11:00-18:00 本メイク1部屋+クイックメイク15部屋+リネン折り+セットバッグ上げ+本メイク手伝い+セット

今日は、Cさん(60代前半・元看護師)と#さん(60代前半・元美容師)が遅番、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とUさん(30代後半・悪霊憑き)、Sさん(20代前半・初バイト)と私が早番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と関取さん(10代後半・80キロ超)がフロントだった。

出動してから急遽本メイクをすることになり、祝日に本メイクは初めてのことである上、本メイクの準備をせずに出動してきたので、何だか調子が狂った。

本メイクをしたのは循環式露天風呂付きの部屋で、露天の入口に”入浴剤のご使用はご遠慮下さい”と張り紙があるにも関わらず、入浴剤を入れた非識字の方か外国の方が居て閉口した。識字率の高い日本では考えにくいことなので、犯人は外人さんなんでしょ(萎)。

フロントへ連絡すると「循環するんで大丈夫だと思いますけど、売り止めにします」とのこと。非識字か非常識か知らないけど、こういう人の為に本メイクをした部屋が売り止めになるとモチベーションが下がる。

こんな時はSさんいぢりをしてモチベーションを高めるしかない(笑)。

次の部屋では、浴槽の縁に入浴剤でもローションでもない真っ白い液体が零れていて、触ってみると納豆のように糸を引いた。木工用ボンドですか?でもなぜ浴槽で?ひょっとして男女の結合部分が離れないようにですか?…や、有り得ない。

意味が分からないので苦し紛れに「これ、SさんのS毒でしょ?外敵から身を守るために自ら毒を出して…って、あたしゃ外敵かい?」と言うと、Sさんも「うちじゃないです!うちはそんな虫や動物じゃないです!」と意外とノリがいい。

次の部屋には、白いリボンのようなお客様の忘れ物が有ったので広げてみると、Tバックショーツだった。すかさず「Sさんたら…パンツ脱いでもいいけど落としちゃダメだよ。はい」と手渡すと「うちのじゃないです!うち、職場でパンツなんか脱ぎません!」と照れていた。

SさんがTバックショーツの忘れ物が有ったことをフロントへ電話しようとしていたので「電話かける時は、ちゃんと”もしもしぃ?ア・タ・シ!分かるぅ?”って言わなきゃダメだよ」と囁いた。

Sさんが吹き出したところで社員さんが電話に出たらしく、さすがに「そんなこと言えるわけないじゃないですか!」と叱られた(笑)。

そうこうしている間に、売り止めになっていた露天付きの部屋が売り部屋になり、循環の早さに驚いた。

私は生理痛が酷すぎて変にテンションが高かったが、力尽きて昼休みには休憩室で横たわっていた。鎮痛剤が効いてきたようなので何気なく起き上がったら、横に居たSさんとUさんが「うわーっ!揺れてる!揺れてる!」と大騒ぎじゃないか。

私が起き上がっただけで、そんなに揺れるかい…と思ったら地震だった。

昼休み明けからは、垢と泡だらけの浴槽にばかり当たって萎えた。仕方ないので「Sさん、泡で遊んでもいいけど身体を洗ってから浴槽に入ってよね」とまた茶化した。

Sさんも慣れたもので「うちじゃないですよー!泡では遊んだかも知れないけど、うちはこんな真っ黒い垢なんか出ませんよ!」と言っていたが「ドロドロじゃないですかー!もう、うち擦るのイヤですー!」と萎えてきていた。

お客様の退室ラッシュが始まり、Sさんと私はセットをして回ることになった。新卒君一人じゃ大変な状態だ(関取さんも居たけど)。今日も関取さんは回収忘れが多く、私達のメイクバッグには使用済みのドライヤーヘッドが4本も溜まっていた。

昼休み明けからドライヤーヘッドが4本も溜まるなんて有り得ないことだ。関取さんのセットでC班のメイクさん達に迷惑が及ぶならSさんと私がセットをした方がまだマシだ。

セット中、わざわざ新卒君が来て「ありがとうございます」と声をかけてくれて、途中で会っても「すみません。助かります!」と何度も頭を下げてくれた。お礼や詫びの言葉が欲しいわけじゃないけど、こんな時でも関取さんはスルーなんだろうな…と思うと・・・幸い関取さんとは会わずに済んだ。

新卒君のような一生懸命な子の為なら喜んでお手伝いさせて頂くが、関取さんの為と思うと癪に障る。新卒君の為、C班さんの為、お客様の為、会社の為、と自分に言い聞かせてセットした。
11:00-18:00 クイックメイク18部屋+ベッドのみ1

今日は、Sさん(20代前半・初バイト)とUさん(30代後半・悪霊憑き)が遅番、#さん(60代前半・元美容師)とロザンナさん(同い年・イタリア美女風)、Cさん(60代前半・元看護師)と私が早番の勤務。

Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と関取さん(10代後半・80キロ超)がフロントだった。

出勤すると、Cさんと#さんと新卒君と関取さんとで楽しそうにゲラゲラ笑っていて、#さんが「Cさんが”新卒君と関取さんて仲良くて夫婦みたい”って笑ってたの」と教えてくれた。

ところが、出動するとCさんが「関取だら朝からでっかい声でワイワイ喋ってうるさくてしゃ。新卒君と二人でしか喋ってないんだら、も少し小さい声で喋ればいいべさ!あの二人だら夫婦みたいで気分悪いもね!」とブチギレた。

楽しそうに笑っていたのに…天下のお調子者とは思っていたけど、ここまで腹の中と態度が違うとは…ちょっとCさんという人が怖くなった。お陰でCさんは朝からご機嫌斜めで、とんだ災難だ。

Aフロントの大型さんとCさんと私でエレベーターに乗っていると、関取さんが来て「ようやく見つけた!大型さん、大変です!リネンがもう来たんですよ!手伝って下さい」と大型さんを連行していった。

日曜なのでリネンが早く来るのは当たり前だ。大型さんを探し回るヒマがあるなら一人でやってろ!と思うが言わなかった。しかしCさんは「ずうずうしいねぇ!普通は”手伝って”なんて言えないわ!一人でやれば少しは痩せるんでないの!」と言ってまたご機嫌斜め。

次の部屋へ入ると、リネンと格闘しているハズの関取さんが何故かセットをしていて、セットを終えると「何か手伝いますか?」とメイク手伝いをする気だが、売り部屋は文字通り売るほど有って、こんなヒマな時に手伝われる筋合いも無い。

呆れて「リネンコンテナ来たんじゃなかった?作業室、メチャメチャだったよ。下へ行ったら?ヒマだしフロントの人数も揃ってるし、コンテナやった方がいいんじゃない?」と言うと、すごすごと部屋を出ていった。

「手伝って」と泣きついて誰かをおびき寄せて、自分は面倒な仕事から逃げるというのは関取さんの得意技で、”呼び戻し”という決まり手の一つだ…って大相撲じゃないんだから(汗)。

気の毒に、大型さんもその罠に嵌ったのだろう…と思ったら、Cさんも「大型さんに任せて逃げて来たんだべさ!作業室わやわやにして何がメイク手伝いなんだか。ホントに頭悪いわ!」と、またブチギレた。

毎度のことながら、こうなるとCさんは止まらない(苦笑)。

「関取だら年寄り以下だ」「関取はヘタしたら偏屈王よりタチ悪い」「あそこまで太ってるってのが、ろくなもんでないって証拠だ」と大騒ぎで「それ以上言ったら血圧上がるよ」と言いたいが、Cさんの語気が荒すぎて口を挟めない。

ホントにもう、関取さんが出番の日は色んな意味で散々だ。

作業室へ降りると、社員の早口氏が4P部屋へ届けるルームサービスのデザートを三品を作っているところで、となると…「オッサン1名とギャル3名かい?うはは!」とはしゃぐ私にCさんはノーコメントだった(哀)。

昼休み明け、Cさんは「新卒君も新卒君だわ。職場に自分の女を引き入れて夫婦気取りで。頭おかしいんでないかと思うよ。関取、関取って尻を追いかけてたら仕事にならいべしゃ」と、今度は新卒君のことまで悪く言い出した。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い的な心境なんだろうけど、さすがに黙っていられず、新卒君と関取さんじゃ仕事への取り組み方や意識が180度違うこと、新卒君の仕事ぶりを見てから言ってほしいことを力説した。

その後、Cさんは新卒君のことは言わなくなったものの「あのブタだら、まず生ズルイもね!”手伝って”って自分で逃げてりゃ世話ないべさ」と、今朝の話に戻って「あのブタ…」と騒いで、こうしてCさんの関取叩きはエンドレスになる。

で、凄いことに気付いた。”疲れた攻撃”でお馴染みのCさんが今日は一言も「疲れた」と言わなかった。

更にCさんの凄いところは、ここまで関取さんバッシングをしておきながら、明日になったらこんなことはおくびにも出さず「関取しゃん、いい天気だねぇ」などとエヘラエヘラとどうでもいい話題を振ることだ。

明日、私は休みで良かった。
11:00-18:00 点検24+セット+セットバッグ上げ+ルームサービス他

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とCさん(60代前半・元看護師)が遅番、Sさん(20代前半・初バイト)と#さん(60代前半・元美容師)が早番の勤務。関取さん(10代後半・80キロ超)と私がフロントだった。

昨日、女将さん(20代後半・寿司屋)から「突然ですが今日で退職しました。休憩室の冷蔵庫にお菓子を入れておいたので、A班とB班で分けて食べて下さい」というメールがきて、驚きながら出勤すると朝1で社員の早口氏に呼び止められた。

「29日、みかやんはフロント勤務なんですけど、メイクで出勤してほしいんです」と言われ「おやすい御用です!」と即答した。女将さんが退職したので、私が代わりにメイクに入ることになったが、その方が有り難い。関取さんとフロントは勘弁してほしいもの。

嗚呼それなのに、朝から関取さんに物凄くウザいテンションで絡まれて…はあぁ〜、いっつもこんな調子で誰かと喋り倒してるから仕事が捗らない上、モニターも目に入らないのかも?と思った。

職場を雑談所とか社交サロンと勘違いしてる孤独な老人も居るぐらいだから、仕方ないのかも。

私は平日にフロントの時、あまりに我が班の面々のベッドメイクが酷ければ、その都度「汚い」と言って本人に見て貰ったり「メイクの時にきっちり始末しとかないと後で見たらこうなってる」と言って見て貰ったりするようにしてきた。

でも、綺麗な時は「今日はみんなが綺麗にメイクしてくれたから、忙しかったけど点検は楽ちんだったよ。みんなのお陰で助かった。ありがとう!」と、お礼も言うようにしてきた。

露天風呂付きの部屋からEさんとCさんが出てくるのを見かけたので、すかさず点検に入った。すると非の打ち所がないほど綺麗で完璧な状態だったので、感激した私はその後で会った時にEさんとCさんを呼び止めた。

「さっき露天の部屋へ行きましたよね?」と言うと、一瞬にして二人とも表情を曇らせ、口々に「どこか汚かった?」「わちだわ。どこ汚れてたのさ?」と言って軽く戦闘モードに入っているではないか。

みかやん「もーっ!そうじゃなくて!物凄く綺麗で完璧だったんですよ!”さすが”って言いたかったのに…」

Cさん「やんや、わちのことだからまたヘマしたんでないかと思ってしゃ。しゃはははは!」

Eさん「朝1で入った部屋だから、わちら年寄りでもまだ何とか元気に頑張れたのしゃ。しょ〜かいしょ〜かい、わじゃわじゃありがと(笑・Cさんの真似)」

Cさん「したらまた褒められるように年寄り同士、力を合わせて頑張るわ!ねぇ、Eしゃん!」

二人して機嫌良く立ち去ったけど、あたしゃ普段そんなに難癖つけてただろうか?特にお年寄り連中に対しては「老眼だから」と諦めている部分が大きかったのに…。

そこへAフロントの大型さんが「ちょっと聞いて下さい!」と鼻息を荒くして現れた。

大型さんと関取さんでベッドを組んで回っていたら、包布に大きなシミがついていた。これは交換しなければ!と大型さんは包布を外そうとしたが、関取さんは動かず「シミぐらい有るっしょ」とふてぶてしく吐き捨てたそうだ。

あまりのことに大型さんは「なに言ってるの!こんなシミだったら交換しなきゃダメでしょ!」と声を荒げ、動かない関取さんを置いて新しい包布を取りに走った…ということで、かなり憤慨していた。

関取さんのセットも酷いが、この分じゃ点検も不安だ。髪の毛ぐらい有るっしょ、汚れぐらい有るっしょ、と何でもかんでもまたラクな方へ流されて、点検の時も何もしてないんじゃないか?と心配になる。

実際、人目に付く廊下を移動する時だけチョコチョコ走って、部屋に入ったら何にもしてないんじゃないか?と思うぐらい、セットが杜撰だ。

そんなことを考えながらセットに入ったら、テーブルの上に茶色い液体が染みこんだティッシュが大量に有るのが目に入った。とんでもなく臭いかも?と思わず呼吸を止めて近づくと、テーブルの下にカップカレーうどんの容器が転がっていた。

なんて紛らわしい!あたしゃまたゲーリーかと思って心臓がバクバクした。

帰る時間が近づいて忙しくなったが、今日の相方は関取さんだ。自分一人しか居ないものと思って頑張った。

今日は、朝も昼も夕も誰かかれかが口にしていたが、結局女将さんの退職理由は誰も知らなかった。
11:30-18:00 クイックメイク19部屋+ボトム交換+セット

今日は、Sさん(20代前半・初バイト)とUさん(30代後半・悪霊憑き)、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と私の勤務。関取さん(10代後半・80キロ超)がフロントだった。

お陰様で今日から館内に冷房が入って極楽気分だ。暑さで体力を無駄に消耗することが無くなった分、頑張らなければ!

最上階の循環風呂の掃除を終え、トイレ掃除をしようと便器の蓋を開けたら、トイレットペーパーと黒い物体が水中に浮かんでいた。で、思わず呟く…。

みかやん「えーっ!(何これ?ウン○?)」

Zさん「すみません。私です。流すの忘れました」

みかやん「え、えええっ?(循環風呂の掃除中で何も聞こえなかったけど、Zさんたらその間にウン○して流すの忘れて…なのにどうしてそんなに平然としていられるの?)」

Zさん「え?どうなってました?何か変でした?」

みかやん「や…(変というかアナタ、ウン○だらけじゃないすか。今時の子ってこういうことに無頓着なの?私なら恥ずかしくて死にたくなる。つか、ウン○なら自分がトイレ係の時にしてよね。何も私がトイレ係の時にしなくたって…)」

Zさん「あの…食器を洗おうとしたら皿に何か分からない黒い食べ残しがベッタリとついてて、洗面所に流したら詰まると思ったんで、トイレットペーパーで擦り取ってトイレに流そうとしたんですけど…」

みかやん「あはは!Zさんたら先に言ってよね!あたしゃてっきりZさんがウン○をして流すのを忘れたんだと思って、返答に詰まって…」

Zさん「みかやんの様子があまりにも変だったから、絶対何か行き違いが有ると思って説明してみたんですよ。私、客室でウン○なんかしませんよーっ!」

みかやん「だってトイレットペーパーも浮いててウン○にしか見えなかったのに”流すの忘れました”って平然と言われても、どう答えていいか分からなくて…驚くことじゃないのかな?とも思ったりで…本気でリアクションに困ったもの」

Zさん「あはは!酷いですよ!絶対に何か変だと思ったけどウン○だなんて」

二人で涙を流して笑った。暫くはZさんの「すみません。私です。流すの忘れました」という淡々とした口調が耳から離れず、可笑しくて仕方なかった。

夕方になってベッドメイクをする部屋が無くなったが、すぐ1部屋空いてモニター上で”セット待ち”の状態になった。他にベッドメイクする部屋が無いので、こんな時はフロント係が大急ぎでセットへ走るものだ。

ところが、いつまで経っても”セット待ち”のまま放置されていて、普通なら考えられないことだ。関取さんが別の部屋の点検中だとしても5分で終わるハズだし、何かトラブルに巻き込まれたとしても、普通は先にセットをする。

「関取さんは普通じゃない」と判断して、Zさんがセットバッグを持ってきたので、自分らでセットをしてからベッドメイクをした。

部屋にセットバッグが有っても邪魔なだけなので、Zさんがエレベーターホールへセットバッグを置きに行くと関取さんに会ったが、関取さんは相変わらずスルーだったそうで、Zさんは怒りながら戻ってきた。

普通のフロント係だったら、メイク係がセットバッグを持って歩いてるのを見たら「すみません」「申し訳ありません」と平謝りで、セットバッグを奪い取る場面なのに…。

やっぱり関取さんは普通じゃない。こんな時にあのような図体だと、ただ歩いているだけでふてぶてしく見えて気の毒だが仕方ない。

毎度毎度、関取さんに代わって何かをしてもノーリアクションという神経が私達には理解出来ず「こっちは大変で神聖なフロントの仕事をしてるんだから、ラクでお気楽なメイク係のアンタらがやっといてよね。セットぐらいアンタらでも出来るでしょ?」とでも思っているのだろうか?と悪く捉えてしまう。

そんなこんなで、Zさんも私も気を利かせてセットをしたことを後悔する形となり、ウン○事件で大笑いしてスタートした一日だっただけに後味が悪かった。
11:30-17:00 本メイク3部屋+クイックメイク12部屋

今日は、Uさん(30代後半・悪霊憑き)と#さん(60代前半・元美容師)、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と私の勤務。関取さん(10代後半・80キロ超)がフロントだった。

足の傷が思ったより深く未だに血が滲んできたりするので、絆創膏+サポーター+靴下+風呂スリッパで風呂掃除を乗り切っていた。

ベッドを組んでいると、突然Eさんが「あれ?何だろ?」と足元を見て固まったと思ったら、次の瞬間「ぎゃああっ!ちょっとぉっ!」と絶叫し、片足を引きずるようにしてベッドの向こう側から走り出て来た。

「ぎゃああっ!取って!取って!」と大騒ぎで私に足を突き出すが、ワケが分からないままEさんの足を見ると、親指と人差し指の間に”何か”が挟まっていた。咄嗟のことで私も「えーっ?虫ですか?無理です!」と二人して大パニックに陥った。

「虫じゃない!血!血なの!血の塊!」とのことで、ベッドの脇に血糊が滴っているのを気付かずに踏んだら、レバーのような血の塊が指の間に挟まってしまい、元々血が大の苦手なEさんは半狂乱になった。

血の塊をティッシュで取ってあげると、Eさんは足を洗いに浴室へ行ったので、私はその隙に洗剤とダスターを持って走り、大慌てで血の滴った床を拭いた。

Eさん「私もう無理。身体に力が入らないもの。思い出すと鳥肌立つし…」

みかやん「私は虫かと思って驚いて…」

Eさん「私もみかやんみたいに足に怪我したのかな?と思ったの、でも痛くないし…そしたら他人の血だよ血!もう気持ち悪くて気持ち悪くて…」

みかやん「私ったら何が何だか分からないまま一緒に大騒ぎしてしまって…」

少し落ち着いたら、ハスキーボイスのEさんの掠れた絶叫や取り乱しぶりを思い出して笑いが込み上げてきて、二人で床にへたり込んで大笑いした。

Eさん「もーっ!みかやんにかかったら何でも笑い話になるんだから!みんなに言わないでよ!みかやんだって大騒ぎだったんだからね」

みかやん「はい。言いません(笑)」

ということで誰にも言えないが、一人で暫く可笑しかった。

昼休みは、Eさんが「Uさんたら昨日のお昼に、間違って一昨日の朝に作ったおにぎりを食べたんだって」と教えてくれた。一昨日の朝からバッグに入れっぱなしだったおにぎりを気付かずに昨日の昼に食べるあたり、実にUさんらしくて笑える話だ。

Uさん本人も「何か酸っぱい気がすると思いながら食べて、帰りにバッグの中を見たら朝に作ったおにぎりが入ってて、その時に初めて古い方のおにぎりを食べたことに気付いたけど、お腹も何ともなかった」とケロリとしていた。

ここが九州や沖縄だったら食中毒で倒れてたと思う。普通は酸っぱいと思った時点で、前日の昼におにぎりを食べ忘れたことに気付くと思うんだけど…(笑)。

昼休み明けに出動しようとしてエレベーターを待っていると、Aフロントの大型さんが降りてきて、私達を見るなり「えーっ!もう三時なの?どーしよー!何にも出来てない!もーっ!(怒)」と何かに憤っているようだった。

こんなヒマな日でも、関取さんとペアなら無駄にセットや点検に追われて何も出来なかったのだろう。心の中で「ご愁傷様…」と思いながら大型さんを見送った。

部屋に入ると、泥だらけのフェイスタオルや、ボディスポンジやら、空き缶やら…関取さんがセットした部屋に入ったら、まずゴミ集めから始まり、関取さんが出番の日はメイクバッグのゴミ袋やマイゴミ袋がゴミで満杯になる。

Eさんも「関取さんだったら、どこ見てセットしてるんだか!ゴミだらけでしょ!こんな酷いフロント、今まで居なかったよね!」とお冠だったので、つい「あんだけお腹が出てたら、足元のゴミなんか見えやしないんですよ!」と毒を吐き捨ててしまった。

うわ、また毒吐いちまった…と凹みかけたら、Eさんがツボにハマってくれて「誰もあそこまで太ったことないから分からないもんね〜」と笑って流してくれたので助かった。面目ない。

だけど、一生懸命やっても仕事の出来ない子は仕方ないとして、関取さんの場合は一生懸命さが微塵も見えないので、フォローのしようもない。

Uさんチームが16時半で早帰りになり、私達も17時で早帰りになった。せめてC班のメイクさん達に迷惑をかけないよう、関取さん一人でじっくりとセットしてほしい。
11:00-18:00 クイックメイク19部屋+リネン折り+セット

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と#さん(60代前半・元美容師)が遅番、Cさん(60代前半・元看護師)とZさん(20代後半・昔の森尾由美似)、Sさん(20代前半・初バイト)と私が早番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)とホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)がフロントだった。

出勤してモニターを見ると、売り部屋もセット済みの部屋も無く大忙しの状態で、早めに出勤していた新卒君が早出出勤となり、最近は殆ど土日しかフロントの出番がなくなったSさんと私は「今日、フロントじゃなくて良かったよねぇ」と胸を撫で下ろした。

元々セット済みの部屋が無かったので、出動してからはフロントの人がセット中の部屋へベッドメイクに入ることが多かったが、私達の行く先々にホスト君が居て、当たりの悪いホスト君はドロドロに荒らされた部屋と格闘していた。

ホスト君は、いつもお気の毒なほど確実に荒れ果てた部屋を引き当てていて、部屋に入ってホスト君がセットしていたら「散らかっている!ベッドメイクが大変!」と思って間違いない(笑)。

そういう私達も、そのホスト君の後をついて回る形になっているので、今日はツキに見放されたのだろう。

このクッソ暑い中でホットコーヒーを飲んで、部屋中をコーヒーカスだらけにしてる人や、飲む前にドリップコーヒーを全開にぶちまけてる人やらが居て、有り得ないほどコーヒー地獄に堕ち、ドトールさんホント勘弁して下さい…という感じ。

かと思えば、ミストサウナが垢と髪の毛と泡でドロドロになっていて、ミストサウナの個室内で髪を洗ったり垢を擦ってる人を初めて見た…というか実際その姿を見たワケじゃないけど、今迄そんなお客様が居なかっただけに大当たりという感じで甚だ困惑した。

昼休みの時間になったので休憩室へ降りようとしたら、何故か上りエレベーターの前に女性客がずっと一人で居た為に部屋から出られず、暑さと空腹で軽くイラッとしながら、女性客が立ち去るのをひたすら待った。

やっぱりツイてないかも。

作業室には転勤した社員の二宮和也似氏が正装して来ていた。知人の結婚式に出席するらしく、とても立派で素敵だった。その二宮和也似氏にいきなり「最近、日記書いてないんですね。こないだ見たら日付が1月ぐらいになってて…」と言われ、一瞬にして背中を滝のように汗が流れた。

しどろもどろになりながら「それがその…こないだ支配人に言われて…書いてないってか動揺して更新が遅れて…」というようなことを言うと「その話は僕も聞きました。専務がご覧になったそうで、でも専務も”やめないで下さい”との事でしたよ」という話。

専務って…そんなお偉い方が…どうしよう…あぁっ!座っていても立ちくらみがする…って開き直って更新してるんですけど…(滝汗)。

休憩室ではCさんがゴッドハンドで肩や腰のマッサージをしてくれて、ZさんがCさんに弟子入りして私がモデルとなったので、Zさんにもマッサージをして貰えてラッキーだった。

昼休み明けに出動した時も、部屋に入るとホスト君がセットをしていて「げっ!」とは思ったが、冷蔵庫に缶ビールと缶カクテルが有るのを発見し「お客さん、忘れて帰ってくれてありがとう!ホスト君、見落としてくれてありがとう!」と言ってから、Sさんと仲良く分け合った。

やった!ツキが回ってきたかも?元々私は強運の持ち主だ。

しかし、夕方からは西日が差し込む部屋にばかり当たって、さすがに暑さに参ってきた。若いSさんさえも「疲れた。暑くて疲れる!」とボヤく始末。

ようやく最後の部屋のベッドメイクを終えると、向かいの部屋からお客様が出てくる気配がして、私達は出るに出られない。何やら玄関先で話し込んでいてなかなか出てこないでいて、やっと出てきた!と思ったら女性二名だった。

Sさんに「見た?女の子二人だったよ」と聞くと「うち見ません!や、見てません!見間違いじゃないですか?ホントに女の子二人ですか?そんな…ち、違いますよ。話してただけとか…」と、かなりの勢いでテンパっていた。相変わらずSさんはお堅いが、そこがSさんの可愛いところだ。
11:00-18:00 点検24+セット+コンテナ+ダスター上げ+コスプレ他

今日は、Cさん(60代前半・元看護師)と#さん(60代前半・元美容師)が早番、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とUさん(30代後半・悪霊憑き)が遅番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と私がフロントだった。

なんと今日は、超ベテランメイク女史が欠勤され(多分、初)、Aフロントのお人形さんがAメイクに入った。諸々の心労が祟ったのだろうが、超ベテランフロント女史が休養中の今、メイク女史にまで倒れられては、我々下々の者は路頭に迷ってしまう(悲)。

幸いヒマだったのでA班1隊が早帰りになった。天気も良く暖かく、お客様方にとっては、絶好のお出かけ日和でありドライブ日和なのだろう。外は暖かいが館内や客室はとても暑くて、今日もコンビニボックスの飲料やアイスが売れに売れ、補充が大変だった。

2〜3部屋続けてセットをすると暑くて汗だくになるので、部屋に入ってすぐ窓を開けたら、隣の部屋のお客様が窓を開けて行為に及んでおられ、女性客が「ああん!逝っちゃう!逝っちゃう!」と大騒ぎしている声が聞こえてきた。

イっちゃうって「どこへ?」と聞くワケにはいかず、「行ってらっしゃい」という見送り的な感じも妙だし、かといって「お逝きなさい」と言うのも何だかなぁと一人ブツブツ思いつつ、女性客の絶叫を聞きながら黙々とセットをした。

無事に昇天されたようで隣の部屋が静かになった。こんな時、辞めた$君も一緒だったら「絶頂期じゃないですかっ!」と大興奮だっただろう。$君と働いていた頃が懐かしい。

客数が少ない割にルームサービスや貸し出しのモノを届けに客室へ行く機会が多く、途中でAフロントの大型さんに会うと「コスプレの交換で同じ部屋に3回も行ったんだよ!”制服ダメ””ナース違う”って結局メイド服さ。どうでもいいっしょ!って感じだよね」とボヤいていた。

私も、アイス届け、割引券届け、爪切り届けで同じ部屋へ3回行ったところだった。作業室へ降りると、社員の早口氏がグラスにドリンクを注いでいたところで「××1号室へお願いします」と頼まれたが、グラスに氷が入ってなかった。

常温保管のドリンクなのでかなり温いが、お客様が頑なに「氷ナシで」とご注文だったそうだ。お届けに上がると部屋から出てきたのは”○兵衛オジサン”というあだ名の常連さんで、今日も裸の上に膝丈のベンチコートを羽織り、ドリンクを受け取ると律儀に直角に頭を下げて下さった。

北海道とはいえ、膝丈のコートはさすがにもう暑いと思うんですけど…。しかも暑い部屋で温いドリンクって有り得ない。でも、○兵衛オジサンは頭がツルツルのスキンヘッドだから涼しいのかも?と思い直す。

久々に、ルームサービスお届けの時に「ドアベルを鳴らして玄関に置いて行ってくれ」という指示があり、背の高いグラスに入ったドリンクのお届けだったので有り難かった。

いつもトレイに乗せた粉チーズやタバスコなどの細長い容器が、トレイ受け渡しの時に倒れるんじゃないかとヒヤヒヤだったし、背の高いグラスをひっくり返したらどうしよう!と気が気じゃなかったので、今回は命拾いした感じ。

そういえば、私が以前働いていたラブホPの玄関には、飛行機やバスの座席の裏に付いているような折りたたみのテーブルが付いていて、ルームサービスはそれに乗せれば良かったのでラクだった。あのテーブルが恋しい。

ラブホPは、お客様用通路や出入り口と従業員用が完全に別で、お客様と従業員が鉢合わせにならない構造だったので、徹底的に従業員に会いたくない(見られたくない)向きの方に、あのテーブルは重宝しただろう。それに玄関の床に置くより見栄えもいいと思う。

ラブホPかぁ…懐かしいなぁ…オバ男君や丸々子ちゃんは元気だろうか?夕方を過ぎても、うすぼんやりとそんなことを考えていられるほどヒマ気味なまま経過した平和な土曜日だった。
11:30-18:00 クイックメイク18部屋+ベッドのみ1

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と私の勤務。関取さん(10代後半・80キロ超)がフロントだった。

今回は、出動前のクジ引きの時にいつものペア決めの他に、最上階地獄か本メイク地獄かのクジも引き、Zさんと私は最上階地獄のペアとなった。

無駄に広い部屋ばかりの最上階に当たったが、強運の私はいつもどおり風呂ラッキーを引き当て続け、思ったよりかなりベッドメイクが捗った。私は今日もツイてる。というか、最近は館内や部屋や外も暑くて、お客様もお風呂に入る気にはならないのかも知れない。

ベッドを組んでいる時に、Zさんから「辞めた社交君にソックリな人がステラプレイスで働いているのを見かけた」と聞き、昼休みにメールしてみたら社交君本人に間違いなかった。

社交君は本当に好きでやりたい仕事があって、東京から札幌へ戻ってきて夢の職業に就いたそうだ。社交君、就職おめでとう!持ち前の社交性を遺憾なく発揮して、どこに居ても頑張っていて下さい。

社交君の話から、何故か統合失調症で再入院の為に退職したフロントH君の話になった。H君と擦れ違いにココへ入ってきたZさんは「具体的にどんな感じだったんですか?」と興味津々だった。

H君は統合失調症で入院&治療を終えてからココで働いていたが「またミンザイを飲むようになった」と言ってた頃から様子が変わり、皆の前でいきなりオナラをしたり、人目も憚らず鼻をほじったりしたかと思えば、宙を見て何かを呟いたり、突然一人で半笑いしたりしていた。

再入院直前の頃は、身体がアザだらけだったり目が血走っていたりで、いま思えば暴れたのかな?と想像してしまう。素人目から見ても明らかに、私達には聞こえない何かが聞こえていたり、私達とは違うモノが見えていたようだった。

そのH君も今は30歳ぐらいになったはず。どこでどうしているやら。

昼休み明けに最上階の残りの部屋を攻めた。こうなったら最上階を制覇したいが、1号室だけ朝からずっと”泊まり”になっていた。貧乏性の私は、また他人事ながら「泊まり+延長料金でいったいいくら掛かるんだろう?家に帰って寝直せばいいのに…」と気が気じゃない。

私の心配をよそに1号室のお客様は帰る気配が無く、残念だが1部屋残して下の階へ行くことにして、最上階エレベーターホールのドアを開けたら、ドアの下と床の隙間にゴムのスリッパごとグニャッと足が挟まって抜けなくなった。

泣きながら足を抜いた時には親指と人差し指が血まみれで、そのままフロントへ直行し、フロント電話番姉さんに手当してもらった。

夕方からどんどん忙しくなるので「痛い」とも言ってられず、絆創膏二重巻き+靴下+風呂用スリッパで何とか風呂掃除も乗り切った。

ようやく仕事を終え、客用エレベーターで作業室の階へ降りると、隣のエレベーターからお客様も降りてきたところだったので、慌てて徒歩用玄関方面に隠れたが、そのカップルは男性が駐車場玄関、女性が徒歩用玄関へとわざわざ別れてお帰りだったので、女性客には思いっきり見られた。

男性客がクルマで来ているのであれば、途中迄でも乗せてあげればいいのに、何だって玄関で別々に帰るんだか…余程用心している不倫カップルか、デリヘル嬢なのだろう。そんなことより、あたしゃ足が痛い。

帰りにロッカーで足の傷を見てみようと思ったが、見るまでもなく靴下が血まみれになっていた(泣)。急いでいても怪我をしないよう気を付けよっと。

私達が帰る頃、最上階1号室のお客様もお帰りになった。14時チェックアウトだったとしても、宿泊+延長で15000円にはなるだろう。それって私の一ヶ月分のお小遣いと同じなんですけど…(滝汗)。
11:30-17:30 本メイク5部屋+クイックメイク10部屋

今日は、Sさん(20代前半・初バイト)とUさん(30代後半・悪霊憑き)、ロザンナさん(同い年・イタリア美女風)と私の勤務。ホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)がフロントだった。

出勤するとロザンナさんが「誰も出勤して来ないんだもの!焦ったよ!」と興奮していたので何のことかと思ったら、ロザンナさんは我が班には土日にしか入らなかったので、平日は11時半からの勤務だと知らずに11時前から出勤していたそうだ。

続いてホスト君が「おはようございます。一昨日、死ぬほど忙しかったですよね〜。ホント死ぬかと思いました」と声をかけてくれた。

私は思わず駆け寄り「一昨日はありがとう!ホスト君のお陰で命拾いしたよ。助かった。ホスト君がデキる子でホントに良かったよ!」と、気付いたらしっかりとホスト君の手を握っていた(照)。

ホスト君が忙しい時にちゃんと”忙しい”と自覚して、死ぬかと思うほど頑張ってくれたのが無性に嬉しかった。クッソ忙しい時に「ヒマだ」とか「これって忙しいんですか?」などと戯けたことを言ってるような不埒な輩とは大違いだ。

手を握った時、ホスト君の手がガサガサで痛々しいほどだった。

出動直前、稼働表に日付や名前を書く時、Uさんが「今日、何月だっけ?」と尋ね、Sさんが「15です」と答えていたので、思わず「15月かい?」と突っ込むが、Uさんはちゃんと”4月15日”と記入し、二人の間ではそれで話が通じているんだから凄い。

それを聞くなら「今日、何日?」とか「今、何月?」で、「15日」なり「4月」と答えてほしいところだったが、それがUさん暦でありSさん暦なのだろう。さすが、フレンチトーストを「玉子でとじたパン」とか、正露丸を「ポンカン」と言う人達だ。お見逸れしました(笑)。

ロザンナさんと組むのは初めてだったので緊張したが、なんせ同い年なので話が合う。ロザンナさんは「ココの人達って凄いよね。60過ぎててもバイトの掛け持ちってホント凄いわ。私ぐらいのトシになると足腰弱って、私なんか…」とか「このトシになると…」と、やたらとトシ、トシ言う。

で、同い年であることを告げると、ロザンナさんは急に私に対して敬語になった。まさかとは思うけど、ひょっとしてこの老け顔の私をロザンナさんは年下だと思っていたのだろうか?タメグチ&タメ語で全然OKなので、敬語は勘弁して下さい…という感じ。

最上階の1号室の浴室に物凄いオヤジ臭が漂っていて、ロザンナさんは「何も無いのに臭すぎる!」と咽せながら風呂掃除をしていた。掃除を終えてもオヤジ臭が消えず、臭くて売り部屋に出来そうもない。

廊下を歩いていたホスト君を呼び止め状況を説明すると、ホスト君は「一昨日、制服を持って帰って洗濯しようとしたら、自分のポロシャツからオジサンの匂いがして凹んだんですよ」と嘆いていた。

「ええーっ!その若さで?」と一瞬怯んだが、すぐに笑いが込み上げてきた。だけど、ホスト君の悲しげな顔を見ると笑うに笑えず「じゃ、点検と消臭頼みます」と逃げるように部屋を出た。

だがしかし、私達は「オヤジ臭」だなんて言ってるけど、本来は加齢臭であって男女問わず加齢と共に忍び寄ってくるものらしいので、いずれ私も…と思ったら笑えなくなった。

ま、ホスト君の場合は”オジサンの匂い”と言うより、汗臭かったのだろう。加齢臭ではなくて、男子運動部の部室のような…部室?…部活?…部活と言えば?…ダメだ、これ以上連想ゲームを進めると、とんでもない人が頭に浮かんできて凹むので中止!(苦笑)

明日からの新シフトでは、関取さん(10代後半・80キロ超)がBフロントになっていて憂鬱だが、幸い私は新シフトでは4回しかフロント勤務が無い。煩わされずに頑張ろう(って結局、連想してる)。
11:00-17:30 点検18+セット+コンテナ+備品補充+ダスター上げ他

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と#さん(60代前半・元美容師)、Sさん(20代前半・初バイト)とZさん(20代後半・昔の森尾由美似)の勤務。私がフロントだった。

Aフロントは働き者のお人形さん(10代後半・超キュート)だし、久々の平日フロントなのでホッとするが、この職場はいつどうなるか分からないので、油断は禁物だ。華奢なお人形さんの為に、早いうちからリネン類を片付け、コンテナを移動させておいた。

セットを始めてふと洗面所を見ると、鏡に布のような紙のようなモノが3枚貼ってあって「げっ!ナプキンかい?」と近づいて見ると3枚とも湿布だった。湿布を貼る程どこかが痛むなら、こんな所へ来なきゃいいのにと思うが、ついつい来て頑張っちゃうんだろうね(笑)。

「お大事に…」と呟きながら、鏡から湿布を剥がした。

ヒマでAメイクさんが1隊早帰りをした後、いつもより早めにリネン屋さんが来たので、昼休み前に黙々とコンテナ作業をし、社員の早口氏に「会心の出来です(笑)」と言って確認して貰った。

久しぶりに最初から最後まで全部一人でコンテナ作業をして、ダスター上げまでしたらバテた(汗)。超ベテランフロント女史は出勤の度にコレを毎回…と思うと本当に頭が下がる。

いつもの平日より客数は少なめなのに、何故だか今日は、ルームサービスやコスプレや煙草のお届けで忙しかった。お届けや回収が落ち着いたので、エレベーター前の棚にある備品の補充を始めた。

怖々と脚立の最上段に上がって棚上の備品チェックをしていたら、A班のお姉様方が来て「あら、みかやん!いいケツしてるじゃないの!」「ホントだ!固い」「まだ張りがあるもの」と、二人して人の尻を触り揉みまくるが、脚立の最上段に居るので怖くて動けない。

みかやん「セクハラじゃないですかっ!」

陽気なIさん「私達、男居ないから今度は女に走ろうと思って」

みかやん「か、勘弁して下さい(汗)」

エレベーターが来たので、お姉様方は笑いながら乗り込んで行ったが、私は生きた心地がしなかった(笑)。

超ベテランメイク女史に会い、例によって鼻つまみ者の関取さん(10代後半・80キロ超)の話になった。関取さんは「メイクはキツいから早くフロントになりたい」とぬかしていたのに、よりにもよってメイク女史に「メイクはラクだし楽しそう」と言ったそうで、私は開いた口がふさがらなかった。

ココで2年半以上働いていてもまだまだ知らないことが有って、メイク女史に教えて頂くことも多い。メイク女史のような方でさえ、日々精進と研鑽を積んでらっしゃる。この仕事も極めようと思えばキリがない。

嗚呼それなのに、昨日今日のガキが超ベテランメイク女史に「メイクはラクだ」とか「楽しそう」だとか、有り得んでしょう。関取さん以外の人は皆、ココへ”仕事”に来てるのであって、遊びに来てるワケじゃない。「楽しそう」とか、いい加減に部活根性を捨てて欲しいものだ。

関取さんとお人形さんは同い年なのに、この違いは何だろう。お人形さんは華奢な身体で身を粉にして働いているし、1コ上のSさんだってココが初バイトだったが、皆に気を遣いながら真面目に一生懸命働いてきた。二人とも苦労など厭わない、若くても立派な子達だ。

逆に、お人形さんやSさんが立派過ぎるんだろうか?関取さんが、お人形さんやSさんには遠く及ばないのは仕方ないことだと諦めるので、関取さんにはせめて余計なことは言わずに黙って”仕事”をしてほしい。散々ラクをしている人に「メイクはラク」だなんて言われたくない。

今日、最後にセットに入った部屋は恐ろしく暑かった。そのせいか、ビールの空き缶が大6、小4、他にペットボトルの飲みかけも数本有り、ざっと計算しても4000円以上のお買い上げでコンビニボックスがスッカスカだ。

貧乏性の私は、他人事ながらお金が勿体ない気がして、スーパーで買ってくればいいのに…とか、否、私なら水を飲む…と考えて胸を痛めた。

でもやっぱり胸が痛むのは新卒君のことだ。関取さんの評判の悪さも、そろそろ新卒君の耳にも入っているだろう。変に責任を感じてなきゃいいけど…。
11:00-18:00 点検16+セット+コンテナ+ダスター+ルームサービス他

今日は、ホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)と私がBフロントで、Aフロントは、お人形さん(10代後半・ハンパ無い可愛らしさ)と関取さん(10代後半・80キロ超)だった。

朝のうちにホスト君に「今日はホスト君だけが頼りだからね。頼むよ。今日は女子供とデブしか居ないから…あわわ」と縋ると「そっか〜。俺以外は女の子か〜。頑張りますっ!」と言われ「いや〜ん。”女の子”だなんて〜」と勝手に照れた。

冗談はさておいて、小さな身体でこまねずみのように働くお人形さんに負担がかからないよう、私も頑張らなければ!

朝1で、よくあるパターンの警察官&セーラー服のコスプレを届けに行くと、部屋から若い男性が出てきて「はいはい、万引きした女子高生の身体検査ですね」と思いながら衣装を渡すと、男性が「うわっ!すっげえ!こんな本格的だったんだ」と、いたく感動していて何だか嬉しくなった。

その行き帰りにホスト君が懸命にセットに走りまくっている姿を見て更に感動して、私もセットと点検に走り回った。

リネンコンテナが到着する前に、作業室やエレベーター前に有るセットバッグを各階へ運び、リネン屋さんが回収し易いように作業室に有るコンテナを所定の位置へ移動しておかなければならない。

セットと点検が一段落したので、まずはセットバッグ作りだ!と作業室へ降りると、ホスト君が既に作業を進めていたので慌てて手伝った。

そこへ関取さんが来て、またセットバッグをエレベーターに乗せるのを手伝おうとしたので「こっちは二人で充分だから、コンテナ動かしてほしい」と言ったが、何度同じことを言わせるんだか。積み込みに三人も要らないし、身体デカいぶん邪魔だっつーに。

ふと見ると、今日はベッドメイク係のZさんが関取さんとコンテナ移動をしていた。関取さんがいつもどおり「手伝って下さい」と泣きついたのか、関取さんがあまりに無様で見かねたZさんが自発的に手伝ったのかは定かではないが、メイクさんを巻き込むようなことではない。

関取さんは部活感覚で何でも喋くりながら2〜3人でやりたい人だが、フロントの仕事なんて孤独なものだ。コンテナ移動ぐらい一人でやってくれ。

リネン屋さんが来たので、ホスト君と更にバタバタと作業をしていたら、関取さんが珍しく「手伝いますかぁ?」と声を掛けてきた。「つか、あなたが中心になってやってくれないと困るんですけど」と言うと、関取さんは「あ!私、休憩時間だ。お昼入りま〜す」と逃げて行った。

最初から手伝う気が無いのが丸見えで、”一応”声を掛けたに過ぎない。

あまりのことに超ベテランメイク女史に愚痴をこぼすと「みかやんが頑張り過ぎるから、関取さんがますます何もしなくなるんだよ。何でも関取さんにやって貰わないと…。このままじゃみかやんまで超ベテランフロント女史みたいに身体がボロボロになっちゃうよ」と心配して下さった(感涙)。

ホスト君と私が昼休みを終えた頃には、売り部屋もセット部屋も無い状態で、お人形さんが一人で大変だったようだ(関取さんも居たけど)。お人形さんが16時で帰るのでそれまで三人で一丸となってセットと点検に走り回った(関取さんも居たけど)。

ギリギリでセットが間に合っている状態だったのに、お客さんが物凄い出入りを始めてまた満室になり、ホスト君も私も血相を変えて走った。

すると早番のCさんが「わち達、ベッド組んで帰ろうと思ったけど遅番の為に2部屋ぐらいセットして帰るから」と言ってくれて、遅番のEさんは「時間が中途半端になるから、最後の部屋は自分らでセットするからいいよ。後片付けとかやってて」と言ってくれた。

走り回っていて気付かなかったけど、もう帰る時間だった。一生懸命やっていれば、関取さんのように「手伝ってくれ」だなんて泣きつかなくても、こうしてみんなが手伝ってくれる。有り難いことだ(感涙)。

それはそれは忙しい思いをしたけど、メイク女史に励まされ、皆に助けられ、ホスト君も物凄い頑張りを見せてくれて、感動の一日だった。関取さん以外のみんなに感謝。
11:30-17:30 本メイク5部屋+クイックメイク8部屋+ベッドのみ1

今日は、Sさん(20代前半・初バイト)とZさん(20代後半・昔の森尾由美似)、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)と私の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

唐突だが最近の私は、長芋にハマっていて「長芋って摺り下ろしても千切りにしても、生でも焼いても美味しいですよね♪」と言っていたら、Eさんが私の腕のような(太)立派な土付きの長芋を持ってきてくれて感激した。お陰様で今夜からまた幸せな長芋ライフをおくることが出来る。

クジ引きで約2週間ぶりにEさんとペアになった。会わない間の積もる話も有るのだが、Eさんが3月末からバイト掛け持ちで働くことになり、その話で持ちきりだった。

信じがたいことにココには60歳を過ぎてもバイト掛け持ちをしている人が多くて、みんなバリバリの猛者という感じ。「疲れた、疲れた」なんて言ってるのは我が班のCさんぐらいだ。

Eさんはココの仕事を終えた後、知り合いが経営する居酒屋さんで洗い物などをすることになったそうで「ココも早帰りばかりでやってけないから、2〜3時間でも働ければ足しになると思って」とのこと。私もずっとバイトの掛け持ちはしてきたけど、もう出来ない気が…みんな凄いや。

Eさんも、Uさんから「転勤した二宮和也似氏の後任社員さんがラブホCRから来る」と聞いたそうだが、Uさんの話をよく聞いてなかったのか、Uさんの説明がまずかったのか、Eさんは「え?またうちの班に外人さんが入るの?CRって、どこの国さ?」と答えて、Uさんに大笑いされたとのこと。

ラブホCRを「どこの国?」と聞かれても…(笑)。Eさんは「だって今迄うちの班に中国人が2人居たから、また外人なのかと思って。UさんとSさんに”中国さんと一緒に日本語学校へ通いなさい”って言ってたけど、私も他人をどうこう言えないわ」と照れていた。

昼休み明けに、Eさんが浴室から「うわっ!ちょっとぉ!」と叫んだので見てみると、顔や髪にシャンプーを浴びていて見事な顔射状態になっていた。シャンプーのボトルを逆さに落とした拍子に、ノズルが押されたようだ。

Eさん「ダメだ。疲れてる。帰らなきゃ(笑)」

みかやん「というか、すっかりヒマになって早帰りになりそうですよね。何時まで働けるでしょう?」

Eさん「16時半か、せいぜい17時じゃない?最近、疲れた疲れたってCさんの”疲れた攻撃”が酷いから、逆にこっちから先に”疲れた”って言えば、Cさんたら嬉しそうにニヤニヤ笑うんだよね。だって”疲れた”って言われたらドッと疲れるもの。先に言った方が勝ちだわ」

Eさんはそう言って苦笑いしていたけど、Cさんはそのことを「最近、Eさんが”疲れた”って言うんだわ。掛け持ちして疲れるんだべしゃ!ひゃはははは!」と、何故か勝ち誇ったように笑っていた。

何て言うか…勝ち負けの問題じゃないと思うんですけど。

そこへ社員さんから早帰りの連絡が来て、17時半で帰ることになった。最後の部屋のベッドメイクを終えて、部屋を出ようとしてモニターを確認すると、同じ階の2号室が”誘導中”の表示になった。

すぐに部屋を出てはお客様と鉢合わせになるので、部屋に入って誘導中の表示が消えるのを待ったが、いっこうに消えてくれない。それどころか、廊下の様子を窺っても人の気配すら無い。

思い切ってドアを開けてみると、遠くからお爺さん&お婆さんがヨチヨチ歩きでこちらへ向かって来ていたが、2号室はこちらではなくL字形の建物の逆側だ。このお客様方が部屋へ入るまで私達は移動出来ず帰れない。逆方向だといつ気付くかジリジリしながら待つも、気付いたところでヨチヨチ歩きだ。

Eさん「もーっ!時間勿体ない!何だってあんなお年寄りがこんな時間からこんな所へ来てるんだか。部屋に入ったらもう眠くなる時間でしょう」

みかやん「ふっ!笑わせないで下さい。もう晩ご飯も食べ終わって眠りに来たんじゃないんですか?」

ようやくお客様が部屋へ入ったのを確認し、作業室へ降りたのが終業3分前で、SさんとZさんに後片付けを手伝って貰ってバタバタと帰った。

最後に落ち着いてモニターを見ると、在室がたったの5組で私の記憶が正しければ過去最低記録だ。こんなヒマな時に17時半まで居られたのは奇跡に近いことだった。
11:30-18:00 本メイク3部屋+クイックメイク13部屋

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とUさん(30代後半・悪霊憑き)、Zさん(20代後半・昔の森尾由美似)と私の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

広い部屋ばかりの最上階スタートだったが、狭い部屋に当たったので気を良くして行ってみたら、ゴミと回収忘れのモノばかりで、早速萎えた。今日のAフロントは関取さん(10代後半・80キロ超)なので、アレの仕業に違いない。

途中で新卒君に会ったので聞いてみると「関取に”ゴミだらけで酷いから手伝ってくれ”って言われて、俺も手伝ったんですよ。ホントに酷い散らかり様で…」とのこと。

関取さんは、他のフロント係が普通に一人でこなすような些細な作業さえ、面倒くさければすぐに「手伝ってくれ」と泣きついてくる。だが、手伝ったら最後、人任せにして逃げらるか、責任をなすり付けられるかのどっちかだ。

新卒君が手伝ってくれた時点で「もう自分には関係ない」と無責任になったから、ゴミの山&忘れ物の嵐になったのだろう。危機感も緊張感も無ければ責任感も無い。

#さんのデブバッシングにも凄い勢いで頷くようになった今日この頃だ。Zさんに「私の彼もぽっちゃりした人に厳しいんですよ。そういう人って多いですね」と言われ、また天下のデブ嫌い=辞めた毒舌アニキを思い出した。こんなことなら今ココにアニキに居てほしかった。

アニキのデブバッシングは#さんの比ではない。胸のすくような罵詈雑言(表現が不適切)で、私の中に有る関取さんの忌まわしい記憶を葬ってくれただろう。無性にアニキが恋しい。

こんな時は、おバカな話で笑って気を紛らわせるしかない。幸い、Zさんとはよく”言いまつがい”の話をしていて、今日も「テレビで言いまつがいみたいなのをやってて、緊迫した場面で”いえいえ”と言うべきところを”イエーイ!”と言った人がいて、私はツボにハマって…」と話してくれた。

そう言えば言いまつがいの本にも、緊迫した場面で「待って下さい!社長さん!」と追い縋るべきところを「社長ちゃん!」と言いまつがえた話が載っていた。

みかやん「そんなのココで”支配人ちゃん!”って言うようなもんだよね」

Zさん「あはは!”支配人ちゃん”って有り得ない!」

お陰で暫くはツボにハマって大笑いして居られた。

言いまつがいから、ほぼ日手帳の話になった。Zさんのカレシは今年度、物凄く高価な手帳を購入し、その手帳は月間予定表等の罫線が全て小さな”ありがとう”という文字で印刷されているそうで、怖いけどツボにハマっているので可笑しくて仕方ない。

Zさん「パッと見、太めの罫線なんですよ。でもよく見ると”ありがとう”って書いてあるんです。あははは!」

みかやん「あはは!怖い!それ絶対怖いから!」

我が班には昼休みに皆でテレビ鑑賞中にテレビをモニターに切り替えたい時は、「ちょっと見てみていいかえ?」とCさんの物真似をしてから、リモコンでモニターに切り替えるというしきたりが有る(笑)。

今日は予期せず新卒君が初めてCさんの物真似をしてくれて、それが思いのほか上手で見事にCさんの特長を捉えていたので、笑って涙が出た。新卒君は密かに練習を重ねていたに違いない。なんて健気なんだ。新卒君は本当に何事にも意欲的で勤勉だ。

今日最後の部屋は、コーヒーや入浴剤に歯ブラシに化粧品のアメニティー類全部と、トイレットペーパーも芯ごと持ち去られていて、ティッシュケースまでカラという物凄い状態だった。

Zさん「アメニティーは私も他所のラブホへ行ったら記念に持ち帰ると思いますけど…」

みかやん「私も若い頃はよく持ち帰ったけど、トイレットペーパーやティッシュもとなると趣旨が違うと言うか…」

ハッ!と気付いてトイレを見るとナプキンとタンポンはしっかりと残っていた。以前にも根こそぎ持ち帰っていて、生理用品だけ手付かずという時が有った。今回も生理があがっちゃった中年以降の人の仕業らしい。

若い人の持ち帰り方と違って、トイレットペーパーやティッシュまでとなると、オバ独特の浅ましさを感じて、その痛々しさにまた笑えて、笑いながら補充しまくった。

Zさんや新卒君のお陰で、関取さんのことも忘れて笑って過ごせた。アニキの負のパワーに頼らなくても、笑って乗り切れるようになろっと。
11:00-18:00 点検18+セット+コンテナ+リネン折り+メイク手伝い他

今日は、Cさん(60代前半・元看護師)とUさん(30代後半・悪霊憑き)、#さん(60代前半・元美容師)とロザンナさん(同い年・イタリア美女風)が早番、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とZさん(20代後半・昔の森尾由美似)が遅番の勤務。

Sさん(20代前半・初バイト)と新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と私がフロントだった。

朝からセット待ちの部屋だらけでフロント係が大忙しの状態だったので、社員さんの指示でSさんが点検をして回り、Aフロントのお人形さん(10代後半・ハンパ無い可愛らしさ)と関取さん(10代後半・80キロ超)も含め、残りのフロント係は暫くセットのみをすることになった。

嗚呼それなのに、まだ点検に10分も掛かる関取さんが何故か呑気に点検をしていて、そうなるとSさんも点検だけをしているワケにいかなくなってムッとしていたが、関取さんを探し出して咎めている余裕もなく、ひたすらセットに追われた。

セットや点検が落ち着いて作業室へ降りた頃には汗だくだったが、関取さんが涼しい顔で現れて、あろうことか私に「今日、これって忙しいんですか?」と聞いてきた。久々に「忙しいなんてもんじゃない」って状態だったのに…。相変わらず関取さんには危機感や緊張感というものが全く無い。

モニターがセット待ちの部屋だらけだったのに、あんな状態のモニターを見ても動じない図太さは世界ふしぎ発見級だ。あの状況を理解出来なかったとなると、それもまた驚くべき超ド級のおバカさんだ。言葉を失っている私をよそに、関取さんは指定席のモニター前にどっかりと座った。

関取さんがモニター前を陣取っても、我先にセットへ行ってくれるわけではないが、面倒くさいというかあまりのバカさ加減に怖くて近寄れないので、そっとしておいた。戦力になるわけでもないし、影響も無いだろう。

リネンコンテナが届いたので、新卒君と私でコンテナ運びをし、Sさんとお人形さんでダスター上げをしてくれたが、そんな時は関取さんはどこにも居ない。一連のコンテナ作業は体力も使うし面倒なので、まんまと逃げたに違いない。全くアテに出来ないしアテに出来るワケがない。

昼休みは#さんが関取さんのことで怒り狂っていた。

#さんとロザンナさんが部屋へ行くと、セットを終えた関取さんが部屋を出るところで、関取さんはテーブルの上にルームサービスの食器が乗ったトレイが有るのを見て「あ、トレイ」と呟いて立ち去った。

ルームサービスの食器を回収すのはフロント係の仕事で、セットバッグやゴミで手が塞がっている時は、改めてトレイを回収しに部屋へ戻るが、幾ら待っても関取さんが回収に来ないので、痺れを切らした#さんがトレイをエレベーターホールへ下げようとした時に、ようやく関取さんが現れた。

しかし関取さんは手ぶらだったにも関わらず、無言で#さんの前を通り過ぎたそうだ。他のフロント係なら「すみません、ごめんなさい」と平謝りしてメイクさんからトレイを奪い取る場面なのに…。

#さんは「あんなフロント初めて見た!」と超ご立腹で、ロザンナさんも「本人が”トレイ”って気付いたから取りに来ると思ってたのに、来ないんだもの」と呆れ顔だ。気が付いたら、私が「ごめん。申し訳ない」と詫びていた。

ホントに関取さんて、どうなってるんだろ?と思う。みんなにも「久々に死ぬほど忙しかったのに、関取さんに”これって忙しいんですか?”って聞かれて目眩した」と言ってみたら、関取さんは見事にみんなの失笑を買った。

Cさんは一言「頭、悪いんだべしゃ!」と言ったが、Cさんに頭が悪いなどと言われてしまってはお終いだ(苦笑)。

ダメだ。関取さんにはクビになった偏屈王とはまた別の怖さが有って、怖くて近づけないし、怖くて関われない。毎度毎度、返す言葉を失うような話題ばかり振られては、こっちが参ってしまう。

萎えに萎え、凹みながら昼休み明けにセットを始めたら、部屋の中にスキン風船が2個も有ってまた萎えた。ヒマな人も居たもんだよ。回収する時、無駄に嵩張るんですけど。

ともあれ、今日は働き者のお人形さんとSさんもフロントで居てくれて、本当に助かった。
11:30-18:30 クイックメイク18部屋+ベッドのみ1+リネン折り

今日は、Sさん(20代前半・初バイト)と#さん(60代前半・元美容師)が早番、Uさん(30代後半・悪霊憑き)と私が遅番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)とホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)がフロントだった。

Aフロントには大型さんと関取さん(10代後半・80キロ超)も居て、ベッドメイク係4隊に対してフロントが4人なので、今回も新人ばかりなのでフロント多めバージョンだ。

関取さんが「今ってフロント多いんですか?」と聞いてきたので「多いよ!去年、Sさんや私がフロントの時はメイク5隊でフロント3人だもの」と答えると、関取さんは「う〜ん。力不足なのかなぁ?」と納得がいかない様子で訝しげだった。

その程度の仕事ぶりで良しと思ってるなら到達点が低すぎやしないかい?と思うし、仕事の選り好みをして面倒な仕事を他人に押しつけることを「力不足」とは言わないと思うんですけど…。ま、世の中にはお目出度い人も居るもんだ…と受け流した。

優先的にベッドメイクをしなければならない露天風呂付きの部屋が空いたので向かうと、大型さんが長い腕で布団と枕と防火マットを抱えてエレベーターに乗ったのを目撃した。

部屋へ到着するとその部屋の布団と枕と防火マットが無かった。Uさんがベッドの脇を歩いた時、絨毯に何かが零れていて「足が濡れた」と騒いでいた。絨毯を拭いたら不気味に泡だったそうで、Uさんは「何を踏んだんだろう?気持ち悪い!足、洗いたい!」と更に大騒ぎしていた。

そこへ、大型さんが替えの布団と枕と防火マットを持ってきてくれた。

大型さん「お待たせ〜。布団全部、濡れてベチャベチャだったんだよね〜」

みかやん「ベッド横の絨毯も濡れてて拭いたら泡がたったんだけど、何で濡れてたの?」

大型さん「えーっ!何だろ?オシッコとか…変なもんじゃないよね?ちょっとシーツとか枕カバーの匂い嗅いでみて貰える?」

Uさん&みかやん「ヤダーッ!無理っ!」

仕方ないので三人で恐る恐る匂いを嗅いでみたが、オシッコや妖しいモノの匂いはしなかった。お客様が浴室から濡れたままの身体で出てきてベッドに入ったのだろう。だけど、絨毯が濡れていて泡だったのは確かに不気味だ。

三人とも追究する気になれず、大型さんがフロントへ「絨毯が濡れています」と連絡してくれた。何にせよ絨毯が乾くまで売り部屋には出来ない。後で社員さんが確認に来て下さるそうなのでお任せすることにした。

昼休みはUさんがCMの話をしていたが、Uさんは「ラッパの奴」と言うし、Sさんは「ポンカン」だと言うので、何のCMの話だかワケが分からない。それでもSさんが「ポンカン」と言うとUさんは「そうそう!そんな感じ!多分ソレ!」と二人の間では話が通じていて、結局は”正露丸”のCMの話だった。

Cさんや中国さんの通訳は得意の私だが、UさんとSさんの話の通訳は難しい。

昼休み明けに、風呂スタートか部屋スタートか忘れてしまったので、稼働表を持っていたUさんに「私、次の部屋は何係だっけ?」と尋ねると、何故かUさんは自分の腕時計をガン見した。

呆気にとられている私に、Uさんは「あ!時計見ても分かんないんだった!あはは!」と笑って誤魔化した。Uさんは一事が万事こんな感じで慣れないと疲れる(笑)。Uさんの時計には”みかやん=風呂 Uさん=部屋”と書かれているのかと思った。

夕方、トイレ掃除を始めたUさんが「うわーっ!ええーっ!」と叫びながら急にバタバタしていたので、取り敢えず行ってみた。

みかやん「ウン○?」

Uさん「うん!でも便座の上なの!何で?どうすれば便座が汚れるの?」

みかやん「他所ん家の便座なんか気持ち悪くて座れるか!と思って、尻を浮かせて用を足したからじゃないの?」

Uさん「あ、そっか!や〜、だけど…」

みかやん「冗談じゃないよねぇ。こっちは毎回舐めてもいいぐらい綺麗に掃除してるってのに、勝手に中腰で用を足して汚されたんじゃたまったもんじゃないよね。公衆便所じゃないんだからさ」

Uさん「舐めるって…あははは!」

最近、Uさんの言動にツボにハマる私だが、Uさんも私のセリフでツボにハマるらしい。楽しく働けるっていいことだ。
ラブホ614日目:夫婦
11:30-16:30 クイックメイク10部屋+廊下掃除+アメニティセット作り

今日は、Uさん(30代後半・悪霊憑き)と私の二人勤務。ホスト君(20代前半・女顔の元ホスト)がフロントだった。

朝から客数が少なくヒマな気配が漂っていたが、強運な私は風呂ラッキーを引き当て続け、手間の掛からない綺麗な部屋に当たってばかりで、ヒマなのに必要以上に仕事が捗ってしまい、A班さんの1隊が13時で早帰りになった。

ベッドメイクをする部屋が無くなったので、私達は残ったA班さん1隊とアメニティセットの作り置きをしたり、廊下掃除をしてから昼休みを迎えた。

ホスト君は連休をとってX JAPANの東京LIVEへ行ってきたそうで、その時の話を熱く語ってくれた。オバ連の中で働くことにも慣れてきたのか、最近のホスト君はよく喋るし、綺麗な顔に似合わず面白いことを言って笑わせてくれる。

我がB班では全員裸足で仕事をしているが、ホスト君だけはしっかりと靴下をはいていて、ディズニーキャラクターの可愛らしい靴下だったりする。それを茶化すと「彼女が買ってきたから仕方なくはいている」「冷え症だ」「あくまでもバイト専用の靴下」だと言うが…。

冷え症だと言うわりにサンダル通勤だ。しかも思わず写メしたくなるようなサンダル(画像参照)じゃないか(笑)。そう突っ込むと「アレはホスト御用達のサンダルで、ホストは座りっぱなしだから足がムレたりむくんだり大変なんで、サンダルが一番なんですよ」とのこと。

なるほど。勉強になりました(笑)。

昼休み明けにはセット済みの部屋も増えていたので、いそいそとベッドメイクを開始した。

ベッドを組みながらUさんに「昨日、夫が”食パン買ってきた”と言ってたから、今朝は玉子サンドの用意をして、いざパンに挟もうとしたら4枚切りの分厚い食パンだったさ。仕方ないからそのまま作ってきたけど、さっき食べたらアゴが外れそうだった(萎)」という話をした。

Uさん「私はよく食パンでアレを作るの。えーとなんだっけ?パンを玉子でとじたやつ…」

みかやん「それってもしかしてフレンチトーストのこと?”玉子でとじた”って聞いたら醤油味なのかと思うよ(笑)」

Uさん「や、いっつもホントに言葉が浮かばなくて…(笑)」

和やかな昼下がりだ。

夕方、ふとアンケート用紙を見ると「子供が大きくなったので、コチラへ来るようになりました。お陰様でまた夫婦仲良しです」と書かれていた。何だか照れてしまってUさんにも知らせてみた。

Uさんの友達も、子供が大きくなったので夫婦で月1でラブホデートをしているそうだ。

・・・・・。(何となくノーコメント)

や、ということは、ココへ来るお爺さん&お婆さんのカップルも「孫が大きくなったのでコチラへ…」というパターンなんだろうか?お爺さん&お婆さん夫婦と若夫婦で、孫が小さかった頃は「お互い様」ってことで、そこはもうちんちんかもかもの無法地帯だったのだろうか?

そんなことを考えていたら16時半で早帰りになり、超ベテランメイク女史とフロント電話番姉さんとUさんと途中まで4人で帰った。早帰りは薄給が更に薄給になってイタいが、外が明るくて暖かくてとても良い気分だった。

私達はヒマで早帰りになるが、二宮和也似氏が転勤して以来、支配人殿をはじめ社員さんがあまりに忙しそうで見ちゃいられない状態だ。でもようやく5月1日から二宮和也似氏の後任社員さんが来るという噂で、後任の社員さんも二宮和也似氏と同様に素敵な方でありますように…。
11:30-17:30 本メイク4部屋+クイックメイク13部屋

今日は、#さん(60代前半・元美容師)と私の二人勤務。関取さん(10代後半・80キロ超)がフロントだった。

出勤すると#さんがスイートポテトを用意して待っていてくれた。有り難いことに#さんは、私と二人の朝に必ず何か買ってきてくれる。お陰で今日もゴキゲンで出動した。

関取さんが陰で「みかやんやSさんは所詮メイクの人で、本当のフロントの人はフロント女史と大型さんしか居ないんだ」と、Sさんと私を蔑む含みの有る発言をしていたのを人づてに聞いて知っているので、フロント女史が休養中の今は、関取さんのことは大型さんに託すしかない。

朝のうちにフロント大型さんと話す機会が有ったので、昨日のことも含め「関取さんのような子は甘やかさずに、何でもやって貰った方が良いと思うし、も少し緊張感を持って仕事をして貰うよう働きかけた方が良いのでは?と思うけど、どうだろう?」と言ってみた。

すると大型さんも「関取さんは、あんな子だから私が言っても聞く耳を持たない。メイク女史やフロント女史にガッチリ怒られないと分からないと思う」と頭を抱えていた。

関取さんは、Sさんや私のみならず諸先輩方を勝手な解釈で下に見る傾向が強く、フロントというだけで格上だと思い上がっているフシが有るので、どうしようもない。関取さんに言わせたら、うちらなんかは「所詮メイクのオバチャン達」なのだから。

#さんと私は、無駄に広い部屋の白い床に大量の白髪がフワフワと散らかっているのを不気味に感じながらも、床を這って毛拾いをしていた。私は溜まりかねて、今まで黙っていた一連の関取さんの言動を#さんに打ち明けた。

#さん「そうでしょう!そうだと思ってた。逆にみかやんが何も言わないのが不思議だったもの。関取さんなんか性格的にも体格的にも完全に開き直ってるもんね。居直りデブって言うの?ホントにタチ悪いわ」

みかやん「あはは!居直りデブね…や、新卒君が可哀相だから黙ってたけど限界だわ。もう庇いきれないから」

#さん「関取さんを見てたら、アメリカでデブが出世できないのがよく分かるっしょ。ラクな仕事しかしないし、ラクな仕事さえ中途半端。働いてるフリばっかりで肝心なことは他人任せでしょ」

みかやん「本人は要領よく立ち回って、まんまとラクしてるつもりでも、その魂胆が丸見えだもの。バレてないなんて思ってたら大間違いだよね」

#さん「誰も教えなくても、ちゃんと偏屈王の後を引き継ぐ人が現れるって凄いよね!」

みかやん「ホントだよね!有り得ない!」

#さんが期待どおり小気味良い毒を吐いてくれたことに安堵する自分もなんだかなぁ…とは思うんだけどね(汗)。

昼休みに作業室へ降りると、超ベテランメイク女史がトイレへ行こうとしているところだった。そう言えば昨日、Cさんが「トイレの鍵が壊れてる!」と大騒ぎしていて、みんなに「誰も開けないから!」とか「心配ないって!」と言われていた(笑)。

それを思い出して「トイレの鍵が壊れてたのって直ったんですか?」尋ねてみたら、「昨日はA班でトイレ掃除をしたから、その時に誰かのエプロンに貼ってたガムテがくっついたんじゃないのかな?」というお返事で、たまたま鍵の上にガムテが付いただけで、鍵そのものは壊れてはいなかった。

Cさんらしくて力が抜けた。

Cさんの話題になると、#さんが「Cさん、いつも私と組むと”疲れた、疲れた”って言うけど、私と組んだらそんなに疲れるのかい?あんまり言うから私のせいなのかい?って思うようになってさ…」と珍しく凹んでいた。

以前のCさんは、組んだ相手に一日中何度も「明日休み?」と聞いていて、それを本人は「わちは話すこと無くなれば”明日休み?”って聞く方だ」と言ってたけど、こないだは「わちは話すこと無くなれば”疲れた”って言うタチだ」と言っていて、”疲れた攻撃”もみんなにやってるということを力説した。

そのうち”疲れた攻撃”も何とかしなきゃなぁ…。
11:00-18:00 点検15+セット+コンテナ+ルームサービス他

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とロザンナさん(同い年・イタリア美女風)、Cさん(60代前半・元看護師)と女将さん(20代後半・寿司屋)が早番、Sさん(20代前半・初バイト)とUさん(30代後半・悪霊憑き)が遅番の勤務。

新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と関取さん(10代後半・80キロ超)と私がフロントだった。

朝から売り部屋が無く大忙しで、久々に吐きそうなほど走り、ひたすらセットをした。関取さんはまだセットへ向かうのもセットをするもの遅いが、セットが間に合わなければすぐにメイクさん達から苦情が寄せられる。こんな時は自分がセットに走るしかない。

お陰で昼休みに入る頃にはヘトヘトだったけど、それも関取さんが一人前になるまでの辛抱だ。ところが昼休みに、関取さんが自慢げに「私まだココに入って全力を出し切ったことない。いつもまだ走れる状態」と言ってのけたのを聞いてしまって、大ショックだった。

Sさんも私も助っ人とはいえ、死力を尽くしてフロントをやってきたのに、当の本職フロントの人が「全力を出し切ったことない」って何事?新人ばかりで、太り過ぎて動けないフロントも居るからと思えばこそ、Sさんも私も吐きそうなほど走りまくってたのに、あんまりだ(泣)。

私までみんなと一緒になって関取さんの批判をしたら、あんな者をココへ引き入れてしまった新卒君が不憫だと思うから、みんなの前では庇ったり大目に見たりしてたけど、もう無理だ。知らん!んなもん庇いきれるか!

昼休み明けにセットやら点検やらを終えて作業室へ降りると、関取さんが先に降りてモニターの前でゴミ袋折りをしていた。ふと見ると、台所に食器が山積みになっていたので、座ってゴミ袋折る前に食器洗ってよね!とも思ったが、モニターの真ん前を陣取ってセットへ行く気満々なんだろうと思い直した。

そこへフロント大型さんも降りてきたところで部屋が空いた。食器を洗っていてよく聞こえなかったが、大型さんと関取さんでモメてる様子なので耳をすますと、大型さんの「セット行かないの?新卒君ならすぐ行ってくれるけどね」という嫌味に、関取さんは「や、私は行かない」と答えていた。

幾ら何でも聞き違いだろうと思ったが、実際にセットへ向かったのは大型さんだった。

で、関取さんは社員さんに「コスプレお願いします」とか「ルームサービスお願いします」と言われると、喜んで席を立っていた。そういや関取さんは”接客が好き”と言ってたけど先輩をセットへ追いやって、自分は食器も洗わずさっさと座って社員さんの指示待ちって何様すか?

やっぱり何事もラクな方へ楽な方へと流され続けた結果が、あの図体ってことで間違いない。関取さんに四股名をつけるとしたら”不動山”だ。

たいがいどこの職場でも職場に10人居れば、意欲的で物凄く仕事のデキる人が2人、普通の人が6人、残りの2人は呆れるほど無能な人で、当然、外で働く限り必ず無能な人と出会ってしまうそうだ。

我がB班も新卒君とホスト君と関取さんを入れれば10人で、ダントツに無能な人間は関取さんしか居ないが、関取さんの場合は優に1人で2人分の肉塊だ。トド山さんと偏屈王が居なくなった分がドーンと来たということで、出会うべくして出会ってしまったということか…。

私がこないだ読んだ本には「無能な人間の突拍子もない言動や、最悪な仕事ぶりを見て怒りを募らせるのではなく、無能な人間との出会いは避けられないという事実を受け入れ、慌てず騒がず無能な人間を頼りにしないこと」と書いてあったのを思い出した。

また別の本には「無能な人間との付き合いは大きなストレスを生むが、こちらが冷静さを失っても何の得にもならない。無能な人間に煩わされるよりサラリと受け流す術を身に付けた方が賢明」と書いてあったことも思い出した。

そうは言われても、あたしゃそこまで人間が出来てないので、その後は悲しくなったりムカついたりと思いっきり煩わされた。

フロントの時はいつも「このクッソ忙しい時に私一人しか居ない。アレもコレも私がやらなきゃ!」という心構えで臨んできた。関取さんなどアテにせず、私は頑張って”意欲的で物凄く仕事の出来る2人”のうちの一人になろう!
11:00-18:00 点検24+セット+セット+コンテナ+メイク手伝い他

今日は、Eさん(60代前半・高見沢俊彦似)とSさん(20代前半・初バイト)が早番、Cさん(60代前半・元看護師)と#さん(60代前半・元美容師)が遅番の勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)と私がフロントだった。

出勤前、地下鉄駅の券売機でウィズユーカードを買おうとしたら、見知らぬ若くて可愛い女の子が私を目がけて突進してきた。そんなにお急ぎでしたらお先にどうぞ♪と思ったら「良かったら使って下さい」とドニチカ切符をくれたではないか。有り難く頂き、会心の笑みで彼女を見送った。

朝から何てラッキーな私!出勤してモニターを見ると売り部屋が30近く有り、ヒマな気配がプンプン漂っていて、朝のA班さんも13時で早帰りになった。更に有り難いことに今日は小一時間でお帰りになるお客様が多く、セットに入ってもキレイな部屋ばかりで大助かりだった。

油断して鼻歌混じりでセットをしていたら(曲はもちろんELLEGARDEN)14時には売り部屋が無くなっていた(愕)。

いつもは14時半から昼休みの遅番チームが15時から昼休みに入ることになり、超ベテランメイク女史がお風呂屋さん(風呂掃除専門)になり、私は遅番チームのベッドメイク手伝い&点検に追われた。

私がベッドメイク手伝いをしている間、Cさんは「腹減った。もうダメだ」「腹減って動けない」と大騒ぎしておきながら「わちなんかもう腹減って声も出ないわ」と、ワケの分からないことを言っていた。

噂によると、今はAフロントの関取さん(10代後半・80キロ超)が「A班は朝が早くて起きられず、化粧も出来ない」という理由で、Bフロントになったホスト君に「AとBと代わってくれ」と交渉したとのことだ。

Cさんも#さんも「わがままにも程があるべしゃ!仕事だのに」「化粧どうこうより体型を気にした方がいいんじゃないの?」「アレで自分では”小太り”ぐらいだと思ってるんだべしゃ。しゃははは!」と最近得意の肥満叩き(おデブバッシングと言ってもCさんには通じない)をしていた。

「腹が減って声も出ない」と言いながらホントによく喋る(笑)。

私は昼休みまでに今日の運を使い果たしたようで、昼休み明けは更に忙しく、セットに入るとゴミだらけの荒れた部屋ばかりだった。

夕方、セットに入って最初に、ソファーの上に掛け布団が置かれているのが目に入った。続いてベッドを見ると、シーツの中央に血だらけのバスタオルが敷かれていて、タオルの下には枕が有り、血染めタオルはこんもりと盛り上がっていた。

あ〜はいはい、腰の部分に枕を当てて行ったんですね…という感じだが、幸い血に染まっていたのはバスタオルだけで、枕に被害は無かった。掛け布団やシーツや枕を汚さないよう配慮して下さったのは有り難いけど…。

そこまでして下さったのならタオルも丸めておきましょうね。血が剥き出しだとドン引きだから…と思いながらベッドの奥側にあるゴミ箱のゴミ袋を取りだそうと行ってみると、奥側の床一面に血まみれのティッシュが大量に落ちていた。

どうやら、血で汚してしまわないようにと諸々のセッティングをして下さったのは男性の方で、女性はそんなことはお構いなしな人だったらしい。

女でありながら、自分の股間を拭いた血だらけのティッシュを床にばらまくだなんて、あまりに下品で悪趣味だ。しかも、すぐ目の前にゴミ箱があるというのに…。フローリングだったから良かったようなものの、絨毯だったら血が染みこんで大変だっただろう。

綺麗に着飾って来たかも知れないけど、こういうところでお里が知れるものよね(萎)。

イヤな予感がしてトイレに行ってみると案の定、血だらけのナプキンが汚物入れの上に乗っていて、ナプキン裏のシールが汚物入れにくっついていた。

こういう女性はとことんデリカシーが無い。こんな女を嫁にもらってはイケマセン!と声を大にして言いたいところだが、せめて文字を大きくしておこう。
11:30-18:00 本メイク4部屋+クイックメイク14部屋+ベッドのみ1

今日は、#さん(60代前半・元美容師)と私の二人勤務。新卒君(10代後半・意欲的で勤勉)がフロントだった。

朝礼の時、支配人殿に「廊下を歩いている時に従業員に物陰から覗かれ”覗くな!”と言ってもずっと覗かれて不愉快だった」というクレームメールが届いたと知らされ、私は咄嗟に”Cさんでは?”と冷や汗が出た。

私達は部屋を出る時やエレベーターホールを出る時に、必ずモニターで退室や入室が無いか確認してから廊下へ出る。廊下でお客様と鉢合わせになるのを避ける為だ。

ところがCさんは「今××1号室からお客さんが出てくるからね」と言っても、聞いてないのかお耳が遠くて聞こえないのか、シャラッと廊下へ出て思いっきりお客様と出会してしまうので、出待ち入待ちの時はCさんから目が離せない。"覗くな!"と言われてもCさんなら”聞こえなかった”という事も有り得る。

そんな心配をして暫く無言でいたら、#さんが「さっきのクレームの件、Cさんじゃないだろうね?」と切り出してきた。やはりみんな考える事は同じだ(汗)。

出動の途中で新卒君に会ったので、クレームの詳細を確認してみたら「俺、そのメールを直接読ませて貰ったんですけど、深夜から早朝にかけて来たお客さんの話なんで、A班もB班も関係ないんですよ」と聞いて、私達は胸を撫で下ろした。

我が班に直接関係ないとしても今後は気を付けなければならない話だけど、取り敢えず犯人がCさんじゃなくてホントに良かった。というか、最近またCさんのお耳が遠くなったので、有らぬ嫌疑をかけてしまって申し訳ない。

出動してから#さんが、今や伝説の人物と化した、あの偏屈王を街で見かけたという話をしてくれた。

偏屈王が退職した直後の昨年末、私は駅前通りのセイコマで、Cさんはドンキホーテで、#さんは狸小路で偏屈王を見かけ、三人とも「げっ!偏屈王!」と気付いた瞬間に逃げた。それ以来、駅前通りと狸小路は偏屈王の出現スポットとして懼れられていた。

それから4ヶ月、偏屈王の目撃情報も途絶え死亡説まで浮上していたが、#さんが4ヶ月ぶりに目撃した偏屈王は一段と不気味な様相を呈していたそうだ。

在職中の偏屈王は天然パーマをオールバッグにして後ろ髪を1本に束ねるという桑マン風ヘアスタイルだったが、ストレートにした前髪と横髪を下ろして後ろ髪は1本縛りになっていたとのこと。

#さん「みかやんが1本縛りしてるみたいな感じの髪型さ。それを岩石みたいな顔した50のオッサンが…だよ。有り得ないから!」

みかやん「怖い!そんなの絶対怖い!」

#さん「で…脳梗塞かなんかであたった人と同じ歩き方でさ、軽くあたったんじゃないかと思う」

みかやん「元々絡繰り人形みたいな歩き方だったけど…」

#さん「アレはリハビリ中の歩き方だわ。ゆっくり歩いてくるもんだから私と目が合ったんだけど、表情も変えず視線も動かさずで私が目を逸らしたもの。私だと分からないみたいで…身震いしちゃったわ」

みかやん「もう無理!怖すぎる!何か涙出てきた」

#さん「だけどココで仕事中に倒れられなくて良かったよね。UさんやSさんには言えないけど…」

怯えていた時に電話が鳴ったので、飛び上がって驚いた。何事かと思えば社員さんからで「売り部屋が少なくなったので、クイックメイクに切り替えて下さい」とのことだ。言われてモニターを見ると、いつの間にか売り部屋が4つしか無くなっていて慌てた。

昼休み明けも物凄く忙しいが、A班さんが帰ってベッドメイク係は#さんと私だけなので、黙々とベッドメイクをしてようやく今日最後の部屋に辿り着いた。

散々忙しい思いをしたので、最後ぐらいはキレイな部屋を引き当てたかったが、床の上に犬や猫が食い散らかしたかのように残飯がばらまかれていて萎えた。おまけに浴室には本格的に垢擦りをした垢が大量に有って萎え萎えだ。

#さん「こんなの年寄りの仕業でしょう!こんなに食べこぼすなら介護用のエプロンを持参してよね!」

みかやん「ラブホで垢擦りって人も滅多に居ないよね。年寄りが温泉気分で来たんだと思う。どうでもいいけど垢は流してって感じ」

お陰で就業時間ギリギリまでかかって始末することになり、帰り支度もそこそこにタイムカードを押し、最後まで慌ただしい一日だった。

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