22:48-9:16 C番 

今日はB君がA番で、Eさんと新人G君がB番だった。店長が「カッコイイ」と言っていた噂の新人君が入っていたが、やはり店長が思う「カッコイイ」と私が思う「カッコイイ」は違ったようだ。店長め!また熱が上がりそうだった。奇跡の回復を遂げて出勤したものの、途中で具合が悪くなるのではと、多少不安だった。自分で不安がってても仕方ないので、気休めに元気良くレジをしていると、突然激しいめまいがした。

「あぁやっぱダメかも?早退する事になるのかなぁ?」と天を仰ぐと、吊りビラや立て看板がユラユラと揺れていた。とっさに警備さんやEさんに「いっ、今、揺れませんでした?地震じゃないです?」と聞くが、「めまいだわ。お大事に」と言われてしまった。そこへB君が走ってきた。

B君「今、地震があったって話だけど、異常はなかった?」

警備さん&Eさん「ええっ?」

みかやん「吊りビラが揺れていた程度で棚の方は異常ありませんでした」

Eさん「ごめんなさい。病み上がりだって言うもんだから、まだめまいしてるのかと思った」

警備さん「地震だっただなんて全然気付かなかったよ。ごめんごめん。俺は酒酔いだと思ってたし」

B君「絶対、酒だよ。酒、酒(笑)」

みかやん「えええ〜」

私が「だって地震だったじゃないですか!」と言った頃には、皆、解散していた。なんて人達だ(笑)。以前、腹痛に倒れたS君に代わって急遽出勤したものの、酒を7合半飲んでいて強制送還されて以来、私はみんなに大酒飲みと思われている。

B君「そういえば(新人君と)挨拶は終わったの?」

みかやん「いえまだでした」

G君「Gです。宜しくお願いします」

みかやん「みかやんです。私も新人なんで宜しくお願いしま〜す」

B君「お前は新人じゃねぇ!(笑)」

みかやん「ええっ?」

私ってもう新人じゃないの?って事にも驚いたが、B君が親しみを込めて「お前」とまで呼んでくれた事がちょっと嬉しくて驚いたのだった。そう「お前」でいいのよ、私の方が後輩なんだから。B君がかつてS君に言ったように「このチン○野郎」と言ってくれてもいいのよ。でも何故かB君は、そそくさと席を外してしまった。

上のロッカー室で休憩すると寒いので、大事をとって下の事務所で休憩をした。するとB君が来て一緒に煙草を吸い始めた。

みかやん「あの。もう、すぐに次の会社へ行ってしまうんですか?」

B君「いや。何も決まってないんだけどさ。いつまでもココでパートしてらてないと思ってさ」

みかやん「私を残して辞めるなんて酷いじゃないですか。私なんか一生かかってもB君のレベルに達しないですよ」

B君「誰も俺のレベルには到達しないって、みんなにも言ってあるからね。ははは」

みかやん「本当ですよ!」

B君「でも、Mさんが”みかやんは本当によく頑張ってる。一生懸命だ”って褒めてたよ」

みかやん「そんな。いや、あの。私なんて全然(しどろもどろ)」

そこへEさんが来た。たまにB君に褒められると、しどろもどろになるので助かった。そうか、Mさんがそんなふうに言ってくれたから、B君も私と普通に話をしたり私にもおどけてくれるようになったのかな?

その後もB君は、私がチョコレートを持ってウロウロしていると「それはココだよ」と教えてくれたり、パンの納品量が半端じゃなくてあたふたしていると、「こんなにパンが多い日は洋日配のピッキングが出来たら上出来だから」と、救いの言葉をかけてくれたりと、本当に親切だった。

なんたってB君が一番仕事が出来るんだし、一番気が利くんだから、本当に助かる。それに、今まで私にはあまり向けられなかったB君の笑顔が、最近はずっと私にも向けられるようになった。それだけで私は充分に嬉し〜く有り難〜くなっているのだから。

こんなにもB君と親しく過ごせる日々が来るとは思ってなかった。今なら心からB君にもS君にも辞めて欲しくないと思える。

帰りにB君がピーナッツを買っていたので「私はチョコレートで差し歯が取れたので、ピーナッツはもっと危険。深夜勤務は歯が脆くなりやすいらしい」と心配するも「大丈夫、俺は若いから。俺は若いから!あはははは」と言って帰っていった。

悪かったわね。年寄りで(笑)。

休み・寝たきり2

2004年12月5日
吐き気はおさまったものの、熱が下がらなかった。どんな時でも食べられないという事がない私が、いっさい食べなかったので夫が心配していた。

夫「ポカリだけだなんて、スズムシやカブトムシじゃないんだから。うどんやらバナナやらプリンも買ってきてあるから、調子良くなったら何か食べなきゃダメだ!それとも今、病院へ連れてくか?」

みかやん「布団から出ると寒気がして、今は布団から出られないよ。病院なんて無理っ!」

夫「布団ごとす巻きにして病院へ担いで行くか?」

みかやん「そんな人、病院で見た事ないもん。大丈夫だから会社へ行ってよ。風邪は寝て治せ!っていうから寝てるし、吐き気もおさまったし、大丈夫大丈夫!そもそも8月16日生まれは肉体が強靱なんだよ」

夫「じゃ、何かあったらすぐメールくれ」

私が訳の分からない事を言ったのにも関わらず、夫は納得して会社へ行った。

私が持っている「誕生日別性格辞典」によれば、8月16日生まれは「体力的には誰にも負けないものを持っていて、強靱な筋肉、疲れを知らないスタミナ、病気をしてもアッという間に治ってしまう回復力に自信を持ってヨシ」との事なので、自信満々で布団の中に居た。

ところが体温計は朝からずっと38.5度〜38.8度を行ったり来たりで熱は下がる気配ナシ。それでも尚、病院へも行かずに自信満々で寝ていられたのは、熱のせいかも知れない。

あーあー。本当は今回の2連休で年末の大掃除をしようと思ってたんだけどなぁ。でもたまたま2連休で良かった。さすがに会社へ行く自信はなかった。

明日から新人君が来る。店長の話だと「若くてカッコイイ」らしいが、店長が見て「カッコイイ」と思うのと、私が見て「カッコイイ」と思うのが同じかどうかは疑問だ。取り敢えず明日は長袖Tシャツを着て行こう。

休み・寝たきり

2004年12月4日
ラブホ勤めの頃を思い出すような汚い話で、スミマセン。

帰宅後、布団に入ると物凄い悪寒を感じた。肩の辺りに強烈な悪寒がゾクゾクーッ、ゾクゾクーッと波のように押し寄せた。そう言えば珍しく会社で寒い思いをした事だし、と少し厚着をしてバファリンを飲んでから寝直した。

夕方、何となくムカついて、いや、ムカムカして目覚め、トイレへ行くと物の見事な「噴射状嘔吐」をしてしまった。まるで噴水かCMで「マイナスイオン足りてる?」とか言ってるマーライオンのような状態だった。

ヨロヨロと布団に入っては寒気とムカムカがしてトイレへ・・・を数回繰り返している間に、さすがに気弱になって夫へSOSのメールをした。夫は「病院へ連れて行く」というが、とてもとても今の状態で外へ出たり、病院の待合室で待っている自信がない。家の近所の病院は24時間営業だが、夜中に行ってもめっちゃ混んでて昼間並みに待たされる。

病院行きは断念したので、医療系の友達へメールすると「それほどの吐き気でもないのに物凄い勢いで嘔吐するのは噴射状嘔吐と言って脳腫瘍の人に多い症状だよ。あ、ごめん。冬の風邪特有のロタウイルスってのが、お腹に悪さをするんだけど、それは3才ぐらいまでの乳幼児に多い。もしくはご高齢の方が・・・。ごめん、ごめん」との事。

結局は「今日はポカリスエットを人肌に温めて飲んで、明日は病院へ行く事」との事だったので、夫にポカリスエットを買ってきてくれ!とメールしたら、夫は早退して帰ってきた。面目ない。あまりの事にちょっと気弱になったのよ。許して〜!

それにしても脳腫瘍じゃなければ、高齢者って事かい?あたしゃそれこそ乳幼児の頃から、38度以上の熱が出ると吐きやすいのよ。別の医療系の友人へメールすりゃ良かった・・・等と思いながら意識が遠のいていった。
22:16-8:43 B番 

今日はEさんがA番で、S君がC番だった。暑がりの私は、ずっと制服のジャンパーの下に半袖Tシャツ1枚という薄着でS君に仰天されていたが、さすがに12月だし雪も降ってるし「今日はちょっと寒いかも。明日からは七分袖Tシャツにしよう」などと考えていた。

金曜の夜なので、飲料が売れに売れ、飲料の棚がカサカサになっていたのを見て「おっ!そうだ!飲料の品出しをしたら身体はポッカポカだわ」と、S君が飲料をバックヤードから運んできてくれるのを心待ちにしていた。

やがてS君がカラカラと台車を押してバックヤードから出て来た。台車の上には平日より少な目の飲料が乗っていた。

みかやん「えっ?それだけなんですか?」

S君「バックヤードの在庫もスカスカなんですよ。欠品だらけです」

そう言えば昨日も一昨日も、変に売れていて品出しが忙しかった。アッという間に飲料の品出しが終わってしまい、お陰で身体は暖まらなかった。お菓子の品出しをしていたS君が私を呼ぶので行ってみた。S君のニヤニヤ加減から「これは面白い事が聞けるぞ!」とS君の元へ駆け付けた。

S君「お菓子の棚も穴だらけ(品切れが多い状態)なんですよ。こないだも結構、穴だらけの時があって、そんな時にコレ!コレをこうすると良くないですか?」

S君がコレ!と言ったのはチョコレートの外箱で、ラミーやバッカスのチョコレートは10個単位で納品されるが、10個入れの箱の上はヨン様の写真になっている。それをS君はお菓子の棚の中で商品が欠品している所に立てかけ、お菓子の棚の所々でヨン様が微笑んでいるようにして見せてくれた。

みかやん「あーはっはっは!いいじゃないですか!」

S君「あはははは!でしょう!いいですよねぇ」

みかやん「品切れになってても、ヨン様ファンの人達には叱られないんじゃないですか」

S君「そう思って、こないだはヨン様の写真を立てたままにして帰ったんです。そしたら次の日もそのままになってて、昼の人達にも気に入って貰って撤去されなかったんだぁと思ったんですよ。で、その日のC番がB君だったんです」

みかやん「それは気になりますねぇ」

S君「俺も気になって、B君がヨン様をどうするのか見てたんですよ!そしたら・・・あははは!あーっはっはっは!」

みかやん「えっ?B君、どうしたんですか?」

S君「B君はちょっと立ち止まってから、マユ一つ動かさずにヨン様の箱をビリビリ破いて、バッタバタと捨ててました。日本中のヨン様ファンを敵に回した瞬間を目撃しましたよ」

S君&みかやん「あははは!あーはっはっは!B君らしい!」

S君「シャレが通じないっていうんじゃなくて、本当に真面目なんですよね。B君て」

みかやん「そのB君の姿を見た時のS君を想像すると、また可笑しいですね!あははは!」

S君「その日はもう、B君の顔を見られませんでした」

S君&みかやん「あはははは!」

S君と大笑いして身体が少し暖まった。それにしてもB君ったら真面目過ぎるし、S君ったらなんてお茶目な(笑)。ヨン様を破り捨てたB君の姿を見た時のS君を想像すると、可笑しくて可笑しくて朝まで何度も思い出し笑いをしていたが、笑えない状況に陥った。またレジが壊れて、お釣りが出てこなくなった。

ココへ来たばかりの頃は、ついデパートやコンビニ時代のクセで、お釣りを自分でレジから取ろうとしていたが、レジからお釣りが勝手に出てくる画期的さにはすぐ慣れてしまって、今更レジからお釣りを出すなんて面倒臭いし、早くレジの故障を直さなければ!焦るが、こんな時に限ってレジ付近には誰も居ない。

「もうレジの中に小銭がありましぇん。誰か助けて〜」と思った時に、S君が来てくれて事なきを得た。それにしても慣れとは恐ろしいものだ。以前は当たり前のように自分でレジからお釣りを出していたのに、今の自動レジに慣れてしまったら、レジからお釣りを用意する手がおぼつかないこと、おぼつかないこと。

今日もS君大活躍の巻だったが、そんなS君とももうすぐお別れだ。
22:18-9:15 C番 

今日はB君がA番で、MさんがB番だった。レジに入ると突然、Mさんに「みかやんて面白いですよね」と言われ、思わず「は?」となった。

Mさん「ごめんなさい。私、馬鹿なんで言葉を知らなくてアレですけど、面白いって言うか、みかやんて本当に一生懸命な人ですよね。みんなの為にとかみんなに迷惑がかからないようにって頑張ってるのが、見てれば分かるんですよ。それが微笑ましいというか健気というか、そう言いたかったんです」

みかやん「いえそんな。私なんか本物の馬鹿なんで、有り得ないような失敗ばかりで笑われても仕方ないですし、実際、笑えない失敗も多くて、お恥ずかしい限りです」

Mさん「いえいえ、見てて面白いって言ったらまたアレですけど、みかやんは見てて気持ちいいぐらい頑張ってますよ」

ここでMさんのレジにお客さんが来たので話が途中になったが、私はMさんの後のレジで無性に照れていた。最近、たて続けにいろんな人が私にいい事を言ってくれたが、褒められ慣れてないので、すぐしどろもどろになるし、こっぱずかしいし、1人でギクシャクしてしまっているし、人にイヤミを言われても気付かないような脳天気なので、ひょっとしてイヤミなのかも?と変に勘ぐってしまう始末だ。

レジにいつもの吉沢悠君似の男の子が来た。「ありがとうございます」と見送り、受け取った小銭をレジにしまおうとしたら、小銭に紛れて”小樽”という押印の有る小さな切手みたいな物が有った。どこかのお店でご利用金額毎に発行してて、それが貯まったら何らかの優待が受けられるというようなシロモノだろう。

レンジでお弁当を温めていた悠君に「お客様!小銭の中に紛れておりました」と、その小さな切手のような物を差し出すと、悠君は一瞬にして耳まで赤くなりながら「ああっ!あ、ありがとうございます!す、すみません!」と狼狽えながら、照れ隠しなのかいつにも増してとびっきりの笑顔を見せてくれた。悠君はデビュー当時の徳永英明にも似ていて、微笑んだ時の八重歯が印象的だ。

つられて私も思いっきり微笑んだ。微笑みながらも心の中では「ソレ、ヤバイ店のなんでしょ?どんな破廉恥な店さ?もしかしてマニアック系かい?きゃーっ!悠君ったら恥ずかちい」等と思っていて「はっ!」とした。あたしゃこないだ、前歯の差し歯が取れて見事な空きっ歯だったんだ。慌てて口を入れ歯の婆さんのようにすぼめてみたが、時すでに遅し。

「い、いられは」おっと、口をすぼめたままだった。「み、見られた」だ。可愛い吉沢悠君似の男の子に歯の無い不気味な笑顔を見せてしまった。なんてこった。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

今日もB君と和やかに会話をした。

B君「今日さ、198円でクレジット払いを受けたよ」

みかやん「私はこないだ98円のトイレットペーパー1個で、クレジット払いを受けましたよ」

B君「くそぅ〜。負けた〜。あははは!98円かい?最安値だね」

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B君「店長の話だと、今度来る新人、若くてカッコイイらしいよ」

みかやん「ええっ?そうなんですか!わーい!(喜)」

B君「同じ事をEさんに話したら”それが何か?”って言われたよ」

B君&みかやん「あはははは!」

B君もS君に負けないぐらい笑い上戸だ。

朝になり、パンの品出しやら洋日配のピッキングをしていると妙にレジが混んで、レジと売場を何往復もした。Mさんがレジの時はレジが混まないので油断していたが、Mさんらしくない。するとレジ締めの後、Mさんが私の所へ来た。

Mさん「実は38度程、熱があってフラフラだったんですが、みかやんがC番で本当に助かりました。何度もレジへ走って頂いてありがとうございました。逆にC番がみかやんじゃなかったら死んでましたよ。途中、何度か意識が遠のきましたから」

みかやん「そんなぁ!休めば良かったじゃないですか。無理しちゃダメですよ〜!それにこんな帰る時になってから言うなんて〜」

Mさん「今晩、休みなんで帰って爆睡します。今日はほんっとにみかやんがC番で良かったです」

何かMさんの顔が赤いと思ってたら熱が出ていたんだ。Mさんはちゃんと私の事を見ていてくれてたのに、私はMさんの熱や不調を気付かず、気遣ってあげる事も出来ず、また申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
21:44-7:01 A番 

今日はS君がB番で、EさんがC番だった。何だか12月になったとたんに忙しくなった気がする。「何でこんなに売れてんのさ!」と思いながら、黙々と品出しをしていると、後ろから「こんばんわー」と声を掛けられ、振り返ると常連さんファイル・その1のヤンTさんの飲み友達だった。

その1「こないだ、ヤンTさんとまた飲んできたよ。ラブホを辞めたんだってさ。今、昼の仕事を探してるって」

みかやん「えーっ!辞めたんですか!ラブホ時代の友達とヤンTさんの話をしてたところだったんですよ」

その1「言いたがらないんだけど、ラブホでいろいろ有って辞めたみたい。心配してお母さんが実家から出てきて、今、お母さんと2人で住んでるんだって。あの人、弱音を吐いたりしない人だから、よっぽど辛い事があったんじゃないかと思ってさ」

みかやん「ええ〜。お母さんが?あんな所で働いてたんじゃ親御さんも心配でしょう。一人娘ですし」

その1「だんだん職場の話をしなくなったんだよね。何かあったのかな?と思ってるうちに辞めたって聞いて驚いてさ。もっとちゃんと話を聞いてあげれば良かったって思ってね。失敗したよ。やっぱ”あんな所”っていうような所だったの?」

みかやん「はい。こないだは友達と”あんな所”に1人残してしまったヤンTさんが心配だねって話をしてたんですよ」

その1「そうか〜。何にも気付いてあげられなくて悪い事したなぁ」

みかやん「ヤンTさんはそんなふうに思ってないですよ。あのラブホの事だと話せば長くなるし、どうしたって愚痴っぽくなるし、そんなのヤンTさんの性に合わないから言わないんですよ。ヤンTさんなら、そのうちまた笑って新しい職場の話をしますよ」

その1「そう言って貰えると嬉しいよ。ヤンTさんに良い友達がいて良かった。ヤンTさんからあなたの事を”サバサバしてて男っぽいけど、妙に大人な所があって、みんなマダムって呼んでた”って話を聞いたよ」

みかやん「きゃ〜!マダムの話は勘弁して下さいよ〜!そ、それには別の意味も有って、あわわ。あ、いや、マダムって言われると気恥ずかしくて」

その1「年下キラーだって話も聞いてるよ。後輩の男の子達がみんな懐いて凄かったんだってね」

みかやん「そうじゃなくて明らかに恋愛対象から外れてるんで懐き易かったんじゃないですよ」

その1「ヤンTさんて、女性不信みたいなところがあって、地元の頃からの女友達しか信用してなかったのに、あなたにはいろいろ相談してたでしょ。彼女と俺が同じ職場だった時、やっかみ半分で女の先輩に意地悪されてたのに、黙って耐えてたりしたもんだから、放っとけなくてさ。でも男じゃ相談にのりきれない部分があるから、相談できる女の先輩が出来て良かったと思ってたんだ」

みかやん「ラブホん時も50代のオバサンにやっかまれてましたよ。ヤンTさんは可愛いからやっかまれ易いんですよね。彼女はあまり自分の事を話さないし、愚痴ったりしないんで、私も彼女が苦しんでたのを何ヶ月も気付かなかった事があって、ホントにほっとけない人ですよ」

その1「次の職場にも、あなたみたいな先輩が居ればいいけど、どうかなぁ。俺はヤンTさんの彼氏でも何でもないけど、ヤンTさんにあなたみたいな先輩が居た事が嬉しかったって話を一度したかったんで、今日は良かった。で、今度、一緒にのまない?」

みかやん「あ、いいですね!」

その1「ははは!酒豪のヤンTさんに潰されるよ」

みかやん「酒豪って言ったらヤンTさんに叱られるんですってば」

その1「あはは!それじゃまた」

わりとみんなの目から死角になるラーメン売場で話していたとは言え、つい喋り過ぎた。ヤンTさんのお友達を見送ってから「あたしゃ忙しい身の上だったんだ」と気付いて猛然と品出しを始めた。それにしてもヤンTさんには素敵な男性の先輩がいて羨ましい。

私は、男性の上司や先輩はどうも苦手で、何を考えているのか分からなくて勘繰って勘繰ってがんじがらめになってしまった事が多々有った。本当に信頼しあって上手く付き合えた上司なんか歴代2人しかいないし、自分らしく振る舞えて仕事がし易かった男性の先輩なんかも、歴代2〜3人しかいない。

その反動からか、後輩の男の子達は無条件で可愛がってしまうが、男性の上司や先輩が苦手ってのも、いずれ克服しなければならない私の大きな課題だ。
Oくんから電話がきた。なんだかんだとOくんからはほぼ毎日電話がくるんだけどさ。

Oくん「ところで、お宅のお天気お兄さん、最近はどうなの?」

みかやん「えっ?」

Oくん「だってさ、みかやんの事を丸無視したかと思えば、急に親切だったり、まるでお天気屋じゃん!お天気君って呼んであげるといいよ」

みかやん「それが、最近はずっとお天気でさ。凄いよ。最近なんかずっと2人で笑ってる」

Oくん「怖いねぇ。そのうち凄い雷が落ちたりするんじゃないの。雷雨とか落雷。怖い怖い」

みかやん「不思議な事に全然怖い気がしないんだ」

Oくん「ずっと日照り続きなんて有り得ないよ。覚悟しておいた方がいいって」

みかやん「え〜っ!脅さないでよ〜」

Oくん「前の職場(ラブホ)にもNさんってお天気屋がいたけど、今の職場にも居るんだよね。お天気屋イコール女ってイメージがあったけど、男でも居るんだよね〜」

みかやん「うちのB君はそんな事ないよ(ラブホに居た外道の方がよっぽどお天気屋!と言いたかったが、口に出したくないので口をつぐんでしまった。それに機嫌が悪い時の外道は”生理”と言われていた)」

Oくん「あれ〜?何かあったの?」

みかやん「うーん。何だろ?私の事を甘やかしちゃいけないと考えてたんだろうけど、根が笑い上戸で、親切でいい人だから、鬼になりきれなくてお天気屋みたいになってたんじゃないのかな?って、今のB君を見てるとそんなふうに思うんだ。リーダーだし、みんなの手前もあるからね」

Oくん「みかやんがそんなふうに思うなら、きっとそうなんだろうさ。みかやんももうすぐ先輩になるわけだし、いつまでもみかやんの事を新人扱いもしてられないって時期になったってわけか」

みかやん「そんなのもアリかもね。気を抜かず頑張るよ」

Oくん「ようやく自然にみかやんらしい発言が出たね。ぶっちゃけ今までは”大丈夫”とか”頑張るよ”って言ってても、無理してるって思ってたよ。苦労してるんだと分かってても俺にはどうする事もできなかったし、みかやんならそのうちきっと、みんなと上手くやっていけるって思ってたからね」

みかやん「えーっ!そんなふうに思っててくれたんだ。ありがとう!いいとこ有るじゃん!」

Oくん「えっへん!俺を誰だと思ってるんだよ。俺は一番近くでみかやんを見てきたんだからね!ラブホの時だって、みんなみかやんと仲良くなりたがってたけど、俺が一番の仲良しで鼻高々だったって事もあるし、今だって本当はみんな、みかやんと仲良くしたいと思ってるんだよ。何回も同じ事、言わせないでよね」

みかやん「ありがとう!何か、欲しい物ある?」

Oくん「そうじゃなくて!」

みかやん「いや、ゴメン。分かってるから。だってそんな事を言って、あたしを泣かせようとするんだもの」

Oくん「全くもう。いつも肝心な時に茶化すんだから。今、泣くところだよ。頑張った頑張った、みかやんは本当によく頑張った。今、その努力が報われて・・・って時なんだから、さぁ泣きなさい!」

みかやん「あはは!本当にありがとう。あんな腐れラブホでOちゃんに出会えた事を感謝しないとね。離れてますますOちゃんの存在が有り難いと思うし、頼もしくなった事が何より嬉しいよ」

Oくん「分かればよろしい。ほんじゃね!てか笑うところじゃなかったんだけど、まぁいいか。ばはは〜い」

みかやん「うん。ほんじゃ〜ね〜」

さて、明日から師走。新人が2人も入ってくるという話だし、本当に気を引き締めて頑張らなければ。なんだかんだ言っても、Oくんみたいな新人君がきてくれたらいいなと本気で思う。
23:46-8:31 X番
 
今日はEさんがA番で、S君がB番、B君がC番の4人勤務だった。X番とA番は組む相手によって微妙に仕事内容が違うので、相手が変わる度にちょっと緊張する。S君の場合はその都度、作業内容を確認しながら進めるし、Mさんの場合はMさんの発注担当商品の品出しをしてくれる。

Eさんはといえば、黙々と1人で作業を進めて私の仕事までしていてくれた。まさに三者三様で一概に誰のパターンが一番良いとも言えない感じだが、私的にはS君のパターンが「チームワーク」って感じがして好きだったけど、それは相手がS君だからかも知れない。

仕事の合間にEさんがニコニコと話しかけてきた。

Eさん「A番とX番って、レジに携わらなくていいんで気が楽ですよね〜」

みかやん「はい。精神的に追い詰められないというか本当にラクですよね」

Eさん「B番やC番だと、まさに追い詰められてる感じがしますよね」

みかやん「はい。悪い事をしてるワケじゃないのに、何かコソコソ、ドキドキで落ち着きません」

Eさん「あははは!本当に気の休まる暇がないって感じですよね〜〜〜」

ニッコリと微笑むEさんは白くて丸くて本当に可愛らしい。Eさんが不自由な足でみんなと同じにいやそれ以上にしっかり仕事をする姿を見て、何度胸を打たれた事か。Eさんは仕事が早い上に綺麗で、パンの値引きの後に綺麗に並んだパンは一目見てEさんの仕業と分かる。Eさんの職人技に比べたらS君や私がパンの値引きをした後は、パン売場がメチャメチャだったりして酷い有様だ。

最近になってEさんが猛然と私の仕事を手伝ってくれるようになった。Mさん並みかそれ以上だ。EさんがS君の後がまについて「長続きしてくれる人だといいですね。一生懸命に仕事を教えたり、手伝ったりしても辞められたらガッカリですからねぇ」と言っていた。

私もココで働くようになってもうすぐ4ヶ月。Eさんも私の事を「このオバハン、辞めるつもりはないみたいね」と思ってくれて、猛然と私の仕事を手伝ってくれるようになったのかも知れない。Eさんは仕事に対してB君並みにシビアな方で、何度かじんわりやんわりと叱られたりしたが、Eさんにも手伝って頂けるようになった事が、嬉しくて有り難くて仕方がない。

朝になりトラック便が到着し、コンテナをトラックから店内へ運び込まなければならないが、雪が積もっていて滑って思うように運べない状態だった。B君がコンテナ待ちのEさんと私に「女の子、どっちかスロープの上でコンテナを待ってて」て声を掛けてきた。とっさにEさんも私も動けなかったが、私が動かないのでEさんがスロープの上へ行った。

みかやん「すみません。”女の子”って言われたら、私はちょっと違うかなぁ?なんて思って動けませんでした」

B君「あっ!そうだった!間違った!あっはっはっは!」

みかやん「ちょっと!間違ったって?えーっ!謙遜したのに」

B君&みかやん「あはははは!あーはっはっは!」

なんだかんだ言いながらもB君は「コレ軽いから持って行きな」と軽いコンテナを譲ってくれたり、外へ出す重い看板を運んでくれたりで、大助かりだった。以前、S君が「よく気が利く人には、その人がしてくれた事と同じ事をしてあげると喜んで貰える」と言われた事があったが、今の私のレベルではよく気が付くB君に対して、殆ど何も出来ていないのが現状だ。

みんなで和気藹々と働いていたラブホと違って、ココはなんて孤独な職場なんだろうと思っていたが、コンテナ運びなんかはチームワークが必要だし、一人一人がきっちりと自分の責任を果たす事がココでのチームワークに繋がるんだろうか・・・なんて思った。

先輩が仕事に対して厳しいなんて当たり前の事だし、逆に先輩がなぁなぁで無責任だったらもっと困る。私は、B君にもEさんにも厳しく育てられて良かった。

その一方で、懸命に私の面倒を見てくれるMさんや、いつも私を大笑いさせてくれるS君が居て、何ともバランスの良い先輩達じゃないか。そのお陰で、こんな過酷な職場にいても「辞めたい」とは思わなかった。

12月に入ってくる新人の為にも、私も良い先輩になろう。きっちりと仕事が出来る先輩になろう。と心に誓うのだった。
22:49-9:08 C
 
今日はMさんがA番で、B君がB番だった。出勤するとB君から電気点検についての説明があった。2時〜3時の間に電気点検がある為、店を一度1時半で閉店して電気点検の準備をし、2時になったら我々は4階の休憩室へ避難し、閉店中は警備さんが玄関でお客様に事情を説明して、3時過ぎに開店という事だった。

みかやん「ええっ?4階って?ココは2階建てじゃないんですか?それに休憩室って事務所かロッカー室じゃないんですか?」

B君「ココはマンションの1階と2階にテナントとして入ってるんだよ。だって上はマンションでしょ。4階休憩室へ行った事なかった?一度、外へ出て裏へ回ってマンションの入口から入るんだ」

みかやん「ええーっ!初めて知りました」

B君「三人で2時から3時まで休憩だから、後で案内するよ」

へえぇ。年中無休24時間営業でも2時間程とはいえ閉店させる事が有るんだ。マンションの休憩室ってどんなのだろ?3人揃って休憩なんて素敵!と、どうにもワクワクした。

1時半に電気点検準備を始めた。電気点検で電気が止まっている間に冷蔵庫や冷凍庫の冷気が逃げないように、透明シートでカバーするという作業だった。どこにそんなシートが?と思ったら、各冷蔵庫にそのシートが内蔵されている事も初めて知った。

私は遠足前の子供のように飲み物やおやつを買い込み、いざ3人で本物の休憩室へ向かった。店を出てグルリと裏手へまわるとマンションの玄関があり、エレベーターで4階へ。するとごく普通のマンションの廊下にドアが並んだ光景だった。

その中の1室が店が休憩室として借り上げている部屋だった。中へ入ると当然の事ながら普通にトイレや台所や押入があった。テーブルに椅子にTVにストーブが有り、自販機以外はまるで一般家庭だった。

みかやん「ロッカー室や事務所で休憩だなんてショボ過ぎる!と思ってたら、こんなちゃんとした休憩室があったんですね!感激です!」

Mさん「ええっ!ココ、初めてだったんですか?私、入ったばかりの頃はよく来てましたよ」

B君「俺らは面接をココで受けたけど、面接はどこで受けたの?」

みかやん「事務所です」

Mさん「あんな落ち着かない所で面接だったんですか?」

みかやん「試験や面接の間もいろんな人が出入りしたり、電話が鳴ったりで何度も”少々お待ち下さい”って言われました」

B君&Mさん「えーっ!あっはっはっは!有り得ない〜」

B君「でも移動に多少時間がかかるし、事務所やロッカー室でいっかぁ!って事になって、最近はナイトの人間は誰も来てないね。昼の人達は必ずココだけど」

言われて台所を見ると、昼の人達の各自のマグカップや各種調味料に鍋やらフライパンやら皿に丼、アリとあらゆる台所用品が揃っていた。これこそ休憩室だ。でも1人じゃ広すぎる。ともあれ、ストーブをつけ、TVをつけ、おやつを食べながらくつろいだ。

B君「何だか戻るの、面倒になってきた。あはは!」

みかやん「じゃ朝までココにいましょうか?あはは!」

Mさん「それともコッソリ帰っちゃいますか?あはは!」

3人で過ごす特別な場所での特別な時間に私は大満足だった。

その後、明日はEさんと私がA番だが、どちらかがX番をしなければならないのに、Eさんと事前に打ち合わせをするのを忘れていた事をB君に告げると、B君は自分の携帯でEさんに電話をしてくれて、Eさんの携帯番号も教えてくれた。

しかもB君は「あはは!絶対やる(打ち合わせを忘れる)と思ってたよ〜」と言って笑っていた。こんな時のB君は頼りになるし、よく気が利いていていつも感心する。

2度目の休憩に入るとOくんやら友人達から「地震だよ!スーパーは大丈夫?」と言うメールが届いていた。

みかやん「さっき地震があったそうで、結構揺れたみたいですよ」

B君「ええっ?何時頃?」

みかやん「3時半頃らしいです」

B君「休憩から戻って来た頃だよね。あはは!全然気付かなかったよね」

みかやん「はい」

B君「てか誰も気付かなかったよね。あははは!」

B君&みかやん「あはははは!」

いつもあんなふうにみんなで休憩できたら、こんなふうに和やかに過ごせるのかな?と思った。ラブホ時代はみんなで休憩するのが当たり前だったのに、ココは孤独だからなぁ。またみんなで休憩できるといいな♪
21:45-7:16 A番

今日はEさんがB番で、B君がC番のハズだったが、C番で出勤してきたのはMさんだった。知らぬ間に休みを交代していたらしいが、ちょっと残念。B君に会いたかった気がした。

毎度の事だが女性3人の日は必ず夜間店長が「あぁ今日は女性3人かい。警備さん!頼むよ!うちの大事な女の子達だからね〜」と叫ぶが、私の事まで「女の子」という言葉で一括りにされると、かなり恥ずかしいものがある。

その夜間店長は23時に仕事を終え、店のジャンパーを脱いでから缶ビールを買い、事務所で飲んでから帰るのが日課だが、何気に事務所へ行くとグイと私を抱き寄せて離さなかった。「なぁ!みかやん。なぁ!なぁ!」と言うが何が「なぁ」なのか、さっぱり分からないし、警備さんが事務所へ来ても私を離してくれないので焦った。

「もう飲んでるのかい?」と思って時計を見ると23時前だ。少し経ってから解放されたが、いったい何だったのかは謎のまま。全く「ワケ分かんな〜い」。今までは冗談でセクハラ、セクハラと言ってきたが、これぞまさしくセクハラに値するものではないのか?あぁビックリした。

夜間店長が若いイケメン君なら、私も夜間店長の背中に手を回して熱い抱擁をしたに違いない!と思うが、夜間店長って、淀川長治にソックリな白髪のお爺ちゃんなんだもの。

23時になり、夜間店長は普通にビールを買い、普通にビールを飲んで、ごく普通に帰っていった。私の中で謎は深まる一方だった。

ま、いいか。

しかし、これが引き金になったのか、変な客に遭遇してしまった。私の周りをウロウロしている30代の男が居ると思っていたら、いきなり私の前に回り込んで話しかけてきた。

30男「大変だねぇ。女の子なのに、こんな夜中にお仕事だなんて」

みかやん「(だから、女の子じゃないんだってば。でもオバサンって言われると痛いのよね。微妙な年頃よ)いえいえ。慣れると何でもない事です」

30男「休憩時間なんかも有るの?」

みかやん「はい。休憩は1時間半の日と1時間の日があります」

30男「休憩、何時から?そこのロイホでお茶しようよ」

みかやん「は?(ナンパだったんかい?)」

30男「ねぇ、キミ、いくつ?」

みかやん「(聞いて驚くなよ!)それがもう、教えられない程、凄いトシで。あは、あはは!」

30男「冗談言ってないでさぁ。で、休憩は何時から?」

みかやん「朝の6時なんですよ(本当は0時半と3時半)」

30男「6時まで休憩ないの?うっそだぁ!絶対、嘘だ!」

みかやん「・・・(はい。嘘です)」

そこへ、たまたま警備さんが通りかかった。天の助け!と思ったが、相手は客だしこの客を目の前にして「助けて」とも言えない。口では警備さんに「お疲れ様です」と声を掛けたが、目では必死で「助けて!ちょっと!行かないで!助けてーっ!」と訴えた。

私の決死の形相に驚いたのか、警備さんが近付いてくると男は私から離れた。その隙に最初はさり気なくゆっくりと現場を離れ、物陰に隠れてからは猛ダッシュでバックヤードへ走った。暫くバックヤードへの扉に付いている小窓からコッソリと店内の様子をうかがってから、ようやく店内へ出た。変な奴でも客だと思えば迂闊な事は言えないじゃないか。ったく、こっちの弱みにつけ込んで。

どういうワケか真面目そ〜で、おとなし〜い感じの人に限って、外で弱い者いじめみたいな事をするのよね。さっきの男も然り、どう見てもナンパ慣れしてるようなタイプではなかった。それは、会社の人達や家族にいじめられてるから?あかの他人を窘めたり、訳の分からない事を話しかける度胸が有るなら、上司にでも嫁にでもバシッとかましたれや!と思う今日この頃だ。

もうちょっと上手に頭を使って、他人に頼らずにストレスを自力で解消&発散させる術を身に付けて欲しいものだ。お陰でこの通算15分のロスタイムが、見事に就業時間に反映し15分の残業になった。
Oくんから電話がきた。

Oくん「昨日、仕事の帰りにホテルKへ寄って、Fちゃんや先輩Hさんに会ってきたんだ。で、ホテル○○ノの面白い話を聞いたんだけど、何だと思う?」

みかやん「さぁ?てか、あんな得体の知れない不気味などす黒い物が渦巻いているような所で、面白い事なんかアリ?」

Oくん「大アリさ。腐れY(店長)が辞めたんだって。しかもある日突然だって。あっはっはっは!面白くない?あの常務の腰巾着が辞めたんだって!」

みかやん「えーーーっ!そうなの?」

Oくん「ね!面白いでしょ?」

みかやん「確かに旧ホテルQで会った時のあの人は腐れYだったけど、○○ノで店長になってからはまともだったよ。○○ノへ行った時、驚いたもん。常務の異常さに着いていけなくなったんじゃない?」

Oくん「みんな、そう言ってるって。常務バッシングが酷いらしいよ」

みかやん「そんな事、今頃になって気が付くようじゃ遅いって。だってフロントK子と常務の確執なんて何も知らずにホテルQに入ったのに、フロントK子信者って言われて常務に忌み嫌われるんでしょ。最悪、陥れられるし。知ってたら誰もフロントK子の下で働かないって。上司を選べる会社なんて聞いた事ないし」

Oくん「常務はフロントK子の息のかかってないメンツを揃えたいんだろうさ。ったくつまんない男だよ。全く常務なんて器じゃないよね。でも、ナイトで最後に残ったフロントK子信者はヤンTさんだからね。ヤンTさんが心配だよ」

みかやん「本当だね。陥れられたり、辛い目に遇わされてなきゃいいけど」

Oくん「ダサ坊も保身の為にすっかり常務派と化したし、常務も腐れYよりバリバリで将来性も有るダサ坊の方が使えると考えて、腐れYを切ったのかもね。得意の”明日から来なくていいよ〜”の一言でさ。今やダサ坊なんかフロントK子の監視の為に○○ロに居るんだからね。フロントK子を失脚させる為にね」

Oくん「そもそも保身だとか失脚だとかって言葉が出てくるような大企業じゃないのにね。言ってても聞いてても恥ずかしくなるよ。何を勘違いしてるんだか。常務一人で大企業気取りでいればいいのさ。社長が立派な人だけに嘆かわしいよね」

みかやん「ま、もはやあたしにゃ関係ない話だよ」

Oくん「でも、面白いでしょ?」

みかやん「ベッドメイク仲間と一緒に仕事をした事は最高の思い出なんだけど、フロント陣とかその上の人間を思い出すとムカつくよ」

Oくん「そーお?Fちゃんも先輩Hさんも、物凄くみかやんに会いたがってたよ。顔を見せに来い!ってさ」

みかやん「Oちゃんみたいに仕事の帰りに寄れるならともかく、わざわざ女一人で夜にテクテク歩いて行くような所じゃないからね。また行ったら宜しく言っといて」

Oくん「ほ〜い」

何だか、思い出し笑い、ならぬ、思い出しムカつきな心境になった。ダメ、ダメ、つまんない、つまんない。あたしにゃあ本当にもう関係のない事だから。おぉよしよし(自分で自分を慰める)。
22:25-8:36 B番 

今日はS君がA番で、MさんがC番だった。結婚記念日だったので、いつものびっくりドンキーでご飯を食べたり、新札幌でたまたま見かけた美味しそうなケーキを買って食べたりで、ゴキゲンでいたら既に出勤時間で、見事にいつもの地下鉄に乗り遅れた。大慌てで売場へ走り、昼番の2人に詫びまくった。

みかやん「おはようございます!すみません!すみません!いつもより5分遅れましたー!すみませんーっ!」

昼番の人「えっ?遅刻なんですか?」

みかやん「いえ、遅刻じゃないんですけど5分遅くなった分、レジ締めが遅れるんじゃないかと思って」

昼番の人「そんな事はいいんですから謝らないで下さいよ。本当にもう律儀と言うか義理堅いと言うか。そんなに気にしないで下さいね」

朝番のレジの鬼の集団はちょっと怖い感じだが、昼番の人達は朝番と比べるとおっとりしていていい人ばかりだ。早速、私のレジに来たお客さんに声を掛けられた。

奥様「あなた”おはようございます”って、今、出勤なの?」

みかやん「はい」

奥様「何時までなの?」

みかやん「明日の朝、8時半迄です」

奥様「あらまぁ。怖くないの?眠くないの?身体は辛くないの?女性は特に大変でしょうに。それに危なくないの?」

みかやん「(質問責めじゃないの)警備員さんが居ますから怖くも危なくもないですし、昼間たっぷり寝てますから、それほど眠くも辛くも大変でもないです(ふぅ。きっちり答えられた)」

奥様「この辺はストーカーやら変質者みたいなのが多いらしいから、朝晩は気を付けた方がいいわよ。私もこないだココでストーカーに遭ってねぇ・・・あなた、あの時の方よね?」

みかやん「あっ、はい!」

奥様「あの時は、あのストーカー男もサッサとレジを済ませて着いてくるんじゃないかと怖くて怖くて、後ろも振り返らずにタクシーに飛び乗ったわ。お陰で無事だったのよ〜(奥様特有?の手をこまねきするポーズ)」

みかやん「ご無事で何よりです」

奥様「私もあれから一応用心してるのよ。あなたも気を付けてね」

みかやん「はい。ありがとうございます」

どこかで見た事の有る奥様だと思ったら、10月23日の被害妄想(?)の方だった。

あの日、この奥様が脅えながら帰った後、問題の男性はどうしていたか?と言えば、その奥様を追い掛ける様子はまるでなかったし、それどころか奥様には目もくれず、のんびりと、しかも相変わらず1人でもニコニコしながらお買い物を楽しんでらっしゃった。

その男性の周りだけ、何かほのぼのとしているような感じさえしたのに、ストーカーに間違えられるなんて本当にお気の毒だった。

「どこかで見たかな?」とか「前にも会ったかな?」と感じるお客様に対して、とっさに身構えてしまう事が多い。とんでもない言いがかりをつけてきたり怒鳴ってきた客や、とんでもなく親切にして下さったお客様や、アッと驚くようなイケメン君なら(笑)よ〜く覚えているが、お小言程度だったりプチ親切だったりだと、あまり印象に残らないものだ。

それで漠然と「どこかで見たかな?」とか「前にも会ったかな?」と感じた場合は、お小言の方だったかプチ親切だったか思い出せず、取り敢えず対応はお小言バージョンの方でいこう!と身構えて、ついひきつり笑いを浮かべてしまう。デパガ時代もコンビニ時代もそうだった。

たまに友人から「こないだ、かくかくしかじかこんな事があったから、恥ずかしくてもうあの店には行けないんだ」なんて話を聞くが、よほどの大事件を引き起こしたよほど個性的な容姿の人でなければ、店員なんてそうそう覚えていないものだと、つくづく思う。

そんなわけで、どこかでちょっぴり恥ずかしいような思いをされた方も、勇気を出してまたそこへ行ってみて下さい。店員さんや関係者はかなり高い確率で忘れてますから。

それとも忘れてるのは私だけ?ボケの始まりかしら?いや〜ねぇ。
教習所に通っているOくんから電話が来た。

Oくん「次の教習まで2時間もあるから、なんか食わせて」

みかやん「冷蔵庫に入ってる余り物で良ければいいよ」

Oくん「いいっ!」

30分ほどでOくんが家に来た。ご飯はジャーに入っていた昨日の残りで、あとは目玉焼きを焼いて、冷蔵庫に入っていた「あぶり焼きサーモン」という物を袋から出して、モーニングサーブをレンジでチンしたという超手抜きだった。

にも関わらずOくんは「ええっ!こんなにおかず有るの!」と大騒ぎ。普段の食生活の貧困さがうかがえる。

Oくん「目玉焼き、上手だね!めっちゃ俺好みだよ!俺の母さんを越えてる!すげえ!」

みかやん「まあね。このトシで目玉焼きぐらい作れなくてどーすんのさ」

Oくん「でも、みかやんの手料理を食べた人って、被害者とか犠牲者って言われてるんでしょ。俺も被害者の会会員だからね」

みかやん「そんな会は無いって!Oちゃんが作った目玉焼き丼とか、ツナ丼とか、かけラーメンだって、なかなかどうして。それに松茸もどき雑炊だって、あたしゃワラジ虫が浮いてるのかと思ったよ」

Oくん「俺のド貧乏時代の話はやめてよ。でも俺が作ったカレーは美味しかったでしょ?」

みかやん「うん!アレはまた食べたいね。珍しく具だくさんだったもの」

Oくん「そういや、みかやんが作ったチャーハンだって、なかなかどうして」

みかやん「それはお宅のショボイガスコンロと、使い慣れない変なフライパンで作ったからだよ。しかもご飯と玉子としょう油しか無いのに、チャーハン食いたいって泣きついてきたからでしょ」

Oくん「あのチャーハンを作った人と、この目玉焼きを作った人が同じ人とは思えないよ」

みかやん「全くもう!はい。じゃあ1500円頂きます」

Oくん「えーっ!褒めてたのにー!」

みかやん「なんだい。褒めてるなら褒めてるって最初から言ってよ」

Oくん「いや最初に褒め過ぎたのがちょっとシャクに障って」

みかやん「は?」

Oくん「今度から目玉焼き職人と呼んであげるよ」

みかやん「そんなの嬉しくない!」

Oくんは「じゃ俺、教習所へ戻んなきゃ!」と言ってバタバタと帰っていった。Oくんは実は2回目の教習所通い。前回はOくんが専門学校時代、親のお金で教習所通いを始めたものの、いざ車に乗ったら怖くて怖くて「車の運転なんか人間のする事じゃない!」と、お金を全額払ったのに途中でリタイアしてしまったって話。

その時、母親に「この馬鹿息子!就職して車の免許が必要になったら自分の金で、教習所へ行け!」と言われたので、今は細々と自力で教習所通いをしているし、恐怖を克服してもうすぐ仮免だ。なんだかんだ言っても、奴も着実に成長してるようだ。頑張れOくん!
甚だ申し遅れました。
KEMONOさん、あかななさん、にゃんこさん、澪奈さん、Q・リーさん、yukapiさん、ありすさん、hirokoさん、大阪花子さん、掲示板の方への書き込みありがとうございました。大変遅くなってしまいましたが、返信をしましたのでお時間のある時にでも見て頂けると幸いです。

皆様にご心配頂いた目の診断結果は”極度のドライアイ”でした。

視力検査や目のブレ具合の検査、目に風をかけたり、目に薬を入れて妙な機械で見てみたりと様々な検査の後、今までの職業や仕事内容やら職場環境に眼科通院歴などを延々と尋ねられた後、

「極度のドライアイで角膜が傷だらけ。今すぐにでもシリコンプラグを涙点に差し込むか、涙点を縫合するかで、涙点を閉鎖したいところだが、過去の眼科通院歴、視力が裸眼で2.0、地下鉄に乗ってスーパーに通っている事を加味すると、他の目の病気に感染する可能性が高いので、ヒアルロン酸点眼薬で改善を図りましょう」との事。

ずっと視力2.0を誇ってきた私の目だったが、視力の良い目ほど弱い目だそうで、デパガ時代に流行り目やらものもらいやらで、しょっちゅう眼科通いをしていたのは、目が弱いからだそうだ。不特定多数の人間との接触ですぐに目の病気に感染してしまう人に涙点閉鎖はオススメできないとの事で、処方されたのはヒアルロン酸点眼薬5本。一日10回以上点眼する事になった。

スーパーの冷暖房は目によくないし、スーパーでのパソコンを使ってのPOP作りなど極端にまばたきが減る作業も目によくない、目によくない環境にいるのだからせいぜい家では趣味でのパソコン使用をやめておくこと、とも言われた。全く話の長〜い医者だった。

各種検査と医者の長〜い話と点眼薬5本で3500円。高いのか安いのか。

”シリコン”と言われ、「クラブのブラックライトの下などでは整形して鼻にシリコンが入っていたりすると、鼻が白く光る」という話を思い出した。私も涙点にシリコンプラグを装着したら、目頭が白く光ったりするんだろうか?両目頭が光ったりしたらかなり怪しいかも?うはは!などと考え、熱心なお医者様の話を話半分で聞いてしまっていたりした。

ともかく脳神経外科に回されなくて良かった。脳神経外科の件は職場の人に「知り合いも、片目だけ目がブレるけど片目だけ乱視なんだろうか?なんて言ってたら、脳からくる病気で眼科へ行ったら脳神経外科へ回されて、すぐ検査入院になりましたよ」という話を聞いて、えーっ?脳?入院?怖〜い!と震え上がっていたからだ。

その後、目は良くなったり悪化したり、調子が良い時は目の腫れも引き物もハッキリ見えるが、調子の悪い時は目が腫れ、目を開けていられず目を閉じると熱い涙がボロボロ出たり、特に寝起きが最悪で起きてから暫くは目を閉じても開けても目が痛くて痛くて涙が止まらなかったり、痛いからといって押さえたりさすったりもできず、マジ辛かった。

唯一、良かったのは目から溢れた点眼薬のヒアルロン酸がお肌に効くのか、目の回りのちりめんジワや小ジワが激減した事。無関係かも目が腫れているせいかも知れないが、小ジワが減った事は有り難い。

そんなこんなで、騙し騙しこの目と付き合う方法を会得したので、ぼちぼち更新します。
最近、休みの日に何をしているか?といえば、ERを見ている。TVでやっていた頃は所々しか見ていなかったので、得意のビデオ一気借りをして少しずつ見ている。第1シリーズを見て、さて第2シリーズへ!と思ったら家の近所のレンタルビデオ屋さんには第2シリーズだけが丸ごと無い。

仕方なく第2シリーズをとばして、第1シリーズから第3シリーズを見ると、華々しく結婚式を挙げたキャロルが離婚していたり、ジェニーっていつから別居してたの?てか、何?ジェニーとベントンって付き合ってたの?不倫かい?と1人で大騒ぎ。

なんてこった。

ゲオ南郷○○丁目店様、お願いですからERのセカンドシーズンを揃えて下さい。
22:18-8:36 B番 

今日はS君がA番で、EさんがC番だった。明日は勤労感謝の日で巷の皆さんがお休みの為に、異常にお客さんが多くレジも大混雑だった。とても私1人ではさばききれず、C番のEさんが何度もレジへ走ってきてくれた。

レジが混んでいる時は、カップルのお客さんが意外と困ったちゃんだったりする。カップルの男性なり女性なり、どちらかが代表してスパッとお金を払ってくれれば良いが、「ねえ、20円有る?」「あと100円有る?」などと、2人で協力して小銭を出されると物凄く待たされ、その間に更にレジが大混雑になる。

今日もそのテのカップルが多く、898円の支払いに、男がまず500円玉を出し、次に女が100円玉を2枚、男が更に100円玉を出すと、女が50円玉を出し・・・交互にまるで牽制し合うようにお金を出されている間に、レジ行列に1人また1人とお客さんが並ぶ。

その中の1組のカップルは最悪だった。女の方が千円札を出し、男に「ねえ26円有る?」と聞いているのに、男ときたら・・・。

男「明日は祝日だから混んでるなぁ。明日って何の日か知ってる?」

女「勤労感謝の日でしょ!知ってるよ。それより有るなら早く26円出してよ!」

男「でも、勤労感謝の日にどんな意味が有るかまでは知らないだろ?」

女「知らなくてもいいから、早く26円出して。有るの?無いの?」

男「勤労感謝の日ってのは、勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう国民の祝日だよ。俺はいつも○美に感謝してるよ。26円は無い。だから払っといて」

女「無いなら無いって最初から言いなさいよ!馬鹿じゃないの!アンタがモタモタしてるから、後にこんなに並んで!見てみなさいよ!」

男「後を見れない。首が回らないもん。借金で首が回らないって奴?あはは!」

このカップルの会話は私にもカップルの後に並んでいるお客さん達にも聞こえていたが、誰も笑えなかった。女は男の財布を取り上げ、中から26円を出し、レジに投げつけるように置いて、男を引きずるようにして連れて行った。

カップルのすぐ後に並んでいたのは、ちょっとやんちゃな少年少女のカップルだった。まだモタモタとサッカー台で袋詰めをしているさっきのカップルに、男の子の方が思いっきり聞こえよがしに「千円札でも五千円札でもサクッと出しゃいいんだよ!」言うと、女の子の方も「何が勤労感謝の日だ!うぜえよ!」と叫んだ。

私も内心は少年少女と同じ事を思っていたが、さすがにひるんだ。先のカップルは後ろも振り返らずに一目散に走って帰っていった。先のカップルの勤労感謝男が怒り出して喧嘩になったらどうしよう?とヒヤヒヤしたが、やんちゃ少年のお陰で、次のお客さんもその次のお客さんもサクッと千円札で買い物をしてくれたので、大助かりだった。

私も「へえぇ。勤労感謝の日って勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう国民の祝日だったんだぁ」と、暇な時ならそう思ったかも知れないが、このクソ忙しい時に何と暢気な!どうでもいいから早く金を払って帰ってくれ!な気分だった。

暇な時にカップルで仲良く小銭を出し合うのは許せるが、このようにカップルの両方が実はお金を出したくないと思って居る時は要注意だ。あんな馬鹿みたいな勤労感謝男が居たばかりにレジが混んで混んで、Eさんは走り回って、お疲れのご様子だった。

地下鉄の最終の時間になり、ようやく店内が空いてきて、フラフラとEさんが来た。

Eさん「なんだか私。妙な倦怠感に包まれております」

みかやん「何度もレジに走って頂いてすみませんでした」

Eさん「いえいえ。お互い様ですよ。でも、なんか無性にロールケーキが食べたくなりました」

みかやん「疲れた時には甘い物ですよね。私もこないだ休憩時間に、スイスロール(切れ目が入ってないロールケーキ)を丸かじりしました」

Eさん「あはは!スイスロールを丸かじりですか?まるで恵方巻のように?」

みかやん「はい。もう無言で」

Eさん「あはは!みかやんて、可笑しい!」

お笑い芸人でもないのにEさんに笑って貰って嬉しかった。そういうEさんだって、スイスロールを恵方巻だなんて(笑)。

ちなみに北海道には節分に恵方巻を食べる習慣はありません。
22:48-9:01 C番 

今日はB君がA番で、S君がB番のハズだった。1号レジにB番のS君が居るハズなので、飲物でも買って一服してから出動しようとレジを見ると、レジに居たのはS君ではなくてB君だった。一度手にした飲物を慌てて売場へ戻し、B君に見つからないようコソコソとロッカーへ向かった。大急ぎで着替えてワークスケジュールを確認すると、やはり今日はB君がA番でS君がB番になっていた。

知らぬ間にS君とB君が交代したらしく、私とB君がペア(B番とC番)になっていて急に緊張した。レジに入ると、昼番の人に「サッカー台にお財布の忘れ物が有ったのを今、見つけたの。拾得物帳に付けておいて」と言われたが、私は拾得物帳などココでは見た事も聞いた事もなかった。

恐る恐るB君に尋ねると、B君はニコニコととても親切に拾得物帳の書き方やお財布の処理について教えてくれた。こんな時のB君は本当にカッコイイ。お財布はブランド物のお上品な物だった。

B君「きっと、さっき沢山買い物してくれた綺麗な女性の財布じゃないかな?」

みかやん「私もそんな気がします。きっとそうですよね」

B君「でも、さっきの綺麗な女性が来ても”コレですね”なんて言ってすぐにお財布を出さないでね」

みかやん「はい。どんな色とどんな形の財布で、中にどんな物が入っていたか先に確認するんですね」

B君「そうそう。さすがだね」

みかやん「いえ、そんな」

元エレガの私、落とし物などは店内案内所に届く場合が多かったので、拾得物の受け渡しなどは一応心得ていた。財布が拾われ、届けられる様の一部始終を見ていた別のお客さんが「財布を落としました」と言って来る場合も無いとは言いきれないので、「このお財布ですね?」などとすぐに渡してはいけないと習った。暫くしてB君が笑いながら私の方へ走って来た。

B君「いつも酢を買いに来るオバハン、知ってる?」

みかやん「はい。毎度、酢を4本ぐらい買う、紫のターバンの方ですよね(常連さんファイル・その15)」

B君「そうそう!さっきの忘れ物、あのオバハンの財布だったよ。あはははは!」

みかやん「えーっ!そうだったんですか」

B君&みかやん「あははは!あーはっはっは!」

どうしたんだろう。いつものB君と違う。私を相手に腹の底から笑うB君を久しぶりに見た。B君が私にこんなにフレンドリーに接してくれるなんて、有り難くて笑い泣きになるところだった。B君が休憩に入った間に、懸命にB君担当の飲料の品出しをした。

休憩から戻ったB君に「ジュースの品出ししてくれたんだ。ありがとう。助かるよ」と微笑まれ、とても照れながら入れ替わりに私も休憩に入った。やっぱりB君のようなイケメン君はいつも笑顔で居るべきだ。

2回目の休憩開けに売場へ出ると、パンのバットが大量に積まれていた。「はいはい。今日も大量ですね」と品出ししようとしたら、それは全て空のバットだった。近くにいたS君に尋ねると、B君がパンの品出しをしてくれていたそうだ。慌ててB君の元へ走った。

みかやん「あんなに沢山のパンの品出しをしてくれたそうで。ありがとうございました」

B君「えっ?パン?知らないなぁ」

みかやん「ええっ?近くに居たS君に聞いたらB君の仕業だって・・・」

B君「なんだ。バレてたのか。ははは!ジュースのお返しって言うか仕返しって言うか」

みかやん「あんまり仕返しとは言わないと思うんですが」

B君&みかやん「あはははは!」

B君と談笑したのは久しぶりだ。私が休憩に行った30分弱の時間で、あれだけの量のパンの品出しを終えてしまうなんて、さすがB君だ。B君の物凄さを改めて見せつけられた感じだった。私の事を丸無視したり、私に対して冷徹だったB君が、逆に嘘のようだった。

なんか、めっちゃ良い兆し(喜)。
性別   女    
推定年齢 60代後半〜70代
特徴   ジーンズ ターバン  
来店頻度 週3〜4回
来店時間 深夜2〜4時  
お買上品 酢 酢を数本 

メモ
ご高齢にも関わらず深夜に、夜更かししていたのか、今目覚めたのか、微妙な時間にご来店下さる。お買上品は専ら酢。毎度、酢を4本ぐらいお買上でそれが週に3〜4回なので、水代わりに酢を飲んでいると思われる。白髪を紫のターバンで隠し、ジーンズ姿で若々しくモダン婆さんな印象。

酢を飲んでいて、あのように若々しくいられるなら、私も酢を飲んでみようか?と思う。通称「酢のおばさん」で、「酢のおばさん」と言えば、みんな分かる。「すみません〜両替して貰えませんか〜?」と声を掛けられた時、声や言い方がまるで岸田今日子だったので、それ以来、酢のおばさんが岸田今日子に見えてしまう。
22:47-8:39 B番

今日はS君がA番で、EさんがC番、MさんがX番の4人勤務だった。S君も辞める事になって、何となく暗い雰囲気だった。

「しっかりしなければ!」と思いつつ、どうにも力がみなぎらず、うすぼんやりとレジに居ると「すみません。領収証をお願いします」という男性の声。声の主は先日(10月14日の日記)のオーナーシェフ様だった。「きゃーーっ!」と心の中では大騒ぎだ。

みかやん「はい。領収証は○○・○○○○ー様で宜しいですか?」

オーナー「よく覚えてましたねぇー!」

みかやん「はいっ!そりゃもう憧れのお店ですから、しっかりと・・・あわわ(また接客も忘れ素の自分)」

オーナー「えーーっ!」

みかやん「はぁ・・・」

何だかもうお互い照れてしまった。

オーナー「じゃあ今度、是非、お店の方へ・・・」

みかやん「はいっ!ありがとうございます!是非っ!もう是非っ!(完全に自分の立場を忘れている)」

次のお客さんが居なかったので、満面の笑みでオーナーシェフ様を玄関までお見送りした。私のその後のネット徘徊によれば、あの方は「若き天才シェフ」と絶賛されていて、どさんこワイド212では「ホテルで見つけたいい男」として紹介され・・・でもネット上の画像より実物は数段イケてて、爽やかで華やかでイケメンで・・・はあぁ・・・うっとり。

俄然、力がみなぎってきた。私の元気の源はやっぱり目の保養・イケメン鑑賞なのだろうか。

そして朝、私が最も嫌いな客が来た。平日は毎朝現れる常連だが、とても常連さんファイルには入れたくなほどイヤな奴だ。普通のスーツ姿だが、どうしてもネズミ男(ゲゲゲの鬼太郎)に見えてしまう。とにかくセコくて、よく恥ずかしくなくそんなセコイ事を言ってこれるものだと思うような事を平気で言ってくる。あさましくて、口に出すのも文字にするのもおぞましい。

若い人がお金に細かいのは嫌いじゃない。独身時代に家計簿をつけていた男友達が居て、家計簿上と財布のお金が1円合わないのは何故かと、必死で追求する姿に胸を打たれた。若いがゆえに給料は少ないが、それでも夢や希望はいっぱいなハズ。若い人の場合はセコい奴とは思わずに”しっかり者”と思い私的には凄く好感を抱くが、あーゆー50代のセコいオヤジは大っ嫌いだ。

そのオヤジが来るとまずサンドイッチコーナーで、おもむろに両手に一つずつ半額になったサンドイッチを掴んで持ち上げ、半額になったサンドイッチの中でどれが一番重いのか、徹底的に調べてやがる。これだ!と思う物を横に除けておいて、残った中から一番重いと思われる物を選び出し、最初にこれだ!と思った物と持ち比べてやがる。しっかり見てはいるが、見るに耐えないおぞましい光景だ。

そのオヤジは買い物の後のレシートチェックも欠かさず、不審な点でも有ろうものなら、ネチネチとイヤラシ〜くモンクをつけてくる。怒鳴られた方がまだマシだと思うぐらい、遠回しなイヤラシイ言い方にも耐え難いものが有る。今日は「このパン、158円だから買ったのにレシートだと198円になってる。どうしてかな?」と陰湿に私に迫ってきた。

急いでPOPを確認に走ると、158円のPOPは昨日までの日付になっていて、今日からは198円で間違いないが、A番のS君がPOPを外し忘れていた。言いたくはないがセコオヤジに「申し訳ございません」と言ってから、説明をした。

セコオヤジ「そんな事じゃ僕以外のお客さんも困るんじゃないの?それにこんな事じゃお店の信用も失うんじゃないのかな?初歩的なミスだよ。あんた達のレベルもどうかと思うよ。40円も高いんだったら最初から買おうと思わなかったし(延々と続く)」

みかやん「大変申し訳ございませんでした(苦)」

セコオヤジ「4こんなパン要らないから取り消しして、お金を返して。こんなレベルの低い店にいるあんたなんかの詫びなんか聞きたくないよ。僕の大事なお金さえ返してくれればいいから、早く返して」

毎度こんな事を言いながらも、このセコオヤジは毎朝ココへ来ているのだ。兎に角、私達をたしなめたいのだろうが、確かに今日のようにこちらに非が有る場合も有るが、言いがかりも多い。黙って帰ってくれたら万々歳だ。

世代的に親の介護や子供の教育費や結婚費用や家のローンやらで大変だとは思うが、オヤジ様にはそんな姿を晒して欲しくない。スマートなオヤジ様でいて欲しい。
21:46-7:04 A番 

今日はMさんがB番で、S君がC番だった。私が22時出勤でS君が23時出勤だったが、S君を待つ1時間が長くて長くて。結局、待ちきれずに事務の人に話を聞いた。

S君が12月10日付けで退職する為に、11月30日付けで退職する予定だったB君が12月31日付け退職に延長になったそうだ。それもS君が「12月10日」と言ってガンとして譲らないので、先に退職するハズだったB君が折れるしかなかった。

私が”ナイト募集”の公告を見てから12日経ち、ようやくB君の後がまが決まったらしいが、後がまが実際に来るのは12月上旬になる。そうじゃなくても忙しい12月に、新人とMさんとEさんと私では、どうにもならない。人一倍責任感の強いB君が辞められるわけがない。

事務の人の話によると、朝番や昼番の人の採用は店長や課長との面接で即決となるが、ナイトは本部採用になるので採用基準も厳しく、本部とのやりとりら何やらで面接を受けてから入社までに最短で半月かかるそうだ。私が見ただけでB君の後がま候補7通の不採用通知が有った。

私もココに入る時は、面倒臭い引き算や足し算、漢字の読み書き、敬語の使い方などの試験の後、似たような設問ばかりの適性検査を受け、長々と面接を受け、仮採用になってから健康診断を受け、試験から採用まできっちり半月かかった。その間、事務の方から定期的に電話がくるので家も空けられず、パートだってのになんて大袈裟な!と半ば呆れていた。

更に事務の人の話によると、ナイトの場合に限り、いくら試験の成績が良くても適性検査の結果が悪ければ、どんどん不採用になるそうだ。その上、この店で採用を決めても本部で不採用になる場合もあるそうだ。だったら最初から適性検査だけにすればいいのに。全く、聞いただけで面倒臭い話だ。

知らなかったけど、私も難関を突破してココで働いていたのね。更に驚いたのは、私が面接を受けた時に店長が「もしもあなたが合格したら」とか「万が一あなたが合格したら」としきりに言うので、この男は私が合格すると思っていないんだと思ったら、私は店長のイチオシだったそうだ。それにしたって、万が一って言い方は酷すぎやしないかい?

ナイトは少ない人数で長い時間を働くので、チームワークを乱すような人ではいけないし、各種保険完備なのはナイトだけなので、本部も首を突っ込んでくるそうだ。

みかやん「S君!私をおいて辞めちゃうなんて酷いじゃないですか!辞めれなくなったって言ってたじゃないですか〜」

S君「お世話になりました。みかやんが来てから楽しかったです」

みかやん「そうじゃなくて。すぐ富良野へ行っちゃうんですか?」

S君「すぐには行かないんですけど、富良野へ行ったら一番にみかやんへ電話しますよ」

みかやん「そんなぁ。本当に辞めちゃうみたいじゃないですか。勘弁して下さいよ」

S君「だって本当に辞めちゃうんですから」

みかやん「今ココで大の字になって泣き叫びますよ」

S君「やっちゃって下さい」

みかやん「出来ません」

S君&みかやん「あはははは!」

ったく。笑う話じゃないのに、S君とだとつい笑いが入ってしまう。いやしかし、S君が居なくなってB君も居なくなったら、ココはどうなってしまうんだろう。3連休明けのMさんも突然の話に驚いていて「暫くは休みも無いかも」と言って嘆いていた。どんな師走になる事やら。

一昨日に3回も訳の分からない事を言ってきたオッサンが、今日も店内をウロウロしていた。A番の時は特にオッサンに付け入る隙を与えてしまうので、今日は逃げた(笑)。オッサン、ごめん。

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