

みかやん「可笑しいですよね?笑えますよね?」

S君「可笑し過ぎますよ。あははは。俺だったら即、その場から逃げ出しましたね。絶える自信がありません」

みかやん「私も大爆笑したんですけど、Mさんに話したら”そうだったんですか。すみません。私が最後まで爺さんの面倒を見れば良かったですね”って、ニコリともしなかったんですよ。私的にはMさんにも一緒に笑って欲しかったんですけど”すみません”って謝られちゃいました」

S君「あはははは!ははははは(笑いが止まらない)」

みかやん「ちょっと寂しかったです」

S君「そのMさんも可笑し過ぎますよね。Mさんは真面目な人だから。でも謝られたみかやんを想像するとまた可笑しいですよね。あははは!」

みかやん「ですよねぇ」

S君&みかやん「あはははは!」

私も結構ゲラ(笑い上戸)だが、S君はもっとゲラだ。しかも有り難い事にS君と私は笑うツボが一緒だ。最近はお互いに”昨日の面白かった事”を報告しあっては笑っている。何となく傍に行けば面白い話を聞けるのではないか?と、少し時間が空くとお互いフラフラと近付いている。

心なしかB君が居ないと、MさんもS君も明るいし、メチャメチャ話しかけられたり大いに語られたりする。B君は人一倍責任感が強いし、仕事に対して物凄く真面目だし、リーダーらしく誰よりきっちり仕事をするし、別に他人のアラ探しをしてるんじゃないのだと思う。恐れられまではしてなくても、損な役回りなんだろうなぁ。

昼の人達は我々ナイトの仕事にいちいちケチをつけてくるし、ケチをつけられるのは決まってB君だ。B君の立場の辛さをちょっと分かった気がした。
9:46-7:08 A番

今日はB君がB番で、S君がC番だった。先日(10月26日)は、今日の為にきっちり段取りをして、祈っておいたせいか、折りコンも長台車の在庫も無くホッと一安心だった。早めに初の冷食とアイスの品出しに取りかかったが、慣れないせいか丸々1時間もかかり、2階の冷凍庫と1階の売場を何往復もしてヘロヘロになった。

アイスや冷食の品出しは冷凍庫での作業なので、みんな「寒くて大嫌い」と言うが、私は走り回って暑いぐらいだった。みんなは軍手をして作業するが、私は暑くて素手で品出しをしていた。

S君「こないだあげた軍手をしてくださいよ。手、冷たくないですか?」

みかやん「いえいえ。もう暑くて」

S君「みかやんて、見かけによらず暑がりで汗っかきだそうで、それを聞いたMさんもビックリしてましたよ。冷食やアイスの品出しをして暑いだなんて羨ましいです」

みかやん「私から見たら、S君やMさんがビックリするぐらい寒がりなんですよ」

S君「だって冷凍庫ですよ!しかも商品は凍ってるんですよ!」

みかやん「まぁ確かにそうですねぇ」

S君&みかやん「あはははは!」

S君と話しをすると些細な事でも笑ってしまうし、S君と一緒だと笑いが絶えない。

面倒臭い事にA番は1時間毎に惣菜や弁当の賞味期限チェックをしなければならないが、冷食やアイスを放置して賞味期限チェックをするワケにはいかないので大慌てだった。何とか2時55分に冷食とアイスの品出しを終え、3時の賞味期限チェックと館内の温度チェックに間に合った。やれやれとバックヤードへ行くと、B君が居た。

B君「あのさ、イモ忘れてるよ」

みかやん「ええっ!そうでしたか!すみません!」

「イモ忘れてるよ」というのは、イモの値引き忘れているか、イモの賞味期限が切れているのに撤去を忘れているかどっちかで、どっちにしてもとんでもないミスだ。私の場合、順調に進んでいる時に限って、こんなミスが多い(恥)。

大急ぎで売場へ走りつつ「ところでイモってポテトサラダの事?まぁB君ったらポテトサラダを”イモ”だなんて(笑)」と思っていた。惣菜コーナーへ行くと、S君が私を待ちかねていたようだ。

S君「みかやん、コレ、忘れてますよ」

みかやん「ええっ!す、すみません。ソレ、今、初めて見ました」

S君が私の前に差し出したのはポテトサラダではなく、さつまいもをふかした物で、惣菜コーナー前のカゴに入れて売っていた物だった。そんな物があったなんて出勤時から全然目に入ってなかった。

みかやん「今(B君に)イモって言われて何の事かと思いました」

S君「(B君に)何か言われたんですかーーっ!!」

みかやん「え〜〜〜〜っ」

S君が、今まで聞いた事がないような大きな声を出したので、ビックリした。

みかやん「いえ。あの。”イモ忘れてるよ”って、それだけで」

S君「なんだ〜。そうでしたか〜」

結局は私がさつまいもの存在に気付かなかった為、とっくに値引きをする時間を過ぎていたのだった。S君は、私がB君にこてんぱんに叱られたのだと思ったのだろう。S君のあんな大声は初めて聞いた。って事は、B君はS君に私の事をかなり悪く言ってるのだろうか?それでS君が心配してくれたんだろうか?実際にB君が「気を付けて下さい!」「値引きは基本的に・・」とか言って、怒らなかったのがちょっと不思議だ。

B君には叱られなかったし、S君は心配してくれたし、ま、いっか。帰りに私の方からB君に声を掛けた。

みかやん「今日、初めて冷食とアイスの品出しをしたら1時間もかかっちゃいました」

B君「初めてなら、そのぐらいかかるんじゃないかなぁ。そんなもんだよ」

みかやん「折りコンや台車の品出しは無かったんですけど、こんなに早く帰れると思ってなかったので、何かやり残してはいないかと逆に不安になります」

B君「大丈夫だよ!ちゃんとやってるよ」

みかやん「いえ、そんな、私に限って、そ、そんな(しどろもどろ)」

B君「大丈夫ですよ」

「大丈夫ですよ」の言い方が凄く優しくて暖かくて、B君がニッコリと微笑んだので、かなり焦った。なんか最近のB君は以前と様子が違う。呆気にとられながら帰宅した。イケメンのB君にそんなに優しくされたら、惚れてしまいそうじゃないの。いかんいかん。
性別   男   
推定年齢 20代半ば
特徴   長身長足 有田哲平&土田晃之似 
来店頻度 週5〜6
来店時間 午前3時以降 
お買上品 弁当 カップ麺  

メモ
色白で長身でイケてる顔なのだが、アゴがご立派なせいか有田哲平にも土田晃之にも似て見える為、心の中では「1人銭金」もしくはズバリ「銭形金太郎様」と呼んでいる。非常におとなしくポーカーフェイスで、一見印象の薄いお客様のようだが、アゴが立派に存在を主張してらっしゃる。アゴが貧弱な私は、ご立派でシャープなアゴが羨ましく、つい釘付けになる。

店内に20〜30分いらっしゃる。弁当コーナーでしばし佇み、カップ麺コーナーでしばし佇み、飲料コーナーでもしばし佇むが、売場間の移動はとても早く、小走り。凄い勢いでレジに走って来る。そのうちビンボーさんを紹介してくれるのでは?と期待。

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