ラブホ649日目:匂い
※5月27日の日記です。

11:00-18:00 本メイク8部屋+クイックメイク2部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とUさん(30代後半・元悪霊付き)と近所さん(30代半ば・元ヤンママ)、Sさん(20代前半・初バイト)と私の勤務。関取さん(10代後半・90キロ超)がフロントだった。

熱が下がったので出勤したが、昨日はゼリーとヨーグルトしか食べていなかった為ヨレヨレだった。それなのにSさんと組むことになり、Sインフルエンザウィルスの宿主と組むとなると、また強力なウィルスを貰いそうで怖い。

念のためにSさんに「今回の風邪、お腹にこなかった?」と聞くと「うちはゲ□でゲ□で大変でした」との返事。やはり今回のSインフルエンザは内臓を攻撃するものだったらしい。お互い弱っているので無駄話はせず、黙々とベッドメイクをした。

時折よろめく私に、Sさんは「無理しないで下さいね」「怪我しないように気を付けて下さい」「辛かったら言って下さい。うち、やりますから」と、子供なのに一生懸命に気遣ってくれて有り難かった。Sさんだって本調子ではないのに…なんだかんだ言ってSさんは優しい子だ。

強運の私は、出来部屋(クイックメイク済みの部屋)の本メイクにばかり当たり、ベッドは組んである上、元々綺麗に仕上がっているので、本メイクがラクで本当に助かった。

今日も昼休みは、スポーツドリンク&ゼリーでやり過ごした。ろくに食べられず、痩せる思いだが痩せない(哀)。

他所のラブホで常に1部屋に1時間かけてベッドメイクをしていた近所さんが、三人勤務の慌ただしさに「早くて早くてついて行くのに必死でした」と目を回していた。

ベッドメイクと言っても、ラブホによって全くやり方が違ったりするもので、他所のラブホでの常識がココでは通用しなかったりする。

例えばシャワーヘッド。誤ってドアを開けたまま水を出しても、浴室以外や浴室の外の脱いだ衣類を濡らさないよう、またはふいにお客様に冷たい水がかからないよう、シャワーヘッドは浴槽向きもしくはドアと反対向きということで、近所さんも私も「日本全国どこのラブホでも同じ」と習ったのに、ココは違う(驚)。

私が居たラブホQグループでは「手作業の部分でラブホの品格が問われるもの」と、リネン折りには細心の注意を払うよう躾けられ徹底的な研修を受けたのに、ココはそれほどでもない。

床の拭き方にしても、毛や埃を集めながらキッチリと一定方向に拭かなければ、ラブホQでは「めくら拭き」と叱られたし、床の毛拾いもやみくもにベタベタとガムテで床を叩いたりしようものなら「めくら打ち」と厳重注意されたが、ココでは普通にめくら式が横行している。老眼の人が多いから仕方ないのかも。

私もそうだったように、近所さんも今は次々と近所さんの中での常識が覆され、驚きの連続なんだろう。ま、郷に入っては郷に従えというので、慣れて下され近所さん。

夕方からココは西日が差して物凄く暑くなる。そうじゃなくても不調の私達は暑さにやられ、追い打ちをかけるようにオヤジ臭やら珍味臭にアシガ臭が容赦なく襲いかかってくる。暑い上に臭い(泣)。

たまらず「こんなに胸具合の悪い時に、このオヤジ臭はキツいよね。あまりのことに涙目になってきた」と訴えるが、Sさんは「え?何か匂います?うち、鼻が詰まってて分かんないです」とのこと。Sさんたら幸せな人だ。何だか物凄く裏切られたような気分になった。

本来、ベッドメイクをする時は、露天風呂付きの部屋からとか高額な部屋から、広い部屋からなど優先順位が有るのだが、完全に暑さと匂いにやられてしまってどうにもならない。

西日が当たらない側の部屋、窓が2つ以上有って涼しい角部屋を選んでベッドメイクした。選り好みなんかしてスミマセン。

11:30-18:00 本メイク10部屋+クイックメイク3部屋

今日は、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と近所(30代半ば・元ヤンママ)さんと私の三人勤務。関取さん(10代後半・90キロ超)がフロントだった。

近所さんはベッドメイクの勘を取り戻したようで、順調に仕事をすすめていた。この仕事の30年前の経験者・#さんと違って、近所さんは若いし別のラブホで働いていたのも割と最近のことなので、即戦力となってくれて本当に有り難い。

その近所さんは朝から毛地獄にハマっていて、部屋係はもちろん洗面係でも風呂係でも毛に見舞われ、毛を拾いながらご主人の話をしてくれた。バツイチの近所さんが今のご主人と出会ったのは三年前だそうで、話を聞く限りラブラブじゃないか(照)。

どうも気恥ずかしいが、何と言っても近所さんとは家が近所なので、そのうち地元でご主人にもお目に掛かるかも知れない…と真剣に話を聞いた。

昼休みに入ったが、私は珍しく朝から食欲が無く、胸がムカムカして胃がもたれる感じがして、昼食はスポーツドリンクとゼリーで済ませた。ふと関取さんを見ると、ダイエット食なのか何なのか物凄く不気味で不味そうなモノを食べていたので、ますます胸具合が悪くなった。

いつもの”二時っチャオ!”で、くわばたりえさんがコアリズムというラテンダンスエクササイズでウエストが20センチも細くなり”くわばたクビレ大作戦”大成功!というのを見て、頭がクラクラするほど羨ましかった。

思えば私…16歳から夜な夜なクラブで踊っていて(当時は”ディスコ”・哀)、新入社員時代は野球部専属のチアガールで、元々体育会系なのでビリーズブートキャンプもなんのそので昨年の初夏から初冬まで続けられ、今も時々入隊している。

コアリズムみたいなダンス系なら楽しく続けられそう…(←この時は漠然とこんなふうに考えていて、9月2日現在はコアリズムが日課)

昼休み明けの風呂で、Zさんの「関取さんて一時少し痩せたけど、また太ったみたいですよね?」という問いに「でしょう!みんなそう言ってる。こないだの風呂転落事件のことをロザンナさんも”風呂が壊れなかったのが奇跡”とか言ってたよ」と答えながら仕事をしていたら…。

床に敷かれていたローションマットがローションでヌメヌメで、危うく転倒しそうになった。そういや朝も昼もろくに食べてなくてフラフラかも?しかも段々体調が悪くなってきた気が…。

思わず弱気になるが、お客さんは風呂のあちこちをローションだらけにしてくれるわ、排水口を陰毛だらけにしてくれるわ、三人勤務で慌ただしいわで弱音を吐いてる場合じゃなかった。

何とか仕事を終えたが、帰宅しても食べる物が無いことに気付き、夫と待ち合わせて近所のスーパーへ買い物に行くと、バッタリと近所さん夫妻に会った。家がご近所なのでそのうち会うとは思っていたが、早速会うとは…。近所さんのご主人は愛想が良く素敵なかただった。

帰宅して軽くヨーグルトを食べて寝ようとしたら、お腹の急降下に見舞われ、悪寒に襲われ、熱をはかると38.4度だった。Sさんからうつった風邪=Sインフルエンザが悪化したようだ。Sインフルエンザは本当にタチが悪い(泣)。
11:00-18:00 クイックメイク20部屋+リネン折り

今日は、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と#さん(60代前半・元美容師)が遅番、Cさん(60代前半・元看護師)とUさん(30代後半・元悪霊付き)、ロザンナさん(同い年・イタリア美女風)と私が早番の勤務。

Sさん(20代前半・初バイト)と新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)とホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)がフロントだった。

久々に組んだロザンナさんの話によると、関取さん(10代後半・90キロ超)は朝のA班でも評判が悪く、先日も関取さんが得意気に「再点検されたりしてメイクさんは大変ですね。私はまだ一度も誰からも注意されたことが無いんです」と言って反感を買っていたそうだ。

ロザンナさんは一言「あの子…人の話、聞いてないよね」と呟いた。あれだけみんなに注意され叱られて「注意されたことがない」と言い切れる自信がどこから湧いてくるのか私達には理解出来ず、私はこのテの人には狂気を感じてしまって怖くて近づけない。

悪霊憑きだった頃のUさんも、Cさんに次いでベッドメイクのやり直しが多かったにも関わらず「私だけ、まだ一度もやり直しをしたことが無いの」と言っていて、私にはご乱心としか思えず怖かった。関取さんも悪霊憑きか脳障害なんだろう。

給料後の日曜で朝から忙しく、セットが追いつかない状態だったので、私達が部屋へ入るとフロントの人がセット中というパターンが多かった。

最優先の露天風呂付きの部屋が空いたので急行すると、ホスト君がその部屋へセットへ入ろうとしているところだったが、部屋のドアを開けたとたん「うわ!この部屋何ですか?」と固まった。

普段、恐ろしく荒らされた部屋のセットにばかり当たっているホスト君が固まるぐらいなら、かなりの荒れ方なんだろう…とホスト君の後ろから部屋を覗いてみると、ベッドの脇にデーンと三脚が聳え立っていた。

セットを手伝うも、風呂もトイレも洗面所も使われた形跡が全く無く、ロザンナさんも「ただ撮影の為だけに来たって感じだよね。変態だわ」と萎えていた。入室してすぐ三脚を組み立てて撮影を開始し、ウハウハと喜んでビデオカメラを回収して三脚を忘れて帰ったのだろう。

そんなに撮りたかったんかい。だけど、三脚を使ってるってことは行為に及ぶ自分も撮してるってことで、ナルシストというか何というか…。ま、お二人の記念なんでしょうけど、証拠を残されるとキツいので三脚はお持ち帰りいただきたかった。

別の露天風呂付きの部屋へ行くと、セット中のSさんが何やら騒いでいたが要領を得ない。よく聞いてみると、お客様が雨漏りに気付いて洗面器の上にバスタオルを敷くなどして対処して下さり、雨漏りの知らせと共に激励のメッセージを残して下さっていたそうだ。

なんて奇特なお客様だろう!と感動したが、Sさんは「うち、フロントへ電話しなきゃ!あぁ何て言ったらいいんだろ?うちがフロントの時にこんなことが起こっても困るし!」とテンパっていた。

続いて新卒君がセット中の部屋へ入ると、新卒君がドンヨリしていたので調子を尋ねると「俺、彼女が出来たっつか元カノとヨリ戻したんですけど、もう別れたいんですよ」と悄気ていた。

理由を聞くと「だって擦れ違いばっかで全然会えないんですよ。寂しくて…」って返事で、それってノロケじゃん!真剣に聞いて損した(笑)。

夕方、セット中のSさんの横でベッドを組んでいたら、ロザンナさんが腕にしていた数珠が切れた。「不吉な事が起こったらどうしよう!」と怯えるロザンナさんに「きっとSさんの仕業だよ(笑)Sさんは今迄も数々の怪奇現象を引き起こしてくれたから」と慰めた。

Sさんに纏わる怪談(無人の風呂で急にジェットバスのスイッチが入った等)を聞かせると、ロザンナさんは「じゃあSさんの仕業だわ」と笑った後「つか、Sさんて本気で怖いんですけど」とまた怯えた。

帰りのロッカーでメールチェックをしていたロザンナさんは「ちょっと!家の近所のおじさんが亡くなったってメールきてたよー!えーっ!」と言って絶句し、私も絶句した。

忙しい上に様々なことが起こり、あっと言う間の一日だった。
11:30-17:00 本メイク7部屋+クイックメイク1部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)と近所さん(30代半ば・元ヤンママ)、#さん(60代前半・元美容師)と私の勤務。関取さん(10代後半・90キロ超)がフロントだった。

今日もSさんはマスクをして出勤してきた。

Eさん「あら?Sさん、マスクなんかして風邪かい?」

みかやん「昨日から口が裂けてるんですよ」

Eさん「あはは!口、裂けてるの?どれ?見せて!」

Sさん「うち、それどころじゃないです!」

やっぱりバッサリ斬り捨てられた。昨日より調子が悪いらしい。無理しないで休めばいいのに。ヒマなんだし…と改めてモニターを見たら、久々に超ヒマな感じで何時まで働けるか、急に不安になった。

最悪14時、良くて15時半、16時まで働けたら御の字だよね…と言いながら、一同どんよりと出動した。

先日の乙女君(10代後半・仕草が女の子)と組んだ日の#さんにはムカついたが、#さんとて極悪人ではなく、新人と一緒の時の#さんが嫌いなだけだ(爆)。新人の前で自分を大きく見せたい、自分が誰より凄くて偉いと振る舞うのは勝手だが、思いっきり空回りしているのを見ていて辛くなる。

実際、#さんがそういう方向に頑張れば頑張るほど新人には嫌われてるんだから、目も当てられない。つくづくお気の毒な老人だと思う。

嗚呼それなのに#さんは、今日は朝のA班に入っている乙女君を見て「あの子、大丈夫かなぁ?・・・人に教えるのって難しいよねぇ」と言った。誰も#さんに「新人に仕事を教えてあげて」と頼まないし、この先も頼むつもりもないのに。

悪いけど仕事の面じゃ#さんより乙女君の方が繊細でキッチリしてくれてるし、老眼じゃないからしっかりセルフチェックも出来ている。他人の心配より自分の心配をした方がいいんじゃないんですか?我が班じゃ#さんが1番、仕事が雑なんですから!と言いたいのを我慢した。

私も、プライドの高いチーム60に囲まれていて、少しずつではあるが、お年寄りに花を持たせるとか勝ちを譲るということを覚えた。その反面、甘やかすと年寄りは調子に乗るということも分かり、ホントに年寄りって面倒臭いと思う今日この頃だ。

自分も厄介な年寄りにならないよう気を付けよう。

そんなことを考えていて私の歯切れが悪いのを敏感に感じ取るのか、#さんは一段と口調がぞんざいになり「相変わらずゴミと忘れ物だらけだもんね!あのブー(関取さん)だったら、ただベッド剥がしてお風呂のお湯だけ抜いて、それで”セットした”って大いばりかい?」と吐き捨てた。

仕方ないので「関取さんの場合は、あの図体でセットバッグ持って歩いてるってだけで大したもんだ!と思ってあげなきゃダメなのさ」と同調した。以前の#さんの「Cさんの場合は間違えないで勤務表どおりに出勤するってだけで大したもんだ!」というセリフと同じパターンだ。

必要以上に大ウケしてくれた#さんに萎えたけど、気まずくなるよりマシだ。

その部屋を出ようとしたら、廊下から若い女性の声が聞こえたので覗いてみると、上り専用エレベーターの前で若い女性が「ホント信じらんない!」「有り得ないから!」「クソオヤジ!」「死ねばいいのに!」とブチギレてらっしゃった。

カレシと喧嘩別れしたのか、チェンジをされたデリヘル嬢なのか知らないけど、一人で怒鳴ってると怖いんですけど…。つか、早く下りエレベーターで帰ってくれなきゃ、うちら動けないんですけど…。

すると#さんが私を押し退けて、その女性に「ちょっと!下りエレベーターね、あっちだから」と叫んだ。#さんもデリヘル嬢だと判断したんだろうけど、万が一普通のお客さんだったらどうするんだ。デリヘル嬢だからといって、こちらが尊大になる必要も無いのに「ちょっと!」って(汗)。

ま、#さんあたりは、先輩よりも社員さんよりも支配人殿よりもお客様よりも、自分が偉いと思ってる人なので、相手が誰だろうと同じ結果だったような…。年寄りだってだけで、何でそこまで偉いと思えるんだかホントに不思議だ。

ひょっとして#さんて、ココの役員とか会長なんだろうか?今度から心の中で「会長!」と呼んであげよう。

ともあれ奇跡的に17時まで働けてラッキーだった。
11:30-18:00 本メイク8部屋+クイックメイク2部屋+ベッドのみ2

今日は、Uさん(30代後半・元悪霊付き)とZさん(20代後半・昔の森尾由美似)、Sさん(20代前半・初バイト)と私の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

Sさんがマスクをして出勤してきたので、思わず「あらマスクなんかして大丈夫?口が裂けたんでしょ?」と茶化すも、よく見ると目が腫れて痛々しい状態になっていた。

風邪が悪化した上、朝目覚めると目が開かず、ようやく目を開けたら腫れているわ充血しているわで「最悪です」との事。しかしマスクをしているので、よく聞き取れない。

Sさん「今日は夜の社員さん(40代後半)が来てるんですね」

みかやん「うん。支配人殿と交代したみたいだね」

Sさん「なんだ◎×※△か」

みかやん「えーっ!”なんだチビか”って?社員さんに何てことを!」

Zさん「えーっ!私は”なんだジジか”って聞こえましたよ!Sさんたら酷い!」

Sさん「うちは”なんだチェンジか”って言ったんです。チビとかジジとか、うちそんんな酷いこと言いません!」

結局、Sさんを茶化してしまうが、風邪の悪化やら目の充血やらで可哀相だった。

出動前のクジ引きでSさんと私が組むことになったが、社員さんの代わりに指示してくれた電話番姉さんが「1隊クイックメイクで、1頭は本メイクで」と言った。1頭て…うちら牛や馬じゃないんだからさ(笑)。

みかやん「Sさん、うちら1頭2頭で数えられちゃったよ。じゃ、Sさん1頭で本メイクしてね」

Sさん「うちは1頭じゃなくて1人です!だけど、うちは一人本メイクなんか出来ません!」

相変わらずいぢられっ娘のSさんのリアクションがギャーギャーだったので、思ったよりは元気なのかも?と少しホッとした。

だがしかし、部屋へ入ってベッドメイクを始めると、やはりSさんは調子が悪いようで辛そうにフーフー言ってて、とてもいつものようには茶化せず寂しい。そういう私も、Sさんの風邪”Sインフルエンザ”に感染していて本調子ではない。

先日「最近、全体的にメイクが雑」と注意されたばかりでもあるので、今日も黙々とベッドメイクをした。

夕方、浴槽の底に使用済みナプキンが貼り付いていて、その周りが何故だかキラキラと光っていた。取り敢えず拾い上げると、ナプキンは水を吸っていてズッシリと重く、その下には透明でツブツブのゼリー状になったナプキンの中身がこぼれて光っていた。

いつもの私なら「うわっ!ちょっと!コレ見て!」とSさんを呼んで騒ぎ立てるところだが、不調のSさんにそんな手間を取らせてはならないと、一人寂しく心の中で「へえぇ。ナプキンの中身って水分を吸収すると、こうなるんだ。これがキラキラの正体だったんだ」と思うだけにした。

「だけど、どうして浴槽の底にナプキンなんだろね?」という疑問をSさんに投げかけたかったけど、それも叶わず残念だ。それに絶不調のSさんに、つまらないことを言おうものなら「うち、それどころじゃないです!」とバッサリ斬り捨てられそうなので諦めた。

今回のこのナプキンは、排水口へ流れるお湯で血が洗い流されたのか、最初から血がついてなかったのかで透明なゼリー状だったけど、もし血だらけだったら中身は筋子やトビッコ状態だったのか?と、話し相手もおらずヒマだったので一人で想像を膨らませた。

今日は本メイクの係に当たり、本メイクも出来部屋(そのまま売り部屋に出来る状態の部屋なので綺麗)ばかりだったので、不調のSさんの負担が少しでも軽くなって良かった。

Sさんが”Sインフルエンザ”ウィルスを保有している限り、私の不調も良くならない気がするので、早く回復しておくれ…Sさん。
11:30-18:00 本メイク4部屋+クイックメイク10部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)と近所さん(30代半ば・元ヤンママ)、#さん(60代前半・元美容師)と乙女君(10代後半・仕草が女の子)と私の勤務。

昨日、朝のA班に入った新人の乙女君が今日は我が班に入り、#さんと私と組むことになった。乙女君は、顔はバレーボール男子日本代表の越川優選手に似た男前だが、仕草や発声が何とも女の子チックであるものの、よく笑う明るい子だ。

「ウザい」「命令口調だ」「何様だ」「あの婆、何とかしてくれ!」と新人からの苦情が絶えなかった#さんは、私とメイク研修中の関取さんと#さんの三人で組んだ時は出しゃばらなかったので改心したのかと思っていたが、#さんが乙女君に絡みたくて仕方ないという様子が見てとれた。

これはヤバい。せっかく入った新人をまた#さんに潰されては困る。私が乙女君をガッチリとガードしなければ!

1部屋目で乙女君とベッドを組んだ。昨日、A班で仕込まれてるだけあって#さんより全然上手だったので「あら、お上手!男の子は力が有るから包布もピンと張って綺麗だわ」と褒めると、乙女君は「昨日、特訓を受けましたから」と照れていた。

試しに2部屋目で#さんと乙女君とでベッドを組んで貰うと、#さんは「まずベッドを組む時はシーツをこうして、枕はこう、包布は…」と延々と語り出した。初日の1部屋目じゃないんだし、実際#さんより上手に出来てたのに。分かりきったことをクドクド言われちゃウザがられて当然だ。

若くて仕事の覚えも早い乙女君は、備品やアメニティー類の配置もほぼ完璧に覚えていて、1度目の洗面所の化粧品類の置き方も完璧だったので「きっちり覚えていて”若いって素晴らしい!”の一言だわ」と感心した。

ところが乙女君が2度目の洗面係の時、乙女君が化粧品類に手を掛けようとした瞬間、#さんが後ろから「そこは、まずブラシを置いて、そして歯ブラシ、それから…」と、また偉そうに語り出した。

ホントにウザくて、このババア!つまみ出したろか!と思った。

昨日、A班で習ってきているのだから私達が教えることはそう多くはないはず。私達がすべきことは、乙女君がどこまで理解してるか、どこが苦手か、未知の領域はどこかを見極めることであって、やろうとしている先々で口を出したら自主性もへったくれも無い。A班の大先輩方にも失礼だ。

そもそも#さんのすぐ後に入った$君から始まって、#さんに対しての新人からの苦情が後を絶たないので、#さんと新人は組ませられないと思ってるから、誰も#さんには「新人の面倒見てね」なんて頼んだりしないのに、勝手にしゃしゃり出てウザく絡んでる。

ったく油断も隙も無い。自分の仕事そっちのけで、チラ見しながら乙女君をつけ回していて、そのウザさに私がキレそうになった。

このババアを野放しに出来ないので「昨日、A班で習ってきてちゃんと出来てるんだから、まず一人でやって貰って、乙女君が分からない所、間違ってる所を見てあげるつもりなの。#さんには乙女君の担当以外の所を全部やってほしいよ」と追い払った。

関取さんと組んだ時は、ただ単に#さんが元々おデブちゃんに対して嫌悪感や不信感や敵対心のようなものを抱いているので、関わりたくなかっただけなのだろう。

乙女君と話していて時々イントネーションがガクッと下がるのが気になって確認すると、乙女君はやはり私と同じ函館出身だった。たまたま、ケータイもお揃いでトシは違っても共通項が沢山見つかって、話が弾んで良かった。

夕方、乙女君に「ここはも少しこうした方がいいよ」とか「見えにくい床や棚の時は手で触ってみるといいよ」とアドバイスしていたら、#さんが乙女君に「私もそうやって怒られて注意されて、泣きながら仕事覚えたわ。今だけ、仕事覚える迄の辛抱だよ」と言ったではないか!

はあああっ?

よく言うよ!いま思い出しても忌々しいような舌打ちやらshrugのポーズで散々悪態ついてたのは、どこの婆さんでしたっけ?泣かされたのは私の方でしょ!だいたい「そうやって怒られて」って何?あたしゃ乙女君を怒ってなんかないし、あんだけ悪態ついといて「辛抱」なんかしてたのかい?

冗談でないわ!(Cさんふう)

やっぱり、この婆さんと新人さんは組ませられない。
11:30-18:00 本メイク3部屋+クイックメイク10部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と私の二人勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

朝、一人歩きの女性が客用玄関付近をウロウロしていたのを目撃して不審に思っていたら、その女性は今日から我が班に入った、近所さん(30代半ば・元ヤンママ)だった。

Eさんと私で近所さんに仕事を教えなければならないが、私は一昨日にSさんの風邪に感染したようで絶不調だ。Sさんの風邪は鳥インフルエンザのように”Sインフルエンザ”と呼ばれ、その脅威の感染力と致死率(死にません・笑)はパンデミックを引き起こすのでは?と恐れられている。

一昨日、Cさんに「Sさんみたいに酷い風邪をひいてても休まないで出てくるってのも考えもんだよ!みんなにうつるべしゃ!アンタもうつらないように気を付けなさい!」と言われていたのに早速うつったようで、珍しくEさんにも心配されるほどの不調ぶり(泣)。

今日は、朝のA班にも60代の女性と10代の男の子が入ったそうで、この時期になにゆえ新人が3名も入るのか、みな疑問だった。

ともあれ、近所さんはこの仕事の経験者だそうなので即戦力になってくれそうだし、人柄も良さそうなので、私もSインフルエンザに負けず懸命に仕事を教えた。

近所さんは、他系列のラブホSHで朝9時〜夜12時まで半年ほど働いていて、1部屋のベッドメイクに1時間ほどかけてココで言う”本メイク”をしていたそうで、私達の仕事ぶりを見てひたすら「え?もう終わったんですか?」「え?早過ぎませんか?」と言っていた。

ラブホSHは全20室のワンガレージタイプで、私が以前働いていたラブホQや新Pや新Qと同じような構造なので、近所さんの話を聞いていたら、たまらなく懐かしさが込み上げてきた。

しかも近所さんは、私がラブホQグループで一緒だった大阪出身のトドしゃん(注:昨年までココに居たトド山さんとは別人)と、体型は別として顔や服装や雰囲気がよく似てる。

(余談だけど、セイウチとかジュゴンとかオットセイとかアザラシとかアシカとか似たような海の生き物はいっぱいいるのに、太ってる人を悪く言う時は何故”トド”なのだろう???)

それにしても…#さんと辞めたBさんは見た目や尊大な所がソックリ、辞めたアニキとラブホQのO君は兄弟か?と思うほど似ていて名字も同じ、ラブホQのNさんとココのEさんは訛ってないだけで中身はよく似ていて、近所さんとラブホQのトドしゃんの雰囲気がソックリ。不思議なほど似た人が現れる。

ということは、も少し待ってりゃラブホPで出会ったモロ私好みで私がメロメロになった7号君にソックリな人も現れるってことなのか?キャーッ!どうしましょう!って、どうにもならないけど…。

帰り道は、ずっと近所さんと一緒だった。我が家と近所さんの自宅がホントにご近所で、よほど縁が有るのだろうか?と思った。
11:00-18:00 クイックメイク18部屋+ベッドのみ2+ゴミ袋折り

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)が遅番、Cさん(60代前半・元看護師)と私が早番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

12日に風呂へ転落した関取さん(10代後半・90キロ超)は明日まで欠勤の予定で、昨日はZさんがフロントの代行をしたそうだ。新卒君の話によれば、関取さんはただの風邪ではなく腎盂腎炎だったらしい。

Cさんは「ホントに腎盂腎炎なんだかしゃ。大袈裟に言ってるだけでないの?」と私に耳打ちしてきた。それが悪かったのか、Cさんと私は担当のSさんを差し置いて4P部屋からのスタートとなってしまい、朝からツキに見放された感じ。

その後もCさんは、水滴でベチャベチャの風呂や、真っ黒い垢がこびり付いてガビガビの風呂にばかり当たり「わち、今日だら大当たりだわ」と泣き言を言い始めたが、ベッドメイクをする部屋が無くなったので、作業室へ降りてゴミ袋折りをすることになった。

椅子に座ってのゴミ袋折りはCさんの大好きな作業なので、たちまち機嫌が良くなり、私も一安心だった。

そのまま昼休みに突入し、休憩室では新卒君が物凄く可愛い女友達の写メを見せてくれた。

みかやん「うわっ!なんて可愛いの!付き合っちゃえばいいじゃん!」

新卒君「それが…付き合えないんですよ。コイツ、男なんで」

一同「ええーっ!?」

その子は新卒君の同級生で、高校時代から普通に女子トイレを使っていて、今はニューハーフのメッカ・ララ○ーで働いているそうだ。今時のニューハーフちゃんは全く顔をいぢらなくても全然イケるって話だけど、ホントにそのとおりだ。

そういや辞めたP君の自衛隊時代の同期にもララ○ーで働くようになった子が居て、その子の場合は集団での入浴中に「やべぇ!俺、男の裸に興味が有る!」と目覚め、自衛隊からララ○ー入りしたそうだ。

私はこのテの話が大好きなので、ついテンションが上がるが、ふと見ると辱めを受けたわけでもなく、一昔前の田舎の子でもないのに、Sさんが頬を赤らめていた。

「顔が真っ赤だよ!熱が出てるんじゃないの?」と聞くと「うち具合悪いです。最悪です」とのこと。一昨日のスコールで風邪をひいたらしいが、大丈夫なんだろうか?Sさんはいつも無理をしてこじらせるので心配だ。

昼休み明けは妙にCさんがゴキゲンだと思ったら「関取しゃんが居ないばセットが綺麗で助かるもねぇ。たいしたいいわ。居ない方がいいんでないのかい?ひゃはは!」と、満面の笑みでそれはそれは楽しそうに毒を吐いていた。

言わせておけば機嫌が良いので黙っていると、隣の部屋から「ああ〜ん!イク!イク!」という声が聞こえてきた。するとCさんは「えっ?アンタ、呼んだかい?どこ行くって?」と大声を張り上げた。

隣の部屋の声が聞こえてくるということは隣も窓が開いているということで、今のCさんの声も隣に聞こえたハズだ。慌てて風呂から飛び出てCさんが居る部屋の窓を閉めてから「呼んでないから。私じゃなくて隣のお客さんの声だよ」と言った。

Cさんには一度で話が通じないので詳しく話すのも面倒に思い、そのまま風呂へ戻って掃除を続けた。Cさんの方が私より隣の部屋の近くに居たのに、聞き取れてない上、私の声と明らかに若い女性の声の判別もつかないだなんて、お耳が遠いのも困ったもんだ。

「どこ行くって?」という老婆の声が聞こえて、隣のお客様が恐怖におののかなかっただろうか?とか、興醒めになりはしなかっただろうか?と気がかりだ。Cさんには老眼鏡も必要だが、補聴器も必要だ…と思う。
ラブホ641日目:無言
11:30-18:00 本メイク8部屋+クイックメイク1部屋+ベッドのみ1

今日は、Sさん(20代前半・初バイト)とUさん(30代後半・元悪霊付き)、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と私の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

出勤直後ふと外を見ると、熱帯地方でもないのにスコールのような激しい雨が降ってきて驚いていたら、SさんもUさんもズブ濡れになって出勤してきた。二人とも「大丈夫」とは言うが、Sさんはすっかりボサボサ髪で、Uさんは天パがグリグリで、見た目はかなり悲惨だった。

風邪ひかなきゃいいけど…と思ったら、風邪をひいたのは一昨昨日に風呂に転落してズブ濡れになった関取さん(10代後半・90キロ超)で、昨日は39度の熱を出して欠勤し、Sさんがフロントの代行をしたそうだ。

Sさんは風呂へ転落しないよう細心の注意を払ってセットをしたという話。私も今度フロントをする時は本気で気を付けよう。

朝礼の時、支配人殿に「最近、全体的に仕事が雑」と注意され、一同凹みながら出動し、Zさんも私も黙々とベッドメイクをした。

私達も充分気を付けるが、そういうことは”老けて見えるから”とか”煩わしいから”というつまんない理由で、全然見えてないのに眼鏡もかけずに働いている老眼組にも声を大にして言って頂きたい。

以前、どなたか社員さんが「本気で仕事をしている人は最初から眼鏡をかけている」と仰ったが、ホントにそのとおりで、最も過酷なC班で60過ぎてもバリバリの人達は、ちゃんと遠近か中近か近近の眼鏡をかけている。

そういう私はバセドウ病眼症による複視で、病状が悪化すると酷い乱視状態になる為、そんな時は潔く眼鏡を使用する。眼鏡慣れしていないとベッドメイク中にあちこちに眼鏡をぶつけたりして確かに煩わしいが、見えずに自分のミスに気付かないよりはマシだ。

そんなことを考えていて全くの無言で仕事をして昼休みを迎えた。

昼休みはUさんと、昔流行った”セイシュンの食卓”の話で盛り上がった。私は料理本のバイブルとして今も大切に持っている。その本の登場人物にはゲイらしき男性が居て、Uさんも私も大好きだった。

今ココで男同士のカップルを見るとほのぼのとした気持ちになるのは、セイシュンの食卓のマー坊&ヒロミを思い出すからかも知れない(笑)。そういや最近ココで男同士のカップルを見かけないが、ゲイ雑誌の置き土産はよく見かけるので、私達が遭遇しないだけで来てはいるのだろう。

なかなかお目にかかれずちょっと残念。

昼休み明けも、初心に返って黙々と本メイクをした。私がココに入った時に居た、物凄く訛ってたAさんや、強烈な性格だったBさん、今も大好きなDさんなど諸先輩達を思い出した。
11:30-18:00 本メイク9部屋+クイックメイク2部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)、#さん(60代前半・元美容師)と私の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

昨日は他人の不幸を笑い過ぎたことを反省し、出動前に神妙に「昨日、大変なことがあって…関取さんがお風呂に落ちたんですよ」と言ってみたにも関わらず、休憩室は爆笑の渦に。やはり落ちたのが関取さんだとかなり笑えるらしい。

#さん「あの身体で落ちて、よくお風呂壊れなかったね」

Eさん「お湯が入ってたから良かったのさ。カラだったら本人は大怪我、お風呂は真っ二つでしょ」

#さん「いや、肉布団がクッションになって本人は無傷でお風呂は割れるのさ」

Sさん「あはは!うち、笑っちゃってダメだ〜!」

みかやん「うちらもフロントする時は替えのパンツを持参しなきゃ」

ひとしきり笑った後、昨日のZさんと私と同様に、Eさんと#さんにも素朴な疑問が浮かんだ。

関取さんは強力なコルセットをしても尚パツパツのエクストララージサイズの制服を着用しているが、ブラもコルセットも濡れて外したとなると、乳首や巨大な腹部のシルエットが露わになったのでは?という疑問だ。

ブラについては昨日の時点でチャレンジャー・Zさんが関取さん本人に確認したところ「仕方ないからダスターを巻いて凌いだ」という回答を得たが、さすがのZさんもコルセットについては質問できなかったものの、聞くまでもなく乳の下に見事な太鼓腹がそびえていた。

そのことを話すと、Eさんも#さんも息も絶え絶えにヒーヒー笑って、異口同音に「見たかった(笑)」と残念そうだった。

Eさんや#さんの関取さんに対する嘲笑に比べたら、昨日のZさんと私の純然たる大爆笑など可愛いものだ。更に90リットル特大ゴミ袋の話をしたら、Eさんも#さんも凄い勢いで笑い転げた。

そんなこんなで出動する頃にはすっかり笑い疲れていた。

出動して最初の部屋では、受話器に2枚のスキンが被さっているのを見て萎えた。しかも実際に使ったのか、ローションでヌルヌルだった。しかし、ずっと受話器を外していると警告音が鳴るハズだ。

ということは、警告音にも怯まず焦らずピーピーとうるさい中、2枚もスキンを被せ、ローションを塗ってお楽しみだったということなのか…つか、それで楽しめたのか?折角のアイディアかも知れないが、私なら却下する。

#さんは一言「春だからおかしい人が出て困るわ」と言い放った。

昼休みで階下へ降りると、物凄く太ってはいるがそれでも関取さんよりも一回り小さいような女性が面接に来ていたので、思わず「うわっ!関取さんとキャラかぶる!」と呟いた。

すると#さんは「あんなの一人でたっくさん!これから夏になるのに、昼間にあんなのが二人も居たら暑苦しくて仕事にならないわ!だいたい、あーゆー人の仕事ぶりは関取さんを見てよく分かったハズでしょ。それであの人まで採用になったら私はココの会社を疑うわ!」と猛然と怒り出した。

相変わらず#さんの毒が強くて、私もタジタジだ。それからというものすっかり#さんの機嫌が悪くなった。聞けば、最近はEさんとCさんに物凄く低レベルな言いがかりをつけられて腹が立つやら呆れるやらで、怒ったついでに思い出し笑いならぬ思い出し怒りをしたらしい。

私もついこないだEさんに言いがかりをつけられたので、大体は分かる。#さんは「春だから、おかしな因子を持った人はますますおかしくなって困るわ!」と吐き捨てた。

#さんの激しい怒りの波動がますます怒りたくなるような状況を呼び寄せてしまうのか、その後#さんは、垢だらけの風呂や血だらけのトイレ、局部を拭いたと思われるティッシュだらけの部屋などに当たり、気の毒なほどドツボにハマっていった。

どうせ働くなら気分良く働きたいものだ。チーム60でいがみ合わず、お年寄り特有の孤独感や喪失感を埋め合いながら、仲良く働いてほしい。

ふと気付くと今日は4連チャンの4日目。まだ水は冷たくて手にアカギレが出来た。ということで明日は家事をサボってノンビリしよう。
11:30-18:00 本メイク4部屋+クイックメイク13部屋

今日は、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と私の二人勤務。関取さん(10代後半・90キロ超)がフロントだった。

Zさんと組んだ日は習い事や専門学校の話題が多く、いつも「アレ習いたいよね」「コレ学びたいよね」と話していたが、行動派のZさんは実際に資格を取ったり学校へ通ったりしているから凄い。私にはそんなZさんが眩しくて仕方ない。

私は”通う”のが苦手で、家で空いた時間にコツコツという方が性格的に合っているので、通信講座でも受けようか?と考えていたら、トイレからZさんの「わーっ!」という叫びが聞こえてきた。

何事か?と駆け付けると、便器の水位が凄い勢いで上がり、溢れる寸前で止まったという話で、怖々と再び水を流したら普通の状態に戻った。だが、一安心してトイレの床拭きをしたら粉々になったトイレットペーパーがガビガビに乾いて床に貼り付いていたので、一度は溢れたらしい。

お客様が一度目に流した時に溢れて、お客様自身も酷い目に遭ったかも知れないが、他人のシッコやら何やらが溢れて乾いた床の上に立っていたと思うとおぞましい。最悪、トイレが詰まるほどの巨大ウン○だったかも知れないが、Zさんが気の毒なので黙っていた。

ところが夕方、もっと気の毒な事件が起こった。

支配人殿から電話がきて「お願いがあるんですが…関取さんがお風呂に落ちたそうなので、着替えなどを届けてあげて欲しいんです」とのこと。そのままZさんに伝えて着替えを取りに行こうとしたら、Zさんは綺麗な顔をクシャクシャにして大笑いして床に崩れた。

実は私も笑いたかったが、本人に着替えを渡さなければならないので、笑うと止まらなくなる私は笑うに笑えなかった。

先に問題の10号室へ様子を見に行くと、濡れた床の上にダスターを敷き、その上に頭の天辺からつま先までズブ濡れになった関取さんが呆然と立ちつくしていた。少し前に見た笑い崩れるZさんの姿を思い出して吹き出しそうになるが、一応「大丈夫?痛いところ無い?」と声を掛けた。

フロントへ行くと、支配人殿が制服上下にタオル大小、濡れた制服や下着を入れる袋を用意して下さっていたが、その袋が90リットル用の特大ゴミ袋だったので、また吹き出しそうになった。しかし私は関取さんに着替え一式を届けるという大役を果たすまでは笑えない。

関取さんへ着替え一式を渡して「急がないでドライヤー使ってゆっくり髪を乾かした方がいいよ」と言い、逃げるように部屋を出た。

Zさんが待つ部屋へ戻り「いやぁもう、かくかくしかじかで本人は頭からズブ濡れで呆然としてるし、心なしか支配人殿まで半笑いに見えて、可笑しくて可笑しくて…」と一部始終を話して二人で大笑いした。

Zさん「や、どうしよう。私ったら笑ったりして…」

みかやん「うちらだって他の人が落ちたなら笑うどころか、まず”大丈夫?”と思うよ。関取さんだから漫画みたいな光景が目に浮かんで笑っちゃうんだよ。物凄い水しぶきとかゴボゴヴォ!とか想像して…ぷわははは!」

Zさん「10号室にはベッドメイクに行かないことにしましょう!」

10号室の風呂は出窓になっていて出窓の部分に水が溜まるし、ローションマットもある、それに加えて天井付近まで水しぶきが上がっていては掃除が大変だ。Zさんの提案どおり行かない方が賢明と思われる。

それからは関取さんの話で持ちきりで、Zさんも私もずっと笑いっぱなしだった。

帰りのロッカーで「コレ、どうやって持って帰ったらいいでしょう?」と声を掛けられて関取さんを見ると、濡れて脱いだ衣類を90リットル用の特大ゴミ袋に入れて持っていて、その姿がちょっとしたサンタクロース状態だったので、また思わず吹き出しそうになった。

懸命に笑いを噛み殺していたのに「友達か家の人に車で迎えに来て貰うといいよ。一度ズブ濡れになったんだから、こんな日にバス待ちしたら風邪ひくよ」という優しい言葉がスラスラと口をついて出て自分でもビックリした。

笑い過ぎた罪滅ぼしみたいな気持ちが働いたのだろう。今度、私がフロントをする時は、風呂に落ちないようくれぐれも気を付けよう。
11:00-18:00 クイックメイク21部屋+廊下掃除+リネン折り

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と#さん(60代前半・元美容師)が遅番、Cさん(60代前半・元看護師)と私が早番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と関取さん(10代後半・90キロ超)がフロントだった。

言いまつがい&聞きまつがいの女王・Cさんは一昨年「そこのフリマで買ったの?」という問いに「うん。昼間。夜になんか買われないべさ。昼間さ昼間」とフリマを昼間と聞き違えて、みんなに大笑いされていた。嗚呼それなのに…。

#さん「そこの公園でアレやってたよ。何だっけ?アレさアレ(←これも老化現象?)」

みかやん「あぁフリマね」

Cさん「ん?昼間、公園で何やってるって?」

Cさんたら学習能力ナシ。相変わらず、知らないカタカナ言葉は勝手に日本語に変換する。萎えながら出動した。Cさんはいつも風呂係からスタートするが、1回目の風呂の床に剃った陰毛がフワフワと散乱しているのを見て「だらしない!自分の家でやればいいべしゃ!」と早速ご機嫌斜めになった。

Cさんの受難は続き、ゴミだらけの部屋、ポットの湯の捨て忘れ、濡れたバスタオルの散乱等々に見舞われ、お風呂のお湯の抜き忘れを見て遂に「あのブタ(関取さん)だったら、どこ見てセットしてんのしゃ!」とブチギレた。

仕方ないので「だから〜お腹が出すぎて足元が見えないのさ。お腹がつかえて屈めないから拾えないし仕方ないんだわ」と宥めると「しょれもしょうだね」とアッサリ納得されてしまった。

廊下掃除をすることになり、Cさんはいつもどおり「わちなんか掃除婦でないのに、なして廊下掃除しゃ!」とボヤいたが、何度「ベッドメイク係だって掃除婦だから」と言ってもご理解頂けないようなので聞き流した。

ふと気が付くと今日はチーム60が三人揃っているので、廊下掃除やリネン折りの時の面倒臭い準備や片付けが全部私に回ってくる。私があくせくと支度しているのをチーム60はふんぞり返って待っていた。ったく、年寄りだからって偉くはないだろうに…しかも#さんは後輩なのに…。

昼休みは、細身でサラサラヘアのホスト君が後ろ姿を女性と間違えられてよくナンパされるという話を聞いた。勝手にナンパしといて、ホスト君が振り返ると「なんだ男か!」と言われ、普通に男子トイレに入っていても後から来た人が驚いて本当に男子トイレか確認したりするそうだ。

ホスト君は167センチ47キロ。華奢で羨ましい。

昼休み明けに出動するとホスト君がセット中だった。今朝ホスト君が可愛らしい赤いパーカーを着ていたので「古くなったらお下がり頂戴ね♪」「あれはレディースなんですよ」「貰ってもキツくて着られなかったりして」等と言って笑っていた。

するとCさんが「れ?れ?何だって?」と、どうやら「レディース」という言葉が通じなかったらしく、心優しいホスト君は戸惑いながらも「男女兼用って言うか…」と言い、私は「婦人物なんだって」と言った。Cさんとの会話には通訳が要るが「レディース」も通じないとは…。

夕方、近くの河川敷でどこかの吹奏楽団が練習をしていたのを聞いて、Cさんが「どっか近くにチンドン屋が来てるんでないかい?」と言った。チンドン屋って…あたしゃさすがに実物は見たことが無い。

みかやん「き…来てないと思うよ(つか札幌にチンドン屋さんて居るの?)」

Cさん「いや、したって音するもの。チンドン屋だべしゃ」

「う〜ん(苦)楽器の練習じゃないの?ほら」と河川敷の団体を指差した。Cさんの場合、本当にチンドン屋さんが派手な衣装で練り歩いていると思ったのか、吹奏楽団も鼓笛隊もバンドも全て「チンドン屋」と言うのか定かではない。

続いてCさんは「そう言えば最近、河原乞食を見かけないよね?」と言ってきた。「最近」と言われても、35年以上生きてきて見たことも無ければ噂も聞かないし、河原乞食って江戸時代の言葉だと思っいたので、Cさんて本当に私の母親と同い年なの?江戸の生まれじゃないの?と思った。

Cさんとの会話は私でギリギリだ。若いSさんとCさんが組んだ日は、どんな会話になっているのだろう?二人とも日本語がちょっとアレ(笑)なので想像すると怖い。

ともあれ帰宅してから「チンドン屋」と「河原乞食」について調べた。Cさんと組むと歴史の勉強になる。
11:30-18:30 クイックメイク28部屋+ベッドのみ2

今日は、Sさんと#さんが早番、Eさんと私が遅番の勤務。新卒君と関取さんがフロントだった。

朝から忙しく、超ベテランメイク女史がお風呂屋さんをして下さっていたので、私達はメイク女史がお風呂掃除を終えた後を快調に飛ばしてベッドメイクして回った。

暫くするとEさん(60代前半・高見沢俊彦似)が「もう少しスピード落とそう!売り部屋も増えたし、そんなに急がなくていいでしょ!うちらしか居ないわけじゃないんだし!」と突然キレた。

まだ充分忙しいが、仕方ないのでスピードを落としたものの、元々強運の私は風呂係になれば風呂ラッキーで、部屋係になれば洗い物も無い綺麗な部屋に当たり、ゆっくりやっても自分の仕事がすぐ終わる状態で、ますますEさんの機嫌が悪くなった。

終いにゃEさんに「ほれ!鏡、汚いよ!急ぐからだわ!」と、汚れじゃなくて傷なのに、言いがかりをつけられる始末。バイト掛け持ちを始めて疲れているのか、最近のEさんはすぐ怒鳴る。Eさんより相方のほうが仕事が早く終わろうものなら、露骨に機嫌が悪くなって困る。

ヒマな日ならともかく、忙しい日に「急ぐな」と言われても…。

前のラブホで「プロである以上、急いでも結果はいつも同じでなければならない」と厳しく育てられた私と「急ぐと仕事が雑になるから急がない」というEさんとでは考え方が根本的に違うので、どうしようもないのか?

だったらEさんは午前中、公然と雑な仕事をしていたということすか?「急いだから仕事が雑でも仕方ない」と開き直られては会社も困ると思うんですけど…。

怒鳴られキレられ気分が悪いのをひた隠しにして働いた(苦)。

我が班の年寄り連中は変にプライドが高くて扱いにくい面が有る。つまんないプライドなんか捨てればラクになれるのに。それとも年寄りというものは、そういうものなのだろうか?だったら私はそんな年寄りにならなきゃいい…と思い直す。

でもやっぱり気分は悪い。1号室に入ろうとして、2号室、3号室、5号室とウロウロしているお客様を見て「年寄りでもないのに、いい若い者が何をウロウロと!昼休みに入れないじゃん!」と、ついイラつく。八つ当たりはイケマセンね(苦笑)。

昼休みはSさん(20代前半・初バイト)と世間話をして盛り上がった。若いSさんと話していると、自然に年寄りには入り込めない話題になるのでEさんをシャットアウト出来た。多少、心苦しいが昼休みぐらいは気分良く過ごしたいので助かった。

気を取り直して出動すると、部屋からEさんが「ぎゃああっ!ちょっと!みかやん!」と助けを求めるので行ってみると、絨毯用のコロコロにツケマツゲが付いていた。しつこくコロコロをかけてみたが、もう片方のツケマツゲは見つからず…。

Eさん「や〜ごめんねぇ。私、虫かと思って驚いて…。私、足が多い虫が苦手なもんだから」

みかやん「いえいえ。私もツケマツゲには何度も驚いてますから。このお客さんはツケマツゲ片方だけで帰ったんでしょうか?」

Eさん「こんな派手なツケマツゲが片方だけだったら笑えるよね。きっと変な顔だわ、あはははは!」

今度はEさんが風呂係になった時に「いや〜ん!みかやんたら、私が見てないうちにこんな落書きしてぇ」と、ワケの分からないことを言うので行ってみると、湯気で曇った風呂の窓に大きくチソチソの絵が描かれていた。

みかやん「や、私じゃないですよ〜」

Eさん「さっき風呂バケツ置いた時に描いたんでしょ?(笑)」

みかやん「いえ、私にそんな絵心は無いので。しかもそんなに大きいのは見たことが無いですし。絵のクオリティーの高さからいって、Eさんじゃないんですか?(笑)」

Eさん「私だってこんなに大きいのは見たことないもの、描けないわ(笑)こんなに大きかったら・・・あははは!」

Eさんは必死で私の機嫌取りをしているようだった。最初から怒鳴ったりキレたりしなきゃいいのに…と思うが、ここで私が突っ慳貪に応えるのも大人げないので、明るい対応を心がけた。

帰りにEさんは「今日は久々に忙しかったもんね。みかやんも疲れたでしょ。はい!」と缶コーヒーを買ってくれた。Eさんも少なからず「あ〜あ、また怒鳴っちゃった」みたいには思っているのだろう。

確かに精神的に振り回されて疲れたけど、恨み言を言ったり憎まれ口を叩いたりしないでいよう。
ラブホ636日目:電話
11:30-18:00 本メイク5部屋+クイックメイク12部屋+ベッドのみ1

今日は、Cさん(60代前半・元看護師)とZさん(20代後半・昔の森尾由美似)、(30代後半・悪霊憑き)と私の勤務。Sさん(20代前半・初バイト)がフロントだった。

出勤すると支配人殿と転勤した二宮和也似氏がスーツ姿で来ていて、別会場で行われる昇格の表彰式に出席されるそうだ。お二人とも晴れやかな表情にスーツが何ともお似合いで、一同うっとりと見とれてしまった。

自分らが表彰されるかのように嬉しくなって出動したが、Uさんが哀しい現実を目撃した。”チェンジ”を言い渡されたと思われるデリヘル嬢を目撃し「ええーっ?そんなぁ…どうしてですかぁ」という悲痛な訴えを耳にしてしまい、聞いた私も何だかもの悲しくなった。

暫く「実際、自分が”チェンジ”されたら悲しいよね」とか「すぐ店に戻るのも気まずいよね」とか「でも”どうして?”とは聞けないよね」という話をしていたが、私達はデリヘル嬢になるつもりは微塵も無く、デリヘル嬢として稼げる容姿でもなければ技も無いことに気付いて脱力した。

すぐに気付かないところが私達らしい(恥)。

昼休みは5人で大笑いした。

Zさん「Sさんて、社員さんからの電話に出てもずっと無言で、いきなり”はい”とか言っててビックリする」

みかやん「あぁこないだも、電話かける時は”もしもしぃ?ア・タ・シ!分かるぅ?”って言うんだよって教えたのにスルーされたよ」

Sさん「そんなこと言えるわけないじゃないですか!怒られますよ!」

Cさん「わちが”もしもしぃ?ア・タ・シ!”なんて言ったら、遂にボケたと思われるべしゃ。しゃははは!」

ツボにハマって大笑いしているCさんを見て、みんなも大爆笑だったが”遂にボケた”と言うより”既にボケている”と思われているような気が…(滝汗)。

Zさん「電話に出る時はやっぱり”お電話ありがとうございます。Sです”ですよね」

みかやん「だよね!”お電話ありがとうございます。4P部屋担当のSです”だよ」

Sさん「コールセンターじゃないんですからっ!うちはちゃんと”お疲れ様です。Sです”って言ってます!」

一同「そんなの聞いたことない(笑)」

いつものようにSさんいぢりをしていたら、二宮和也似氏が昇格祝いに貰ったケーキを私達に差し入れして下さったので有り難く頂いた。幸せのお裾分けをしていただいて、また嬉しくなって出動した。

洗面所で食器を洗っていると、Uさんに「飴ナメる?」と聞かれ「わ〜い!ありがと」と喜ぶと、Uさんが風呂から出てきて私の顔の前に飴を差し出し、私が「あ〜ん」と口を開けるのを待っているじゃないか。

そういうのって何だか照れくさくてためらっていると、Uさんも私が照れているのに気付いて、二人して急に恥ずかし〜くなって照れ隠しに大笑いしてしまった。何とも穏やかな昼下がりだった。

その部屋を出てSさんに会うと「もーっ!ホント疲れた!うち、無理っ!」とキレていた。理由は敢えて聞かなかったが、今日のAフロントは関取さん(10代後半・90キロ超)だったので、仕事をたんまり残されたり、仕事が全く捗らなかったりでムカついていたのだろう。ご愁傷様。

イラつきながら働いていた可哀相なSさんとは対照的に、ベッドメイクチームは朝から帰りまで本当に安穏とした一日で、Uさんと私が撤収しようとした時も廊下にCさんの笑い声が響いていた。
11:30-17:30 本メイク3部屋+クイックメイク12部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と私の二人勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

昨日の廊下掃除中、A班の方々が手伝いに来て下さったが、その時にCさんが大失態を演じて恥ずかしかった…という話をEさんに報告した。

Cさんは「非常扉を開けて」という指示に「開かないわ!これ、どうやって開けるんだの?」とココに3年弱も居て初めて開けるような口ぶりだったり、最初にCさんとA班の方で掃除をした所を再び掃除した上、ディスプレイのドライフラワーにバシバシとハタキをかけたので床が花だらけでまた汚れ…。

ことごとくA班の方々の失笑を買い「大丈夫?」と心配されたにも関わらず「だーひゃひゃひゃひゃ!」と大声で笑い飛ばして「しーっ!声が大きいよ!」と注意されていた。

みかやん「ホントにもう、我が同僚ながら恥ずかしいやら情けないやらで、A班の方々も”みかやんも大変ねぇ”って同情的な目で私を見てたんですよ」

Eさん「あはは!目に見えるようだわ。でも大丈夫でしょ、CさんがボケかかってることはA班の人達だってみんな分かってるって。いま始まったことじゃないし…」

そう言うEさんの方から何かカシャカシャと音がして、ベッドを組んでいるのに何故カシャカシャ?とEさんを見ると、ベッドの上でいつもどおりに枕カバーを広げるようにしてゴミ箱に掛けるビニール袋を綺麗に広げていたので、私は目が点になった。

Eさんは、向かい側で固まっている私に気付き、自分の手元を見て「あれっ?私、何してるんだろ?ええっ?何でゴミ袋?枕カバーと間違えた!あはは!有り得ない!どーしよーっ!Cさんのこと笑えない!」と言って床に崩れ落ちた。

笑っちゃイケナイと思いつつ堪えきれずに私も大笑いして涙が出た。ひとしきり笑った後、Eさんは「明日みんなに”Eさんもいよいよヤバい”って言っておいて。みんなも心の準備が要るだろうから…」と軽く悄気ていたのでそれ以上笑えなくなったが、可笑しくて肩の震えが止まらなかった。

気を取り直して次の部屋へ行くと、ビアジョッキとワイングラス以外の食器が全て無くなっていた。お客様が勝手に持ち帰ったようだが、歯磨きカップまで無くなっていて、さすがに萎えた。

Eさん「1つぐらいなら可愛いったって、これじゃ泥棒だよね!どうやってこんなに持ち帰ったんだか。ガチャガチャ鳴らしながら帰ったのかい?」

みかやん「前に私がセットに入った部屋で、バスタオルの上に食器が全部並べてあって、タオルに包んで持ち帰ろうとしたのを連れに止められたんじゃないんですか?まともな連れなら止めますよね」

Eさん「なるほど。タオルに包んで…ね。女の人が持ち帰ろうとして男の人が”みっともない”とか”貧乏臭い”って止めたんだろうさ。こんな所の食器なんか、私なら気持ち悪くて持って帰ってまで使いたいと思わないわ。なんぼ洗ってたって…」

みかやん「ホントですよ。中には入れ歯を漬け置きしたり、悪戯して使用済みスキンを入れたりする人も居るんですからね。家で使おうとは思いません」

一つ言えるのは犯人は酒を飲まない人らしい…ということだ。全くしょーもない。

昼休みは新卒君と話をしている間に、常連さんの”おおきにの人”の話になり、おおきにの人はゴールデンウイークもビッチリ来ていたそうだ。毎度お越し頂いて有り難いというか、お金持ちで羨ましい、いったい何者なんだ?って話だ。

おおきにの人は多分40代後半〜50ぐらい、連れの女性は30代半ば。毎度ラブホでデートということは道ならぬ恋なのか?平日も祝祭日もお見えになるって、どんな職業なんだろう?と、常連さんには謎が多い。

Aフロントに入っていたホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)が16時で帰って新卒君が一人になった。私達は30分の早帰りになったので、最近心労が絶えない新卒君の為にゴミまとめやセットバッグ作りを手伝って帰ることにした。

一生懸命な子の為なら老体にムチ打って手伝わせてもらうんで、辛い時は甘えていいんだよ>新卒君、ホスト君。
11:30-18:30 クイックメイク18+ベッド1+廊下掃除+リネン折り

今日は、EさんとSさん、Uさんと#さんが早番、Cさんと私が遅番の勤務。新卒君とホスト君がフロントだった。

遅番で出動しようとすると、風呂用の水切りワイパーが無く、支配人殿へ確認すると「ごめんなさいねぇ。もしお風呂がベチャベチャだったらナメってて下さい(笑)」とのことで、ワイパーを持たずに出動した。

こんな日に限ってCさん(60代前半・元看護師)は、水滴で壁がベチャベチャの風呂にばかり当たり、早速萎えていた。

Cさんは「家に居てもすることが無い」という理由で、遅番でも早番の時間で出勤してくるが、何をするワケでもなく早番の人達とどうでもいい世間話をするか、モニターと睨めっこしてるだけなので、遅番で出動する頃にはかなりモチベーションが下がっている。

遅番の日は早々に「疲れた」「眠い」「飽きた」と、相方のモチベーションまで奪うような陰湿な攻撃をしかけてくるので、年寄りの早起きも困ったもんだと思う今日この頃だ。

Cさん「はあぁ〜。だらけるねぇ〜」

みかやん「なに言ってんの!忙しいよ!」

Cさん「したって、わちなんか風呂ナメってナメってもう腹一杯だもの」

みかやん「・・・・・」

Cさん「アンタだら”疲れた”って言わないもね。エライわ」

朝から疲れた疲れた言ってる方がおかしいから(萎)。遊びに来てるワケじゃなくて肉体労働してるんだもの、年寄りじゃなくても誰だって疲れるって。

新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がセット中の部屋へ行くと、「ホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)が”ココのバイトは大変だから、ココのバイト1本で頑張る”って言ってました」と教えてくれた。

最初にホスト君に「ラクで金になるバイト無いすか?」と聞かれた時は脱力したけど、意識の変化が最近のホスト君の仕事ぶりに現れているというか、ココで頑張るという気持ちが嬉しくて、私のモチベーションも上がった。

ところがその直後に廊下掃除をすることになり、Cさんに「わちなんか掃除婦でないのに、なんで廊下掃除なんかしないばなんないのさ。ココだら何でもやらされて何でも屋だもね」とボヤかれて、また萎えた。ベッドメイク係も掃除婦の仲間だってば。

30代の小柄なカップルが来たのでCさんを連れて非常階段へ隠れると、今まさにそのカップルが非常階段前を通過中というタイミングでCさんがドアを開けて覗こうとしたので「これっ!覗くんじゃない!」と注意するも、聞き入れてもらえず(萎)。

Cさん「ちょっと!見た?」

みかやん「来たのを見たから隠れたでしょ。無駄に覗いちゃダメだよ」

Cさん「したって今のは子供だべしゃ!」

みかやん「子供なワケないでしょ。どう見たって30代で…」

Cさん「こんな所に子供同士で来るかい?どうなってんの?わちもなんも、たまげたもね。親の金でこんな所に来て…金さえ払って貰えれば子供同士でこんな所に来てもいいんだのかい?おかしいべしゃ。社員さんも止めるべきだわ!そのうち問題になるよ!」

ヒトの話なんか聞いちゃいない。ただ小柄だからって30代のカップルを子供、子供って、老眼にも程がある。Cさんも身長150センチないのに…。潔く近近眼鏡や中近眼鏡をかけて欲しい。そうじゃなくても老眼が酷くて仕事に差し支えてるんだから…。

昼休みに新卒君に悩みを打ち明けられた。どうもAフロントの大型さんは男ギライの傾向が強く、新卒君やホスト君がいかに頑張ろうとも”男”というだけで公平な目で見てあげられないようだ。そういや、大型さんは辞めた社交君のことも毛嫌いしていた。

ヒトの好き嫌いは有るにしても仕事ぶりを認めて貰えないんじゃ、新卒君もホスト君も浮かばれない。それでいて大型さんは関取さん(10代後半・90キロ超)へのチェックは甘く、面倒を見たり大目に見たり庇ったりして可愛がっている。

仕事上でライバルになるという脅威に晒される事もなく、先輩としてのメンツが保てるという理由で、バカで無能な後輩を可愛がる先輩がいるが、そういう先輩はその無能な後輩に真剣に仕事を仕込むようなことはまず無くて、結局はどちらも成長出来ないものだ。

向上心も無く低い次元を彷徨われたんじゃ周りが迷惑する…って?何が言いたいんだか分からなくなってきたが、取り敢えずは新卒君やホスト君が快適に働けるように何とかしたいものだ。
11:00-16:30 点検19+セット+ルームサービス他

今日は、EさんとZさん、Cさんとロザンナさんの勤務。関取さんと私がフロントだった。

朝1でセットをしていると、A班のお姉様方がベッドメイクに来た。私の顔を見るなり「ちょっと!女将さん(20代後半・寿司屋・4/25退職)と関取さん(10代後半・90キロ超)の話、聞いたかい?」と、とんでもない話を教えてくれた。

関取さんのあまりにダメダメでダラダラな仕事ぶりに業を煮やした女将さんが「アンタもっと動いたら?アンタなんか社員さんの見てる所で働いてるフリしてるだけでしょ!」と怒鳴ったが、関取さんは「私はちゃんと自分の仕事をしてるから、誰に何と言われても何とも思わない!」と平然と言い返したそうだ。

お姉様方も「アレで自分の仕事に自信あるんだべさ」「あの程度でキッチリ仕事してるつもりらしいよ」と呆れ顔だった。

もう1つの関取ネタは、関取さんが自分より先輩のお人形さん(10代後半・超キュート)を「コンテナ作業のやりかた教えるから来て!」と偉そうに呼びつけて指導しようとしていたという話。関取さんは余程コンテナ作業が嫌いらしい。

みかやん「お人形さんにもコンテナを仕込んで、自分はまた逃げるって魂胆すか…つか、他人に教えられるほど本人がコンテナ作業を出来るとも思えない気が…」

お姉様「お人形さんも関取さんなんかに習いたくないから”後で社員さんに習う”って断ってたわ。当たり前だよね」

何て言ったらいいか…。「私はちゃんと自分の仕事をしてるから」って、他人より1ランクも2ランクも上の仕事をしてる人が言うならいいけど、最低限の仕事も満足に出来てない人が、何を勘違いして息巻いてるんだか。アレで良しとするなら到達点が低すぎるんだってば。

萎えながら別の部屋へセットに入ったら、部屋の隅にオネショマットがたたんで置いてあった。何らかの汚れがついているのかと怖々広げてみたが、汚れてもいなければ異臭もしない。かと言って”オネショマットのおかわり”というのも聞いたことがない。

取り敢えずベッドを剥がしてみたら、オネショマットが敷かれてなかったので、お客様自らオネショマットを外してベッドメイクをしたようだ。

失礼ね、オネショなんかしないわよ!ってことじゃなくて、オネショマットがゴワゴワして眠れないわ!というようなことなんでしょう。デリケートなお方だ。

ヒマ気味でベッドメイク部隊が16時半で早帰りになり、関取さんと私にも声が掛かった。社員の早口氏に「どちらか一人、16時半で早帰り出来ますけど、どうしますか?」と聞かれ、関取さんが返事をしなかったので私が「じゃ私、帰ります!」と手を挙げた。

ずっと4P部屋が空いたまま放置されていて「関取さん、いつになったらセット入るんだろ?」と思っていたらバッタリ会った。

関取さん「4P部屋、行くんですか?」

みかやん「行きませんよ。私もう帰る時間ですから(私に”オマエが行け!”と思ってたんかい?)」

関取さん「えーっ?もう社員さんに”帰る”って言っちゃったんですか?」

みかやん「はい。言いましたよ(つか、アンタの見てる前で言ったよね?)」

関取さん「え〜!私も帰りたかった〜。私も帰りたかったのにぃ〜」

関取さんはやや暫く「帰りたかった〜」とグダグダ言った後、渋々一人で4P部屋のセットへ向かった。

一度は作業室へ降りたものの相手はおガキ様だし仕方ないので4P部屋へ行って「帰りたかったら帰れば?私、残るよ」と声を掛けたら「ただ勤務が3連チャンだから帰りたいと思ったぐらいなんで、いいです!別にいいです!」と思いっきり突っぱねられた。

なんなの?ヒトの帰り際に散々ケチつけといて「別にいいです!」って何でキレるかな?ほんっとに見た目も中身も可愛くない!あんな者に親心を見せた私がバカだったと激しく後悔した。
11:00-16:30 クイックメイク10部屋+廊下掃除+リネン折り

今日は、Eさんと#さんが遅番、CさんとSさん、Uさんと私が早番の勤務。新卒君とホスト君と関取さんがフロントだった。

朝1で露天風呂付きの部屋でベッドを組んでいたら、Uさん(30代後半・悪霊憑き)が突然ベッドに倒れ込んだので、物凄く驚いたが本人は笑っていた。いったい何事?と思ったら、Uさんの背後にあるキャビネットの扉が開いていて、それに尻を打って前のめりになったそうだ。

続いて別の階の露天風呂付きの部屋へ行くと、ベッドの裾に布団が掛かっていたために、Uさんはベッドの下端を踏み違えて片足だけ落下しそうになり、今度は見事にベッドの上に正座していた。何かと笑わせてくれる人だ。

朝からヒマ気味で、Aフロントのお人形さん(10代後半・超キュート)とAメイクの皆さんが13時で早帰りになり、私達は3隊居るのにベッドメイクをする部屋が少なくなったので、昼休み前に廊下掃除をすることになった。

廊下の壁にハタキをかけ、ディスプレイや各部屋のドアを拭き、掃除機をかける作業だが、客数が少ないハズなのに掃除機をかけていて周りの音が聞こえにくい時に限って、気配を感じて振り返るとお客様がすぐ傍に居て、大慌てで逃げ惑ったりすることになる。

今日も散々だった。

昼休みは関取さん(10代後半・90キロ超)が怪しげな痩せ薬を飲んでいた。しかも即効性に期待して、わざわざカプセルを開けて中身だけ飲んでいた。

なんて言うか…関取さんの場合は、隙あらばラクしようとか、面倒な仕事から逃げるとか、根本的にその根性を叩き直さない限り痩せ薬だけ飲んでたって、どうにもならないと思う。

最近はみんな陰で「関取さん、また太ったよね」とか「見る度に太ってる」とか「元々の体重が凄いだけにリバウンドも凄まじい」等と言っていた。本人が一番分かっていて痩せ薬に手を出したんだろうけど、そんなぐらいなら腹を括って肥満外来へ行けばいいのに…。

昼休み明けに出動しようとしたら、業務用エレベーターが使用中だったので客用エレベーターに乗った。途中で止まってドアが開いたので「げっ!お客さんだ!逃げなきゃ!」と思った瞬間、エレベーター待ちをしていたお客様の方が「わーっ!」と叫んで姿を消した。

逆のパターンは有っても、私達がお客様に逃げられるとは思っていなかったので、暫し呆然としてしまった。

帰りは無事に業務用エレベーターに乗ることが出来た。業務用エレベーターの壁には割引券やコンビニボックスの補充品リストを階ごとに磁石で貼りつけているが、Uさんの話によると、その磁石がエレベーターの壁から剥がれてSさん(20代前半・初バイト)にくっついていたそうだ。

さすがSさんだ。今まで数々の怪奇現象を起こして(誰も居ないのに突然ジェットバスのスイッチが入ったり、いきなり有線が大音量で鳴り出したり、Sさんがテレビの前を通っただけで画面がバチッと真っ暗になったり…)私を震え上がらせてくれたけど、身体に磁石がくっつくなんて!

そうでしょう、そうでしょう、Sさんなら有り得る…と妙に納得しながら帰り支度をした。結局16時半で早帰りになった。
ラブホ631日目:語尾
11:30-18:00 クイックメイク24部屋+ダスター上げ

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とUさん(30代後半・悪霊憑き)、#さん(60代前半・元美容師)と私の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

転勤した二宮和也似氏の後任社員さんが昨日着任されたそうで、社内報の小さな写真で拝見していたが、今日初めてお目に掛かった。何とも男らしい劇画タッチなお顔立ちな方で、ゴルゴ13というかデューク東郷系でいらっしゃる。6年半ぶりに古巣へ戻られたそうなので、今後のご活躍に期待特大。

出勤した時点でヒマ気味だったが、クイックメイクをすることになり、あっと言う間に売り部屋が増えて朝のA班さんが13時で早帰りになった。

私達が昼休みに入る14時にはセット済みの部屋が完全に無くなり、あわや14時で早帰り?という場面だったが、取り敢えず昼休みの間の劇的変化に期待した。

15時少し前にモニターを確認すると、期待以上の劇的変化が起こっていて、客数激増、売り部屋激減、セット済みの部屋も増えていた。平日のラブホでの14時から15時の客入りは侮れなかったりする。

昼休み明けに出動すると軽い退室ラッシュ状態になり、小一時間程で退室されたお客様ばかりなので部屋はさぞ綺麗かと思いきや、26度の夏日だというのにこぞってホットコーヒーや持ち込みの即席スープを飲まれていて、食器の洗い物だらけだった。

どんどん忙しくなったので速やかに移動したいが、隣の部屋の玄関先で女性が部屋から半身出て話し込んでいるので、私達は部屋から出るに出られずにいた。

チラ見した限り、フィリピーナと思われる女性が笑える程たどたどしく「キョはアリガトゴザマシタミダ。私、呼ぶ、私、喜ぶグル。宜しくYOー!私、あなたがシュキだからニ…」と、韓国訛りなのか何なのか妖しい日本語を話していた。

「ガッコ行きま〜すダニ」とか「夜、工場で会うガー楽しみデスわー」とも言っていたので、フィリピーナさんは風俗系の人ではなかったようで「でわまた夜ダ!」と言いきって帰っていった。語尾がメチャメチャで、結構面白かったので苛々せずに待つことが出来て良かった。

今日の#さんは、Cさんの”疲れた攻撃”の件で苛々していて「私と組んだら、そんなに疲れるって意味?」とか「先週だってCさんと私で遅番だったのに、Eさんと代わって貰ってるし…私と組んだら疲れるからイヤなんだべさ」とヘソを曲げていた。

#さんが深刻に悩んでいるようなので「言いたいだけモンク言わせたり、多少おかしげなこと言っても冷やかさないでいれば”疲れた”とも言わずに頑張ってくれるみたいだよ」と言った。

みかやん「一昨日なんか”数珠って平仮名でどう書くんだっけ?”って聞かれて、”じ”から始まるのか”ず”から始まるんだか分かんなくなったんだって。ビックリしたけど驚かないフリしたもの」

#さん「平仮名も分かんなくなるなら重症だよ。Cさんの場合は間違えないで勤務表通りにココに来てるってだけで、大したもんだ!と思ってあげなきゃダメなんだわ」

みかやん「それじゃ低く見積もり過ぎじゃない?」

#さん「元々あぁなのか、トシのせいか知らないけどボケっぷりが酷いもの!90になる私の母親でさえ、あぁじゃないから」

みかやん「ま、数珠を”ずゅず”とか”ずゅじ”とか”ずじゅ”と書こうとした人だからね(汗)」

夕方、床を拭いていてふとソファーの下を見たら、まるでソファーの下に隠すように強壮剤の空き瓶が有った。しかも三本。おそらく、女性がシャワーをしている間に一気飲みして隠したのだろう。ご苦労さんなことです。

更に床拭きをしていると、ベッドの脇にレモンの形をしたブニャッとする透明なモノが落ちていて、よく見たらブラに入れるシリコンパッドだった。

精力もニセモノ、乳の谷間もニセモノで、なんてインチキなカップルなんだ!と思いかけたが、お互いの為に努力し合っていて麗しいカップルじゃないか…と思い直した。

本格的な退室ラッシュを迎え、新卒君に代わって私達がダスター上げをすることになった。こんな時に限って、自分らがエレベーターに乗れないほど大量のダスターが届き、各階へ運び終えた頃には#さんが滝のように汗をかいてゼイゼイ言ってた。

やっぱり肥満の人とお年寄りには過酷な仕事だ。私はせいぜい今以上に太らないよう気を付けよう…。
11:30-18:00 本メイク4部屋+クイックメイク15部屋+ベッドのみ2

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)、Cさん(60代前半・元看護師)と私の勤務。関取さん(10代後半・90キロ超)がフロントだった。

元々朝のA班は1隊で、13時の時点でヒマだったので一人が早帰りになった。ところが私達の昼休み明けの15時には売り部屋が4つしかない程、急にお客様が入ってきた為、一人残った超ベテランメイク女史が”お風呂屋さん(風呂掃除のみ)”をして回って下さっていた。

昼休み前までに本メイクを終えられなかったので、Eさんチームが引き続き本メイクをすることになり、クイックメイクをするのはCさんと私だけなので、とたんにCさんが弱気になった。

Cさん「こんなに売り部屋無いのに、わちらだけでどーせばいいのさ?わちなんか、そんなに出来ないよ!」

みかやん「その為にメイク女史がお風呂屋さんをして下さってるんだから、うちらも頑張るしかないでしょ」

Cさん「そうだけど…わちなんか年寄りだよ!自信ない!」

みかやん「風呂掃除は終わってるんだし、こんなのCさんにかかったらあっと言う間さ。私も頑張って必死についていくから連れてって。頼むよ」

何とか宥め賺したものの、部屋へ入れば関取さんのセットでゴミだらけで、早速Cさんがキレた。

Cさん「忙しいのに、あのブタのセットの後だらゴミだらけで、それでまた一手間かかるもね!アンタでも大型さんでも何か言ってやればいいべさ!」

みかやん「他人の忠告に耳を貸すような子じゃないのさ。言って分かる子なら新卒君やホスト君みたいに成長してるって。アレで自分は凄い!みたいに思ってて、史上最悪のダメフロントって自覚がまるで無いんだもの。笑うしかないよ」

Cさん「頭悪いからどうしようもないもね。昼に”外反母趾が痛くて走れない”とか言ってたけど、どこが外反母趾だってさ。太り過ぎなだけだべさ。一時少し痩せたけど、入った頃よりまた太ったもの。早速ラク覚えたからだべさ」

みかやん「いかに自分が仕事が出来ないか…ってことに気付いてほしいけど、お目出度いから一生気付かないと思う」

や…ここはCさんの機嫌を損ねないためにも同調しとかないと…(汗)。

その甲斐あってか、すっかりゴキゲンになったCさんが「最近、こーゆーの流行ってんの知ってる?」と、両手を使ってノリノリでドジョウすくいのような動作をして「関係ない!関係ない!」と言った。

・・・・・。

それって多分、小島よしおの”そんなのカンケーねー!”だと思うんだけど、ここで「あはは!何それ?」と嘲笑したり「や、そうじゃなくて…」とか「流行ってるつーか流行ってた?」と言ってしまっては苦労が水の泡だ。でも笑いは我慢出来そうもない。

そこで「あはは!テレビで見たことある!上手、上手!」と拍手した(苦)。

ご満足いただけたようなので油断していたら、Cさんが「風呂に数珠の忘れ物有ったんだの。葬式帰りかい?不吉だねぇ」と言って持ってきたが、どう見ても普通にブレスレットだ。

Cさん「数珠ってどう書くんだっけ?」

みかやん「数字の数に珠算の珠」

Cさん「いやいや、平仮名でさ」

みかやん「(えーっ???)あの…しに濁点の”じ”に小さい”ゅ”に…」

Cさん「あぁ”じ”から始まるんだね」

みかやん「(えーっ???)い、いいよ、フロントへ電話しとくから」

と言って、フロントには「ブレスレットの忘れ物が有りました」と電話した。ローマ字でどう書くんだっけ?ならまだ分かるけど、平仮名でどう書く?って言われても…。ここで驚いたりガタガタ騒いではCさんのモチベーションを下げてしまいかねないので、平静を装った。

何とか私の努力は酬われ、Cさんはいつもの”ゆっくり婆さん”ではなく”クイック婆さん”と化して、見違えるほどテキパキと仕事をしてくれた。

最後の部屋でCさんは「やんや、頑張った頑張った。今日は頑張った。わちもなんも目眩するぐらい頑張ったもね。途中で倒れたりしなくて良かったわ。しゃははは!」と豪快に笑い、前回と同様に「疲れた」とは言わなかった。

上手く乗せれば”疲れた攻撃”もせず、頑張ってくれる人なんだとよく分かった。

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