0:00-9:00 17室掃除

今日は昼の仕事が休みだった。我が家に最強の霊能者が来た。実は我が家、夜な夜な目に見えぬラッパー君達がラップ音を奏で、目に見えぬ誰かが寝ている私にイタズラをする、心霊現象の起こる家だ。貧乏ゆえにインチキ霊能者に何十万円も払うわけにはいかず、昨年からお友達価格で霊退治をしてくれる信頼できる人を捜していた。

我が家に最強の霊能者を紹介してくれたのは、他でもない9月9日の日記に登場した強烈キャラの”中間さん”だった。

来て頂いた霊能者は、心霊番組以上の凄さだった。我が家に集結していた15人の霊を追い出し、私の亡き父や祖母の話を聞かせてくれた。霊能者の方の口から父が生前よく言っていた父の口癖が出てきて、本当に父が傍にいるんだなぁと涙が出た。

仏壇は粗末にせず仏壇の回りをきちんとする事を肝に銘じた。お父さん、お婆ちゃん、本当にごめんなさい。これからも見守っていて下さい。

安心して午後から趣味のサッカー観戦に出かけたもののボロ負け。ネット上で親交のあった敵サポーターと携帯で連絡を取り合って初めて対面した。ちとおちゃらけたハンドルネームの21才の男の子だったが、会ってみたら超美形の好青年だった。

すっかりポッとなって、何を言われても顔に釘付けだった。あまりの事にボロ負けした事など、どうでもよくなってしまった。いかんいかん。贔屓のチームは今、崖っぷちだ。

夕食後、仮眠をとっていざホテルQへ。今日は先輩Hさん抜きの4人勤務だった。食前、食中、食後の方は、この辺で腹をくくっておいて下さい。リーダーの先輩Hさんが休みなので、先輩SさんもNさんもリラックスして和気藹々と仕事ができた。無愛想な先輩Nさんも今日ばかりはゴキゲンだった。

ところが先輩Nさんがベッド係になる度に、ベッドのシーツには大きなシミがベッドパッドまで貫通していて、ベッドパッドの交換を余儀なくされた。重いベッドパッドを抱えて客室と控え室を何往復もした。

先輩Nさん「潮なんだが、しっこなんだがわがらないけど、そもそも潮もしっこも同じ成分なんだべさ?」

新人Oくん「そうなんすか?俺にはよくわかんないです」

先輩Nさん「O君も潮を噴かせる時は、おねしょマットの上で噴かせないばダメだ。どもなない!(どうにもならない)もっとでがいベッドパッドにして貰わないば、どもなない!」

新人Oくん「俺は潮なんて、そんな経験ないっすよ。あっ何を言わせるんですか〜」

先輩Nさん「今はホームページで潮の噴かせ方もあるんだから研究しとけばいがべさ(いいでしょう)」

新人Oくん「俺は別にいいっすよ。それにしてもどうしてそんなホームページを知ってるんですか?」

先輩Nさん「だがら、たまたまだって言ってるっしょ!(怒)」

前に潮の噴かせ方ホームページの話をした時は、O君はいなかったハズなのに、O君に八つ当たりする先輩Nさんだった。

先輩Nさんがお風呂係になったので、残った三人で仲良く部屋掃除をしていたら、風呂場から先輩Nさんの「うわっ!くせっ!チキショー!」と言う声が聞こえてきた。

風呂のドアを開けると、足元に色の付いた水たまりが出来ていたそうだ。バスクリンのお湯だと思ってかがんでシャワーで流したら、はねた水が目に入った。「うわっ目に入ってまった」と思った瞬間、強烈なおしっこの臭いがたちこめたそうだ。

先輩Nさん「なんでこったらどごで(こんな所で)しっこさ!隣りトイレだもの、トイレさ行ったらいがべさ!わちの目に入ってまったべさーーー!」

恐いので三人で先輩Nさんを、そっとしておいた。

最後の部屋で先輩Nさんはトイレ&洗面所係だった。トイレのドアを開けたとたん「この!ちんこ曲がり!」と怒鳴った。便器の横に、かなりの量のおしっこがこぼれていたそうだ。

先輩Nさん「こったらどごさしっここぼすなんて、おどご(男)だべさ!アベックで来て、こったらどごさしっここぼして、次に女がトイレさ入ったりしたら恥ずかしくないんだべが?とんでもね、ちんこ曲がりだ」

恐くて誰も返事が出来なかった。また三人で先輩Nさんをそっとしておいた。

Nさんが帰りにぽつりと私に言った。

「わち今日だら、しっこの一日だった。前にSさんの事をウンチ係とがウンのツキとが言って、ばが(馬鹿)にしたのが、いぐ(良く)ながった。今日だら生理だし腹いだい(痛い)し、ゆるぐながった(大変だった)。O君にゴメンって言っておいでや」との事だ。

どうも先輩Nさんがカリカリしていると思ったら、生理だったとは。まだあったとは(汗)。

で、潮とおしっこって同じ成分なんだろうか???
今日は昼も夜も仕事が休み。

専属美容師君の所へ行って、カラーリングとストパーをお願いした。ラブホの風呂掃除の時、湯気やシャワーの熱気と蒸気で、くせ毛の髪がウニウニになってしまうからだ。

最近では客室の階段下のドアを開けただけで、お風呂のお湯が入っているか、抜かれているか、わかるようになった。階段を一段一段上がる度に、お風呂の熱気が近づいてくる。階段を上がりながら、さりげなく誰がお風呂掃除セットを持っているか確認する。酷い熱気の時は「お気の毒に。。。フフ」と思う。

逆に自分がお風呂掃除セットを持っている時は、かなり真剣だ。階段下のドアを開けた時から全身のお風呂熱気感知システムを作動させる。階段の中程で「ツイてない」「ラッキーだ!」と心の準備をしてから、部屋へ入る事ができるようになった。

風呂掃除はラッキー(風呂を使っていない状態)も多いが、最悪なのは風呂のお湯を入れたまま、ドアを閉め切って換気扇も回っていない場合だ。風呂じゅうが完全に蒸され、壁や天井から水が滴るような状態だ。

風呂全体をスポンジで洗って、シャワーのお湯で流して、水道の蛇口を磨いて、タオルで浴槽の細部の水気を取って、壁や天井の水滴をバスタオルで叩いて取る。私の場合は身長が低いので、風呂場でジャンプしながらバスタオルの端を持って、天井や壁の上を目掛けて叩くというパターンだ。

最初から蒸気で蒸されているので、風呂掃除が終わる頃には汗だくになる。風呂を使った痕跡を残さないのが使命なので、水滴1滴、髪の毛1本、陰毛1本、残してはいけない。「お風呂がベチョベチョで、掃除が大変で酷い目に遭いました」とか言いながら、綺麗になったお風呂を見て、達成感に満足していたりする。

三人勤務の時は三回に一回、四人勤務の時は四回に一回風呂当番が回ってくる。三人で18室の掃除をした時などは、6回も風呂当番が回ってくる。自分の時だけはラッキーもしくは、お湯が抜かれた風呂に当たりたいと思う。

そんな事を考えながら、美容室でまったりと過ごした。
帰宅後、明日の来客に備えて大掃除をした。

明日は我が家に最強の霊能力者が来る。

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今日は先輩Sさん抜きの4人勤務。11時半にホテルQへ着くと、ナイトチーム4人の中で私が一番乗りだったので、C班の人達が一斉に私の元へ走ってきた。「被害者の女性は見たの?」「被害の車は見た?」「警察が来たんだってさ」「犯人は誰だかわかってた?」と、普段はあまり話もしないC班の人達に質問責めにあった。

ストーカー事件は私達D班の時間帯に発生し、翌朝のA班の時には昨夜の女性が現れ、次のB班の時間帯には警察が来て大騒ぎになったらしい。C班だけが事件と無縁だったので悔しそうだった。

ストーカーの被害に遇った女性は午前11時頃、2,3人の車の修理業者と現れ、女性が警察へ届ける事を想定して、フロントS氏とフロントT氏が立ち会ったそうだ。

昨日は顔を曇らせながらひたすら「そんなに恨まれるような心当たりはありません」と言っていた彼女が、今日は「犯人はわかっています。私の元彼です!警察に届けたいんですが、どうすればいいですか?」と言ったそうだ。昨日は今の彼が傍にいたので言えなかったらしい。

彼女の話によると、元彼は別れた後も彼女の家の周辺をうろつき、郵便物を盗んだり、宅配物が届くと言葉巧みに「彼女は今、近所の実家に鍵を忘れて取りに行った」とか言って運送業者から彼女への宅配物を受け取ったり、携帯や家の電話にしつこく電話してきたり、恥ずかしい事を書いた紙をエレベーターや玄関の前に貼られたりで、耐えられなくなって引越したそうだ。

引越して三日後、外で大きな音がするので窓を開けて見てみると、元彼が彼女の車の上で飛び跳ねていたそうだ。引越してから元彼の行動がエスカレートして、玄関の郵便受けから大量のゴキブリやネズミの死骸を入れたりしていたと言う事だった。

今の彼には元彼の存在を知らせていなかった為に、何と話を切りだしたら良いか思案していたが、この際、思い切って警察へ届けてみる事にしたそうだ。フロントS氏とフロントT氏を交えて、警察の方々と事情聴取のような事が始まったそうだ。

その結果、犯人の元彼=222号室でデリヘル嬢を置いて帰った男=ほっかむりをして駐車場をウロウロしてた男と言う事が解った。彼女と今の彼がホテルQに来る事がわかったのかは不思議だが、予めデリヘル嬢を用意して同じホテルへ入るとは、恐れ入った。デリヘル嬢を部屋に残し、自分はほっかむりをして駐車場で彼女の車のタイヤに、穴をあけたり切り裂いたりしたという事だ。

と今日の出来事をフロントS氏が我々に話してくれた。

その間、ホテルQではA班とB班が大騒ぎだったらしい。フロントには謎の女性客がいるし、時間外なのにフロントS氏やT氏がいるし、警察まで来たとなっては「何かあった」と思って当然だ。

フロントS氏「いやぁでもガッカリだよ〜。昨日あんなに綺麗だった彼女が今日は、スッピンでTシャツにジーンズというラフな姿で、疲れ切った表情だったんだよ。昨日の今の彼の前では、あんなに綺麗にしてたのに。」

先輩Nさん「そりゃそうだべさ。今日なんかデートでないもの。こごに来たってめぼしいおどご(男)もいないし」

みかやん。「O君も女性ストーカーには気を付けた方がいいよ」

新人Oくん「俺はそうゆーのは大丈夫っすよ!全然モテないし〜」

先輩Hさん「あらそーお?O君ってモテそうだけどねぇ」

フロントS氏「あれっ?私には言ってくれないの?心配じゃない?」

先輩Nさん「あぎらがに(明らかに)もで(モテ)ないおどごに言ってもしゃーない(仕方ない)べさ」

一同「あはははは」

ストーカーの話で始まり、ストーカーの話で終わった一日だった。
0:00-6:00 14室掃除

今日は先輩Nさん抜きの4人勤務。新人Oくんは今日も朝から土方の仕事と、夕方からの工場の仕事をしてからホテルQへ来てヨレヨレだった。新人Oくんの為にも忙しくなきゃいいな〜と思っても、そうはいかない。

午後1時。控え室のモニターの222号室が入室状態になり、お客さんが部屋に入った時の曲が流れた。何故かその直後に同じ部屋が退室状態となり、お客さんが部屋を出た時の曲が流れた。何をやっとるんだ!と思っていたら再度、入室状態になったり退室状態になったりで、モニターの故障か?とリーダーHさんがフロントへ電話を入れてみた。

先輩Hさん「222号室、どうなってるの?おかしいよ」

フロントS氏「30代前半の男性とデリヘル嬢なんだけど、何が気に入らなかったのか、部屋へ入ってすぐ、男性が帰っちゃったんだよ。デリヘル嬢は男を呼び止めたんだけど、男が戻る様子がないので諦めて部屋へ戻ってフロントへ”あの男、ここの部屋代は払ったの?”と電話してきたから、男が部屋代を払って帰った事を伝えたら、安心してデリヘル嬢が帰ったってワケさ。それと今、俺と交代したフロントT氏が”外に頬っ被りをした若い男がいた”と言うんだ。今時ほっかむりの若い男なんて怪し過ぎるだろ?俺は外を見てくるから、一応222号室の点検をしてね」

との事で、一応、222号室の点検へ向かった。結局2人ともすぐに帰ったので部屋は綺麗な物だった。

先輩Hさん「こーゆー時って、よくない事が起こってる事が多いの」

先輩Sさん「なんや知らんけど、ウチも嫌な予感がするでぇ」

みかやん。「私にゃさっぱりわかりません」

新人Oくん「俺も何も感じませんよ。掃除なしでラッキーです」

その後、掃除に追われ222号室の出来事などすっかり忘れていた午前三時半。掃除を終えて通路を四人で歩いていると、待合室で一組のカップルとフロントS氏がヒソヒソと話をしているのが見えた。お喋り好きのフロントS氏の事だから、話が終わったら私達の所へ飛んでくるだろうと思っていたら、本当に飛んできた。いつにも増して鼻息が荒かった。

フロントS氏「大変だよ!今のお客さん、女性の車で来たんだけど帰ろうとしたら、車のタイヤを4本とも鋭い物で穴を開けられたり裂かれたりして、車で帰れないんだよ!その車の隣は高級外車だし、他にも車は沢山あるのに、彼女の車だけタイヤ4本ともだなんて絶対に怨恨だよ!でもその彼女、美人でグラマーで凄いんだよ!色白でハッキリした目鼻立ちに、超ミニスカートからこんな綺麗な足、見たことない!みたいな綺麗な足が出てるんだよ。何とか、力になってあげたいと思って頑張ったよ」

先輩Sさん「ただ鼻の下伸ばしてデレデレしてたんちゃうん?」

フロントS氏「こうキビっと”これから私がタクシーを手配致しますが、警察に届けられた方が宜しいのではございませんか?”と言ったのさ。そしたらさ、綺麗な彼女の顔が曇っちゃったんだよ。俺、何かマズイ事を言ったのかなぁ。あんな綺麗な彼女と出会えたのに、嫌われちゃったらイヤだなぁ。どうしよ。」

先輩Sさん「大丈夫や!最初から好かれてへんて!」

フロントS氏「結局、車の修理工場に連絡をして、直して貰ったり見て貰ったりしなきゃなんないから、今日はタクシーで帰って、明日また出直して来るってさ。明日もあの彼女に会える事になったよ。」

先輩Hさん「そんな事より、ほっかむりの男はどうなったの?」

フロントS氏「フロントT氏も見失ったって言うし外に出てみたけどもう、いなかったよ。まぁでも、ほっかむりの男の特徴は、ちゃんとフロントT氏が見てるから何かあっても大丈夫だよ」

先輩Sさん「ホンマ大丈夫なんやろな!うちらみんな若くて可愛いから心配や!」

フロントS氏「うちらってどちら?明日、皆様が来た時には既に一件落着ですよ。フォッフォッフォッフオッ!」

★明日の日記へつづく
今日は昼の仕事も夜の仕事も休みなので、一日のんびり過ごした。

最近はTVを見る時間も少ないし、元々新聞は読まないので、どんどん世間の事から遠ざかっていた。昼の職場でも夜の職場でも、拉致された人達の話題でもちきりだが、私にゃさっぱり解らなかった。

どうして皆、拉致された人のフルネームや、その人の生い立ちまで詳しく知ってるんだろう?とりあえず今日はニュース番組を重点的に見た。札幌アルタがオープンしたそうだ。早速、行ってみよう!と思ったが、札幌アルタのターゲットは18才〜22才の若い女性だそうだ。

フン!行くもんか!

さて、9月30日の”一人残された女性”と、10月3日の”とんでもない忘れ物”の極太くん三号と紳士靴大のバイブが、その後どうなったのか後日談を。

まず、一人取り残された女性は20才の小樽在住の方でした。厳格な両親に育てられていて、今回は彼ではなく女友達と旅行と言う事で、架空の旅行日程を両親に渡してきたので、中途半端な時間には帰宅できないと泣いていたそうです。

それを聞いたフロントM氏が、自分が昔勤めていた札幌の一流ホテルへ電話して、今は出世して偉くなった後輩に彼女の事を頼んで、彼女にタクシー代とフロントM氏の名刺を渡し、彼女は無事に札幌の一流ホテルに宿泊したそうです。

そして10月2日。普段は昼の勤務のフロントM氏に「タクシー代をお返ししたいので、是非おめにかかりたい」と彼女から電話がきたそうで、特上のお寿司を持って彼氏と仲良く現れたそうです。

彼女の家は北海道では名の知れた小樽のお寿司屋さんだったので、フロントM氏は有名なお寿司屋さんの特上寿司に舌鼓を打ったそうです。人には親切にするものです。

10月3日のバイブの忘れ物は、先輩Nさんがフロントへバイブを届けに行った直後に、40代の男性が取りにきたそうです。その前にフロントに電話がきて「彼女が大事な物を忘れました」と言っていたそうです。外の車の中で待っていた女性も40代の方で、恥ずかしそうにうつむきながら待っていたそうです。

もう一つのC班が発見した”極太君三号”は、ホテルQを出てから30分ほど経った時、フロントのドアをノックする音が聞こえたのでドアを開けてみると、30代後半の男性が立っていてこれまた「彼女が大切な物を忘れたようなんですが、届いてませんか?」と言ったそうです。しかも女性は車の中で待っていて、先輩Nさんが発見したバイブを取りに来たお客さんと全く同じパターンです。ちなみにこちらの女性は20代前半だったそうです。

さすがに女性は取りに来られなかったそうですが、男性達は何故、2人とも「彼女が」「彼女が」と、前置きを付けて言ったのでしょう。普通に「忘れ物をしたんですが」と言えばいいのに。
フロントS氏曰く「彼女が傍にいないから何とでも言えるけど、彼女が傍にいて”彼女の大事な物”だなんていったら”アンタが勝手に買ってきたんでしょ”って言われるんじゃないの?」との事でした。

そんなワケでラブホに忘れ物をした時は、恥ずかしがらずに取りにきて下さい。ラブホでは忘れ物がどんどんたまり引き取り手が来るのを待っています。

蛙さん、miyabi3さん、つばたきさん、お気に入り登録ありがとうございます。皆様へのご挨拶は後ほどあらためて。(m_m)
0:00-6:00 11室掃除

今日は先輩Sさんと先輩Nさんとの三人勤務。SさんとNさんは、仲良しなのでいい雰囲気で仕事ができたし、月曜の夜なので暇だった。控え室で三人でまったりしていたらフロントS氏がきた。

フロントS氏「222号室から電話がきて”リンスの中にシャンプーが入ってる”と言うんだ。リンスを持って行ってくれないかな」

先輩Sさん「ほな、若くて可愛いみかやんに行って貰うわ」

みかやん。「はい」(こんな時だけ若くて可愛いんかい?)

ベッドメイク係は、お客様と目を合わせてはイケナイ。控え室の壁にも「お客様と出会った時は、下を向くかカーテンに身を隠す事。お客様と目を合わせない事」と書いて貼ってある。当然、先輩Sさんにも「下を向いてリンスを差し出すんやで。ええな」と念を押された。

222号室へ行ってドアのブザーを鳴らした。「は〜い」と言う女性の声と「どうぞ〜」と言う男性の声がすぐ近くで聞こえた。ドアの向こうで待っていてくれたようだ。恐る恐るドアを開けて、言われたとおり下を向いたままリンスを差し出した。下を向いているのでお客さんの素足が見えた。少し視線を上げると、裸で1枚のタオルで2人の身体を隠しているようだった。

「大変申し訳ございませんでした」と言うと、「あらっ。おばちゃんかと思ったら若いんですね」と言われた。「若い」等と言われると、いつもメロメロになる。

若い女性客「呼びつけてすみませんでした」

若い男性客「ご苦労様ですね。わがまま言ってすみません」

みかやん。「いいえ。ごゆっくりどうぞ」

長い間のデパート勤めが災いして、ごゆっくり。。と顔を上げた時は、満面の営業スマイルだった。お客さんともバッチリ目が合ってしまった。本当にタオル1枚で身体を隠した、21,22才位の笑顔の可愛い爽やかなカップルだった。暫し笑顔のまま見つめ合ってしまった。

次の部屋へ入ると階段下のドアが開く音がした。フロントS氏だろうと油断していたら、ドアをノックする音が聞こえた。それでもフロントS氏が荷物でも持っていて、ドアを開けられないんだろうと思って、「はーい」と勢いよくドアを開けたら、24,25才位の若い男女が立っていた。またバッチリ目が合ったまま、固まってしまった。

若い男性客「あのぅ。ベッドの所にデジカメを忘れたんですが」

みかやん。「只今お持ちします。少々お待ち下さいませ」

走ってベッドへ向かうと、枕の下にデジカメがあった。

みかやん。「お待たせ致しました。こちらでございますね」

若い男性客「人に見られたら大変な画像なんで助かりました」

若い女性客「あのぅ。ベッド汚しちゃってゴメンナサイ」

みかやん。「いいえ。またどうぞお越し下さいませ」

急いでベッドの布団を剥がすと、潮を吹いた跡があった。

先輩Nさん「やんや〜デジカメで何、撮ってたんだが。」

先輩Sさん「撮られてると思うと、燃えるんやないの〜」

控え室へ戻ろうと通路を歩いていたら、玄関からお客さんが入ってきた。空き部屋のカーテンの陰に身を隠したが、男性が「すみませーん!」と私達を呼ぶ。先輩Sさんに「任せたで」と言われて私だけ外に出された。見ると今度は初老の男女だった。

みかやん。「いらっしゃいませ。どうかなさいましたか?」

初老の男性「こーゆー所は初めてなのでさっぱりわからんのです」

みかやん。「ではこちらのパネルからお好みのお部屋をお選び下さい」

初老の女性「お父さん、私、この208号室がいいわ」

みかやん。「かしこまりました。ご案内致しますのでこちらへどうぞ」

相手はジジババなので、部屋まで連れて行った。

みかやん。「何かございましたら内線9番のフロントへご連絡下さい」

初老の男性「ご親切にありがとう」

みかやん。「いいえ。ごゆっくりどうぞ」

控え室へ戻ると、先輩Sさんと先輩NさんとフロントS氏が騒いでいた。

先輩Sさん「さすがみかやん!元エレガでデパガや!大したもんや」

先輩Nさん「S氏よりよっぽどいいわ。フロントやったらどだの?」

フロントS氏「そんなぁ。僕の仕事を取らないでくださいよ〜」

何度もお客様と遭遇した一日だった。私が客だったらホテルの人とは目も合わせられないだろうに、今時のお客さんは真っ直ぐ私の目を見て話をするので、実はめちゃめちゃ照れていたみかやん。だった。
ちゃんちーさん、りこさん、この太さん、さなさん、はなさん、るびぃさん、むうさん、かなたさん、もぐさん、日光魚止屋さん、さるこさん、でり編集局長様、ナツさん、えびふりゃいさん、蘭さん、哀愁人(あいしゅうびと)さん、れっさー☆パンダさん、レッツゴー!さんにヒミツの交換日記(相互リンクの人のみ表示)があります。

0:00-9:00 11室掃除

今日は先輩Nさんが休みの4人勤務。リーダーの先輩Hさんががいるせいか、先輩Sさんがおとなしいので助かる。今日はいつものように先輩Sさんに、クドクドと同じ事を言われないので安泰だ。

昨日の事があるので、私がお風呂係の時は新人Oくんにリモコン操作を譲っていた。先輩Hさんも先輩Sさんも、なんとなく譲っていたようだ。何室目かで、意気揚々とリモコン操作をしていた新人Oくんが「おおーーっ!」と叫んだ。掃除が終わって皆、近くにいたのでモニターの前に集まってモニターを見てみると、白髪の老婆の顔がアップで映っていた。

先輩Sさん「何やっとんねん!最初は”7”を押すんやで」

新人Oくん「”7”を押したんですけど。。。」

と言い終わらないうちに、今度は老婆の全身が映し出された。ラクダのシャツとモモヒキ姿だ。全員、モニターの前で固まってしまった。あれよあれよと言う間に、老婆は男に押し倒され布団に仰向けに寝かされた。我々が固唾を呑んで見入っていると、モニターの中の老婆はやにわに入れ歯をはずして枕元に置いた。これから何が起こるのか想像しただけで、凍り付いてしまって動けなかったが、どんどん話が進んで行く。

男が老婆のラクダシャツを脱がせると、シオシオのオッパイが出て左右に散っていた。立ってパンツを履いたら、乳がパンツのゴムに挟まりそうな垂れ具合だ。男が老婆の右脇に落ちている乳を拾って乳首に吸い付いた。すると老婆が「あっあん」と、しわがれ声を漏らした。言いようのない恐怖に包まれた。

先輩Sさん「いやや〜。もう止めとき〜」

先輩Hさん「寒気してきた。早く控え室へ戻ろうよ〜」

みかやん。「こーゆーのが好きなマニアもいるんでしょうね」

新人Oくん「まさに枯れた果実って奴ですね」

控え室に帰ってからも、先輩Hさんと先輩Sさんが大騒ぎだった。

先輩Sさん「あれでもやっぱり現役の”女優”なんやろね」

先輩Hさん「素人のばあさんなら、やれないんじゃない」

先輩Sさん「ウチもあのトシまであっちの方は現役なんやろか?」

先輩Hさん「私ならあんなトシまで生きてないわ」

先輩Sさん「ところで男優って、いくつくらいやった?」

みかやん。「ばあさんに釘付けで男の方は覚えてません」

新人Oくん「あれはマニアと言うより怖い物見たさですよね」

先輩Hさん「あのばあさんが夢に出できそうで怖いね」

みかやん。「ああなるともう、オカルトですよね」

日付が変わって日曜の朝になったので、お客さんはゆっくり寝てから帰る。夜中に満室になったら朝まで暇になる。仮眠をとろうと思っても目を閉じただけで、ばあさんの顔が浮かんできて眠れなかった。朝7時に最初のお客さんが帰るまで、控え室でまんじりともせず過ごした。とんでもない物を見てしまった。
0:00-6:00 14室掃除

今日は先輩Sさんと先輩Nさんと新人Oくんとの4人勤務。台風の影響で北海道でも大雨となり、夫に車で送って貰って、11時半にホテルQに着いた。傘をさして自転車で来た新人Oくんは、下半身が雨でズブ濡れだった。

先輩Sさんに「早う着替えんか!」と言われ新人Oくんはジーンズを脱ぎ、ジャージに履き替えたが、新人Oくんの生着替え&パンツ姿に先輩Sさんと先輩Nさんが「キャーキャー!」と大喜びだった。

先輩Nさん「パンツも濡れてたら脱いだらいがべさ」

新人Oくん「はい。ビチョビチョです」

先輩Sさん「パンツも脱いでええで。見ててやるがな」

新人Oくん「はぁ。まぁ。そんなたいしたモノでは。。。」

こーゆーのを世間ではセクハラと言うのではないのか。

新人Oくんの様子が変だった。いつもの覇気も笑顔もなく、眠たそうでお疲れのようだった。「調子悪い?」と聞くと、昨日は日帰りで函館の実家へ行って、今朝5時に起きて土木工事のバイトへ行って、現場から夕方に工場のバイトへ行って、工場から直接ホテルQへ来たという事だ。函館の日帰りは結構キツイし、このまま朝を迎えたら24時間、休まず肉体労働しっぱなしだ。さすがの新人Oくんもヨレヨレだった。

掃除を終えて控え室に戻る度、新人Oくんは倒れるように眠った。私の肩に頭を乗せて眠っていた。寝顔を覗き込んで見たら「かっ、可愛い♪」。子供みたいな顔で爆睡していた。ふと気が付くと先輩Sさんと先輩Nさんが羨望の眼差しだった。

新人Oくんの元気がないので先輩達もおとなしかった。静かな一日だった。。。んなわけないって。

10室目でベッド係の私は、ベッドの枕元にあったスキンの空袋2個を捨てた。スキンが見当たらないので探すと、ベッドの下に1個落ちていた。もう1個がなかなか見つからない。

先輩Sさん「みかやん、さっきから何やっとんねん」

みかやん。「スキンの空が2個あるのにスキンが1個しかないんです」

風呂係の先輩Nさんと洗面所&トイレ係の新人Oくんが合流した。「スキンが無いんやて。とんでもない所にあって、次のお客さんに発見されたら大変や。みんなで探すで〜」と言う事で4人でスキン大捜索を始めたが、懸命に探すもスキンはどこにも無かった。

先輩Sさん「1度はめたものを”記念に”とは持ち帰らんやろ」

先輩Nさん「女の中に入ってたりして。あはは」

新人Oくん「男がつけたまま帰るというのも考えられないですね」

スキン大捜索で、テーブルや椅子の角に何度も頭をぶつけて、新人Oくんも目が覚めたようだ。

掃除に時間がかかり過ぎていたので、フロントS氏が様子を見にきてくれた。

フロントS氏に「あそこで光ってるのスキンじゃないの?」と言われフロントS氏が指差す方を見ると、ベッドの枕元の壁に掛かっている絵の額にスキンが引っかかっていた。一同、甚だ脱力した。

先輩Sさん「スキンの口を縛って、こうクルクル回しながら枕詞を交わしてたら、飛んだんやろな」

先輩Nさん「まくらことばでなくてぴろーとーくでないの?」

新人Oくん「うぷぷっ。枕詞だったら古典じゃないですか?」

みかやん。「”たらちねの母”とかありましたね。ははは」

先輩Sさん「ちょっと間違っただけやんかーーーーー!」

帰りもどしゃ降りの雨だった。新人Oくんはまた傘をさして自転車で帰った。みんなで「ゆっくり眠るんだよ〜」と見送った。先輩Nさんと私は、先輩Sさんの車で家まで送って貰った。途中何度も先輩Sさんの”枕詞”を思い出し、先輩Nさんと笑いを堪えるのに必死だった。

※かなたさん、もぐさん、日光魚止屋さん、さるこさん、でり編集局長さん、お気に入り登録ありがとうございます。皆様へのご挨拶は後ほど改めて(m_m)。
0:00-6:00 11室掃除

今日はリーダーの先輩Hさんと、口うるさい先輩Sさんとの三人勤務。前述のとおり先輩Hさんと先輩Sさんは仲が悪い。仕事以外の事はあまり話さない→すぐに話題が尽きる→静かになる→眠くなる→寝る。このパターンだ。「やった眠れる!」と秘かに期待していた。

昨日は5室しか掃除せず、かなり暇だったらしい。そして今日はいつも忙しいC班でさえ、暇なので1時間早く帰った。今日も暇だと思いきや、三人っきりになったとたん満室になった。いつもはC班2チームと、ウチの班1チームの3チームで掃除をする0:00-1:00まで、たった三人で掃除した。その後も控え室に戻る暇もなく、次々と掃除に追われた。

お客さんが部屋で普通の番組やエロビデオを見るテレビは、我々の専用リモコンで操作すると、控え室にあるモニターと同じ画面に切り替わる。モニターを見ながら掃除をして、掃除中に空いた部屋があったら、次はその部屋へ掃除に行く。掃除中に何部屋も同時に空いた場合はフロントへ電話をして、どの部屋から掃除をするか指示をあおぐ。

モニターを見ると、ずっと213号室が空いているのに、いっこうにフロントから213号室の掃除の指示がない。今日はお喋りなフロントS氏が休みなので、寡黙なフロントM氏が来ているが、フロントへ電話をする度にフロントM氏の様子がおかしかった。

先輩Sさん「213号室で、何かあったんちゃうか?」

先輩Hさん「血生臭い事じゃないといいけどねぇ」

みかやん。「そんな怖い事、言わないで下さいよ〜」

先輩Sさん「札幌でもラブホテルで殺人やとか自殺って、たまにニュースに出るやろ」

先輩Hさん「ココでは無いけどC班のYさんや、A班のDさんは前に勤めてたラブホテルで、そーゆーのがあって大変な目に遭ったらしいよ」

みかやん。「そんな〜。大変な目って、どんな目ですか?」

先輩Sさん「そりゃやっぱり霊とか出るんやないの」

みかやん。「うわーーーっ!やめてーーー!」

そこへ音もなくフロントM氏登場。

フロントM氏「あのぅ」

みかやん。「うわーーーーっ!脅かさないでー!えーん」

フロントM氏の話によると、若いカップルが213号室に入ったと思ったら、すぐに男が一人で部屋から出て、もの凄い早さで通路を走り外へ出て、車に飛び乗って帰ってしまった。フロントの"何とかシステム"で確認すると、シャワーが出ているので中の女性が一人でシャワーを浴びていると判断した。

シャワーが止まってお客さんが着替えた頃を見計らって電話をしようとしたが、いっこうにシャワーが止まらないのでフロントM氏も焦っていたらしい。どうりで電話をする度、様子がおかしかったハズだ。

ようやくシャワーが止まったので部屋へ行って入口のブザーを鳴らしてみると、若い女性が泣きながらフロントM氏に抱きついてきたそうだ。

若い女性客「カレシと〜喧嘩したんだけど〜シャワー入ってたら〜後でカレシも入ってくるんじゃないかと思って〜ずーーっと待ってたんだけど〜来ないから部屋へ出たら〜もういなかった〜〜〜。そんで〜何回もカレシに〜携帯かけてんだけど〜電源切ってるのー!お金無いし〜帰れな〜い〜!」

(50代のフロントM氏が声色を変えて若い女性風に喋って再現するので、かなり怖かった)

と泣きつかれたので、気の毒で部屋代を頂けず、タクシーを呼んであげてお帰り頂いたそうだ。

フロントM氏「で、皆さんにお願いがあるんですが、213号室の風呂掃除は私がするので、日報には何も書かないで下さいね。最初からお客さんが来なかった事にして下さい」

との事だ。フロントS氏だったら女性の所へ集金に行っていただろう。フロントM氏はイイヒトだ。

先輩Sさん「なんや〜喧嘩やったんかぁ〜」

先輩Hさん「変な事、期待しないの!」

先輩Sさん「それにしても、みかやんは怖がりやなぁ」

先輩Hさん「今度、丑三つ時にみんなで怪談しようか〜」

みかやん。「絶対にイヤです〜〜〜」

血生臭い事になってなくて本当に良かった。血は生理の血だけで沢山だ。
0:00-9:00 14室掃除

朝9時にホテルQを出てママチャリで昼の職場へ直行した。5時半に帰る時には大雨だったが強引にママチャリで帰った。今夜は友達のバンドのライブだったが断念して、夕食後三時間眠らせて貰った。どしゃ降りだったので地下鉄でホテルQへ行った。地下鉄の駅から結構な距離を歩く。どんどん人里離れて行く。夜はすれ違う人もなく怖いが、今日は口うるさい先輩Sさん抜きの四人勤務が楽しみだった。

最近どーにも胃の調子が悪かった。昼も夜も仕事の時は、朝6時半に帰宅して軽い朝食をとって8時半まで爆睡して昼の会社へ行って、夕方6時に帰宅して8時迄に夕食をとって夜10時まで爆睡してホテルQへ、というパターンだ。食べてすぐ寝ると牛になるとか言うが、消化に良くないに違いない。それに風邪ぎみだったので、ずっと風邪薬も飲んでいた。さすがに私の鋼鉄の胃にもガタがきたようだ。

ホテルQに着いて掃除7つ道具の準備をしていた時、既に胃がシクシクと痛かったが、まだ耐えられる痛みだった。2室目の掃除の後、突然立っていられない痛みに襲われてしゃがみ込んでしまった。

リーダーの先輩Hさんに「リネン室で休んでなさい」と言われて、倒れるようにリネン室へ行った。フロントS氏に発見されて「こんな寒い所にいちゃダメだ。フロントのソファで寝てなさい」と言われたが立てない。

丁度、控え室に戻ってきた新人OくんとフロントS氏に抱えられてフロントへ行った。胃薬を飲んでソファに横になったものの、救急車を呼んで貰おうか?と思う位ますます痛んだ。脂汗をかいて悶絶していたら、新人Oくんがバスタオル数枚を乾燥機でホカホカに暖めて持って来て、私にかけてくれた。「あいがほ〜」。”ありがとう”と言えなかった。かつて無い激痛に見舞われて気絶するように眠った。

その間1:15-2:15は三人で大忙しだったらしい。全く申し訳ない。

先輩Hさん「お互い様なんだから無理しなくていいんだよ」

先輩Nさん「みかやんの分もO君が頑張ったんだよ」

新人Oくん「俺が代わるんでもう少し休んでいてください」

みんなの優しさに胸を打たれて気合いを入れて頑張った。

午前三時のおやつの時間には、お菓子を食べられる程に回復したが、コーヒーとドーナツは遠慮した。日曜なので早朝はまったりだ。寝たり起きたりしながら7時まで控え室で過ごした。7時からバタバタと忙しくなった。さっきの痛みが嘘のように回復したが、11室目でまた悶絶する事になった。

ベッド係の先輩Nさんが「だーはっはっはっ!ひぃーっ!」と大声で笑いだした。ベッド手伝い係の先輩Hさんまでが「どわはははーーー!」と笑い出した。洗面所から駆け付けると、2人でベッドを挟んで悶絶していた。何事か?とベッドへ近づいてみた。

先輩Nさん「見で(見て)!見で(見て)!チンタク!」
みかやん。「ちんたく???」
先輩Hさん「魚拓じゃなくてチンタクなの」

シーツを見ると生理の血のシミの下の方に、血で象られたまさに”チンタク”がクッキリと浮かび上がっていた。あまりにも見事な作品になっていたので、三人で大笑いして悶絶した。爆笑の渦の中、風呂係の新人Oくんがけげんな表情で立っていたので事態を説明したら、顔を赤らめながらシーツをクシャクシャに丸めた。自分のモノを見られたような恥ずかしさだったらしい。

控え室で、新人Oくんがそのシーツをビニール袋に入れて”9/28 シーツ1枚 血液”と書いて、リネン屋さんへの汚物処理をした。先輩Nさんに「”シーツ1枚 チンタク”って書けばいがったべさ」と言われて、再度顔を赤らめる新人Oくんだった。

お腹の痛い一日だった。
皆様へのヒミツの交換日記(相互リンクの人のみ表示)は明日。
0:00-9:00 18室掃除

今回もお食事中の方、すみましぇん…かも?

今日は先輩Sさんと先輩Nさんと新人Oくんとの4人勤務。最近は三人勤務と四人勤務が入り乱れていて、微妙な仕事内容の違いに時に錯乱し、満室と言うだけで気持ちが焦るみかやん。1室目で早々に錯乱して口うるさい先輩Sさんに、こってり叱られた。

1室目の掃除中も控え室に戻ってからも2室目の掃除が始まっても、同じ事をヒステリックにわいわいと関西弁で怒鳴られた。デパート勤めが長いので、こんな先輩はまだ序の口だ。「はい、はい」と空返事をしてやり過ごした。

カサカサッと先輩Nさんが走ってきて「アンタあんまりO君となが(仲)いいから、やぎもぢ(やきもち)やがれでる(やかれてる)んだ。気にすんでない(するんじゃない)」と言ってくれたが、元々気にしちゃいなかった。

金曜の夜なので忙しかった。どの部屋もお風呂の壁がべちゃべちゃに濡れていて、掃除に時間がかかった。いつもの通り私がお風呂係の時は、新人Oくんが手伝いに来てお風呂の壁の上の方を担当してくれた。

掃除をしている間に他の部屋のお客さんが帰るし、待合い室でお客さんも待っていたので、控え室には戻れず次々と部屋を掃除して回った。さすがに先輩Sさんも無言で働いていた。

午前三時には待合室の客もいなくなってホッとしていたら、お風呂係の先輩Sさんが「またかいな〜勘弁してや〜」と叫んだ。お風呂の浴槽の排水溝にウンチが詰まっていた。このお客さんは帰る所を見ていないので、動物を連れてきたのか定かではないが、特に犬や猫の臭いはしなかった。

。。。って事は大きさから言って人間の???一同絶句した。

後は先輩Sさんに任せようと、蜘蛛の子を散らすように三人でお風呂から離れた。浴槽の中なので結局、フロントへ言って、また5時間かかるオゾン殺菌&消臭をして貰う事になった。満室なのに1部屋使えなくてもったいない。先輩Nさんは「アンタに辛く当たったのがウンのツキさ、ウンチだもの。うししっ」と笑っていた。

午前三時半、ようやく控え室に戻ってゆっくり休憩した。新人Oくんが私にGLAYのオリジナルMDを作って持ってきてくれた。「コレ聴くと元気出ますよ」と言ったのを聞いていたら、先輩Sさんが私をリネン室へ呼びだした。

「さっきウチが言うた事、気にせんでなぁ。堪忍なぁ」との事だ。新人Oくんの前で怒鳴ったりして、恥ずかしくなったのだろう。すっかり忘れてたけど陰で謝るくらいなら、最初から怒鳴らなきゃいいんだ。新人Oくんが心配そうにリネン室の外に立っていた。

控え室でごく普通に談笑した。

先輩Nさん「むがし(昔)”究極の選択”ってあったべさ」

みかやん。「Hの時のゲロとHの時の下痢ってありましたね」

新人Oくん「どっちか選ばなきゃなんないんっすか?」

先輩Sさん「ウチもう、ウンチはコリゴリや〜」

先輩Nさん「二度ある事は三度あるからね。うししっ」

明日は先輩Sさんが休みなので、平和な一日だ♪
0:00-6:00 11室掃除

今日はリーダーの先輩Hさんと、口うるさい先輩Sさんとの三人勤務。ラブホ勤めも実働3週間ともなると、私もかなり仕事に慣れてきた。最近になって気が付いたが、先輩Hさんと先輩Sさんは仲が悪い。お互い大人なので表面的には普通に接しているが、2人とも気が強いので、何かあったら大変な戦いになりそうで怖い。

先輩Hさん「昨日、O君が変わった飲み物を飲んでたから”美味しいの?”って聞いたの。そしたらO君が”飲んでみますか?”って、そのペットボトルを差し出すのよ〜。間接キスじゃない!キャー!恥ずかしくて断っちゃった〜」

先輩Sさん「そんな事、若い人は気にしてへん!よくある事や。みかやんかて平気やろ?」

みかやん。「平気でやってますね」

先輩Sさん「ウチが指先に怪我をしてるのを見てO君が”出来ない事があったら俺に言って下さい”と言うてくれたわ。せっかくだからアレしてコレしてってお願いしたわ。人の厚意は無駄にするもんやない。ジュースくらい飲んだらええやん」

先輩Hさん「O君は新人だし、自分の仕事だけで精一杯なのに、わがまま言ったらO君が可愛そうじゃない!みかやんだって新人なのにO君を手伝ってるんだよ。それが先輩って言うもんじゃない?”アレしてコレして”だなんて先輩風、吹かせ過ぎだよ」

一触即発の気配が漂った。かなりヤバかったが、お客さんが帰る音がモニターから聞こえたので出動した。その後も控え室では険悪ムードだった。めいめい寝たふりをして過ごした。

時間的に最後の部屋となった11室目の階段下のドアを開けると、犬の臭いがした。

みかやん。「なんかコレ、犬の臭いじゃないですか?」

先輩Hさん「そう言えばお客さん、大きなバッグを持ってたわ」

先輩Sさん「みかやんが”犬”言うなら犬なんやろな」

と言って先輩Sさんは部屋のドアを開けたとたん「なんでやねーん!」と叫んで、ドアの前にしゃがみ込んでしまった。見るとベッドの下の脇に10cm程の犬のウンチが落ちていた。(お食事中の方、すみましぇん)先輩Sさんが手袋代わりに手にビニール袋をはめて拾った。

先輩Hさん「犬のウンチを平気で置いて帰れるような人だから、何をしでかしてるかわかんないよ。念入りにチェックしてね!」

先輩Sさん「ホンマや!最悪やで!」

猫連れのお客さんの時は部屋には入れてなかったが、この犬連れの客は思いっきり部屋に入れていたし、風呂にも入れていたようだ。

風呂の足マットには、おしっこの黄色いシミが付いていたし、お風呂に入れて犬がブルブルと水を飛ばしたのか、お風呂の壁は水しぶきだらけだし、風呂のドアの外側や洗面所やトイレの壁も水しぶきだらけだった。7つ道具の中の大4枚&小4枚のタオルでは足りず、控え室にタオルを取りに戻った。

再び部屋へ戻ると、何故かトイレの中でグラスが木っ端微塵に割れていたので、掃除機を取りにまた控え室へ戻った。大忙しだ。

先輩Hさん「お風呂ね、大量の犬の毛やら人間の毛やら垢やらでドロドロなんだよ。お風呂の中でもやったんだね」

先輩Sさん「大量の陰毛と垢なら、間違いなく風呂の中でやったんやな。しかも犬も入れてや。何を考えとるんやろな。ウチにはわからんわ」

みかやん。「こっちにもウンチが。。。踏むところでした。えーん。」

先輩Sさん「今、行くから待っとき!」

ウンチは二つとも絨毯の上にあったので、控え室に戻って消毒液を取りに行った。しかしどうにも臭いし、気持ち悪いし、不潔だ。

三人で協議の結果、結局フロントへ電話をしてオゾンマシンを出して貰い、5時間かかるオゾン殺菌&消臭をして貰う事になった。最後の部屋が大惨事になっていたので、みんなで仲良く協力してなんとか6時に帰れる事になった。

先輩Sさん「ウチに”ウンチ”って言いに来よったけど、ウチはウンチ係ちゃうで〜」

みかやん。「す、すみません。つい。。。」

先輩Hさん「ごめん。全然、違和感なかった」

先輩Sさん「もうっ!勘弁してや〜〜」

先輩Hさん「あはははは」

ともあれ、笑って帰る事ができて良かった。
0:00-6:00 9室掃除

今日は口うるさい先輩Sさんと先輩Nさんと、新人Oくんと私の4人勤務。

前回と違って私と新人Oくんがベッドを組むローテーションになった。先輩達が風呂と洗面所&トイレの掃除をしてる間に、新人Oくんと2人で大急ぎでベッドを組み、2人で協力して部屋を完璧に仕上げる。先輩達がベッドや部屋を掃除している間に、新人Oくんと2人で協力して風呂と洗面所&トイレを仕上げる。

お風呂の壁が濡れている時は、壁の上の方を新人Oくんがタオルで拭き取ってくれて、新人Oくんがセットした洗面所の備品セットを私が手直しする。口うるさい先輩Sさんに叱られる前に、新人同士協力して完璧に仕上げた。

ウチの班に新人Oくんが入ってくる前は。

先輩Nさん「お客さんの殆どはスキンをゴミ箱に入れないで、自慢げにベッドの枕元やベッドの真ん中に置いて帰るんだもの。わちだぢ(私達)ならサッと拾うけど、若い男の子だら(なら)そんなモノ拾うの惨めだべさ」

先輩Hさん「そうだよね〜。白子グラスみたいのははともかくとして、絶倫銀ちゃんの時みたいにスキンが6個とかあったら、それを1つ1つ拾わせるのは気の毒だよね」

などと言って心配していた。

ところが新人Oくんは、スキンを見つけると我先に拾いに行くし、ベッドの布団を剥がしてシーツの上にスキンがあった時なども、私が拾おうとすると「あーーー!いいっすよ、いいっすよ!」と言って先に拾う。

私達の心配とは裏腹に”こんなモノを女性に拾わせるのは気の毒だ”とでも思っているのか、使用済みスキンを見ると飛んでいく。

5室目くらいで”ベッドラッキー”(ベッドを使った形跡がない)の部屋に当たった。最初の2、3日は何があっても無言で掃除をしていた新人Oくんも「金払って来てるのに、やらないで帰るってなんなんでしょうね?」と言った。いつも控え室で”やった、やらない”の話をしているので、新人Oくんもその手の話に麻痺してきたようだ。

先輩ぶって「たまに酒盛りだけして帰る人もいるんだよ」と答えながら部屋の掃除をしていたら、”何か”を踏んで私の足元で「ぬちゃっ」と音がした。

床の上に白子がこぼれていた。「げーーーっ。白子、踏んじゃったよ〜」と床に倒れてのけぞる私の横で、新人Oくんは、すみやかに床の白子を拭き取って私の靴下を脱がせてくれた。

先輩Nさんに「あんただぢ、ず〜んぶ(随分)なが(仲)いいんでないの」と言われて、ハッとして立ち上がり仕事に戻った。控え室で新人Oくんが私の白子付き靴下を洗って干してくれた。おばさん達が新人Oくんにメロメロになるのが、わかるような気がした。とにかく誰にでも優しくて親切な子のようだ。

しかしそれを勘違いしてはいけない。普段モテないおばさん達は、こんな優しささえも”自分に気がある”等と勘違いしてしまう。そもそもそれが間違いの元だ。

控え室で何気に新人Oくんに「普段どんな曲、聴いてるの?」と尋ねたら「函館出身なので当然GLAYですよ!」と答えた。「私もだよ!テルは私と同じ高校だもの!」と言う事で一気に話が盛り上がり、他にパソコンの話や大好きなサッカーやコンサドーレ札幌の話で2人で大騒ぎした。意気投合とはこーゆー事を言うのだと思った。

気が付くと先輩達そっちのけで、先輩達の冷ややかな視線を感じた。

先輩Sさん「あんたら随分、仲ええんちゃうん」

みかやん。「同郷ですから」

先輩Nさん「どうせ、わちだぢとはトシも違うしね」

新人Oくん「そ、そんな事ないですよ〜」

帰る時間になったので、そそくさと帰ってきた。怖くて先輩SさんやNさんと目を合わせられなかった。

★mini☆さん、かじゅさん、はなさん、saku-sakuさん、chieさん。お気に入り登録ありがとうございます。皆様へのご挨拶は、後ほどあらためて★
今日は先輩Hさんと先輩Nさんとの三人勤務。新人Oくんが休みなので、心なしか先輩達が寂しそうに見えると思っていたら、露骨に寂しがっていた。

先輩Hさん「O君と食べようと思ってパン持ってきたのに休みだ〜」

先輩Nさん「同い年のうぢの娘と付き合わないべが。うししっ」

と、めいめい勝手に新人Oくんの事を考えていて、ちっとも会話が噛み合っていない。

先輩Nさん「あんなに華奢な身体なのに、お風呂の上の壁をタオルで叩いて拭き取る時、凄く力強いんだわ♪聞いだら前は日雇いの土方とかしてたんだど。腕、見だら逞しがった〜(うっとり)」

先輩Hさん「ベッドの枕元に使用済みスキンが2個、転がってたから拾って捨てようと思ったの。そしたらサッと来て”いいっすよ”って拾ってくれたの。いい子だよね〜(うっとり)」

先輩Nさん「いんや、わちにだって、タオルの洗濯してたら”水、冷たいっすよ。俺、代わります”って、代わってくれだもの!」

先輩Hさん「あらっ私にだって、控え室にベッドパッドを取りに行こうとしたら”重たいからいいっすよ。俺、持ってきます”って、私の代わりに取りに行ってくれたよ!」

これ以上、O君自慢が続いたら危険だと思った時、丁度、モニターからお客さんが帰る音が聞こえて、助かったと思った。ところが。。。

先輩Hさん「Nさん!202号室だよ!タオル1枚、余分に持った?」

先輩Nさん「持ったよ!H椅子あるべさっ!忘れでないよ!」

と、なんだか険悪だ。やばい。

三人で無言のまま、202号室へ行った。

みかやん。「あっ!珍しくH椅子を使った形跡がありますよ♪」

H椅子と言うのは202号室にだけある、革張りの一人用の椅子で、椅子の上に手を固定する皮ベルトが付いていて、足元には足をご開帳して固定する皮ベルトが付いている。丁度、大切な部分にスポットライトが当たって、よく見えるようになっているが、あまり人気が無いらしく、H椅子の上に置かれたバスタオルが使われている事は滅多にない。珍しくバスタオルが乱れて置いてあったので驚いた。しかも、H椅子の上で何かが光っていた。

先輩Nさん「やんや、白子垂らしてるわ。こんな高い位置だら、やりにぐいべさね〜」

先輩Hさん「だってお客さん、凄く背の高い人だったもの」

先輩Nさん「なんもベッドさ行ったらいがべさ(いいでしょう)」

みかやん。「ベッドでもやっちゃってますよ。こっちにも白子が」

先輩Hさん「そうそう、みかやん。H椅子はあまり使われてないけど、チェックだけは必ずしてね。前によその班で、タオルが綺麗だったからそのままにしておいたら、タオルの下に白子だとか、女の汁とかこぼれてて、次のお客さんが座ったら冷たかったと苦情がきた事があるからね」

先輩Nさん「そだそだ(そうそう)。足の皮ベルトの中に黒のレースの穴あきパンツが入ってて、次のお客さんが発見して苦情になったこど(事)もあった。よその班だげどね」

先輩Hさん「だから本当によく見て、ちゃんと掃除してね」

その後、なるべく新人Oくんの話にならないようにしたので、元の優しくて仕事熱心な先輩達に戻ってくれた。明日は新人Oくんも私も休みだ。三人で仲良くやってて欲しいものだ。
朝6時半帰宅。昼も夜も休みなので、油断して3時頃まで爆睡した。

今日は先輩Hさん、Sさん、Nさんと、新人Oくんとの4人勤務だ。

昨日の新人Oくんの武勇伝を昨日休みだった先輩Hさんに知らせるハズだ。ますます先輩Hさんも新人Oくんにメロメロになるのは、火を見るより明らかだ。新人Oくんを巡って、おばさん三人で火花を散らして、控え室が修羅場と化すかも知れない。今日は休みで良かったかも。

なんて言うか。。。氷川きよしとおばさんファン軍団みたいな状態だ。
怖い怖い。

明日は新人Oくんが休みなので、平和な一日だろう。

遅くなりましたが、ヒミツの交換日記(相互リンクの人のみ表示)↓
0:00-6:00 12室掃除

今日は先輩Sさんと先輩Nさんと新人Oくんとの4人勤務。先輩Nさんと新人Oくんは初顔合わせだった。先輩Nさんは新人Oくんに「宜しく」と一言だけ告げて、やはり無愛想だった。仕事を始める前に先輩Sさんと先輩Nさんが、何かひそひそとローテーションを決めていた。

6室目くらいで、ふと気が付いた。私と新人Oくんが組まないようなローテーションになっていた。新人同士だから仕方ないが、私が風呂係の時は三人で部屋にいて楽しそうに笑ってるし、新人Oくんが風呂係の時は三人で洗面所やトイレにいて楽しそうにしていて、私だけが一人ポツンと部屋掃除だ。やられた。

私が入った頃は、あんなに無愛想だった先輩Nさんまでが「お兄ちゃん♪次、一緒にこっちやってみよう♪」とか「お兄ちゃん♪それはそーじゃなくてこーやるんだよ♪」と満面の笑みだ。しかもあまり訛ってない!何をするにも先輩Nさんが新人Oくんから離れない。信じられない光景だった。

新人Oくんも見た目とは裏腹に真面目で一生懸命だ。

「俺にコレを教えてください」
「それは俺にやらせてみてください」
「次、俺は何をすればいいですか?」
「俺、手伝いますよ」
「俺が代わります」

という一言一言に、おばさん達はノックアウトされるようだった。先輩Sさんも先輩Nさんも、新人Oくんにメロメロだった。

午前3時のおやつにしようと思った時、フロントS氏がとんできた。

フロントS氏「フロントに212の部屋から電話がきて”隣りの部屋の声がうるさいから何とかしてくれ”って言われたんだ。てっきりアノ声の事だと思って”それはお互い様で。。”と言おうとしたらフロントにも、とんでもない声が聞こえてきたんだよ。尋常じゃないんだ。みんなちょっと聞いてみてくれ」

と言うので全員で通路に出てみた。

控え室から一番遠い213号室から、闇夜をつんざくような
「ぎぃーーーーーーーっ」「ぎぇーーーーーーーっ」
「ぎゃーーーーーーーっ」という悲鳴が聞こえた。
まるで断末魔の叫びだ。一同、青ざめた。

フロントS氏「よ、様子を見て来ようとは思うんだけど。。。」

新人Oくん「俺、一緒に行きますか?」

フロントS氏「やっぱり男性が一緒だと心強いよ。助かった」

フロントS氏と新人Oくんが213号室へ向かったので、私達はフロントのモニターで廊下の様子を覗いていた。

ほどなくしてモニターに、ジャージ姿にサングラスの若い男性と、金髪でミニスカートの女性が映った。女性がもがくのを男性が取り押さえている感じだった。フロントに女性の「ぎゃーっ」と言う叫び声が近づいてきた。すると部屋から同じようなジャージ姿にサングラスの若い男性と金髪の女性が、更に2人出てきたのが見えた。

こっそり4人で部屋に入っていたのだった。4人とも外へ出たので私達もフロントの外へ出てみると、通路にシンナーの臭いがたちこめていた。

フロントS氏「いや〜。ラリってたんだよ。血を見なくて良かった」

新人Oくん「後から出た2人は、また戻ってくるそうです」

と言うことで事なきを得たが、ますます新人Oくんの株が上がった。

朝6時。新人Oくんは清々しい顔で自転車に乗って帰っていった。
0:00-6:00 13室掃除

今日から新人Oくんが私達の仲間になった。函館出身の23才独身だ。

ベッカム風のソフトモヒカンのロン毛版と言うのか、ワールドカップ開催の時にベッカムヘアにしたのが9月になったらこんなに伸びました〜と言うような髪型で、モヒカンの部分は茶髪になっていて、左耳にはごっついピアス、右手の薬指にはごっついリングをしていた。坂口憲二や金城武とは違うタイプだが、見た目にうるさい私の基準点に達していたので合格だ。

今日は先輩Hさんと先輩Sさんと三人勤務の予定だったが、お陰で久々の4人勤務になった。

ウチの班に男性が入る事を危惧していた2人なのに、いざ若い男の子が来たら笑い方や話し方まで違う。2人でO君を奪い合うように手取り足取り仕事を教えていやがる。見ていてこっちが恥ずかしくなるくらいだった。1部屋の掃除に30分もかけて懇切丁寧に指導合戦をしていたので、私一人が待ちぼうけだった。「随分、私の時と待遇が違うじゃん」と、思わずみかやん。グレグレだ。

ローテーションで私と新人Oくんがベッドを組む事になった。

先輩Hさん「あっそうそう、今日はまだ無いけどベッドが生理の血で汚れてる事が多いの。怖かったらみかやんに言って代わって貰ってね♪」

先輩Sさん「なんも無理する事ないからなぁ〜♪なぁみかやん!」

みかやん。「は、はい」

(そんなの甘やかし過ぎじゃん・怒)と言って次の部屋の掃除へ向かった。

------食前・食中・食後の方はご遠慮下さい-------

部屋の入口のドアを開けたとたん、そこはかとなく漂う異臭を察知した。よろよろと階段を上る私を見て先輩Sさんは「どないしたん?」と涼しい顔だった。部屋のドアを開けると酸っぱいような生肉が腐ったような臭いがたちこめていて、たまらず窓を開けた。

それでも先輩達2人は新人Oくんに夢中で「なんかこの部屋、お酒臭いなぁ♪」等とのんきな事を言っていた。しかし私はこの異臭の元がベッドである事を確信していた。ベッドの上には”何か”を隠すようにバスローブやタオルや布団がかけられていた。

ベッドの横の絨毯に粘着ローラーをかけていた先輩Sさんが「なんかビーフジャーキーみたいな物が沢山落ちてるで」と言うと、洗面所から先輩Hさんが「こっちにもコーンみたいのが沢山落ちてる」と言う。私は臭いが目にしみてベッドへ近づけないでいた。

何も知らない新人Oくんがベッドの上のバスタオルやバスローブを剥がすと、悪臭とともに巨大なゲロのシミが姿を現した。「お、おぇ〜〜」となる私の横で新人Oくんは「なんですかコレ?」としげしげと見ている。「ゲロだから見るんじゃないっ」と叫ぶのが精一杯だった。

「ゲロ」と聞いて先輩達2人が走ってきた。

先輩Hさん「Oくん、そこはみかやんに任せてこっちへ来なさい」

先輩Sさん「こないだ教えた汚物処理や!Oくんに見せてやりや」

と言って三人で私を遠巻きに見ている。酷い。。。なんてこった。

汚物処理と言うのは、特に汚れの酷いシーツ等を小さくたたんで、透明なビニール袋に汚れた部分が見えるように入れて、マジックで”9/18 シーツ1枚 ゲロ”等と書いてリネン屋さんへ別便で出す処理だ。

いざやってみるとビニール袋の大きさよりゲロの面積の方が広かった。小さくたたもうとするとゲロの部分が手に付くし、ゲロの中の固形物がバラバラと床に落ちる。

先輩Sさん「何やっとんねん。ゲロ部分を上にすれば固形物は落ちんで」

先輩Hさん「先輩なんだからしっかりO君に、お手本を見せてあげて」

と、うるさい。仕方なく先輩達に背を向けて息を止めて目をつぶって、そそくさと処理をした。

控え室に帰ると。

先輩Hさん「初日でとんだ物を見ちゃったけど、まぁこの仕事をする上での洗礼と思っていて。これからは、もっととんでもない物を見るかも知れないからね」

先輩Sさん「いや〜でもO君は冷静やったわ〜。頼もしいなぁ」

先輩Hさん「それにしても、みかやんの鼻って犬並みだね」

一同「あっはっはっは」

等と言いやがる。笑い事ぢゃない!
洗礼を受けたのは私だし、O君は何もやってないじゃないの〜〜〜。

これで暫くは肉とコーンを食べられない身体になってしまった。(涙)
今日は昼の仕事だけだった。

昼間の職場には私と同じパートタイマーがもう一人いるが、お互い週休3日制なので滅多に会わない。今日、久々に会って職場に対する不満が爆発した。社員のおぢさん達が遊んでいるのに、私達のようなパートが第一線で電話や苦情を受けるのは、おかしいと思う。

更に仕事を増やされるようなので、2人でインターネットで次の就職先を探した。

第一希望は○産自動車の自動車部用品の入・出庫作業で、10時〜15時までで昼休みが1時間、実働4時間で時給は750円、日曜日と祝日が休みだ。年齢45才までで募集は3名だった。

パートK子「これだったら私も年齢制限に引っかからないし、一緒に行けそうだよ。ココにしない?」

みかやん。「今より時給高いし、時間的にもラクだね。でも他も見てみようよ」
とお互い暫しインターネットのアルバイト情報に釘付けだった。

パートK子「コレって何だろう?どんな事するんだろ?知ってる?」
と言うのでK子が見ていた画面を覗き込むと、なんとホテルQの求人広告だった。
あまりの事に飲んでいたコーヒーを吹き出しそうだった。

パートK子「ベッドメイクってただベッドを作り直すだけなんだろか?」

みかやん。「友達がその仕事をしてるんですけど、ベッドだけじゃなくて、お風呂やトイレや部屋の掃除もあるらしいですよ。そんな重労働じゃないし適度に身体を動かすので、友達は楽しいって言ってましたよ」

昼の会社の人にまさか”あっ私、夜はそこで働いてるんですよ”とは言えなかった。

ラブホの仕事に興味を示したパートK子に質問責めにあった。

パートK子「月いくらくらいになるんだろ?」

みかやん。「友達は月20日くらい働いて10万円以上になると言ってた」

パートK子「客室で何をやってるとか見れたりするんだろか?」

みかやん。「それは無いけどお客さんが来る所と出る所は見えるって」

パートk子「他人がHした後を見るのってどんな感じなんだろね?」

みかやん。「結構、血を見たり衝撃的な場面にでくわすんだって」

パートK子「血って、何?殺傷事件とかよくあるの?」

みかやん。「いや、生理中のお客さんがもの凄く多いんだって」

パートK子「へえぇ〜。なんか面白そうだね」

みかやん。「かなり面白いみたいだよ」

パートK子「じゃ面接受けがてら見学に行ってみる?」

みかやん。「いや。○産自動車へ行ってみようよ」

パートK子の興味をそらすのに必死だった。
晴れて私達のD班に新しいバイトが入って、それがK子だったら倒れる。

るみさん、GOING MY WAYさん、白ウサギさん、陸さん、こっこさん、ぱんちさん。
リンクありがとうございます!皆様へのご挨拶は後ほどあらためて。
0:00-6:00 9室掃除

15日目の朝の続きです。

先輩Sさん「なぁみかやん、これから姉妹店のEへ行ってウチらと3Pでレズらない?」

みかやん。「へっ?そ、そんな〜。ひぇ〜〜〜。」

先輩Hさん「冗談だよ(笑)。みかやんが寝てる間に姉妹店Eへ行った元同僚から電話がきて、姉妹店Eの社長も専務もいないから見学に来ない?って誘われたんだよ」

みかやん。「行きたいんですが自転車で来たし、家へ帰って一度寝ないと途中で倒れそうなので、今日は帰って寝ます」

先輩Sさん「ほなまた今度な!それまで3Pはおあづけや」

先輩Hさん「冗談だからね(笑)」

そう言えばラブホで働き始めた頃、先輩達に「給料が入ったら1度は他店見学へ行ってみてね。他店見学も大事な仕事の1つだし勉強になるよ」と言われていたが、1回目の給料は締めの関係で3日分だったし、”仕事の1つ”と言うなら、会社でラブホ代を出してくれよ〜と思って行かなかったんだった。

16日目は先輩Hさんと先輩Nさんとの三人勤務だった。姉妹店Eへ見学へ行ってきた先輩Hさんは大はしゃぎだった。

先輩Hさん「Sさんと姉妹店Eへ見学へ行ってきたんだけど、凄かったよ。やっぱり新しいホテルはいいわぁ〜」

先輩Nさん「そりゃ何でも新しい方がいいに決まってるべさ」

先輩Hさん「どの部屋もメルヘンチックで新しくて綺麗で、2階にも部屋があるメゾネットタイプもあってさ、全室、お風呂にTVが付いてるんだよ」

先輩Nさん「わちだら(私なら)イヤだね。1部屋に2階も付いてるなら掃除が大変だべさ。それに今時の新しいホテルの風呂にはTVくらい付いてるべさ。それにあんまり風呂に長居されたら壁がベチャベチャになって、また掃除がゆるぐないべさ(大変でしょう)」

先輩Hさん「でもね、ここみたいに冷蔵庫や販売機や食器棚がバラバラになってるんじゃなくて、大きなキャビネットに冷蔵庫や販売機や食器棚や電子レンジや湯沸かしポットまで、備品が全部まとまっていて、機能的で衛生的で掃除もラクラクだよ」

先輩Nさん「新しいもんだもの掃除はラクに決まってるべさ。わちは古い人間だから、そんな新しい所なら馴染めないわ」

先輩Hさん「それにココと違って絨毯の部屋がないから、コロコロ粘着シートも持たなくていいんだよ!床は大理石みたいになってて、クイックルワイパーだけでOKなんだよ」

先輩Nさん「わち(私)いろんな店で働いたけど、こご(ここ)の店が一番好きだ。同じ班の仲間も、ちょっと古いこのホテルもだよ。好きだから一生懸命、掃除ができるべさ。新しい店は新しいってだけで黙ってても客が入るさ。わちらは掃除しかできないけど、真心込めて掃除しなきゃ客も来なぐなると思ってる」

先輩Hさん「ごめん。私、はしゃぎすぎたね。Nさんの言うとおりだね。」

連休も終わり、明日から巷の皆さんも仕事が始まるので午前4時には空室が目立ってきた。

明日は休みだ。明後日からまた頑張ろう。
0:00-9:00 11室掃除

先輩Hさんと先輩Sさんとの三人勤務。2人ともベテランなので安心だ。

巷の皆さんは今日から3連休らしいが、私にゃ関係ない(哀)。控え室のモニターを見ると★マークが泊まり、■マークが休憩になっているが殆ど★マークだった。しかも既に満室で、午後7時〜午前1時のC班は34部屋の掃除をしていた。もの凄い回転率だ。自分がC班じゃなくて良かったと思った。

先輩Sさん「C班は大変やけど、お客さんはみんな泊まりやからウチらは暇やでぇ」

先輩Hさん「明日は日曜だから6時前に帰るお客さんは少ないよ。明日は9時帰りだね」

ヨレヨレになって帰るC班のメンバーを見送って、我々はのんびりとスタートした。

1室目でベッド係になった先輩Hさんが「やられた!」と叫んだ。いつものようにベッドカバーを剥がし、掛け布団カバーを剥がそうとしたら、布団カバーの裾に、ずっしり重い使用済みナイト用ナプキンが貼り付いていたそうだ。

恐る恐るシーツを見ると殺人現場のような血の海になっていた。発見が早かったので、おねしょマットの漂白と洗濯だけで済んだ。シーツは”血液”と書いた付箋をしてリネン屋さん行きだ。

2室目でベッド係になった先輩Sさんが「ココも生理や!」と叫んだ。ベッドの枕元に使用済みナプキンがあった。1室目より軽量で普通の日用ナプキンだった。掛け布団を剥がすと、こちらはバスタオルを敷いていてくれたので、被害はバスタオルだけだった。これも”血液”と書いた付箋をしてリネン屋さん行き。

4室目でまた先輩Hさんが「また生理だよ」と叫んだ。ベッドの横のゴミ箱にナイト用ナプキンが捨てられていたので、布団を剥がすとベッド右端にべっとりと血のシミ。

おねしょマットから外れた場所なので、ベッドパッドにも被害が及んだ為、先輩Hさんは汚れたベッドパッドを担いで控え室へ運んで、代わりのベッドパッドと交換した。掃除終了後、控え室で漂白剤付き歯ブラシを片手に小一時間、シミ取り作業をした。これもシーツには”血液”と書いてリネン屋さん行き。

8室目でトイレタンクの上に置かれた使用済みナプキンを発見した私は、慌ててベッドへ走った。ベッド係は先輩Sさんだった。ベッドを確認すると綺麗なものだった。先輩Sさんと、お風呂係の先輩Hさんの所へ行ってみると、先輩Hさんは「現場はココだわ」と、お風呂用足マットに付いた血と、その傍に置かれた使用済みナプキンと、浴槽の横に付いた血を見せてくれた。お風呂用足マットに”血液”と書いた付箋をしてリネン屋さんへ出す。

午前3時のおやつを食べながら、先輩Hさんがブチ切れてしまった。

先輩Hさん「ったくもう!女だったらナプキンくらい、ティッシュで包んで捨てるとかしろって!血のついたシーツは布団をかけて隠してるのに、なんでナプキンはむき出しなの?」

先輩Sさん「さすがHさんや!怒るポイントが違うがな。まぁシーツ類はリネン屋さん行きやし、血のシミ取りかて仕事やからなぁ。でもウチは不幸中の幸いやったでぇ。タオルを敷いてやっとってくれた。よう出来たお客さんや」

先輩Hさん「不思議と1室目の受難が、その日ずっと尾をひくんだよね。私は今日はナプキン地獄だわ」

先輩Sさん「みかやんもホンマこんなに毎日、血を見る仕事だと思わんかったやろ?」

みかやん。「今回は連休なので、ずっと前から”連休の時ラブホに泊まりに行こうね♪”とか約束してたのに生理になって、でもせっかくだから来ちゃったんじゃないですかねぇ」

先輩Hさん「気持ちはわかるけど、トイレには汚物入れがあるし、ベッドの横にもゴミ箱があるんだから、ナプキンくらい、ちゃんと捨ててくれって。うちの娘もあんな風に、これ見よがしにナプキンを放置して帰るような娘に育ってたらどうしよう?と思うと、胸が痛むのさ」

先輩Sさん「まぁ飾るもんでもないし、見せびらかされても困るわなぁ。Hさんとこのお嬢さんは心配あらへんて!」

10室目で最後のベッド係だった先輩Hさんは、ベッド横のゴミ箱の中のナプキンを見て、ちょっと安心していた。しかしこの部屋は、あらゆる物が血染めになっていた。

今日のリネン屋さん行き別便(シミ付き):シーツ3、バスタオル4、足マット1、バスローブ2、掛け布団カバー1、枕カバー1、フェイスタオル1。リネン屋さん、ご苦労様です。

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