0:00-6:00 18室掃除

今日は先輩Nさんと、口うるさい先輩Sさんとの三人勤務。金曜日の夜なので覚悟を決めて出勤した。

11時40分に控え室のモニターを見ると、4室空いていたのに0時には満室になった。イヤな予感がした。

先輩Sさん「今日は忙しくなるでぇ。明日の朝は9時になるかもなぁ。みかやんは明日、休みか?」

みかやん。「明日は昼の仕事があるので、9時にここから直行できるように支度してきました」

先輩Nさん「運が良ければ6時に帰れるかもよ」

等と言っていたら0時の1室目から朝3時半まで、控え室に戻る暇もなく12室の掃除をした。全身汗だくだし、喉が渇いて死にそうだった。

3時半になって2室空いたが、先輩Sさんがフロントへ電話して「もう限界や〜。少し休まして〜」と言って、3時半から4時まで無理矢理30分の休憩をもらった。水分補給や一服をして暫しまったりと過ごした。

休憩中にも1室空いてしまったので、休憩後3室を一気にやっつけた。これで15室掃除。この15室目でベッド係の先輩Sさんが「ちょっとこっち来て見てみぃ!このお客さん、面白い遊びして帰ったでぇ」と言うので行ってみると、ベッド横のゴミ箱の中に白いヒモがぐるぐる巻きになって捨てられていた。

先輩Nさん「何それ?ヒモかい?どれっどんなヒモなのさ。よく見せて!」

みかやん。「私も見たいです!」

と言って間近でしげしげと見た。直径5mm位の丸くて白いヒモで、ヒモの両端には赤いテープが巻かれていた。ふと見るとベッドの上の枕がベッドの足の方へ置かれていた。

先輩Nさん「ふーん。ヒモで縛り上げて枕を足元に置いてかい?どやってしたんだろ?」

みかやん。「さっぱりわかりません」

先輩Sさん「赤いテープが6個見えるって事はヒモは3本や。」

先輩Nさん「両手を縛って、両足を縛って、手と足を合体させて3本だべか?」

先輩Sさん「これってこの為だけに3本セットで売ってるんやろか?」

みかやん。「他に荷造りやテーブルマジックには使えない気がします」

先輩Sさん「ここは子作りするとこやて、荷造りや手品はせんやろ」

先輩Nさん「それはそうとそのヒモ、ゴミ袋から出してみで(みて)や」

先輩Sさん「あかん!スキンやら煙草の灰が着いて汚いで〜」

一同ガッカリ。ゴミ袋に入れずにベッドの上にでも置いていて欲しかった。

みかやん。「でもこれって使い捨てなんでしょうか?もったいないですね」

先輩Sさん「”縛って”言うたんか”縛らせて”言うたんかわからんけど、変態よばわりされたって事やないの」

先輩Nさん「やってはみだものの、双方満足のいく結果を得られなかったって事だべさ」

このカップルは姿を見る事が出来なかった為、若いのかそーじゃないのかもわからず残念だった。

5時から大急ぎで3部屋やっつけて、6時に逃げるように帰った。
ラブホ前の坂を自転車で駆け上がり、思わず函館弁で
「こえ〜〜(疲れた)!ゆるぐね〜〜(ラクじゃない)!」と叫ぶ、みかやん。だった。
0:00-6:00 7室掃除

今日は先輩Hさんと先輩Sさんとの三人勤務。近所の神社のお祭りに客足を奪われたようで、昨日も今日も暇だった。暇だったので、フロントS氏が何度も顔を出してはグチをこぼしていた。

フロントS氏「今朝8時にフロントに泊まり客から電話がきて”今時クレジットカードで支払えないなんて何事だ!”って怒鳴られて部屋に呼びつけられたんだ。行ってみたら恰幅の良いオヤジ様でさぁ女がいる手前、怒鳴りまくるんだよ。仕方ないから”差し支えなければ集金に伺いたいと思いますが如何でございましょうか?”と言ったら、急に小声になって住所と名前と電話番号を教えてくれたんだ。多分、相手がゆきずりの女で、自分の事とか明かしてなかったと思うんだ。」

先輩Sさん「ほいで行ってきたん?」

フロントS氏「思い出したらさぁ、タクシーで来た客だったんだけど、5分位タクシーから降りて来なかったんだよね。何かもめてるのか?と思って見てたんだけど、今思えばタクシー代もクレジットカードで払ってたんだね。きっと。」

先輩Sさん「で、行ったん?」

フロントS氏「ゴールドカードを振りかざして”俺は現金を持ち歩かない主義だ!2時に来い!”って言うから、2時に行ってきたよ。そしたら、札幌じゃ知らない人はいない程、有名な企業の社長さんだったんだ!ビックリしたよ。今朝の態度とは別人になって”ご足労かけて申し訳ありません。不測の事態で取り乱してしまいました。どうかご内密に”って菓子折持たされて帰ってきたよ」

先輩Hさん「そのお菓子がそうなの?」

フロントS氏「”ご内密に”って言われたから言えないけど。。。そうなんだよ」

みかやん。「企業名、丸出しじゃないですか」

フロントS氏「後で食べてね!じゃご内密に!」

との事なので今日の午前三時のおやつは、そのお忍びのシャッチョーサンの会社のお菓子を有り難く頂く事にした。

またフロントS氏が来た。今度は鼻息が荒い。

フロントS氏「今ね、1台の車から若い女性2人と30代の男性1人の3人が降りてきたんだよ!こりゃマズイと思って”お客様、申し訳ございません。当店はホテルの性質上、原則としてお二人で入って頂いて、お二人で帰って頂く事になっております。ご旅行などで来られて市内のホテルが満室と言う場合もございますが、当店では簡易ベッドなどの用意もございませんので”と言い終わらないうちに、あっけらかんと”3Pダメなの?じゃお兄さんも入る?”って言うんだよ。挙げ句の果てに若い方の女性が、おそらく19才か20才そこそこなのに”アタシ〜、3Pじゃなきゃ燃えないの〜。ど〜してくれる〜”って言うんだよ。もうっもうっ、どうしようかと思っちゃったよ。」

先輩Sさん「でも帰ったんやろ?」

フロントS氏「おとなしく帰ってくれました」

先輩Hさん「じゃあ問題ないでしょ」

と、先輩達に軽くあしらわれてフロントS氏は肩を落として戻っていった。

懲りずに再度、フロントS氏が来た。

フロントS氏「今ね、でっかいタイヤでもの凄く車高の高い車がきたから、部屋の駐車場に入らなくて、フロントから別の駐車場に誘導したんだけど、ふと見たら助手席の女性の手が、運転席の男性の股間にあって、こう”カーーーッ”って手が動いてたんだよ。何もココまで来て入口の前でそんな事しなくても。。。と思ったんだけど、あまりにもその手の動きが巧妙で思わず見入っちゃったよ。車から降りて男性の方は身体を”くの字”に曲げて部屋に入って行ったよ」

先輩Sさん「ほんなら部屋出るの早いかもなぁ」

先輩Hさん「2時間も居ないかもね」

先輩達が話にノってくれたので、フロントS氏が妙に嬉しそうだった。

フロントS氏「男性の方は”今にも”って顔だったから1時間20分くらいかな?」

先輩Hさん「いや1時間40分くらいじゃない?」

先輩Sさん「1回目はすぐ終わっても2回目だってあるかも知れんがな。まぁでもそんなせっかちやったら1時間40分やな」

先輩達が言っていたとおり、そのカップルは1時間40分きっかりに精算した。恐るべし先輩達だ。部屋へ行ってみると、お風呂ラッキーで、スキン2個とコーヒーを飲んだ後があった。

先輩Sさん「お風呂にも入らずそのままベッドに直行して2回。ちょっと休んでコーヒー飲んだら、1時間40分。フロントS氏の読みはまだまだ甘いわ〜。」

先輩Hさん「せっかく暇だったのに、フロントSさんが何度も来るから、寝てもいられなかったよ。黙ってフロントに居ればいいのに、いちいち来るんだもん。あーゆーのを若い人達は”ウザイ”って言うんでしょ?」

みかやん。「私的にはいろんな話が聞けて楽しかったですよ〜」

先輩Sさん「ほな決まりや!みかやんがフロントS氏担当や!任せたで!ウチらは寝とるから頼むわ〜」

みかやん。「私、おぢさんはイヤです〜」

今日でラブホ4連勤が終わり、明日は休みです。
0:00-6:00 7室掃除

今日は先輩Hさんと先輩Nさんとの三人勤務。相変わらず先輩Nさんには「ありがとうございます」と言っても、「すみません」と言っても返事も貰えない(涙)。でも先輩Nさんは自分の担当の仕事の前に、必ず私の担当の仕事を手伝ってくれている。どうしたものか。。。

みかやん。「Nさん!ごめんなさい。私、モタモタして役に立たなくて。。。バリバリ仕事が出来るNさんから見たら、イライラすると思うんですよ。私、元々体育会系なので”アレしろ!コレしろ!何やってんだ!”とか言われ慣れてるし、その方が助かるんでガンガン言って欲しいんですよ」

先輩Nさん「アンタだったらわち(私)が、こっそり手伝ってるのに、でっかい声で”ありがとうございます”なんて言うんだもの。他の人の手前、返事できないべさ。わちにだって新人の頃はあったんだから、大変なのはよくわがる(わかる)。だがら(だから)アンタの手が回らない所はわちがフォローするがら”すいません”とが言わないで黙ってな。」

。。。なんだい!めっちゃいい人じゃん!(感涙)シャイなおばさまを無愛想だなんて思っていて、申し訳ないっ!

次に行った部屋では、先輩Nさんが「先にこっち!」「次はココ!」「オタオタしない!」とゲキを飛ばしてくれて、とても仕事がしやすかった。

暇だったのでまったりと午前三時のおやつを頂きながら、先輩Nさんとも楽しく談笑できた。

午前4時半、モニターからお客さんが部屋を出た音が聞こえたので、掃除7つ道具を持って208号室へ行った。先輩Nさんが勢いよくドアを開けた所「まだいる!靴がある!」と言うので、慌てて隣りの空き部屋のカーテンの陰に身を隠した。「精算に手間取ってるんでないの?きっと年寄りだわ」等と言いながら、待つこと7、8分。まだ出てこない。

10分経つと自動的に部屋の電気が消えるので、ようやく出てきた。50代の熟年カップルだった。Yシャツにネクタイ、ピシッとしないズボンをはいた、うだつの上がらないサラリーマンと、ごくごく普通の普段着の主婦だったが、その辺の若者に負けないくらい、ラブラブだった。

男性が「本当に帰りたくないよ〜」と言うと、女性は「お母さんだって帰りたくないよ〜」と言って男性にしがみつく。”お母さん”と言っているが、どう見ても親子ではないし(笑)、夫婦でもなさそうだ。って言うか間違いなく不倫だ。

部屋へ入って一同、ベッドに直行したら、やはりベッドのシーツは血染めになっていた。

先輩Nさん「やっぱり不倫だべさ。夫婦だったらわんざわんざ(わざわざ)嫁が生理の時に、金払って来ないべさ」

先輩Hさん「その通り!。。。ちょっと酷いわ!荒らされてる!」

先輩Hさんの言葉に改めて部屋を見ると、見事に荒らされていた。

※ベッド&部屋係の先輩Hさんからの報告
・グラス、ワイングラス、歯磨きカップが部屋の各所に散乱
・お茶パック使用後、受け皿を使わずテーブルに、じか置き
・ベッドのシーツには生理の血の他、口紅、アイシャドー等、化粧がベッタリ
・何故か湯飲みの中になす漬けが2本入っていた
・テーブルの上は持参の空き缶、食べ残し各種が隙間無く放置されていた
・備品のコーヒー、クリープ、砂糖を全て持ち帰られた

※洗面所&トイレ係の先輩Nさんからの報告
・洗面所の床が水浸し
・洗面所の鏡は歯磨きがはねた白い斑点だらけ
・備品のひげ剃り、髪ゴム、ブラシ、シャワーキャップ、コットン&綿棒を全て持ち帰られた
・トイレの汚物入れの上に使用後のナプキンがむきだしで置かれていた

※お風呂係のみかやん。の報告
・お風呂のお湯が抜かれていない上、シャワーが完全に止まっていなかったので、熱気と蒸気でムンムン。当然、天井、壁はべちゃべちゃ
・浴槽の中にフェイスタオルとバスローブが沈んでいた

いつもは遅くても20分位で掃除が終わるのに、この部屋には小一時間かかって、みんなヨレヨレになった。

先輩Nさん「こんなに荒らされたの初めでだ」

先輩Hさん「若いカップルはこんな使い方しないよ。こんな中年に”今の若い者は”とか言われたくないでしょ?」

みかやん。「いえ、それほど若くありませんから」

先輩Hさん「不倫って言うか、女はアノトシで独身かもね。普通の主婦だったら少しは片づけてから帰るんじゃないの」

先輩Nさん「男も男だ!こんなだらしない女とよくでぎるもんだ!百年の恋も冷めるべさ」

みかやん。「いかにも、うだつの上がらない風の男性でしたから。他の女性にはモテないんじゃないですか?」

先輩Nさん「ここまで荒らされたら、わちらに対する嫌がらせでないべか?Hさんや、みかやんの知ってる人でないの?」

先輩Hさん「あんなだらしない女、知らないよ」

みかやん。「私だって知りませんよ!」

先輩Nさん「まっ、どっちみちあの不倫は長続きしないべね」

幸い、この部屋が最後だった。帰るギリギリの時間まで、あの荒らされぶりをみんなで振り返った。

秘密の交換日記は明日!
おっとその前に、ねかまさん>読みました♪
0:00-6:00 15室掃除

今日は恐れていた口うるさい先輩Sさんと、無愛想な先輩Nさんとの三人勤務だったので、最初から緊張していた。ところが天の助けか”中間さん”が来て4人で仕事ができた。中間さんとは、私達の前の時間帯のC班(19:00-1:00)と、私達D班(通称ナイト0:00-6:00)の間の21:00-3:00に、一人で仕事をする人の事だった。この中間さんがマシンガンのように喋る人だったので助かった。

中間さんは32才ながら高校生、中学生、小学生の三人の息子がいる元ヤンママだ。とにかく声が大きくて威勢が良く豪快だ。「S!何やってんだ!こっちやれっ」「N!新人、手伝ってやれ!」と、一回り以上もトシの違う先輩SさんやNさんを、S!N!と呼び捨てだ。現場監督のようだった。

お風呂ラッキーが4室続いた。掃除がラクなので助かるが、先輩達は怯えていた。

先輩Nさん「ラッキー4つも続いたら、後で大変な目に遭うようなイヤな予感してきた」

先輩Sさん「過去最高がラッキー3つやからね。ドエライ事にならんとええなぁ」

中間さん「あたしは3時で帰るから3時以降はどんなに忙しくても、知ったこっちゃないわ!ガハハ!でもなんで風呂入らない客、多いんだろ?温泉にでも入って来たなら別だけど、汗もかいただろ?シッコもしただろ?大事な所が蒸れて臭ったり、細菌なんかも増殖しただろ?スキン使うから関係ないって問題じゃないんだ!そんな事だから女は膀胱炎とか性病になる奴が多いんだ!今の若い女のどのくらいが、そーゆー汚いHの後、すぐシッコして洗い流すって事、知ってんだろ?だいたいなぁ。。。」(さらに延々と力説が続く)

ホテルQの玄関には、タクシー待ちの為の待合室がある。金髪で綺麗にセットされた髪をして、シャネルのワンピースを着た高島礼子似の女性と、からし色のスーツを着て、リーゼント風のヘアスタイルのムエタイの選手のような男性がタクシー待ちをしていたのを秘かに覗いていた。

女性が男性より年上の感じで、男性は何か申し訳ないような様子で、しきりに男性が女性に頭を下げていた。その人達が使った部屋に入ったとたん、中間さんが「あった!」と叫んで、得意気にゴミ袋の中の使用済みスキンを指さした。

中間さん「なんだいっ!男の方が申し訳なさそうだったから、もしかして役立たず?と思ったのに、ちゃんとやってんじゃん!って事はなんだ?あの風貌から言って、組長の女と若頭の不倫じゃねーのか?”姐さん、こんな事になっちまって申し訳ないっす。自分はこれから、どうしたらいいのかわかりません”」と男が言って、姐さんが”いいのよマサ。お前は何も心配する事はないのよ。私に任せて”とか言ってたんじゃねーのかー。マサって名前よりも何だ、サブ、いや、ギンジ、うーん。いやでもな、もっと緊迫して”マサ、私と一緒に逃げて”とか言ってたかもなぁ。」(さらに延々と演説が続く)

三時になって中間さんが帰った後、暫し三人で放心状態になっていた。のも束の間。3時〜5時で、立て続けに7室掃除した。移動の時間を考えると1室15分くらいで掃除して、大忙しだった。

強烈キャラの中間さんに、ペースを崩された三人だった。でもまた会いたい。
0:00-6:00 8室掃除

ホテルQに着いて控え室のモニターを見ると空き部屋が目立っていた。今日は暇かも?ムヒヒと一人ほくそ笑む。歩合制じゃなくて、同じ時給なら暇な方が良いに決まっている。

今日は先輩Hさんと先輩Sさんとの三人勤務だ。考えてみると4人勤務より三人の方が、ややこしくなくてラクだ。新人が入るまで、暫く三人勤務が続く事になった。

お風呂係→ベッド&部屋係→洗面所&トイレ係のローテーションが続いた。

先輩Sさんがお風呂係になった時、突然先輩Sさんがお風呂場から「お岩さん出ました〜」と叫んだ。

「えっ?お岩さんってアノ?それが"出た"って?ひいぃぃぃ〜。」
恐怖モノにからっきし弱い私は「お岩さん」と聞いただけで、全身総毛立ち鳥肌が立ちその場に凍りついてしまった。恐怖にのけぞる私の横を先輩Hさんが「は〜い♪」と言いながら涼しい顔で床用粘着ローラーを持って走り去った。

「あれっ?」と我に返り先輩達の元へ向かうと、沢山の長い髪の毛がお風呂場や床に散乱していた。「お岩さん」とは抜け毛が多い髪の長い女性客の事で、「お岩さん出ました〜」と言うのは”沢山の長い髪の毛が散乱しています。充分注意して髪の毛取りをして下さい”という意味だった。

あービックリした。聞いてないもん。ラブホ9日目にして、ついに恐怖体験に見舞われたと思った。そーじゃなくても先輩達が何かを取りに控え室へ戻って、部屋に一人になった時は怖いので、勘弁して欲しい。

当初の予想どおり今夜は暇だった。コーヒーとおやつを頂きながらしばし談笑した。
フロント業務も暇らしくフロントS氏がきた。

フロントs氏「新人さんの件で事前に確認しておきたい事があるのですが、ナイトの皆さん(深夜〜早朝勤務の私達の事)は、新人さんは男性でも良いと思っていますか?」

先輩Hさん「爺さんはイヤだよ!私より年上だったら使いにくいし、正直言うとやっぱり主婦の方が掃除もやり慣れてるし、気が利いていいんだよね。」

先輩Sさん「ホンマや!男だったら絶対40才以下や!元会社のお偉いさんなんてのは絶対パスやで〜。C班のK君みたいな、バリバリ働く大学生がええわ〜。みかやんはどないねん?」

みかやん。「そりゃもう私は無類の年下好きですから。。。あわわ。いえっあの、協調性があって明朗で、みんなと仲良く楽しく仕事が出来る人がいいです!」

フロントS氏「やはり協調性が優先ですね。時間が時間ですし、場所が場所ですから、男性と2人勤務にならないよう配慮します。チームに男性が加わる事で、最低限三人での勤務が保証されるので、皆さんにとって良い事だと思うんですよ。」

先輩Sさん「男と2人勤務はかなわんからなぁ〜。頼むでぇ〜」

先輩Hさん「今後、2人勤務がなくなるならOKですよ」

・・・・・ん?”時間が時間”で”場所が場所”?もしかしてコレって、深夜にラブホで男と女が2人っきりでいて、ムフフな気分になって"間違い"でもあったら大変!って意味なの?

そんな、もしかしたら相手は大学生の男の子かも知れないのに、45才過ぎの先輩Hさん&先輩Sさんが、本気で身の危険を感じている事の方が怖かった。

どうか新人君が、若くて、眉毛が濃くて男前で、ロン毛でカッコ良くて、坂口憲二か金城武みたいな人でありますように。。。
今日は昼の仕事があるので。遅刻したらどうしようとドキドキでした。朝8時半、帰り支度をしていたらモニターからお客さんが部屋を出た音が轟いたので、大急ぎで現場へ駆け付けました。

お客さんがお風呂を使っていなかった場合、お風呂係の人が「お風呂ラッキーです」と叫んで、他の人の掃除のお手伝いに回るのは、よくある事なんですが、今日は先輩Nさんが「お風呂ラッキーです」と叫んだ後、私が「ベッドラッキーです」と叫んだので「えっ!?」と言って先輩Nさんと先輩Hさんが走ってきました。

見ると本当にお風呂もベッドも使っていなくて、使ったのはソファーとテーブルだけでした。ソファーで?と思った皆さん、ハズレです。

テーブルの上には夥しい量の缶ビールの空き缶と、コンビニ弁当の空と、食い散らされた珍味の残りが散乱していました。しかも滞在時間は2時間弱でした。こんな時代にラブホへ来てHもしないで、酒盛りの為にお金を払って帰ってくれるなんて、奇特なお客様です。お陰様であっと言う間に掃除が終わりました。

9時10分にラブホを出て、ママチャリで昼の職場へ向かいました。時間が無かったので化粧直しもせずに鬼ダッシュでした。昼の職場に着いたのは9時17分。いつもより少しだけ早めに到着しました。ラブホと昼の職場が近くて本当に助かりました。いつものように守衛のおぢさんに「おはようございます」と声をかけると、「うわっ!おっ、おはようございます」と言う返事。ちょっと感じが悪かったです。

やれやれとロッカーで鏡を見ると、お風呂の湯気でクセ毛の髪が蒸されてウニウニにカールして爆発?爆髪?していて、顔も蒸されてパンダ目になっていた上に、化粧もムラムラになってドロドロの顔でした。鏡に向かって「ひいぃ〜アンタ誰?」って感じでした。守衛室のおぢさんに怖がられたのも無理はない顔でした。

不眠不休なので昼のデスクワークは眠くなるのでは?と思っていたのに、忙しくて眠くなる暇もありませんでした。

帰宅後、応援している某スポーツチームの試合があったのでTV観戦しました。応援の甲斐もなく負けてしまったので、午後9時から爆睡しました。
0:00-9:00 17室掃除

今日から3人勤務になりました。残りの2人はリーダーの先輩Hさんと、無愛想な先輩Nさんでした。先輩Nさんは相変わらず私には無愛想でしたが、先輩Nさんにはヘコヘコでした。

明日は土曜日なので、金曜の夜は大忙しです。慣れない3人勤務と無愛想な先輩Nさんへの対応で早くもバテバテになりました。

あっと言う間に午前3時になり、11室目くらいの掃除をした時、お風呂係に当たった先輩Nさんが、なかなかお風呂から出てきません。いつもは誰よりも早く自分の担当を終わらせて、仕事の遅い私の手伝いをしてくれているのに、最後までお風呂にかかりっきりでした。

やがて先輩Nさんが鬼の形相で、お風呂から出てきました。かなり怖かったです。

先輩Nさん「やんや、酷い目に遭った!下の毛剃って全部、洗面器に入れてるさ!わち、足が滑って洗面器をひっくり返したもんだから、床じゅうに毛をとっちらかしてしまったよ」

先輩Hさん「そーゆー時は、浴槽に入れちゃうと掃除がラクだよ。毛が散らかっても浴槽の中だけでしょ?」

先輩Nさん「んだね!今度そーするわ。」

先輩Hさん「一昨日なんかね、お風呂で女も男も毛を剃っててSさんも大変だったんだよ」

先輩Nさん「女も男もー?」

みかやん。「確かに2種類だと言ってましたよ」

先輩Nさん「それって毛ジラミなんでないの?そーでないば男まで剃らないべさっ」

先輩Hさん「あっ!」

みかやん。「Sさん、大丈夫でしょうか?」

先輩Hさん「明日、常務が来るからその時にどんなふうに対応すると良いか聞いてみるね」

先輩Nさん「下の毛剃った男って、その女としかできないべね〜。ハハ。」

普段は朝6時で仕事が終わるのに、今日は朝9時まで仕事でした。朝8時頃、17時間滞在していたお客様が帰りました。控え室入口のカーテンから覗いていると、赤のカーディガンにゴルフ用ズボンにヴィトンのポーチを持った、名古屋章を下品にしたような顔の初老の男性が玄関の方へ歩いて行きました。

私達三人が掃除7つ道具を持って通路を走りだしたとたん、その男性が戻って来ました。みんな、だるまさんが転んだ状態になって一瞬動けませんでした。慌てて空き部屋の玄関前に隠れましたが、しっかり見られてしまいました。

男性が部屋の階段に向かって猫なで声で「どしたの〜?大丈夫〜?」と言うと、階段から「いや〜〜ん」と若い女性の声が響きました。更に男性が「どしたの?」と聞くと、「まだ銀ちゃんが中で動いてるような感じで歩けな〜〜い〜〜」と答えました。朝っぱらから何を言うんだい!とカーテンの陰でクラクラしていたら、20代前半の女性が出てきました。初老の男性と20代前半の女性は手を繋いで出て行きました。

部屋へ入ると缶ビールの空き缶が6本とスキンが6個。

先輩Nさん「やんや、あのトシで6回って凄いんでないかい?」

先輩Hさん「1回やって1杯なんだろか?1杯飲んで1回なんだろか?どっちでもいいけど凄いよね」

みかやん。「私が20代前半の頃は、あんなオヤジと。。。だなんて考えた事もありません」

先輩Nさん「女の方がベタ惚れだったっしょ。”あっちの方”が良くて離れられなくなったんでないの?絶倫だもの!」

先輩Hさん「なんたって”絶倫銀ちゃん”だからね」

先輩Nさん「ぶぁははははー」

先輩Nさんと仲良くなるには、下ネタにとけ込む事だとつくづく思った。

皆様への”ヒミツの交換日記(相互リンクの人のみ表示)”は明日!
今日こそ昼の仕事も夜の仕事も休み。昨夜は急遽ラブホ出動になった為に、朝9時〜昼12時の3時間しか寝ないまま、ラブホ勤めで朝帰りしてしまった。一日中、寝ても寝ても眠かった。

今朝、仕事中にお風呂で転んで左手首を強打したので、湿布を貼って寝た。昼に起きてみると、左手首はもちろん、左腕、左肩、左側の腰など、身体の左側が全部痛かった。思ったより重症かも知れない。(涙)

夜、ラブホのフロントS氏から電話がきた。

フロントS氏「昨日、無断欠勤したIさんなんですが、今日”退職”と言う形で連絡を貰いましたので、明日からIさんのシフトでお仕事をして頂く事になりました。入店間もないのに、申し訳ありませんが、1本立ちして頂いて明日からは三人勤務になります。あなたの若い力に期待しています。」との事。マジっすか?

”若い力”という言葉にクラクラした。”若い”等と言われると思わずポッとなる。しかしここで騙されてはイケナイ。ろくに仕事も覚えてないのに、いきなり三人だなんてめっちゃハードじゃん!どーすんだよ!もう求人広告は出したのかい?と言いたいのをグッと堪えて力無く「わかりましたぁ↓ 頑張りますぅ↓」と答えた。

優しい先輩Iさんが辞めて、口うるさい先輩Sさんと、無愛想な先輩Nさんと三人勤務になったりしたら、悲惨だよ〜(号泣)。
0:00〜6:00 18室掃除

午後11時40分にホテルQに到着。何気に控え室のモニターを見ると既に”満室”でした。「ひいぃ〜。みんな、朝の6時までは帰らないで〜」と言う私の願いも虚しく、午前0時からバタバタとお客さんが帰り始め、控え室に戻る暇も無く掃除に追われました。

3室目でベッド係の私は血染めの枕を発見しました。大量の出血だったので、かなりひるみました。ベッド手伝い係の先輩Sさんに「こ、これは鼻血なんでしょうか?」と尋ねると、先輩Sさんは「ったくもう!んなわけないやろ!生理の血やて!枕をなぁ、腰に当ててやったんやろ。どうせなら枕やなしに、たたんだタオルを使って欲しいもんやなぁ」との事。控え室に戻って、血染めの枕にブリーチをつけて、歯ブラシで叩いて拭き取って、乾燥機にかけてようやく枕の処置が終わりました。

みかやん。「しかしまぁ、なんだってみんな、こぞって生理の時に来るんでしょうねぇ?」

先輩Sさん「だから不倫か未婚やて!生理だったら絶対に子供できんやろ?」

みかやん。「でも私だったらイヤです」

先輩Sさん「ところが生理の時がイイ!言う人もぎょうさんいてるで〜。だからこんなに毎日、血ぃ見る事になんねや。かなわんわ〜」

7室目でまたベッド係に当たった私は、シーツに透明なシミを発見しました。先輩Sさんに「臭い嗅いでみぃ」と言われ、恐る恐る臭いを嗅いでみると、恐れていた白子ではなくてオシッコの臭いでした。おねしょマットから外れた所だったので、ベッドパットにもマットにも被害が及んでいました。交換する事になって、長い通路をベッドパットとベッドマットを担いで走りました。控え室から一番遠い部屋だったので重労働です。ちょっと死にかけました。

みかやん。「なんでオシッコなんか、たれたんでしょう?」

先輩Nさん「緩んでるんでないの?くしゃみしたり、笑っただけでオシッコ出る人もいるからね」

先輩Hさん「感極まったとか?漏れそうだったけど男がなかなか終わってくれなくて、間に合わなかったとか?」

先輩Sさん「流行りの放尿プレイかもなぁ」

みかやん。「流行ってるんですか!?そんなのが流行ったら大変ですよ〜」

先輩Nさん「アレだべさ〜。潮吹きって奴でないの?今、インターネットだどがで若い男の子が、潮の吹かせ方のホームページだどが、作ってるんだよ。」

先輩Hさん「Nさんってインターネットで、そーゆーの見てるの?」

先輩Nさん「たまたまだよっ!わざわざ探して見るわけないべさっ!」

50代の先輩Nさんがパソコンに向かう姿は、どうしても想像できませんでした。

更に11室目でまたベッド係に当たった私が見た物は、やっぱり白子でした。枕に点々と飛び散り枕の上の壁で弾けていました。白子が枕カバーから枕に貫通していたので、またも控え室で歯ブラシを片手に枕と格闘する事になりました。壁に飛んだ白子はティッシュで拭き取って事なきを得ました。

先輩Sさん「今日は大当たりの日なんちゃうん?」

みかやん。「ベッド係に当たる度に酷い目に遭いました」

先輩Hさん「血液に、オシッコに、白子。一日で全部の処理の仕方が勉強出来て良かったでしょ」

先輩Nさん「あの白子は凄かったね。若い人でないかい?年寄りだらあんなに飛ばないもね」

みかやん。「。。。。。。」

先輩Nさん「ハハ。。次はわちがベッドやってやるから、アンタはクイックルワイパーと粘着ローラーをやりなさい」

みかやん。「ありがとうございます〜」

今日は朝9時まで残業になりそうだった所を、抜群のチームワークでなんとか、朝6時に帰る事ができました。でも帰宅後はヨレヨレでした。

ベッドを汚しそうな時は、タオルを利用しましょう。
0:00〜6:00 12室掃除
おはようございます。只今帰宅しました。
今日は口うるさい先輩Sさんの代わりに、人のよい先輩Iさんが来てくれたので、平和な一日だと思っていました。

ところが、第1室目で悲劇が起こりました。ゴミをまとめる当番だった私が、ベッドサイドのゴミ箱を覗くと、スキンが4つ入っていました。使った形跡があるのに、ゴムの口を縛るわけでもなく、平らに伸ばされて4つ???

すると洗い物係の先輩Hさんが「なんだこりゃ〜」と叫んだので、残りの三人が駆けつけると、先輩Hさんが光源の方へグラスを高らかに上げていました。細いグラスの底の方に半透明の白い液体が2.5cm程、溜まっていて、更にグラスの中に煙草が1本、投げ捨てられていました。

一同 「し、白子ーーー!?」

次の部屋の掃除の予定が無かったので、すぐ控え室に戻り、ディスカッションが始まりました。

先輩Hさん「いくらお客さんは気が付かないと言っても、あんなグラスはもう使えないよね!フロントに言って捨てる事にしようよ」

先輩Nさん「だけども非常識じゃないかい?グラスに白子を溜めるなんて、一緒にいた女も女だわ!男がそーゆー事したら、普通は止めるべさ」

先輩Iさん「溜めるだけ溜めて、女に飲ませようとしたんじゃないの?それで女がイヤだって言って飲まなかったから、腹いせに煙草を捨てたんじゃないのかな?」

先輩Hさん「4回分にしちゃ、少ないっしょ!たいした量でもないのに、グラスになんか入れて!白子を飲める女かどうか、確かめてからやれ!って感じだよね」

先輩Nさん「なんぼ飲みやすいか知らないけど、グラスに入れるって発想が私にゃわからんね」

と、先輩達は文句タラタラだった。

そんなやりとりを聞きながら、ぺーぺーの私が白子グラスの片づけ係になってしまったので、グラスにボロ布を詰め、ビニール袋に入れて、ガムテープでぐるぐる巻きにして、ゴミ箱へ捨てる予定だったのが、手が滑って他人の白子が私の手にねっとりと付いてしまった。「お、おえっ」となるのを、グッと堪えて何事も無かったようにゴミ箱へ捨てた。。。ものの実は泣きそうだった。洗っても洗っても、自分の手が白子臭い気がして何度も「うげ〜」となった。

白子が私の手に付いた事は誰にも見られていなかったハズなのに、先輩Hさんに「服に付かなくて良かったっしょ!服の肩とか胸のあたりに付いたりしたら、ずーーーーっと臭うよ」と言われて、想像しただけで身震いがした。愛する人の白子ならともかく、他人の白子は絶対にイヤだ。

くれぐれも白子はグラスに溜めないようにお願いします。
0:00〜6:00 11室掃除

午後11時40分にホテルQに着くと、先輩Sさんと先輩Nさんが先に出勤していたので、慌てて身支度を整えた。貸与されているポケットが9個付いたウエストポーチを装着し、ポケットにスキン数個とゴミ袋数枚を入れた。一番良く補充するものを各自ポケットに入れて出動する。また、ガムテープを20cm程に切ったものを、自分が着ているTシャツの胸や肩に3枚ほど、張り付けておく、ベッドの上や部屋の各所で髪の毛を発見した時に、すばやくガムテープで除去する為だ。これで身支度が完了する。

12時10分に早速1室目に出動した。ホテルQは1階が駐車場で2階が部屋になっている。フロントから入ったお客さんは、通路の部屋の戸を開け、階段を上がって更に階段上の戸を開けて部屋に入る。今日の1室目は1階部分の戸を開けただけで、すぐにソレとわかる臭いがした。

最近、週に3度は遭遇すると言う噂の臭いだ。”猫のおしっこ”の臭いなのである。私がラブホ2日目くらいに先輩達が噂していたのを思い出した。

先輩Hさん「どこへ行くのも猫と一緒なのかねぇ」

先輩Sさん「まさか猫にペロペロなんかいなぁ?バター犬は聞いた事あるねんけど、バター猫とはよう聞かんなぁ」

等と言っていた。

ところが、嗅覚に自信があって、昔、猫を飼っていた私がよく臭いをかいでみると、猫のおしっこの臭いがするのは、階段部分だけであって、部屋に入ると臭いがしない。「部屋には猫ちゃんを入れてないようですよ」と訴えて、先輩達に階段部分だけ、消臭剤をかけて貰った。実際に階段には猫の毛があったが、部屋には人間の毛しか落ちていなかった。

その後、立て続けに何部屋か掃除して控え室に戻ると、猫の部屋の件の話でもちきりだった。

先輩Hさん「猫を抱いてホテルに入って、猫は部屋に入れないで階段の所で待たせてたって事だったようだね」

先輩Sさん「でもおしっこがこぼれてないって事は、猫のトイレも持参して来てるか、おしっこを飼い主が拭いて帰ったゆう事なんかな?」

先輩Nさん「猫を抱いて猫のトイレも持ってくるなんて、ゆるぐないべさ(大変な事でしょう)週に三回もこごさ来るなら猫をおいで来たらいがべさね(週に三回もここへ来るなら、猫を置いてきたら良いのにね)別に猫さ見せたいわげでもなさそうだし」

先輩Hさん「でも猫を入れる大きな箱とか持って入ったら、フロントでわかるハズだよねぇ」

先輩Sさん「やっぱ可愛くて抱いて連れて来てるんちゃうん?可愛くてHに使ったり、見せたいゆう事は出来ないんやで〜」

みかやん。「当然です!」

と、あれこれ想像して大騒ぎだった。
現場検証と合わせていろいろ想像するのが、この仕事の楽しみだったりする。

結局この部屋は、使用中である事にして暫く窓を開けて換気する事にした。教訓「ペット同伴の場合はよ〜く換気しましょう!」
0:00〜6:00 6室掃除
今日はお客さんの出入りが少なく、まったりとしていた。「いつもこんな感じならラクなのに」と思っていたら、”お客さんが部屋を出た音”が聞こえた。急いで控え室出入り口のカーテンの陰にスタンバイすると同時に”お客さんが玄関を開ける音”が聞こえた。

部屋を出たお客さんが玄関へ向かうのと入れ替わりに、玄関から20代前半の若いカップルが入って来るのが見えた。ベッドメイク係はお客さんと対面してはならないと言う決まりがある。カーテンの隙間を細くして目を凝らして見ていたら、そのカップルはどんどんカーテンの方に向かってきた。女性の方はかなり千鳥足で泥酔しているのが見てとれた。

「ヤバイ!」と思うのと同時に、泥酔した女性がカーテンを開けたので、我々一同は思わず「うわっ!」と叫んでしまった。一瞬ひるんだものの超ベテランの先輩Hさんが「恐れ入りますお客様。こちらはお部屋ではございません。今、来られた通路を戻って入口でお選びになったお部屋にお入り下さい」と告げた。

泥酔の女性は「:@?*+/=〜」と、何を言っているかわからなかったが、連れの男性が彼女を後ろから抱きかかえながら「す、すみません。ちゃんと部屋へ行きますから〜」と言って部屋へ連れて行った。慌てて前のカップルが帰った部屋を掃除しに行った。

控え室に戻ってみんなで、泥酔女性のカップルの事について話をした。
先輩Hさん「あんなに酔ってちゃ出来ないよね〜」
先輩Nさん「彼氏もこんなトコさ連れで来ないで、まっすぐ家さ送ってあげればいいべさね」
先輩Sさん「あの様子じゃバタンQで寝ちゃったんじゃないの〜」
等と言っていたら、フロント係の男性Sさんが、我々の控え室に飛び込んできた。

フロントSさん「いや〜21×号室のお客さんなんだけど、男性が先に帰っちゃって今、女性一人になってたんだよ〜。そしたら残された女性からフロントに電話が来て”誰でもいいから若い男、呼んで〜”って、言うんだよ。”申し訳ありませんが、当店はそのようなサービスは致しかねます”と言って断ったら”アンタでもいいから来て!して!”って叫ぶんだよ!まいっちゃった。そーゆー男性を呼び慣れてる女性と相手をするようなテクニックも持ってないし、あっ!いやそうじゃなくて、本当にビックリしたよ〜。”若い男、呼んで〜”って何回も電話かけてきて、今、ようやく落ちついた所だよ」と、一気にしゃべりまくっていた。

よく話を聞くと21×号と言えば、さっきの泥酔女性が入った部屋だった。あの若い女性があんな事を口走るとは意外だった。
先輩Nさん「やっぱりそんな事だど思ってだ〜」
先輩Hさん「あの泥酔ぶりじゃ男も逃げるよ」
先輩Sさん「意外と男の方が立たなくて返されたんちゃうん?」
などと、狼狽しきったフロントSさんと違って、先輩達は冷静だった。

泥酔の彼女は3時に来店して5時半に帰った。フロントSさんがタクシーを呼んであげたようだ。今日は暇だったので、眠くなるかも?と思っていたが、泥酔の彼女のお陰で眠くもならずに楽しく仕事ができた。
酒は飲んでも飲まれるな!って事かな?
0:00〜6:00 15室掃除
ラブホの控え室には巨大モニターがあって、部屋番号別に入室状態&空室状態がわかり、入室状態の部屋には何時間いるか滞在時間が表示される。またそのモニターからは、いろんな音が出る。”お客さんが玄関から入った音””お客さんが部屋に入った音””お客さんが部屋を出た音””お客さんが玄関を出た音”この4つの音を聞き分けながら仕事をする。

”お客さんが部屋を出た音”が聞こえたら、私達ベッドメイク係が控え室出入り口にスタンバイする。控え室出入り口は、お客さんが出入りする通路の一番奥にあり、カーテンで仕切られている。”お客さんが部屋を出た音”が聞こえてすぐにスタンバイすると、カーテン越しにお客さんの後ろ姿や横顔が見える。お客さんが玄関へ向かって行くのを確認し、”玄関を出る音”が聞こえたら、カーテンを開けて通路に出て部屋へ向かって掃除する。。。というパターンだ。

ラブホのベッドメイク係の人に、後ろ姿を見られていたとは知らなかった。「知ってる人だったら、わかっちゃうじゃん!」と、ちょっと変な汗が出た。

たまたま私が見たのは、チャラ男系とキャパクラ嬢系の20代半ばのカップルだった。ロン毛でスーツ姿の男性と、キャミソールにプリント柄のスカートの20代半ばにしては、ハイグレードのお洒落なカップルだった。「素敵なカップルだわ〜」とウットリして後ろ姿を見送っていたら、10年選手の超ベテラン先輩Hさんが「あっ!白子垂らしの兄ちゃんだ!」と叫んだ。

「しらこたらし???何だろ?」と思って部屋へ行ってみると、ベッドの真ん中あたりに丸いシミが出来ていた。さっき見た兄ちゃんがベッドにこぼした精子のシミだった。シーツを剥がすとおねしょマットにもシミが付いていた。汚れていなければ交換しない、おねしょマットも交換しなければならない状態だった。仕事を増やされたのだった。

あーゆー状態をこの業界では「白子垂らし」と言うって事は一つ勉強になったが、さっき見たばかりのカッコイイ後ろ姿の兄ちゃんの白子が。。。と思うと妙に生々しくて幻滅した。
仕事と割り切って、こーゆー事にも慣れていかなければ!と悟った。
0:00〜9:00 14室掃除
昼の仕事から大急ぎで帰宅し、ホテルQからの合否の連絡を待った。6時になり昨日の支配人から電話がきた。「採用決定となりましたので、いつから出社できますか?」と聞かれ「今夜から行けます!」と答え、ラブホ初出勤!

午後11時40分にホテルQに到着し、同じチームの3人と対面した。
先輩Sさん:口うるさい40代のオバハン。関西弁でまくしたてる。古株。
先輩Iさん:美人で大人しい40代の女性。新人だが私の半月先輩。
先輩Nさん:50代半ばのオバサン。日本人離れしたエキゾチックジャパン系のお顔。道南訛りがある。1ヶ月先輩。
他に今日休みの大先輩のHさんがいる。
先輩Hさん:40代で超美形。背が高くスタイルも良く、若い頃はモデルさんのようだったと思う。

口うるさい先輩Sさんが私の指導係になった。
右も左もわからない私に、いろんな事を次々と大阪弁でまくしたてる。4人でローテーションを組んで、風呂係、ベッド係、拭き掃除係、洗面&トイレ係を順番にやったようだが、先輩Sさんがあまりにも、うるさくて何が何だかわからなかった。短時間で1部屋を仕上げなければならないので大忙しで、着いて行くのが精一杯だった。

掃除が終わって控え室に戻ると、タオルやバスローブたたみがあり、休む暇や眠くなる暇がない。バスタオルや小タオルにも厳密な畳み方が決まっていて、1枚たたむのにも時間がかかった。

無我夢中で1晩で14室の掃除をした。一番驚いたのは、血染めのシーツがあまりにも多かった事だ。短い休憩の間に「”初めての人”ってあんなにいるんですね。」と聞くと、先輩Sさんが「そんなわけないやろ!アレは生理や!女も生理なら断りや〜と思うやろ?ところがどっこい、不倫が多いねんでぇ。まぁ酔ってわけわからんくなって生理やのに、連れ込まれる場合もあるけどなぁ」との事だ。

男性と違って、夫や彼がいる女性は夜中には、なかなか出かけられない。。。家で夫や彼が帰宅の遅い女性を待つ。。。「もしや他に男が?」と男性側は不安になる。。。しかしそこで「俺の嫁(彼女)は今日は生理だ。まさかHはしていないだろう」と安心する。。。と言う事らしい。こんな裏をついたカラクリがあったとは! 私って世間知らずだと思った。
インターネットで深夜のアルバイトを捜していて見つけたのが「ラブホテル・ベッドメイク」だった。”ラブホテル”や”ベッド”という言葉が妙に淫靡な物に感じて、他のお弁当の仕分けやコンビニ、居酒屋等のアルバイトの記事が目に入らなくなり、早速、履歴書を書いてホテルQへ電話し、当日5時半からの面接にこぎつけた。

ホテルQへ着いて、いざ面接!黒のシャツに黒のスラックス、グレーのベストを着たちょっと怪しいおぢさまが面接官だった。怪しい風貌とは裏腹に、言葉遣いが非常に丁寧だった事に感激した。

面接を終えラブホテルの裏側に回ると、老若男女がバタバタと入り乱れて働いていた。もっと後ろ暗いような場末の雰囲気かと思っていたら、意外と活気があって楽しそうだった。

合否の決定の連絡は明日午後6時だ。

1 2 3 4 5 6 7

 

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索